著者
杉原 正顯
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
1982

博士論文
著者
鈴木 貴之 鈴木 真 笠木 雅史 井頭 昌彦 太田 紘史
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

今年度は、本研究プロジェクトの5つの研究課題のうち、従来の哲学方法論の批判的評価、哲学的自然主義の可能性と限界、実験哲学の哲学的意義の評価、という3つの課題についておもに研究を進めた。従来の哲学方法論の批判的評価に関しては、2017年10月に香港大学からマックス・ドイッチュ氏およびジェニファー・ネド氏を招いて、科学基礎論学会秋の研究例会および東京大学で、哲学における直観の重要性と信頼性に関するワークショップを開催した。また、笠木雅史が同月に開催された日本科学哲学会のシンポジウムで、分析哲学における哲学方法論の歴史について発表を行った。哲学的自然主義の可能性と限界に関しては、井頭昌彦が自然主義の定式化や代替案を論じた論文を発表し、鈴木貴之と太田紘史が、自然主義的な心の哲学の現状や課題について、論文や共著を発表した。また、鈴木貴之が道徳に関する心理学研究の哲学的意義について、2018年2月に東京大学で開催された社会心理学コロキウムで発表を行った。実験哲学の哲学的意義の評価に関しては、笠木雅史が文化間の実験哲学研究に関する問題について論文を発表し、鈴木貴之が哲学における責任をめぐる議論の現状と、そこにおける実験哲学の意義について論文を発表した。また、鈴木真が実験哲学についての辞典項目を執筆した。さらに、来年度以降に本格的に研究を進める予定であるメタ哲学的観点からの哲学史の見直しに関しても、2017年8月に東京大学で研究会を開催し、小山虎氏が20世紀前半における分析哲学と科学哲学の関係について講演した。
著者
山崎 弘郎 藤村 貞夫 北森 俊行 飯塚 幸三 栗田 良春 森村 正直
出版者
東京大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1989

文部省学術用語集「計測工学編」の増補改訂を目的として、計測工学用語の標準化の調査研究を平成2年2月から平成3年度末まで下記の通り実施した。1.計測工学における学術上の概念を適切に表す用語を標準化することにより,同一概念を表現する複数の用語の流布を避け,混乱を防ぐことを目的として。主として次のような用語選択基準を設定した。(1)学術上の議論で現在実際に用いられる用語だけを採録する。(2)概念の階層構造に留意しその上位の用語から採録する。(3)他分野との境界領域にある用語も採録する。ただし,その用語がすでに文部省学術用語集で制定されていれば,それを尊重する。(4)内外の規格(JIS,ISO,IMEKO,VIM,SI等)との一貫性に留意する。2.計測工学の分類について検討を重ねた結果,20分野に分類し,上記選択基準1.にしたがって,現行用語約2,400語について検討し,分野別に用語の収集,選択を行い,計測工学用語集としての完備を図った。こうして12,000余語の用語を収集し,これを整理して,約8,000用語が標準計測用語として得られた。3.この調査研究の特長の1つは,作業を電子化し,効率化を図ったことである。これによって,委員による用語の収集,整理作業および委員間の情報交換が極めて容易に可能となった。さらに,海外からの用語デ-タファイル(国際計測連合編集の計測用語;ISO,IEC,BIPM等による用語集(VIM)等)を検討対象用語集として収集することができた。4.調査研究委員会開催日程平成2年2月2日から平成3年11月16日まで 9回委員会開催,平成3年2月21日から平成4年3月4日まで 4回幹事会開催。
著者
五神 真 吉岡 孝高
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

A. 光励起半導体励起子・電子正孔系における量子凝縮相の解明と制御(A-1) 準熱平衡状態励起子系の安定化された自発的BECの観測:希釈冷凍機温度において歪トラップした亜酸化銅1sパラ励起子の中赤外誘導吸収イメージングを実現し、更に励起子発光の精密分光を両立する実験系を組み立てた。精密分光による励起子温度評価に基づき、励起子温度を100mK台に保ちながらBEC転移密度を超える高密度領域での吸収イメージングを実行した。更に励起子発光の時間分解実験も進め、注目している低温高密度下の特異な発光の振る舞いに関わる重要な知見が得られている。(A-2) 非平衡励起子系の量子縮退:一般化されたドルーデ応答モデルに基づく理論計算から、ダイヤモンド高密度電子正孔系における誘電応答の緩和レートの周波数依存性を明らかにした。緩和レートは低周波側で減少し、極低温で発現が予測されている電子正孔BCS状態のギャップ周波数においては、ギャップエネルギーのレート尺度より十分に小さくなることを明らかにした。この結果は、フェルミ縮退した電子正孔系における量子多体現象を誘電応答測定で探索可能であることを示唆している。B. レーザー角度分解光電子分光による光励起状態のの新検出手法開拓光電子分光測定において、試料まわりの物質に起因した静電場を低減することで低い運動エネルギーを持つ光電子の放出角度をより正確に把握することに成功した。試料としてトポロジカル絶縁体Bi2Se3を用い、ピコ秒モード同期Ti:Sレーザーの四倍波を入射して角度分解光電子分光を行った。次に、同レーザーの第二高調波を半導体GaSeに照射して光励起し、直後に光電子放出用の第四高調波を照射することで、GaSeのバンド間励起に由来した伝導帯の電子分布を低温下9Kにおいて観察することに成功した。このとき連続光を試料に照射し続けることで試料の帯電を抑制した。
著者
黒須 友里江
出版者
東京大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

摂関政治と院政についてはその連続性がたびたび指摘されるが、両分野の研究状況の違いから、このことは院政期研究の立場から論じられることが多かった。しかし近年摂関期研究は大きく進展し、摂関政治と院政の連続性を摂関期研究の側から捉え直すべき段階に到達している。この課題へのアプローチとして本研究では移行期にあたる藤原頼通以降の摂関期を重点的に扱い、史料の調査・検討および政治構造についての研究を行う。
著者
橘 省吾 瀧川 晶 川崎 教行 圦本 尚義
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

太陽系の原材料となったダストは,太陽より前世代の恒星周囲でつくられたダストや,星間空間で破壊され,再生産されたダストと考えられる.これら太陽系原材料となった「太陽型ダスト(恒星周ダストと星間再生産ダスト)」が,太陽系最初期にガスとの酸素同位体交換を経て,地球や隕石の材料である「地球型ダスト」へと変身する過程に注目する.(1) ダストとガスとの酸素同位体交換反応に必要な原始太陽系円盤の物理化学条件を実験より定量的に決定する.(2) 隠された太陽系原材料物質を始原隕石中に発見することにより (1) の過程の証明をめざす.
著者
宇賀 克也
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

2017年度は、我が国の匿名加工情報、非識別加工情報制度の特色を探るため、海外の匿名加工情報制度、とりわけ、EUのGeneral Data Protection Regulation(GDPR)と比較するための研究を行った。また、同年度において、「医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律」(次世代医療基盤法)が成立したため、同法についても研究を行い、論文の執筆を開始している。さらに、2007年に全部改正され、匿名データ、オーダーメード集計の制度を新設し、オープンデータ政策においてフロントランナーの立場にあった統計法が、行政機関非識別加工情報制度の導入の結果、むしろ、一般の保有個人情報よりも、オープンデータ政策という面では、後塵を拝することになり、そのため、2018年3月に統計法の一部を改正する法律案が閣議決定され、国会に提出された。そこで、この統計法改正案についても、オープンデータ政策の観点から研究を行い、論文執筆にとりかかった。いずれの論文も、2018年度において、公表を予定している。また、行政機関非識別加工情報制度の導入に伴い、地方公共団体において、個人情報保護条例を改正して、非識別加工情報制度を導入する検討が開始されており、201年度末までに、鳥取県、和歌山県のほか、市区町村では3団体が、すでに個人情報保護条例を改正して、非識別加工情報制度を導入している。そこで、これらの個人情報保護条例についても検討を行った。
著者
西村 玲
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

本研究は、僧侶普寂の思想を通して、日本近世思想史上における仏教思想の内実と展開を追い、近世から近代にかけての思想的水脈の一つを示した。3年間の研究成果は、単著『近世仏教思想の独創-僧侶普寂の思想と実践』(トランスビュー社)として、本年(平成20年)5月に出版された。初年度は、受入教授である末木文美士教授の指導により、近世思想史における大乗非仏説論への応えである、普寂の華厳思想を解明した。初年度後半から第2年度前半には、プリンストン大学宗教研究センターに一年間留学して、宇宙像をめぐる近世護法論の発表を行うことにより、日本国内では得難い、時代と地域にまたがる広い思想史的知見を得た。第2年度後半から第3年度前半には、近世的宗派意識の分析という視点から、普寂の伝記と近世浄土教団の戒律観を明らかにした。同時に末木教授の指導によって、丸山眞男に始まる日本近世思想史が政治思想史のみで推移してきたことを批判し、宗教思想史を組み込んだ全体的な思想史像を提言した。第3年度後半からは、博士論文と任期3年間に発表した論文原稿をもとにして、それらに大幅な加筆と修正を加える出版作業を行った。3年間で学問的視野が広がり、従来の日本一国政治思想史に対して、東アジア全域を視野に入れた宗教思想史を対象化するに至った。従来の日本思想史の空隙であった、仏教を中心とする宗教思想を思想史に組み込む研究の視点を得た。
著者
和田 春樹
出版者
東京大学
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.86-116, 1976-02-19
著者
西島 央 藤田 武志 矢野 博之 荒川 英央 中澤 篤史
出版者
東京大学
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.99-129, 2003-03-10

In this research, we will endeavour to illuminate the factors that affect high school students'commitment to their schools; their future educational goals and career trajectories. Examining how they have been involved in various club activities at school will provide the basis for this evaluation. In doing so, we will propose "a plural model of school culture." The research is being carried out within a context of significant educational change. The implementation of the new national curriculum (course of study), a five-day week school system, and the co-operative linkage of schools, homes, and communities are likely to have some form of impact that will need to be assessed. This leads us to adopt a methodological approach that makes extensive use of a series of research surveys. These will seek to identify the effects which the new national curriculum will have upon students'school lives, especially in relation to club activities. So far, we have carried out two extensive questionnaires in 1999 and 2001 along with additional participant observation in a limited number of schools. Our target group has been junior high school students. In light of the above and in view of our proposed new series of research surveys for high school students we will construct a hypothetical analysis in order to prepare a survey for use in the reinvestigation of the matter in 2004. This series of research surveys on high school students aims to propose an agenda for school education which should take account of what form club activities should take in the future. To date, we have analysed data stemming from 4,500 questionnaires. These have been collected from high-school students in two (Shizuoka and Niigata) different prefectures and the Tokyo metropolitan area in March 2002. In this paper we will deal with the following four issues. 1, Using four clusters which based on the levels of commitment to their various aspects of the school life, classes, official events, and club activities, we discuss the students'adaptability to school life. 2, Focusing on the differences of the opportunities in sports/culture activities being influenced by the students'family backgrounds, we argue the significance of club-activities for students in their junior high school days. Besides we explore the issues so as to realize "the lifelong sports-society", focusing on the sports club-activities. 3, We examine students'behaviours from the viewpoint of whether they are an active club member or whether they have withdrawn from such activities. This will be used, in part, as a predictor for the various path-ways that students take as they adapt themselves to the changing nature of life during their high school experiences.
著者
堅田 利明 KAPIL Mehta FABIO Malava 星野 真一 仁科 博史 MALAVASI Fabio MEHTA Kapil 櫨木 修
出版者
東京大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1997

本研究では、レチノイン酸によるヒトHL-60細胞の分化で誘導され、NAD分解(NADase)活性をもつエクト型酵素のCD38について、伊国トリノ大学Malavasi博士及び米国テキサス大学Mehta博士らとの共同研究により、CD38を介する細胞内シグナル伝達機構、CD38の酵素化学的特性、及びCD38の転写制御機構などを検討し、以下の知見を得た。1、抗CD38モノクローン抗体(IgG1)でHL-60細胞を刺激すると、癌遺伝子産物p120^<c-cbl>を含む細胞内蛋白質がチロシンリン酸化され、さらにG蛋白質と共役する化学遊走因子受容体刺激を介する活性酸素産生が増強された。この活性酸素産生の増強は、CD38抗体のFc部分がFc_γII受容体を刺激して、G蛋白質を介するイノシトールリン脂質3キナーゼの活性化を増強した結果であった。2、ラットCD38を認識するポリクローナル抗体を作製して中枢組織での局在を解析した結果、CD38はアストロ細胞に強く発現していた。さらに共焦点レーザー顕微鏡を用いた観察から、細胞表層のCD38は酵素反応の進行にともない何らかの化学修飾を受けて不活性化されることが明らかにされた。3、CD38の反応産物のADP-riboseは、老化への関与が指摘されている翻訳御修飾であるadvanced glycation end products(AGE)化のよい供与体となることが示された。4、糖鎖修飾を受けたCD38と結合する50-kDaタンパク質をリンパ組織に同定し、CD38のNADase活性がレクチンとの結合により阻害されることを見出した。5、ヒトCD38遺伝子の遺伝子発現について解析し、核内レチノイン酸受容体のRAR(α)/RXRが結合する応答配列が第1イントロン上に存在することを見出した。
著者
石崎 雅人 野呂 幾久子 小林 伶
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、化学療法の受診を検討し、実際に受診した対象者426名に対して、患者主導型/共同意思決定型/医師主導型の意思決定方法の特徴を明らかにした。それぞれの意思決定方法ではそのプロセスに差があることが明らかになったが、共同意思決定と意思決定方法への納得度、治療全体への満足度の関連は認められなかった。しかし、希望していた方法で意思決定を行った患者は、そうでない患者に比べ、治療全体への満足度が高かった。