著者
中島 知隆
出版者
東海大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1993

肩峰下インピンジメントの腱板、とくにCodmanの定義した‘critical portion'に対する影響を定量的に解析して腱板断裂ないし変性の発生メカニズムについて検討した。明らかな腱板断裂のないインピンジメント徴候を呈した手術症例(9肩、43-75歳、平均59.7歳)を対象とし、腱板付着部より2mm,7mm,12mm(critical portion)および17mm(筋腱移行部)の四点の滑液包側表面にプラスチック製圧力センサを設置した。また、血流測定用白金電極と組織内酸素分圧測定用電極を挿入した18G針を各点の深さ3mmと8mmまで刺入し、肩峰下接触圧分布とともに組織内血流量、酸素分圧を同時にモニタして、上肢の安静下垂時、他動的前方挙上(30〜180゜)および側方外転時(30〜90゜)における各パラメータの変化と相互の関連性を調べた肩峰下接触圧は安静下垂位〜60゜挙上、30゜外転位まで0であり、その後ほぼ直線的に上昇し140゜挙上、80゜外転位にてピークとなった。安静時、腱板表層の血流量は深層のそれに比べて約1.9倍で、両者は肩挙上、外転時に平行して減少し、90゜挙上、55゜外転位で安静時血流量の1/2、130゜挙上、75゜外転位にて0となった。肩峰下の接触圧と腱血流量の変化は密に相関し、付着部より12mmの表層部ではとくにその傾向が著しかった。一方、腱板酸素分圧は筋腱移行部で最高(243mmHg),critical portionで最低(127mmHg)であり、140゜挙上、80゜外転位において安静時の約1/2に低下した。腱板血流量は上肢を140゜挙上した直後に0になるのに対し、腱板酸素分圧の半減には約20分を要した。すなわち、腱板のなかでもcritical portionにおける易損性は肩峰下インピンジメントによる虚血ではなく、比較的長時間にわたる低酸素状態が腱細胞の軟骨化生を促してその弾性を低下させることに起因すると考えられる。今後、腱組織における酸素代謝がいかに腱変性に関与しているか、について実験モデルを作成してin vitroに検証する予定である。
著者
岩田 達夫
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要 工学部 (ISSN:05636787)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.p107-111, 1991

A new method for measuring vacuum pressure by field emission microscopy is described The relationship between the time constant of exponential decay of field emission current caused by the adsorption of residual gas and the ambient pressure has been derived and examined. The method allows to measure the pressure below x-ray limit of the conventional Bayard-Alpert ionization pressure gauge.
著者
吉田 早織 中村 豊
出版者
東海大学
雑誌
東海大学スポ-ツ医科学雑誌 (ISSN:09153659)
巻号頁・発行日
no.19, pp.69-74, 2007

The purpose of this study is to examine the training effect to the foot by having three-week training period on sand with a bear foot. Footprints were taken before and after the training period. From footprints, the number of toes that was contacting to the ground and the development of medial arch were compared. 53 male college American football players who were not having injury to lower extremities participated in this study. The findings are as follows : 1) There was an increase of the number of toes contact to the ground after the training period. 2) There was a tendency of the development of the medial arch. 3) There was a larger improvement in left foot with both the number of toes contact to the ground and the development of medial arch.
著者
酒井 大輔 檜山 明彦 平山 令明 升井 伸治
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究計画の目的は、椎間板髄核細胞の分化、生存を制御する転写因子ネットワークについてiPS技術を用いて解析し、未だ詳細には解明されていない、iPS細胞や間葉系幹細胞などからの椎間板髄核前駆細胞の誘導法を確立することである。その後、明らかとなったコア転写因子を用いて、髄核細胞の機能向上、コア転写因子を標的とした新規治療法の開発など椎間板再生医療研究に広く応用することである。実験1椎間板髄核細胞のiPS化:コア転写因子を同定するiPS干渉法を行うために、椎間板髄核細胞のiPS化を行った。京都大学iPS研究所のiPS化プロトコールに従いiPS細胞評価は細胞形態変化とアルカリフォスファターゼ染色にて行った。その結果、椎間板髄核細胞のiPS化が認められたが、酸素分圧の調整など検討材料が得られた。実験2椎間板髄核細胞iPS化の高効率化、遺伝子導入効率の向上:椎間板髄核細胞はiPS化したものの導出効率が低く、iPS干渉法で阻害度を測定するには不十分であったため、iPS化の高効率化を行った。GFPにて遺伝子導入効率が良い酸素分圧、培養条件を検討した。その結果、低酸素+α-MEM培地の条件にて高いGFP発現率(80%)を認め、常酸素+D-MEM培地の条件では発現率は低かった(46.2%)。そこで酸素分圧と、細胞密度を振ってiPS化工程を行った結果、全工程を低酸素条件でした群ではiPS化は起こらなかった。遺伝子導入時は低酸素条件で行い、その後は常酸素条件に戻した群で多数のiPSコロニーを認めた。これは一般的に線維芽細胞のiPS化では低酸素にてiPSコロニー数は増加することが知られているが、低酸素、HIF1A、HIF2Aは髄核細胞の特性としても非常に重要であることが知られているため、低酸素条件が髄核細胞形質を維持させたことが考えられ、新たな知見を見出した。現在、転写因子の絞り込みを行なっている。
著者
藍田 隆
出版者
東海大学
雑誌
研究資料集 (ISSN:09193480)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.149-157, 1998
著者
杉本 隆成 澤本 彰三 福井 篤 岡田 喜裕 萩原 直樹 仁木 将人 郭 新宇 金子 新 郭 新宇 金子 新 田所 和明
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

駿河湾の急潮およびサクラエビの再生産環境に注目した流況と生態系の観測網を構築した。駿河湾を東西に横断するフェリーに搭載した音響ドップラー式流速鉛直プロ ファイラーADCPと、湾口および湾奥部における係留型の流速計による連続観測と、調 査船による水質およびプランクトンの隔週反復観測を中核としている。これらによって、後述するような成果が着々と得られつつある
著者
大泉 宏
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

飼育下のミナミハンドウイルカ(Tursiops aduncus) 1頭に給餌し、その後の食道胃内における消化の進行を内視鏡を用いて観察した。観察では餌の種と尾数または量を変化させて、餌の消化段階と時間経過の関係、および一定量の餌が消化されて空胃に至るまでの時間を明らかにした。また、イルカにイカの顎板を給餌し、食道胃に不消化物として滞留する顎板が吐出されるまでの時間を調べた。その結果、100gから200g程度の餌一尾は約1時間半から2時間程度で消化されること、一回の満腹量に相当する餌は12時間で完全に胃内の消化が完了すること、イカの顎板の大部分は24時間で排出されることが明らかになった。さらに餌の一部を人工消化液を用いて試験管内で消化させ、餌種による消化の進行速度の違いの検証と、イルカの胃から抽出したペプシンの活性条件をpHと温度について明らかにした。これらの結果は、イルカの食道胃における餌の消化速度を明らかにしたものである。これは、野生のイルカ類から得られる胃内容物の分析を行う際に、単位時間当たりの餌摂取量を推定する手がかりとなると期待され、自然条件下におけるイルカの餌消費量やエネルギー要求量を明らかにする上で有用と考えられる。
著者
佐藤 慎二 佐々木 則子 野木 真一
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

皮膚筋炎(Dermatomyositis: DM)に見出された抗CADM-140/MDA5抗体(抗MDA-5抗体)は,治療抵抗性で予後不良の急速進行性間質性肺炎(rapidly progressive interstitial lung disease: RP-ILD)と密接に関連することがあきらかになっている.本研究での同病態における各種サイトカインレベルの検討でIL-6がより重要な役割を果たしている可能性が示唆された.また,臨床的には抗MDA5抗体価がRP-ILDを併発したDMの短期的な予後予測や長期的な再発予測に有用である可能性が示唆された.
著者
田中 彰
出版者
東海大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1995

試魚として卵生種のヤモリザメ64個体、ニホンヤモリザメ47個体、卵黄依存型胎生種のラプカ90個体、ユメザメ31個体、ヘラツノザメ16個体、サガミザメ56個体、ヨロイザメ7個体を用いた。これらの標本は全て成熟しており、卵生種の2種は卵発達中、排卵直前、卵殻形成中、卵殻保持、卵殻産出後の各発達段階にあり、また胎生種の5種の卵発達中、排卵直前、排卵中、排卵終了、妊娠前期、妊娠後期、出産後の各段階をほぼ網羅した標本である。卵生種2種とラブカでは卵殻腺のアルブミン分泌域と卵殻分泌域の境界部分に精子が観察されたが、他の4種では同じ部位に精子は観察されなかった。また、これら4種の生殖輸管を詳細に調べ、精子の貯蔵部位を検査したが、精子は確認できなかった。卵生種2種における精子の発見率は排卵直前の段階で最も高く卵殻形成中の段階で最も低かった。これら2種はほぼ周年にわたり数週間に1回の割合で産卵を行っており、精子の貯蔵期間はある程度長いと考えられるが、その精子量の減少状態から自然界では2〜3ヶ月に1回ぐらいの割合で交尾を行っていると考えられる。卵黄依存型胎生種で唯一精子が確認できたラブカでは排卵直前と排卵中の段階の個体はすべて精子を持っており、精子量は排卵直前、卵発達中、排卵中の順で多かった。また、妊娠前期の個体の60%は精子を持っていたが、妊娠後期では35%の個体で精子を確認できた。ラプカの出生全長は約550mmであるが、全長356mmの胎仔を持つ個体でも精子が確認できたことから、精子の貯蔵期間はかなり長いと考えられた。電子顕微鏡での観察では精子と管状腺を形成する細胞との結び付きは見られなかった。繁殖様式が同じの卵黄依存型胎生種5種のうち、ツメザメ目に属する4種において排卵直前、排卵中の段階にある標本でさえ精子が確認できなかった。このことが精子を貯蔵しないことを意味しているのか今後解明する必要がある。
著者
林 真紀夫
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本研究では、挿し木(挿し芽)苗生産における、根・シュートの分化および成長促進のための環境調節法について、光合成量促進の観点から検討した。根・シュートの分化および成長には炭水化物を必要とし、そのため光合成速度を高めることが、挿し木(挿し芽)の成長促進をもたらすと予想されたからである。そこで、一般に栄養繁殖されている植物として、木本性のバラと草本性のキクを供試し、CO_2濃度の異なる条件下で挿し木(挿し芽)を生育させ、CO_2濃度が根の成長に及ぼす影響について、発根促進剤処理の有無との関係で試験した。また、光合成量に影響すると考えられる、挿し穂葉面積と根の成長の関係についても試験した。試験結果概要は以下の通りである。1.CO_2施用と根部の生育CO_2濃度の異なる試験区を設け、生育試験を行った結果では、バラおよびキクともに、挿し木(挿し芽)30日目の根部の重量は、CO_2施用区が無施用区の1.4〜2.0倍となり、CO_2施用により根の重量増加が促進されることが確認された。2.CO_2施用とシュートの生育CO_2施用は、バラおよびキクともに、シュートに対して、根部ほどではないが成長促進効果があることが認められた。3.挿し穂葉面積(小葉枚数)の影響バラを供試して、挿し穂の小葉枚数の影響をみた試験では、挿し穂小葉枚数(葉面積)が増えると、根部の成長は多少促進されるが、シュート成長はむしろ抑制されることが示された。4.発根促進剤の効果発根促進剤処理の有無とCO_2施用の有無を組み合わせた生育試験から、発根促進剤処理によって根部の成長は促進されたが、シュート成長はかなり抑制されることが示された。しかし、CO_2施用を組み合わせることによって、シュート成長の抑制は減少した。以上の結果から、根およびシュート両方の分化および成長にとって、CO_2施用が効果的な環境調節手段であると考えられた。
著者
岩田 利枝 フェルズ マルティナ フォーデン マリナス ファン デル
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要. 工学部 (ISSN:05636787)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.137-142, 1999
被引用文献数
1

In order to examine the validity of the existing glare evaluation methods, an experiment with 40 Dutch subjects was conducted using artificial sky and actual sky. First the difference in the sensitivity to glare caused by artificial sky between light colored eye and dark colored eye was examined. The variance analysis showed that there was no significant difference in the evaluation between light colored and dark colored eyes. The result was also compared with PGSV, a glare index derived from an experiment using judgements of Japanese subjects. The evaluation by the Dutch subjects was lower than PGSV in the case of lower source luminance, but it was higher in the case of higher luminance. Further study is required to identify the effect of the cultural difference on sensitivity to glare. Secondly the difference in evaluation between artificial sky and actual sky was examined. Glare sensation against the actual sky was lower than that against artificial sky and PGSV. Luminance distribution of actual sky was less uniform than that of artificial sky and the average color temperature of actual sky was higher than that of artificial sky. However, the difference in luminance distribution and color temperature between the actual sky and the artificial sky did not explain the difference in glare sensation between both skies.
著者
宮崎 誠司 佐藤 宣践 橋本 敏明 白瀬 英春 山下 泰裕 中西 英敏 上水 研一朗 恩田 哲也 中村 豊
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要. 体育学部 (ISSN:03892026)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.91-95, 2007
被引用文献数
1

A clinical evaluation using lysholm score was done about micro current electric stimulation (MENS) to the sports injury. The reduction of the pain was seen at the early stage of medial collateral ligament injury of the knee. The motor function was improved at the early stage, compared with the group that doesn't enforce MENS. In 56 days after injury, we evaluate by Lysholm score. In using MENS eight all examples were excellent (mean 97.9), on the other hand, without using MENS excellent was only one example in ten(mean93.0). The effect of MENS was thought to be the one by the injury current. There is a possibility of taking part in the electron transport system for the ATP synthesis.