著者
内田 良太
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学社会文化研究 (ISSN:1348530X)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.161-181, 2005-03-31

まず第1章で、ジロンド県執行部1793年3月5日付アレテが記録されている2種類の手稿史料に関する外層的検討を行う。次に、第2章において、アレテの前文、及び13箇条からなる条文の抄訳を提示し、その概要を整理する。それに続き、第3章では、アレテが出されるまでの歴史的な背景と補償金廃止に向けての具体的な審議内容を検討していく。最後は、全体をまとめて本稿を締めくくるが、そこでは同時に、都市指導層の政治的特質に関して本稿より指摘可能な事実は何か、このあたりを中心に述べて、次稿への展望としていきたい。
著者
皆本 景子 上田 厚 原田 幸一 魏 長年 皆本 景子 上田 厚
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

わが国では、業務上疾病として職業性皮膚障害として分類されている症例は限られていて行政による統計は存在しない。郵送による調査での症例収集は有効でなかった。職業関連アレルギーの発生の実態は、疫学的にも正確には把握されていないが、今のところ、医学雑誌で報告された症例報告の蓄積が、いまのところ確実で正確に利用できる情報源である。ドイツでは、皮膚科医と産業医が、行政の報告システムに組み込まれていて、職業性皮膚障害としての統計を基礎にした医学的根拠に基づいて、アレルギー性接触皮膚炎と刺激性接触皮膚炎ともに包括的な予防対策がとられている。ハウスミョウガ栽培者のアレルギー性接触皮膚炎の原因物質は、脂肪酸であることが示唆されたが、確定はできなかった。揮発性成分のなかでは、β-phellandereneの抗原性が高かった。接触蕁麻疹は、非免疫学的機序によるものである可能性が高い。
著者
井上 博子
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学社会文化研究 (ISSN:1348530X)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.61-78, 2012-03-26

Unter Kurrenden versteht man die vom Mittelalter bis zum frühen 19. Jahrhundert vornehmlich aus bedürftigen Knaben der unteren Klassen der Lateinschulen gebildeten Chöre. Die vorliegende Abhandlung behandelt die Entstehung der Kurrende, die Eisenacher Kurrende, den historischen Hintergrund der Kurrende, ihre Geschichte im Mittelater, in der Reformationszeit, den Gesang in der Kurrende. Der Staats- und Domchor Berlin führt teilweise die Geschichte der Kurrende fort. Gegenwärting gibt es sehr viele Knabenchöre in Deutschland. Es besteht Grund zu Annahme, dass sich der Begriff der Kurrende später mehr oder weniger auf alle mit einem öffentlichen Auftrag versehene Chöre ausdehnte, unabhängig von ihrer Zusammensetzung und näheren Zweckbestimmung.
著者
井上 博子
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学社会文化研究 (ISSN:1348530X)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.55-72, 2013-03-25

Die Kantate "Das klagende Lied" war das erste Werk Mahlers. Er schrieb das Libretto anhand der Märchen "Der singende Knochen" aus den grimmschen Kinder- und Hausmärchen und "Das klagende Lied" aus Ludwig Bechsteins Neuem deutschen Märchenbuch. Die erste Fassung vollendeter 1880. Aber nach der Fertigstellung bearbeitete Mahler das Manuskript mehrmals nach. Mahler teilte in der ersten Fassung dem "Knochen-Lied" eine Knabenstimme zu, änderte dies jedoch in der überarbeiteten Fassung in eine weibliche Stimme um. Der vorliegende Aufsatz geht der Frage nach, warurm die Knabenstimme, der in der ersten Fassung ein großes Gewicht zukam in der überarbeiteten Fassung durch eine weibliche Stimme ersetzt wurde, wie diese Veränderung zu bewerten ist, und welche musikalische Wirkung dies entfaltet. In der gegenwärtigen Aufführungspraxis wird trotz dieser durch Mahler vorgenommenen Veränderung häufig die Urfassung aufgeführt. Das Ergebnis des Vergleichs der Urfassung mit der überarbeiteten Fassung lenkt die Aufmerksamkeit auf die Notwendigkeit und die musikalische Wirkung der Knabenstimme. Mahlers Bearbeitung wirft somit erneut die Frage nach der Bedeutung der Knabenstimme auf.
著者
野々原 慎治
出版者
熊本大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2007

1.研究目的国立大学の法人化により、大学経営の効率化・社会貢献などがより強く求められるようになり、大学事務職員の役割は法人化前に比してさらに重要なものとなってきた。今回の研究では、法人化前に行った職員のワークモチベーション(以下「WM」という。)に関する研究成果を検証・発展させることを目的として、(1)法人化後の事務職員のWMの現状把握を行い、(2)法人化前に行った事務職員のWMの調査データとの比較を通して、(3)法人化が事務職員のWMに与えた影響及びこれからの事務職員のWMの向上策について、検討を行うこととした。2.研究方法まずは、(1)の現状把握を行うために、大学事務職員に対してアンケート調査を実施し、種々の分析を行った。(2)の比較については、法人化前に調査を行った機関に対して再度調査を実施することができなかったため、(1)の現状把握に用いたデータを法人化前のデータとの比較に用いることとし、法人化前に行った研究結果と比較を行った。さらに、(1)(2)の結果及び総合的な観点から(3)について考察・検討を行った。3.研究結果(1)の現状把握の結果として、WMは、課長級・副課長級(以下「課長等」という。)及び一般職員が高く、係長級・主任(以下「係長等」という。)は低かった。これらを踏まえて(2)の比較を行った結果、一般職員のWMと課長等のリーダーシップ行動は、法人化後が高かった。これらをもとに、(3)の検討を行った結果、課長等のリーダーシップ行動の向上については、新規業務の増大により業務指示機会が増えたこと、WMについては、係長等は、業務管理と日常業務を遂行しているため多忙な状況にあること、一般職員は、係長等よりも業務量が少ないことがWMに影響を及ぼしていると推察される。これらから、係長等の業務をさらに一般職員に配分し、係長等の業務負担の軽減と一般職員への職務拡大機会の提供を図ることが、双方のWMの向上に繋がるのではないかとの結論に至った。
著者
苑田 亜矢 直江 眞一
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

12世紀後半に作成された教令集や教会法学文献の写本の分析に基づいて、アングロ・ノルマン学派およびアングロ・ノルマン教会法学の形成と展開を跡づけるとともに、とくに重罪聖職者の取り扱いに関係する二重処罰禁止原則についての初期のアングロ・ノルマン学派の法理論および成立期コモン・ローの法理論に相互関係が認められることを明らかにすることができた。
著者
苑田 亜矢
出版者
熊本大学
雑誌
熊本法学 (ISSN:04528204)
巻号頁・発行日
vol.127, pp.241-289, 2013-03-21
著者
坂本 和啓
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学社会文化研究 (ISSN:1348530X)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.135-150, 2003-03-31

Dans L'Anti-CEdipe, pourquoi Deleuze et Guattari appellent des regimes socials les machines sociales? Jusqu'ici, Levi-strauss et Lacan ont trouver une essence de la societe comme structure universelle dans l'inconscience. Mais Deleuze et Guattari concluent que c'est les machines desirantes qui constituent. l'inconscience, et que les trois degres des regimes socials se forment historiquement de la maniere que les sont codes. En chaque degre, les machines desirantes sont refoules par le systeme de la representation code en chaque mode, il determine les modes de la conscience par l'el ement de la societe. En remarquant le conception du code, nous pouvons expliquer la maniere que la conscience est determinee par la societe, dans leur theorie des machines sociales.
著者
伊東 龍一 後藤 久太郎 斎藤 英俊 吉田 純一 吉野 敏武 山口 俊浩
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、江戸時代の建築図面のうち、立面および断面を描く建地割について作図技法・描法を検討し、また江戸時代の建地割の特徴を鮮明にするために中世以前の建地割も調査対象に加えて分析し、様々な技法の使用があったことを明らかにするとともに、それらの時代的変遷として、とくに平面図(指図)を附属するものはとしないもの、寸法線を記入しないものとするもの、朱線・朱文字の使用しないものとするものを指標とすることができ、これらは大凡、18世紀前期を境に前者から後者に移行することが明らかになった。これにともない図の名称も、18世紀前期を境に「地割」などから「建地割」になった。
著者
寺沢 宏明
出版者
熊本大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

細胞の遊走機構を理解する上で、主要な細胞接着分子であるCD44と細胞外マトリックスの主要成分であるヒアルロン酸(Hyaluronic acid ; HA)やコンドロイチン硫酸プロテオグリカン(PG)との相互作用を構造生物学的に解明することは重要である。本特定領域研究において、CD44のヒアルロン酸結合ドメイン(HA-binding domain ; HABD)の二次構造とHA結合部位を同定した。さらにHA結合に伴い、HA結合部位と異なる部位に構造変化が誘起されることを示した。次に、HA結合状態でのCD44 HABDの立体構造を決定した。その結果、リガンド非結合状態に比較して、CD44のC末端領域がランダム様に構造変化することを明らかにした。CD44は、低分子量HAの添加により、細胞外領域においてプロテアーゼによる切断が誘導されることが示されている。HA結合によるC末端領域のランダム様への構造変化とプロテアーゼによる切断との相関を調べるため、in vitroにおけるCD44のトリプシン分解を試みた。その結果、リガンド非結合状態に比較して、HA結合状態においてC末端領域における分解速度の亢進が見られた。さらに、HABDの立体構造に基づき、C末端領域の高次構造保持に重要と考えられるアミノ酸残基に変異を導入した。変異体のHA結合能を測定した結果、野生型と比較し、高い結合活性を有することを明らかにした。変異体はHA非存在下においてもC末端領域がランダム構造をとることがわかった。野生型において構造多型に由来する2組(major, minor)のNMRピークが検出され、minorピークのスペクトルパターンが変異体とほぼ一致することを明らかとした。以上の結果は、CD44が2状態間の平衡を有し、低分子量HAの結合に伴い、プロテアーゼ感受性が高い立体構造へと移行することを示唆する。
著者
岡部 勉
出版者
熊本大学
雑誌
文学部論叢 (ISSN:03887073)
巻号頁・発行日
vol.76, pp.55-74, 2003-03-20

人間に固有の人間的な能力というものは、大脳皮質のような特定の身体的な部位に、実現される可能性の全体が予め描き込まれているというようなものではない。例えば言語能力の基礎的な部分は、或る仕方では大脳皮質に書き込まれていると言えようが、人間の言語能力が具体的に実現されるときには、日本語とか英語を話す能力として実現される。人間の場合には、日本語とか英語のような、それ自体は文化的構築物であって、直接的に身体の延長上にあるものではないが、身体能力の或る種の拡張としての文化的構築物、そういうものが決定的な意味を持つ。以下の考察は、感情と理性の起源について想像してみることによって、人間性の起源という話が一体どのようなものになるかを素描してみようとするものである。なぜ感情と理性かというと、人間にしか生じないと思われる意思の弱さというものが、感情と理性を主役とするものであるように思われるからである。
著者
川口 恭子[解題]
出版者
熊本大学
雑誌
熊本史学 (ISSN:03868990)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.56-68, 1978-11-25

財団法人永青文庫蔵本で現在熊本大学附属図書館に寄託されている細川家古文書の中には細川家の家臣の系譜・先祖附等の記録類が多く残されている。いろは別・組別のものなど大部のものをはじめ、各家別・職別その他いろいろの事項別に作成されたものである。
著者
崎尾 昇
出版者
熊本大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2008

[目的]現在免疫不全動物の飲水における比較検討された報告は少なく、免疫不全マウスに適した飲水を見つけ出すことを目的に、ATP法を用いて比較検討を行った。〔材料および方法〕マウスは、ジャクソン研究所より入手したNOD/SCIDマウスを、当センターで繁殖し、7週齢・雄のマウスを使用した。飼料は、γ線滅菌飼料(CRF-1・オリエンタル工業)を自由摂取させ、温度22±1~2℃、人工照明12時間で通常の飼育室とは隔離された環境下で飼育を行った。マウスの飲水は、給水ビンを使用し、また飲水の種類は、滅菌水群・水道水群・塩酸を添加した酸性化水pH2群およびpH3~3.5群・塩素2~3ppm添加水群および塩素20~30ppm添加水群の6群に分けた.6種類の飲水は、給水ビンを上に向けたまま放置した時の給水ビン中ATP濃度の経日的比較、およびマウスを1匹飼育・3匹飼育・5匹飼育した群に分けた時の給水ビン中ATP濃度の経日的比較を行った。給水ビン中のATP濃度測定は、ルミテスターPD-10(キッコーマン)使用し、清浄度検査キットは、ルシパックワイド(キッコーマン)を使用した。〔結果および考察〕給水ビンを上に向けたまま放置した時の給水ビン中ATP濃度の経日的比較においては、滅菌水群・水道水群のATP濃度が上昇したのに対し、塩酸を添加した酸性化水群および塩素添加水群では、ATP濃度の上昇は、観られなかった。マウスを1匹飼育・3匹飼育・5匹飼育した群に分けた時の給水ビン中ATP濃度の経日的比較においては、滅菌水群・水道水群のATP濃度の上昇が高く、塩酸を添加した酸性化水群および塩素添加水群は、低くなる傾向があった。1日の飲水摂取量の比較において飲水の違いによる差は、認められなかった。これらの成績の結果、塩酸を添加した酸性化水および塩素添加水は、現在のところ免疫不全マウスに適していると思われる。
著者
伊藤 洋典
出版者
熊本大学
雑誌
熊本法学 (ISSN:04528204)
巻号頁・発行日
vol.124, pp.31-74, 2011-11-30

本稿では、日本社会が近代化・工業化を遂げ、社会構造のみならず価値観やライフスタイルも含めて大きな変化を経験した一九六〇年代までの、いわゆる「高度成長期」の時代にあって、さまざまな「変革」を語った政治学および政治的言説に目を向け、ここで政治を語る二つの大きなパラダイムともいうべき視点、枠組が現れたことを論じる。
著者
植田 宏
出版者
熊本大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

ダニエレ・バルバロ著『透視図法の実際』について、同時代の他技法書との比較によりバルバロの独自性を明らかにすること、およびパート4の中で描かれた舞台背景作成に関する図を図形科学的に明らかにすることを目的とした。その結果、ピエロ・デッラ・フランチェスカの図と類似図が多数みられるものの、それ以外の図も多数あることを指摘した。また、後者については、立体的な図を回転させることにより、バルバロの図の誤りを指摘した。
著者
尾上 哲治
出版者
熊本大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

宇宙空間に存在する直径1 mm以下の固体微粒子を宇宙塵とよぶ.地球に流入した宇宙塵の一部は大気圏突入時に溶融し,大気圧下で酸化鉱物を晶出する.この酸化鉱物のうち,スピネル類に含まれる鉄の化学組成を調べることにより,過去の地球大気の酸素分圧を定量的に求めることが可能であると考えられる.本研究では,過去2億5千万~1億7千万年前と32億年前のチャート層から回収した溶融宇宙塵に含まれるスピネル類の化学組成を明らかにし,さらにそこに記録された各地質時代における地球大気の酸素分圧を解読するための鉱物学的,地球化学的基礎研究を行なった.
著者
高濱 和夫 白崎 哲哉 副田 二三夫 田中 英明
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

我々はこれまでに,グリシン(Gly)受容体が排尿反射の中枢機序に関与する可能性を明らかにしてきた.本研究では,まず脳幹Gly受容体が排尿反射に如何に関与するか検討した.中脳水道中心灰白質(PAG)から、排尿期に発火が増加するI型と、逆に発火が減少するII型の2種類のニューロン活動を微小電極法により記録した。両タイプとも、ブレグマより-8000〜-8300μmの領域に多く、I型は腹側に、II型は背側に多い可能性が示された。これらを含む腹外側および背内側PAGよりニューロンを単離し、Gly誘発電流を記録した。検討した全例でGly応答が記録され、その特性は脊髄等での報告とほぼ一致した。GlyとGABAの電流比は約1であり、ニューロンの形態(錐体細胞、双極細胞、多極性細胞)に依存しなかった。無麻酔の中大脳動脈(MCA)梗塞モデルラットにおいて、膀胱容量、排尿閾値、尿流率および膀胱コンプライアンスの減少、排尿潜時の短縮と尿道抵抗の増加が、梗塞後24時間以上持続した。この時、PAGおよびLDT領域のGly受容体α_1サブユニットの発現は変化しなかった。ストリキニーネ(Str)はMCA梗塞による排尿反射障害に影響しなかった。デキストロメトルファン(DM)は梗塞24時間後の投与で膀胱容量と排尿潜時を改善した。膀胱内酢酸注入は、内側視索上核、PAG、バリントン核、腰仙髄の後角、副交感神経核など、多くの脊髄・脳幹部でFos蛋白質を増加させた。StrおよびDMはPAGやバリントン核など排尿関連核でFos蛋白質の発現を抑制した。マウスMCA梗塞モデルにおいて、クロペラスチン(CP)は尿流率の減少と尿道抵抗の増加を改善し、無排尿性収縮の発現回数を抑制した。CPは、選択的GIRK(チャネルブロッカーとは異なり、5-HT誘発シングルGIRKチャネル電流の開時間に影響せず、閉時間を延長させた。