著者
中林 紘二 松本 典久 水野 健太郎 藤本 一美 中川 佳郁 甲斐 悟
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.383-387, 2013 (Released:2013-07-16)
参考文献数
31

〔目的〕外側広筋に対する選択的な振動刺激が,膝関節伸展運動時の筋活動に及ぼす影響について明らかにすること.〔対象〕下肢に整形外科的疾患および神経学的疾患の既往のない健常男性10名(平均年齢26.8±9.2歳).〔方法〕外側広筋に対して持続的な振動刺激の負荷を与え,膝関節伸展運動時の%iEMG(外側広筋,内側広筋,大腿直筋)および膝関節伸展筋力を計測し,振動刺激前後で比較した.〔結果〕膝関節伸展運動時の外側広筋の%iEMGは,振動刺激後に低値であった.外側広筋に対する内側広筋の%iEMG比は,振動刺激後に高値であった.〔結語〕外側広筋に対して選択的な振動刺激を負荷した膝関節伸展運動は,外側広筋の筋活動を抑制することで相対的に内側広筋の筋活動を促進する.
著者
野田 拓斗 坂本 理々子 佐々木 誠
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.421-424, 2020 (Released:2020-06-20)
参考文献数
13

〔目的〕身体活動量の多さが運動耐容能の高さや運動後の心拍数の回復過程(Heart Rate Recovery:HRR)に影響するかを明らかにすること.〔対象と方法〕健常学生18名を対象に身体活動測定器を着用させ,身体活動指標として運動量,歩数を求めた.また,運動負荷試験を実施し,最高酸素摂取量(peakVO2/kg),運動終了後5分まで1分ごとに心拍数の回復値を測定し,運動量,歩数との相関関係の検討を行った.〔結果〕身体活動指標とpeakVO2/kgとの間に相関関係はなかった.運動量とHRRの間には相関関係がなかったが,歩数とHRRとの間には相関関係があった.〔結語〕身体活動量は運動耐容能と関連しないこと,身体活動指標のうち,運動強度を反映する運動量はHRRと関係しないが,運動強度を反映しない歩数がHRRの早さに寄与していることが示唆された.
著者
及川 真人 久保 晃
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.843-846, 2015 (Released:2016-01-09)
参考文献数
14
被引用文献数
4 2

〔目的〕地域在住脳卒中片麻痺者の屋外活動可否を決定する要因を明らかにすることとした.〔対象〕発症後180日以上経過し,当院に通院している60歳以上の脳卒中片麻痺者65名とした.〔方法〕Life-space Assessment(LSA)から最大自立活動範囲が寝室・屋内の者を屋内活動群,それ以上の者を屋外活動群の2群に分類し,10 m歩行時間(10 m歩行),6分間歩行(6MD),30秒立ち上がりテスト(CS-30)の群間比較を行った.また,有意差が認められた変数について,カットオフ値を算出した.〔結果〕10 m歩行,6MD,CS-30について有意差が認められた.それぞれのカットオフ値は10 m歩行が22.9秒,6MDが112 m,CS-30が5.5回であった.〔結語〕10 m歩行,6MD,CS-30から屋外活動の可否が検討できることが示唆された.
著者
岩坂 憂児
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.63-66, 2020

<p>〔目的〕運動観察時の身体部位の空間的一致度は運動イメージを向上させるかを調べるために本研究を実施した.〔対象と方法〕右利きの健常成人24名(男性15名,女性9名,21.3 ± 4歳)を対象とし,PCでランダムに3群(近位観察群:AON群・遠位観察群:AOF群・対照群)に振り分けた.課題は手の心的回転課題(HMRT)とし,反応時間を測定した.はじめにHMRTを行わせ,各群に対し異なった条件で運動観察を行わせた.運動観察後にHMRTを実施した.〔結果〕観察前では3群で反応時間に有意差はみられなかったが,観察後の結果ではAON群はAOF群・対照群よりも有意に反応時間が早かった.〔結語〕運動観察中の身体位置は運動イメージ能力に影響を与える可能性が考えられた.</p>
著者
木野田 典保
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.97-104, 2008 (Released:2008-04-05)
参考文献数
19
被引用文献数
2 2

本研究の目的は脳卒中片麻痺例において,どのようなボディイメージがみられるかを確認することである。脳卒中片麻痺7例に対し半構造化面接を実施し,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した。得られたインタビューデータより定義付け,概念化を試みると「身体の不明瞭な感覚」,「感じられる異常感覚」,「動作の拠りどころとなる感覚」,「動作上達の要件」という4項目があがった。また,生成した概念とカテゴリーの関係を検討して結果図を作成し,分析における全体像を表した。結果,脳卒中片麻痺例にみられるボディイメージの障害構造の一端を表している可能性を示唆した。今後,ボディイメージに関する評価を確立する上でも質的研究が大きな役割を果たすものと期待される。
著者
高石 翔
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.565-570, 2020 (Released:2020-08-20)
参考文献数
22

〔目的〕前十字靭帯(ACL)再建術後症例を関節可動域運動群,メンタルローテーション課題群,認知運動課題群の3群に分け,非盲検化準ランダム化比較試験により位置覚改善効果を比較した.〔対象と方法〕2015年5月から2018年7月の間にACL再建目的で入院した患者のうち,ACL再断裂例,対側ACL再建例,膝蓋骨脱臼例を除外した者を対象とし,術前および術後3週・4週での位置覚を比較した.介入課題は当院のリハビリテーションプロトコールに追加し,時間は各群とも1日15分とした.〔結果〕認知運動課題群のみ術後の位置覚に有意な改善を認めた.〔結語〕認知運動課題により術前と比べて術後3~4週間で位置覚が改善する可能性がある.
著者
貞清 香織 佐々木 拓良 杉田 裕汰 前田 聖也 遊佐 彩野 渡邉 真奈 貞清 秀成 石坂 正大 久保 晃
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.151-154, 2018 (Released:2018-03-01)
参考文献数
18
被引用文献数
3

〔目的〕家庭用身体組成計の臨床利用の可能性を検討するため従来使用されている生体インピーダンス法の身体組成計と比較した.〔対象と方法〕健常若年男性108名,女性83名とした.異なるBIA法の身体組成計で身体組成を計測し,各機器で体重,BMI,体脂肪率,全筋肉量,四肢・体幹筋肉量を測定した.統計解析は,男女別に測定値および算出値を比較し,Pearsonの相関係数を求めた.〔結果〕男性は体重,BMI,全筋肉量,左右脚・体幹筋肉量,除脂肪量,SMI,FFMIに差がみられ,女性は,体重,BMI,体脂肪率,左右脚・体幹筋肉量,脂肪量,FMIにおいて差がみられ,全項目で極めて強い相関がみられた.〔結語〕機器により測定値に違いはあるが臨床で利用可能であると考える.
著者
白土 大成 橋本 幸成 濱田 則雄 永利 聡仁 吉田 大輔
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.257-261, 2020 (Released:2020-04-20)
参考文献数
20

〔目的〕急性期脳梗塞患者を対象とし,発症時の大腰筋面積が転帰に与える影響について検討した.〔対象と方法〕対象は脳梗塞発症後3日以内に入院した46例とし,退院時の転帰より自宅退院群(14例)と転院群(32例)に分類した.入院時の腹部computed tomography(CT)にて大腰筋からpsoas muscle mass index(PMI)を算出するとともに診療録より検討因子を後方視的に調査し,2群間にて比較検討した.また,多変量解析より転帰に影響する因子を抽出した.〔結果〕自宅退院の可否と関連を認めたのは,PMI,入院時National Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS),入院前modified Rankin Scale(mRS),高次脳機能障害の有無であり,多変量解析ではPMI,入院時NIHSS,入院前mRSが選択された.〔結語〕脳梗塞発症時のPMIは,自宅退院の可否に関連しており,発症後早期からの転帰予測に有用な評価指標である可能性が示唆された.
著者
古川 公宣 下野 俊哉
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.753-757, 2019 (Released:2019-12-21)
参考文献数
24

〔目的〕内側広筋斜頭と外側広筋の筋活動比(VMO/VL比)が測定条件や算出時の標準化の有無によりどのように変動するかを調査し,過去の知見と照合すること.〔対象と方法〕健常成人11名を対象とした.異なる3つの角速度の膝関節等速性伸展運動中の内側広筋斜頭と外側広筋の筋活動電位からVMO/VL比を算出した.VMO/VL比は,膝関節最大等尺性伸展運動中の筋活動電位での標準化の有無の2種類を求め,比較検討した.〔結果〕標準化の有無ではVMO/VL比は標準化ありの値が小さく,被験者間変動も小さかった.〔結語〕VMO/VL比は,値の大きさよりは介入前後の変化を重要視することが望ましいと考えられ,被験者間比較を行う際には標準化を行うことが必須であることも示唆された.
著者
岡村 正嗣 森 一樹 志水 泰夫 内田 真樹 吉本 和徳 相良 亜木子 里 輝幸 中村 健
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.745-748, 2017 (Released:2017-10-23)
参考文献数
9

〔はじめに〕理学療法士が京都府DMAT(災害派遣医療チーム)に業務調整員の役割で参加した.DMATにおける理学療法士の支援活動の可能性について報告する.〔経過〕2015年に理学療法士が京都府DMAT養成研修会に参加し,隊員として登録された.同年,当院において大規模災害対応訓練を実施した.研修や訓練では,傷病者の情報を業務調整員がDMAT・災害対策本部・消防に伝達し,治療や医療搬送等が行われる場面を多く経験した.医学的知識を有した理学療法士が業務調整員を行うことにより,多職種間でのさらなる深い連携が可能であった.〔考察〕理学療法士は,重症患者の診療に関わる機会を有し,災害時に速やかに適切な対応を実施する能力があり,DMATに参画することが可能であると考えられた.
著者
北地 雄 鈴木 淳志 原島 宏明 宮野 佐年
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.995-1000, 2014 (Released:2015-01-21)
参考文献数
40
被引用文献数
1

〔目的〕リハビリテーションの阻害因子である脳卒中後の抑うつとアパシーに関連する因子を抽出し,より円滑で効果的なリハを提供する一助を得ること.〔対象〕亜急性期脳卒中者23名.〔方法〕抑うつとアパシーをそれぞれCES-Dとやる気スコアを用い評価した.身体機能面,心理・精神的側面,社会的側面,およびQOLとの関連は相関分析と回帰分析を用いた.〔結果〕抑うつ症状,アパシーともに約35%に認められた.どちらも心理・精神的側面およびQOLと関連した一方で,アパシーのみが身体機能面,社会的側面と関連した.回帰分析から,抑うつには心理・精神的側面,アパシーには年齢が強く影響することが示された.〔結語〕高齢であり,心理・精神的変調が示唆される脳卒中者のリハの進行には,特に配慮を要することが示唆された.
著者
平野 博文 山本 澄子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.335-339, 2020 (Released:2020-06-20)
参考文献数
10
被引用文献数
1

〔目的〕座位上肢リーチ動作の際の重心移動・殿部~下肢の床反力や胸郭~骨盤角度を運動学・運動力学的に分析し,その特性を明確にすることである.〔対象と方法〕若年健常者20名とした.座位姿勢で前方方向へ右手を伸ばす課題を行った.開始姿勢から目的物把持姿勢までの重心位置・床反力上下成分・体幹角度や骨盤角度の変化量を計測した.〔結果〕目的物の方向へ重心移動を行っていたが,床反力は非リーチ側の殿部へ留めて動作を行うことがわかった.角度の変化量では胸郭角度は,前傾・右側方傾斜・左回旋,骨盤角度は,前屈・右側方傾斜・左回旋,骨盤胸郭相対角度は前傾・右側方傾斜・左回旋とほとんどが共通した結果となった.〔結語〕健常者の前方リーチ動作は,非リーチ側殿部の床反力変化量を残存させながらそれらを基盤とし,動作戦略が図られることが示唆された.
著者
吉岡 芳泰 谷埜 予士次 鈴木 俊明
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.555-559, 2014 (Released:2014-09-25)
参考文献数
19

〔目的〕膝伸展直後に最大努力で膝屈曲を行わせ,その際のハムストリングスの筋活動と膝屈曲トルクについて検討した.〔対象〕健常男子学生9名とした.〔方法〕角速度60°/secで,膝屈曲30°から80°までの膝屈曲を対象者の最大努力で行なわせ,その直前に収縮様態と強度,および角速度を変化させた膝伸展課題を行った.〔結果〕各膝伸展課題直後の筋電図の平均振幅値は内側ハムストリングスで有意に減少し,腓腹筋は有意に増加した.また,膝屈曲ピークトルクに有意差はないが,その発揮角度は有意に低値となった.〔結語〕ハムストリングスの筋収縮を促したい場合は,膝屈曲のみを行った方が良いということが示された.
著者
加嶋 憲作 山﨑 裕司 河邑 貢 津田 泰路 大菊 覚 峯田 拓也 馬渕 勝 篠原 勉
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.509-512, 2015 (Released:2015-09-03)
参考文献数
12
被引用文献数
1 2

〔目的〕下肢荷重率および片脚立位時間と独歩自立との関係を検討すること.〔対象〕65歳以上の高齢入院患者241名とした.〔方法〕下肢荷重率を4群,片脚立位時間を5群に区分し,それぞれの群毎に独歩自立例の割合を算出した.〔結果〕下肢荷重率が高い群,片脚立位時間が長い群において独歩自立例は多かった.下肢荷重率90%以上群では全例が独歩自立し,70%未満の群では全例が非自立であった.一方,片脚立位保持が困難な症例でも独歩自立例が存在した.片脚立位保持が困難でありながら独歩が自立していた者は,独歩非自立例に比べて有意に下肢荷重率が高値であった.〔結語〕片脚立位時間よりも下肢荷重率が独歩の可否をより正確に判別できると考えられた.
著者
和田 善行 池上 聡子 石川 定 降矢 芳子 川平 和美
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.569-574, 2019 (Released:2019-10-28)
参考文献数
16
被引用文献数
2

〔目的〕促通反復療法(Repetitive Facilitative Exercise:RFE)の痙縮減弱効果を検討すること.〔対象と方法〕慢性期脳卒中片麻痺患者30名に対して促通反復療法を中核とする治療(50回ずつ3セット,ADL練習,他:計100分)を週7回の頻度で4週間実施した.痙縮の評価にmodified Ashworth scaleを用い,麻痺肢の15関節運動について初回のRFEの前後,翌日のRFE前,4週間のRFE終了日のRFE前に実施し,RFEの痙縮減弱効果を検討した.〔結果〕RFEの痙縮減弱効果は即時効果と4週間の蓄積効果の全ての関節運動において有意であった.〔結語〕RFEは多くの痙縮筋への痙縮減弱の効果を有する.
著者
渡部 潤一 白石 麻貴 田内 秀樹 鴻上 繁
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.743-746, 2011 (Released:2012-02-04)
参考文献数
14
被引用文献数
1

〔目的〕健常者において,片麻痺姿勢を擬似的に作り,前方リーチ距離,座位から立位への動作の後,立位バランスにどう影響を及ぼすのか検証した.〔対象〕健常者な男女28名である.〔方法〕座位姿勢は自然条件と脳卒塞条件の2種類実施し,前方リーチ距離と閉眼片脚立位時間を比較検討した.〔結果〕前方リーチ距離,閉眼片脚立位時間ともに自然条件において有意に高値を示していた(p<0.01).〔結語〕片麻痺姿勢をシミュレーションすることで座位バランス,動作後の立位バランスが自然条件より低下するということが示唆された.すなわち,理学療法実施時に姿勢を修正して座位練習を行う重要性が伺われ,立ち上がりや移乗動作を行うにあたり良肢位に誘導することで,より良い動作を獲得できる可能性があることが示唆された.
著者
福尾 実人 田中 聡 大田尾 浩
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.793-797, 2014 (Released:2014-10-30)
参考文献数
22
被引用文献数
1

〔目的〕本研究は,地域在住高齢者の階段昇降動作が運動機能と活動量・心身機能に影響を及ぼす因子を検討した.〔対象〕65歳以上の地域在住高齢者37名とした.〔方法〕対象者を階段昇降自立群と階段昇降非自立群に分け,運動機能と活動量・心身機能を測定し,比較検討した.〔結果〕階段昇降非自立群では階段昇降自立群と比べ,life-space assessment(LSA),fall efficacy scale(FES),握力,連続歩行距離,主観的健康感,過去1年間の転倒経験の有無が有意に低い値を示した.〔結語〕本研究結果から階段昇降動作の評価は,高齢者の要支援・要介護への早期発見および予防につながる可能性があることが示唆された.
著者
齋藤 孝義 丸山 仁司 菅沼 一男 鈴木 知也
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.389-392, 2014 (Released:2014-07-03)
参考文献数
18
被引用文献数
1

〔目的〕考案した「座位での連続底背屈運動テスト」の測定値の再現性を検討することとした.〔対象〕65歳以上の高齢者の検者内再現性は16名(男性1名,女性15名),検者間再現性は14名(男性2名,女性12名)とした.〔方法〕検者内再現性の測定は1名の検者が2日間以上の間隔をあけて2日間行い,検者間再現性の測定は1名の被検者に対し,2名の検者がそれぞれ2回の測定を行った.検者内再現性および検者間再現性の評価は級内相関係数のそれぞれ,ICC(1,1)およびICC(2,1)により行った.〔結果〕検者内再現性の級内相関係数ICC(1,1)は,0.915,検者間再現性ICC(2,1)は0.932であった.〔結語〕再現性は良好であり,簡便かつ安全に実施でき,臨床の現場でも有用であると考えられる.
著者
齋藤 孝義 丸山 仁司 菅沼 一男 鈴木 知也 佐野 徳雄 岩瀬 洋樹
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.805-808, 2014 (Released:2014-10-30)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

〔目的〕本研究は,座位での連続底背屈運動テストを転倒予測として用いることができるのか検証することを目的とした.〔対象〕対象者は65歳以上の高齢者50名とした.〔方法〕転倒群と非転倒群に分け,連続底背屈テスト,timed up & go test,functional reach test,5 m全力歩行テスト,立位つま先テストを評価した.その後,転倒と関係についてロジスティック回帰分析を用いて検討した. 〔結果〕2群間で全ての運動機能に差が認められた.ロジスティック回帰分析の結果,転倒の有無に影響する変数として底背屈テスト,立位テストが選択された.〔結語〕連続底背屈テストは座位で行なうことができ,安全,簡便に理学療法士以外でも実施できる転倒予測指標として有益であると考えた.
著者
秋山 純和
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.69-73, 2005 (Released:2005-06-30)
参考文献数
9

理学療法を行う際に留意すべき臨床検査値と薬物療法の副作用について解説した。細胞成分では,赤血球数,ヘマトクリット値,ヘモグロビン,白血球数,血小板数,血漿成分と血清成分では,尿酸,尿素窒素,クレアチニン,血清蛋白総量,A/G比,総コレステロール,遊離脂肪酸,中性脂肪,血糖値,血清酵素,電解質,抗原,抗体について理学療法時の注意を述べた。各種薬剤における副作用では,抗癌剤,副腎皮質ステロイド剤,糖尿病治療薬,強心薬,β遮断薬,抗不整脈剤,降圧剤,利尿剤,気管支拡張薬,睡眠薬,抗不安剤,麻酔剤,鎮痛剤について理学療法に関係すると考えられる症状を述べた。薬物療法の作用時間では,理学療法評価が不正確になったり,運動療法との相乗効果により重大な副作用につながる可能性があるので注意が必要である。