著者
若菜 翔哉 北村 拓也 神田 賢 佐藤 成登志
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.245-249, 2020 (Released:2020-04-20)
参考文献数
35

〔目的〕健常な若年女性と高齢者女性を対象に,超音波画像診断装置により体幹筋と大腰筋の筋厚と筋輝度を比較し,量的および質的変化を明らかにすること.〔対象と方法〕対象は若年女性20名(若年群)と高齢者女性20名(高齢群)とした.対象とした筋は外腹斜筋,内腹斜筋,腹横筋,腰部多裂筋,大腰筋とし,それぞれの筋厚と筋輝度を測定した.〔結果〕筋厚は,高齢群が外腹斜筋,内腹斜筋,大腰筋において若年群より有意に低値だったが,腹横筋と腰部多裂筋では有意差を認めなかった.筋輝度は,高齢群が外腹斜筋,内腹斜筋,腹横筋,腰部多裂筋,大腰筋で若年群より有意に高値を示した.〔結語〕高齢群の外腹斜筋,内腹斜筋,大腰筋で量的および質的低下が生じており,腹横筋,腰部多裂筋では質的低下のみ生じる可能性が示唆された.
著者
井上 純爾 澳 昂佑 森 拓也 田中 貴広 加藤 丈博 中野 英樹 松木 明好 木村 大輔 川原 勲
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.265-270, 2019 (Released:2019-04-26)
参考文献数
20

〔目的〕中殿筋の電気力学的遅延(EMD)を改善させる介入が Duchenne徴候に及ぼす効果について検証すること.〔対象〕寛骨臼回転骨切り術後9ヵ月経過した40歳代女性.本症例は患側の股関節外転筋力が徒手筋力検査にて4以上あるにもかかわらず歩行時にDuchenne徴候を呈していた.さらに患側中殿筋のEMDが健側と比較して延長していた.〔介入〕最大等尺性収縮運動を複数回実施させ,介入期間は5日間とした.〔結果〕介入後,患側中殿筋のEMD,立ち上がり速度,中間周波数が改善し,それに伴い歩行時の骨盤傾斜角および体幹傾斜角に改善を認めた.〔結語〕Duchenne徴候を呈する変形性股関節症術後患者に対して,等尺性収縮運動が中殿筋のEMDを改善させ,中殿筋のEMD改善と骨盤傾斜角の減少に関連を認めた.
著者
小栢 進也 池添 冬芽 坪山 直生 市橋 則明
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.81-85, 2009 (Released:2009-04-01)
参考文献数
20
被引用文献数
7 5

〔目的〕若年者と高齢者を対象に不安定板および安定した支持面上での立位姿勢制御能力を比較した。〔対象〕若年者14名と施設入所高齢者10名を対象とした。〔方法〕不安定板上で20秒間立位を保持させた時の前後角度変動域,総角度変動,前後変位を測定した。前後角度変動域は角度変動の大きさ,総角度変動は変動した角度の総量,前後変位は平均的な傾斜角度を表す。また重心動揺計を用いて静止立位時の重心動揺面積,総軌跡長,前後方向中心変位および前後随意重心移動距離を計測した。〔結果〕若年者は総角度変動および前後随意重心移動距離のみ高齢者よりも有意に高い値を認めた。〔結語〕高齢者は不安定板の傾斜調整や最大重心移動のような随意的な姿勢制御能力が低下することが示唆された。
著者
LEE SANGYEOL HAN JINTAE PARK MINCHULL LEE MYOUNGHEE SHIM JEMYUNG
出版者
理学療法科学学会
雑誌
Journal of physical therapy science (ISSN:09155287)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.111-113, 2011-02-28
参考文献数
9
被引用文献数
1 3

. [Purpose] The purpose of this study was to analyze the activation of the muscles around the shoulder in relation to the cervical flexion and extension during the push-up plus exercise in order to provide the fundamental data to establish the posture that can maximize the effect of the shoulder stabilizer exercise. [Subjects] The subjects of the experiment were 18 healthy people, male adults in their age of twenties with normal ROM and without musculoskeletal disease at the shoulder complex and upper limb. [Methods] Muscular activity of the shoulder stabilizer muscles in cervical flexion and extension and the neutral position were measured by electromyogramphy (EMG). [Results] The muscle activations among the cervical positions were compared and the results showed that there were a significant differences for the serratus anterior muscle, sternocleidomastoid muscle, cervical paraspinalis muscle and pectoralis major muscle. [Conclusion] These results show that different shoulder stabilizers are activated during the push-up plus exercise depending on not only the location of the neck but also the internal or external rotation and abduction/adduction angle of the shoulder joint, suggesting that establishment of an accurate position for the strengthening of each muscle is necessary.<br>
著者
北地 雄 原島 宏明 宮野 佐年
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.95-99, 2013 (Released:2013-04-11)
参考文献数
15
被引用文献数
1

〔目的〕Functional Balance Scale(以下,FBS)の構成要素を明らかにすること.〔対象〕脳血管疾患後の片麻痺者59名.〔方法〕FBSの評価値に対して因子分析をおこない,分類された因子ごとにその妥当性を検討した.〔結果〕FBSは動的バランス,静的バランス,および粗大下肢筋力に分類され,これらの構成要素には身体機能や動作能力との関連性が認められた.〔結語〕FBSの従来の有用性を保ちつつ,今回の分類を用いることで,さらに詳細な評価が可能となることが示唆される.
著者
三谷 保弘
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.6, pp.665-670, 2012 (Released:2013-01-30)
参考文献数
29
被引用文献数
1

〔目的〕下肢アライメントの性差について調査し,男女における傷害発生の特徴との関連性について考察した.〔対象〕健常な男子大学生25名(50脚)と女子大学生25名(50脚)とした.〔方法〕下肢アライメントとしてQ-angle,leg heel angle,アーチ高率を測定した.また,距骨下関節の回内および回外可動域,膝関節の伸展可動域を測定した.〔結果〕Q-angle,距骨下関節の回内および回外可動域,膝関節伸展可動域は,男性に比べて女性で有意に大きかった.その他の項目には,男女に有意差は認められなかった.〔結語〕下肢アライメントおよび関節可動域の性差が男女における傷害発生の特徴に影響を及ぼしている可能性が考えられたが,これらの関係性を十分に明らかにするためにはさらなる検討が必要である.
著者
福島 浩史 高橋 精一郎 宮原 寿明
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.245-249, 2010 (Released:2010-05-27)
参考文献数
18
被引用文献数
4 1

〔目的〕人工膝関節置換術後の自動介助練習と他動練習の練習方法の違いが膝関節可動性と疼痛に及ぼす影響を評価すること。〔対象〕人工膝関節の機種,術者,術式が同一の関節リウマチ患者34名。〔方法〕被検者を無作為に自動介助群17名と他動群17名に分けて理学療法を提供した。理学療法の時間・回数・量は統一した。測定項目は他動屈曲角度,他動伸展角度,120度獲得日数,CPM日数,練習時疼痛とし,各々の群間あるいは群内比較を行った。〔結果〕群間比較は他動屈曲角度,120度獲得日数,CPM日数,練習時疼痛で有意差が認められた。群内比較は他動屈曲角度,他動伸展角度で有意差が認められた。全測定項目で自動介助群では他動群と比べて良好な改善傾向がみられた。〔結語〕自動介助練習は膝関節の可動性改善と練習時疼痛の軽減により効果的であるが,適用者には理学療法士の十分な説明と指導が必要である。可動域の改善と疼痛軽減が効果的に得られる練習方法と各々の練習方法については科学的根拠に裏づけされる必要がある。
著者
平井 茜 青木 修 伴 由衣菜 佐久間 香 向井 公一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.155-159, 2015 (Released:2015-06-24)
参考文献数
10

〔目的〕本研究の目的は,立脚初期における裸足歩行とハイヒール歩行の膝関節屈曲角度の違いを検討し,そのメカニズムを明らかにすることとした.〔対象〕被験者は,健常若年女性15名(平均年齢:19.8±0.7歳)とした.〔方法〕光学式三次元動作解析装置,床反力計,および表面筋電図を使用し,裸足およびハイヒール着用時の歩行を比較した.〔結果〕ハイヒール歩行では裸足歩行よりも膝関節屈曲角度が有意に大きく,大腿の起き上がり角度が有意に小さかった.しかし,下腿角度には有意差はなかった.〔結語〕ハイヒール歩行の立脚初期における膝関節屈曲角度の増大は,大腿部の起き上がりの不十分さによるものと考えられた.
著者
板倉 尚子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.363-367, 2008 (Released:2008-07-28)
参考文献数
4

スポーツを行う場面では「コンディショニング」という言葉を使うことが多いが,その定義は数多くある。慢性外傷や後遺症,疲労などにより十分に競技能力を発揮できない競技者の運動能力回復を目的に行われるコンディショニングをリコンディショニング(reconditioning)といいコンディショニングと区別することがある。リコンディショニングには医学的知識に基づいた評価と治療技術が求められ,理学療法士がスポーツ現場に関わる場合,リコンディショニングを担当する機会が多い。しかし理学療法士が常駐してスポーツ現場に関わる環境は限られており,競技者自身が自らの体調を敏感に感じ,self check,self choose,self careを実践できる能力を養うことが必要である。
著者
宮地 司 羽田 圭宏 河村 顕治
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.17-21, 2020 (Released:2020-02-28)
参考文献数
15

〔目的〕異なる関節角速度での筋力と姿勢制御の関係性を明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕健常成人男性70名を対象に,0,60,90,120,180,240,300 deg/secでの関節角速度における膝関節伸展筋力および筋パワーを測定し,片脚ドロップジャンプ着地時の緩衝係数や足圧中心(COP)軌跡長との関係性を検討した.〔結果〕関節角速度の増加に伴い発揮される筋力は有意に減少し,筋パワーは有意に増加した.また,90 deg/sec以上での筋力および筋パワーと緩衝係数やCOP軌跡長の間に負の相関関係を認めた.〔結語〕臨床での筋力測定は等尺性もしくは低速で行われているが,瞬時の姿勢制御には中速以上での筋力の重要性が示され,筋パワーが指標となることが解明された.
著者
中村 壮大 勝平 純司 村木 孝行 松平 浩 黒澤 和生
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.547-550, 2016 (Released:2016-08-31)
参考文献数
19
被引用文献数
1 2

〔目的〕本研究は,三次元動作分析装置を用いて,肩関節の外転運動における若年者と高齢者の肩甲上腕リズムを比較し,加齢による影響を明らかにすることである.〔対象と方法〕若年男性21名と高齢男性17名を対象とした.課題動作は,肩関節外転運動とし,三次元動作分析装置を用いて肩甲上腕リズムを分析した.〔結果〕肩関節外転運動における上腕骨と肩甲骨の関係性である肩甲上腕リズムは,若年者では3.5:1の割合となった.次に高齢者における肩甲上腕リズムは4.4:1の割合となった.〔結語〕本研究より,加齢に伴い肩甲上腕リズムが異なることが明らかとなった.本研究で得られた結果は,理学療法分野における重要な知見となる.
著者
水野 智仁 山中悠紀 佐藤 剛介 上田 絵美 松尾 真輔
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.71-75, 2013 (Released:2013-04-11)
参考文献数
13

〔目的〕先行肢をつく位置と高さの違いが側方移乗動作に与える影響を調査する.〔対象〕日常的に側方移乗を行っている脊髄損傷者3名(男性2名,女性1名)とした.〔方法〕先行肢をつく位置が着座面の側方・斜前方,高さが着座面と同じ・10 cm上・20 cm上の6課題で側方移乗動作を実施させ,デジタルビデオカメラ画像から臀床距離と移乗動作に要した時間を算出し,反復測定two-way ANOVAで先行肢の位置と高さの影響を調査した.〔結果〕先行肢をつく位置に有意な効果を認めたが,高さによる有意な効果や交互作用は認められなかった.〔結語〕先行肢をつく位置を考慮した側方移乗動作の指導が有益である可能性が示唆された.
著者
望月 久 金子 誠喜
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.205-213, 2009 (Released:2009-05-28)
参考文献数
17
被引用文献数
10 2

[目的]パフォーマンスに基づく臨床的なバランス能力評価指標開発のための実施したアンケート調査の結果を報告する。[対象]バランスに関する研究報告がある理学療法士23名より回答を得た。[方法]郵送法にてアンケート調査を実施した。質問項目はバランスの定義,バランス能力測定の枠組み,臨床的なバランス能力測定法に必要な条件,バランス能力測定の現状などとした。[結果]バランスの定義やバランス能力測定の枠組みは理学療法士間での意見の違いがあった。臨床的なバランス能力評価指標としては,測定時間の短いこと,結果の客観性,結果の臨床的意味などが重視されていた。また,現在使用されている評価指標についても,測定の簡便性や結果の臨床的な有用性など,実用性の面では種々の問題があることが確認できた。[結語]今回の結果を参考に,より実用的な臨床的バランス能力評価指標を考案したいと考えている。
著者
千葉 直美 半澤 宏美 佐々木 誠
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.43-48, 2004 (Released:2004-04-08)
参考文献数
13

異なる肩関節屈曲角度での上肢クローズドキネティックチェイン(CKC)運動時筋力を測定し,運動方向による差異を比較するとともに,基本動作との関連を検討した。対象は若年健常女性14名(19.1±1.2歳)である。方法として,まず肩関節屈曲0°,30°,60°,90°方向への上肢CKCでの伸展運動時等速性筋力を,60,180,300 deg/secの運動速度で測定した。また,車椅子10 m駆動時間,30秒間に反復可能なプッシュアップ回数,T字杖免荷率の3項目を測定した。各肩関節屈曲角度における上肢CKC運動時のPeak Torque/Body Weightは,全ての運動速度において差異を認めなかった。筋力と基本動作との関係について,Peak Torque/Body Weightは,プッシュアップ回数との間に相関が示されなかったが,300 deg/secではいずれの運動方向においても車椅子10 m駆動時間との間に負の相関関係,60 deg/secにおける全ての運動方向でT字杖免荷率との間に関連があることが示唆された。また,T字杖免荷率と低角速度での肩関節屈曲30°方向におけるPeak Torque/Body Weightとの間の相関関係は統計学的に有意であった。以上より,異なる肩関節屈曲角度における上肢CKC運動時筋力は,運動方向によって関与する筋の種類や活動動員比率が異なると推察されるものの,運動方向特異性は示されなかった。また,車椅子10 m駆動時間は,CKC運動時筋力の角速度特異性が反映される一方で,運動方向の相違には影響されず,T字杖免荷率は,筋力の角速度特異性ならびに運動方向特異性に影響されることが示唆された。
著者
瀧口 述弘 庄本 康治
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.343-348, 2017 (Released:2017-05-02)
参考文献数
29
被引用文献数
2 1

〔目的〕大腿骨近位部骨折術後2症例に対して,経皮的電気刺激(TENS)を患側肢に実施する患側TENSと両側肢に実施する両側TENSの効果を評価すること.〔対象と方法〕症例1は大腿骨転子部骨折固定術後症例,症例2は大腿骨頚部骨折固定術後症例であった.症例1は,術後1~3日目に30分間の患側,両側TENSを実施し,症例2は,術後1日目には1時間患側TENSのみ実施し,2,3日目は1時間の患側,両側TENSを実施した.アウトカムは運動時のNRSを測定した.〔結果〕2症例とも患側,両側TENS後のNRSが低下し,症例2では患側TENSと比べ両側TENSの方が1低下した.〔結語〕患側,両側TENSともにNRSが低下したが,今後はプラセボなども実施し,患側,両側TENSの効果を明らかにする必要がある.
著者
塩田 琴美 細田 昌孝 高梨 晃 松田 雅弘 宮島 恵樹 相澤 純也 池田 誠
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.817-821, 2008 (Released:2009-01-28)
参考文献数
21
被引用文献数
3 3

[目的]本研究は,静的・動的なバランス能力と筋力の相関性および静的・動的バランステストの特異性について,検討することを目的として行った。[対象]対象者は21名(21-82歳)であった。方法:はじめに,静的バランス能力として,開眼および閉眼での30秒間の静止立位での重心動揺面積を測定した。次に,動的バランス能力として,Equi-testを用いてAdaptation testを施行した。更に,筋力テストとして,膝関節伸展筋力,足関節底屈および背屈筋力を測定し,静的・動的バランス能力との相関関係を明らかにした。[結果]今回の研究結果から,静止立位での重心動揺面積と筋力には相関は認められなかった。一方で,動的バランス能力と筋力においては,有意な相関関係が認められた(p<0.05)。[結語]これらの結果より,静止立位で重心動揺面積などを単に測定することは,姿勢定位のみに対する評価であり,対象者の動作課題に対する身体能力を反映しえないと考えられた。しかしながら,動的バランス能力の測定は,下肢筋力などと相関が高く,日常生活に即した有用な姿勢制御の安定性の評価となりえると考えられた。
著者
財前 知典 小関 博久 小関 泰一 小谷 貴子 田中 亮 平山 哲郎 多米 一矢 川崎 智子 清川 一樹 川間 健之介
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.615-619, 2010 (Released:2010-09-25)
参考文献数
13
被引用文献数
3 2

〔目的〕本研究は,入谷式足底板における長パッドが歩行および筋力に与える影響について,歩行時の骨盤加速度,大腿部筋活動,荷重応答期の時間的変化及び,静止時股関節内外転筋力変化を計測することにより明確にすることが目的である。〔対象〕健常成人男性15名(平均年齢25.1±3.2歳)を対象とした。〔方法〕表面筋電図,加速度計,Foot Switch,およびHand Held Dynamometerを用いて,歩行時大腿部筋活動,前額面上における加速度,並びに荷重応答期時間変化,股関節内外転筋力変化を自由歩行と長パッド貼付後で測定し,得られた測定値を対応のあるt検定を用いて分析した。〔結果〕長パッド貼付により,荷重応答期は早期に生じ,内側加速度の増大がみられ,立脚期初期における大腿二頭筋の活動減少,大腿直筋および大殿筋の活動増大,立脚期後半において長内転筋活動減少がみられた。また,長パッド貼付側の股関節外転筋筋力は増大した。〔結語〕長パッド貼付は,内側加速度及び歩行時大腿部筋活動を変化させ,股関節外転筋筋力を増大させる可能性が示された。
著者
正保 哲 柿崎 藤泰
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.881-884, 2014 (Released:2015-01-21)
参考文献数
17
被引用文献数
7 6

〔目的〕胸郭拡張差と胸郭の部位別体積変化との関連性を検討し,部位の違いによる胸郭拡張差1 cm当たりの体積変化を示すことを目的とした.〔対象〕対象は若年男性12名とした.〔方法〕三次元動作解析装置による体表に貼付したマーカの変化量から算出される胸郭拡張差と胸郭体積変化を計測した.胸郭拡張差の測定部位は,第3肋骨と胸骨剣状突起および第10肋骨の高さとし,胸郭体積変化は胸骨剣状突起より上部を上部胸郭,下部を下部胸郭とした.〔結果〕胸郭拡張差の各高さと部分的体積変化には,高い正の相関関係が認められた.〔結語〕胸郭拡張差と部分的体積変化の間には高い相関があり,胸郭拡張差1 cm当たりの換気量は,臨床において胸郭可動性から換気量を推察する上で呼吸理学療法の評価法の一助となると思われる.
著者
松田 雅弘 楠本 泰士 酒井 弘美 伊藤 公一 田上 未来 阿部 紀之 関 亮祐 本藤 伸男 山﨑 友豊 赤池 優也 二瓶 篤史 新田 收
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.495-499, 2016 (Released:2016-08-31)
参考文献数
10

〔目的〕マイクロビーズ製クッション上での臥位が,関節可動域と筋緊張に及ぼす影響を通常のベッド上臥位と比較して明らかにすることとした.〔対象と方法〕回復期脳卒中後片麻痺患者9名(52~84歳)とした.同一対象者に20分の臥床をクッション(クッション条件),およびベッド上背臥位で(臥位条件)行わせ,前後でのROMt,筋緊張(MAS),僧帽筋上部線維の筋硬度の変化と変化量を対応のあるt検定により統計学的に解析し,その違いを条件間で比較した.〔結果〕クッション条件では介入前後で,麻痺側肘屈曲,頸部左回旋角度に有意差がみられた.筋緊張,筋硬度も軽減している症例が多かった.〔結語〕マイクロビーズ製クッションが,脳卒中患者に対して筋緊張の軽減と関節可動域の増大に効果をもたらすことが示唆される.
著者
佐藤 勇太 小野 武也 石倉 英樹 相原 一貴 松本 智博 田坂 厚志 沖 貞明 梅井 凡子 積山 和加子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.409-412, 2015 (Released:2015-07-07)
参考文献数
33
被引用文献数
5 4

〔目的〕関節固定により発生する関節拘縮に下肢への非荷重がおよぼす影響を検討した.〔対象〕Wistar系ラットとした.〔方法〕関節固定と後肢懸垂の実施の有無により,対象の後肢を,無処置の対照群,関節固定のみ行う固定群,後肢懸垂のみ行う懸垂群,両方行う固定懸垂群に分けた.実験開始前と1週間後において,足関節背屈角度を測定した.〔結果〕1週間後において,足関節背屈角度の減少は,固定群と固定懸垂群に生じており,固定懸垂群の方が,固定群と比較して著明であった.〔結語〕下肢への非荷重は,関節固定により発生する関節拘縮の進行を著明にさせる.