著者
楠元 史 今井 亮太 兒玉 隆之 森岡 周
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.479-483, 2014 (Released:2014-09-25)
参考文献数
21
被引用文献数
4 1

〔目的〕本研究は,メンタルローテーション課題時における脳神経活動領域の経時的変化を脳波解析により明らかにし,反応時間との関連性を検討した.〔対象〕右利き健常大学生15名.〔方法〕課題として,1試行計48枚の手画像をランダムに呈示した.脳活動は高機能デジタル脳波計を用いて記録計測した.対象者を反応時間の速い群,中間群,遅い群に分け,そのうち,速い群と遅い群の比較を行った.〔結果〕反応時間の速い群では後頭葉・側頭葉・前頭葉の順で,遅い群では後頭葉・頭頂葉・前頭葉の順に脳活動が認められた.〔結語〕メンタルローテーション課題において,運動学習に関与する脳領域を活性化させるためには,対象者に心的回転を行う時間的余裕を与え,呈示された画像を自己の身体として捉えることが大切ではないかと示唆された.
著者
齋藤 里果
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.453-457, 2006 (Released:2007-01-11)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

音楽療法は近年医療・福祉において急速に発展し,現在音楽療法士が全国2300以上の病院,施設で活動しているといわれる。音楽療法とは音楽を聴取すること・演奏することによる心身に及ぼす効果を利用し,小児から高齢者,精神障害から身体障害と広範な対象者に対応することができる。現在ノルウェー,カナダ,オーストラリア等ではコメディカルとして医療に携わっている。国内でも音楽療法士の需要は増えており,今後福祉,医療現場で共に働く可能性は高いと考える。そこで今回,音楽療法について調べたので紹介したい。
著者
加嶋 憲作 津田 泰路 大菊 覚 横畠 和宏 西森 大地 山﨑 裕司
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.635-638, 2017 (Released:2017-10-23)
参考文献数
9
被引用文献数
1

〔目的〕最大歩行速度と独歩自立の関係を検討すること.〔対象と方法〕対象は,65歳以上の高齢入院患者262例である.院内独歩自立群と非自立群の2群に選別し,最大歩行速度を比較した.次に,歩行速度により6群に区分し,各群の独歩自立割合を算出した.さらに,独歩自立の可否を判別する最大歩行速度の至適カットオフ値を求めた.〔結果〕最大歩行速度は独歩自立群で有意に高値を示した.最大歩行速度の低下にしたがい独歩自立割合は減少した.独歩自立の可否を判別する至適カットオフ値は1.038 m / secであり,高精度で検出可能であった.〔結語〕最大歩行速度と独歩自立の可否には関連があり,最大歩行速度が一定の水準を下回る場合,独歩自立の可能性は低くなる.
著者
城下 貴司 福林 徹
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.397-400, 2012 (Released:2012-09-07)
参考文献数
22

〔目的〕足趾機能は重要とされているが未知な部分も多い.我々は足趾機能の臨床研究や筋電図解析を行ってきた.しかしながら足趾機能と足内側縦アーチ(MLA)の関係はわかっていない.本研究の目的は足趾エクササイズとMLAの関係を検討することである.〔対象〕健常者20名,20足,平均年齢22.5±3.6歳とした.〔方法〕被験者にはタオルギャザリングエクササイズ(TGE)と3種類の足趾エクササイズ(母趾底屈エクササイズ,2から5趾底屈エクササイズ,3から5趾底屈エクササイズ)をランダムに行い,各々の足趾エクササイズ前後にNavicular Drop (ND)を計測し比較した.〔結果〕介入前NDは4.34 mmであった,TGE後NDは4.94 mmで有意差を示さなかったが,母趾底屈エクササイズ後NDは5.25 mmで有意に低下した.2から5趾底屈エクササイズ後NDは3.07 mm,3から5趾底屈エクササイズ後NDは3.32 mmとなり各々有意にNDは低下しなかった.〔結語〕母趾底屈エクササイズはMLAを低下させた.TGEは特に変化を示さなかった.しかしながらその変化は母趾底屈エクササイズに類似した.一方で2から5趾底屈エクササイズ,3から5趾底屈エクササイズはMLAを高くする効果を示しMLAとの関係性を示した.
著者
明崎 禎輝 川上 佳久 平賀 康嗣 野村 卓生 佐藤 厚
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.689-692, 2009 (Released:2009-11-25)
参考文献数
12
被引用文献数
1 2

〔目的〕本研究では,書字練習方法として,なぞり書練習と写字練習を比較し,なぞり書練習が書字正確性を向上させるために有用であるか検討した。〔対象〕健常者20名(男性10名,女性10名,年齢30.3歳)とした。〔方法〕対象者を介入A,介入Bに分類し,書字練習を行った。介入Aは規定文章の上にトレーシングペーパーを重ね,その上から写っている文字に反復してなぞり書練習を行った。介入Bは規定文章を白紙の横に並べ,白紙に反復した写字練習を行った。書字評価は書字正確性と書字時間を測定した。〔結果〕練習前後において,介入Aのみ書字正確性に有意な向上が認められた。〔結語〕なぞり書練習は,非利き手による書字正確性を向上させるために有用な練習方法であることが示唆された。
著者
金子 諒 藤澤 真平 佐々木 誠
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.411-416, 2009 (Released:2009-07-24)
参考文献数
25
被引用文献数
10 2

〔目的〕本研究では,足趾把持筋力トレーニングが最大速度歩行の床反力に及ぼす影響を検討することを目的とした。〔対象〕健常な学生27名とした。〔方法〕対象者を男女別に無作為にトレーニング群,対照群に振り分けた。足趾把持筋力,10 m最大速度歩行時の速度,歩数,歩行率,歩幅,最大速度歩行時の床反力を介入期間の前と後に測定した。トレーニング群には4週間の足趾把持筋力トレーニングを行わせ,対照群には普段通りの生活をさせた。〔結果〕トレーニング群は有意に足趾把持筋力が増強し,10 m最大歩行速度が速くなった。また,床反力横方向第3波,歩行率において増加傾向がみられた。〔結語〕蹴り出しにおける脚の運びの方向性が適正化することで,歩行率が改善し,最大歩行速度が向上する可能性が示唆された。また,最大歩行速度向上に対して床反力垂直方向の最大波に増加がみられなかったことから,足趾による制動力が高まったことでソフトに踵接地でき,踵接地による衝撃が減少したことが示唆された。
著者
辻野 綾子 田中 則子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.245-248, 2007 (Released:2007-07-11)
参考文献数
12
被引用文献数
14 7

立位での前方リーチ動作の際には,前足部への荷重が増大し,足趾の支持が重要になると考えられる。本研究では健常女性19名を対象とし,立位での足趾圧迫力の大きさと前方リーチ時の足圧中心(Center Of Pressure:COP)位置との関係を検討した。その結果,10°前方傾斜リーチ(股・膝関節,足部規定あり)条件と最大前方リーチ(規定なし)条件において,母趾圧迫力と最終肢位保持時のCOP位置には有意な正の相関が認められ,最大前方リーチ条件では母趾圧迫力のみならず,第2~5趾圧迫力と最終肢位保持時のCOP位置においても有意な正の相関が認められた。これらの結果より,前方リーチ保持時には足関節底屈力だけでなく,前足部や足指の底屈方向への力発揮も重要であることが示唆された。
著者
黒澤 和生
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.341-346, 2008 (Released:2008-06-11)
参考文献数
5

スポーツ傷害には,スポーツ外傷とスポーツ障害がある。特に,後者のスポーツ障害とは,同一動作の繰り返しにより生じる痛みを主訴とする損傷のことであり,Over Use(オーバーユース:使いすぎ)がその原因である。膝内障,膝蓋腱炎(ジャンパー膝),野球肘,野球肩などが挙げられるが,ここでは肩のインピンジメントに焦点を当て,オーバーユースによる機能障害の評価と治療(軟部組織モビリゼーション)について概要を述べる。
著者
岡崎 倫江 那須 千鶴 吉村 和代 曽田 武史 津田 拓郎 高畑 哲郎 矢倉 千昭
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.509-513, 2008 (Released:2008-10-09)
参考文献数
28
被引用文献数
3 2

[目的]女性の前十字靭帯損傷のリスクは,ホルモン変動による筋緊張の低下と関連している可能性がある。本研究は,月経周期中における大腿筋群の筋硬度および筋短縮度の変動について調査することを目的とした。[対象と方法]対象者は正常月経周期を有する若年女性9名(測定:18脚),平均年齢25.9±2.1歳で,月経周期の月経期,排卵期,黄体前期,黄体後期に測定を行った。筋硬度は筋硬度計を用いて大腿直筋と大腿二頭筋について測定し,筋短縮度は関節角度計を用いて大腿直筋とハムストリングスについて測定した。[結果]筋短縮度は有意な変化がなかったが,大腿直筋および大腿二頭筋の筋腹の筋硬度は他の周期に比べて黄体前期において有意に高くなった(p<0.05)。[結語]本研究の結果,大腿筋群の筋硬度は月経周期中に変動していることが示唆された。
著者
竹井 仁
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.103-107, 2001-05-20
参考文献数
14
被引用文献数
2

Myofascial Release(筋膜リリース)とは筋膜の単なる伸張ではなく、筋膜のねじれをリリース(解きほぐす)することにある。筋膜制限に適用された隠やかな伸張は、熱を引き出し、リンパドレナージを改善し、筋膜組織を再編成し、そして最も重要である軟部組織固有感覚の感覚機構をリセットする。この活動により、中枢神経系が再プログラミングされる。さらに、運動療法あるいは神経発達学的治療を組み合わせることで、患者は新しい運動を学習でき、機能的な巧緻活動場面の中でその運動を応用していくことも可能となり、自立した機能の獲得へと前進する。最終的には最適の機能とパフォーマンスを最少のエネルギー量で達成できることが目標となる。
著者
山口 光國
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.163-170, 1998

スポーツ障害肩の発生は様々な因子が考えられ,その治療に際しては種々の職種が連絡を密に取り,対応することが望まれる。スポーツ障害肩に対する理学療法の役割は,病態により生じた機能障害の改善のほか,肩関節を含めた全身の関節機能の再建を第一の目的とし,病態や,技術的能力に対しての悪影響を排除することにある。また,実際の理学療法の目的は,損傷部の改善を第一の目的とするか,機能の改善を図るのか,スポーツと言う特殊性を考慮した訓練を施すのか,症例の状態により決定される。
著者
池松 幸二 神野 哲也 加地 啓介 竹井 仁
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.959-964, 2018 (Released:2018-12-21)
参考文献数
25

〔目的〕THA後の股関節外転運動で臥位姿勢の違いが,筋力・筋活動・疼痛に及ぼす影響を検討すること.〔対象と方法〕THAを施行する20名を対象とし,筋力・筋活動・疼痛の測定を術前・術後3日・術後10日に行った.背臥位群と腹臥位群に振り分け,術後理学療法において,最大努力での静止性両側股関節外転運動を行った.〔結果〕股関節外転運動時の大腿筋膜張筋の筋活動は,背臥位群より腹臥位群で低かった.歩行時の中殿筋活動開始時期で交互作用を認め,術後3日では両群で術前より遅くなったが,術後10日では背臥位群より腹臥位群で早くなった.〔結語〕歩行時の中殿筋活動開始時期は THA後に遅くなるが, 腹臥位での股関節外転運動は背臥位での股関節外転運動より, 中殿筋活動開始時期を早めた.
著者
梅野 和也 中村 浩一 井元 淳 白澤 浩太郎 石田 猛流 加来 謙治 土井 康太
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.313-317, 2018 (Released:2018-04-27)
参考文献数
22
被引用文献数
2 1

〔目的〕3種類の運動イメージ評価法とmental practice(MP)でのパフォーマンスの変化との関係を検討することとした.〔対象と方法〕健常学生20名とした.MP前後における運動課題の成績比較からMPの有効性を検討し,Movement Imagery Questionnaire-Revised Japanese Version(JMIQ-R),メンタルクロノメトリー,メンタルローテーションの3種類の評価結果とMPの効果との関係を検討した.〔結果〕MP前後の運動課題に有意な改善が認められ,メンタルクロノメトリーとパフォーマンスの変化量との間に中程度の相関関係が認められた.〔結語〕メンタルクロノメトリーで測定した運動イメージ能力が,MPの効果と関わりがある可能性が示唆された.
著者
法所 遼汰 岡山 裕美 大工谷 新一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.253-256, 2016 (Released:2016-04-29)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

〔目的〕高齢者の円背姿勢を再現した胸腰部屈曲位における立ち上がり動作での下肢の筋活動と関節角度の特徴を明らかにする.〔対象〕健常成人男性10名とした.〔方法〕胸腰部屈伸中間位,胸腰部20°屈曲位および胸腰部40°屈曲位の条件下で,表面筋電計とビデオカメラを用いて立ち上がり動作を実施し,下肢筋の平均振幅の相対値と活動順序,体幹前傾角度と下腿前傾角度を算出した.〔結果〕胸腰部屈伸中間位と比較し,胸腰部40°屈曲位では前脛骨筋の平均振幅の相対値と体幹前傾角度および下腿前傾角度が有意に増加した.また胸腰部40°屈曲位では,前脛骨筋が他の筋よりも有意に早く活動を開始した.〔結語〕胸腰部屈曲角度の違いは,前脛骨筋の筋活動と下腿前傾角度に影響を与えていると考えられた.
著者
大槻 桂右
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.813-816, 2013

〔目的〕肩関節拘縮を伴う高齢患者を対象に,上腕骨解剖頸軸回旋humeral neck axis rotation; HNARを用いた関節可動域運動(range of motion exercise; ROM-ex)の有用性と適応について検討した.〔対象〕平均年齢は86.6±7.2歳の女性20名を対象とした.〔方法〕従来のROM-exとHNARを用いたROM-exを,それぞれ約20回実施し,屈曲,外転,内転,外旋(第1肢位)角度を測定した.〔結果〕従来のROM-exでは,有意な増加が認められなかったが,HNARを用いたROM-exでは,全測定可動域において,有意な増加が認められた.〔結語〕HNARを用いたROM-exは不動による可動域制限を改善するための一手段として,有用性が示唆された.<br>
著者
池田 拓郎 佐々木 聖馬 岡 真一郎 後藤 純信
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.215-219, 2013-04-20
参考文献数
21

〔目的〕本研究では,巧緻運動(DM)と粗大運動(GM)における運動イメージの脳内活動の相違を検討した.〔対象〕健常若年成人10名(平均年齢21.3±1.1歳,男性10名).〔方法〕DMとGMを運動イメージ,自己ペースと外的ペース随意運動で行わせ,課題中の脳血流変化をNIRSで計測した.〔結果〕DMイメージ時は,自己ペースおよび外的ペース随意運動時と比べ全ての関心領域で有意なoxy-Hbの変化はなく,また,GMイメージ時と比べ左運動前野領域と左一次感覚運動野領域で有意なoxy-Hbの増加があった.〔結語〕手指に関与する神経細胞は,肩の神経細胞と比べて高密度に存在していることから,DMによる運動イメージは,GMによる運動イメージよりも脳血流が増加したのではないのかと示唆された.<br>
著者
辛嶋 良介 羽田 清貴 奥村 晃司 杉木 知武 川嶌 眞人
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.335-338, 2013-06-20
参考文献数
8

〔目的〕肩腱板断裂に対する鏡視下腱板修復術後,入院期間中での夜間痛についてアンケート調査を行い,患者背景と鏡視所見を含め,術後夜間痛の推移に与える要因について検討すること.〔対象と方法〕腱板修復術を行った21名を対象に,術後1週ごとに夜間痛の程度,自覚する時間帯,自己での対処法について調査した.疼痛の推移より4群に分類,Kruskal-Wallis testを用い,統計学的処理を行った.〔結果〕4群間で2週以降での疼痛の程度に有意な差を認めたが,患者背景,手術所見に有意な差を認めなかった.就寝時苦痛を感じた際の患者自身での対処は,座位への体位変換を行っている例が多かった.〔結語〕夜間痛の推移に及ぼす要因は明らかとならなかったが,肢位調整として上体を起こすことが有用な可能性がある.<br>
著者
鈴木 哲 平田 淳也 栗木 鮎美 富山 農 稙田 一輝 小田 佳奈枝 高橋 正弘 渡邉 進
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.103-107, 2009-02-20
参考文献数
14
被引用文献数
2 4

〔目的〕本研究の目的は,片脚立位時の体幹筋活動の特徴を明らかにした上で,片脚立位時の体幹筋活動と重心動揺の関係を検討することである。〔方法〕健常者10名(25.1±4.4歳)を対象に,両脚立位,片脚立位時の体幹筋活動と重心動揺を測定した。〔結果〕片脚立位では,両脚立位と比べて,挙上側胸腰部脊柱起立と外腹斜筋活動増加率が有意に高かった。立脚側腰部多裂筋と内腹斜筋の筋活動増加率が高い傾向にあった。また挙上側体幹筋活動と重心動揺との間に有意な相関がみられた。〔結語〕片脚立位バランスには体幹筋活動が関与する可能性が示唆された。<br>
著者
岩佐 知子 菅沼 一男 知念 紗嘉 丸山 仁司
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.23-26, 2011 (Released:2011-03-31)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

〔目的〕中学生野球選手が青少年の野球障害に対する提言での上限である70球投を投げることによる投球前後の肩関節機能の変化について検討した。〔対象〕中学生野球クラブチームに所属する男性投手10名であった。〔方法〕投球前後に投球側の肩関節内旋可動域および肩関節内外旋筋力,疲労度,球速の測定を行った。投球は実践投球を意識しストレートと変化球を合わせた計70球とした。投球前後の肩関節内旋可動域および肩関節内外旋筋力,疲労度については,対応のあるt検定を用い,球速については1元配置の分散分析を用いて分析を行った。〔結果〕肩関節内旋可動域は投球後に可動域が有意に減少した。肩関節内外旋筋力は投球前後において筋力に差が認められなかった。肩関節の疲労度は,投球前後において有意に増加したが,球速については差が認められなかった。〔結語〕高校生を対象とした報告と同様に投球後は肩関節内旋可動域が低下し,肩関節内外旋筋力は差が見られなかった。したがって,投球練習後は肩関節外旋筋のストレッチを行う必要があると考えられた。
著者
南場 芳文 藤井 瞬 大谷 啓尊 井上 由里 上杉 雅之 武政 誠一 宮本 重範 弘津 貴章 田中 日出樹
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.799-803, 2014

〔目的〕上肢挙上位におけるclosed kinetic chain(以下,CKC)運動が腱板筋の筋活動に及ぼす効果を明らかにし,腱板筋の機能回復に有効な徒手抵抗による運動方法を検証することである.〔対象〕健常な男女29名(平均年齢21.5 ± 4.7歳)の右29肩に対して行った.〔方法〕肩甲骨面上での拳上150°または,120°及び,外転位,下垂位にて棘下筋,三角筋(中部線維),僧帽筋(上部線維)の徒手抵抗に対する筋活動を積分筋電法(5秒間)にて計測した.〔結果〕肩甲骨面上での挙上150°,体重比5%の徒手的な負荷を用いたCKC運動は,棘下筋の随意最大収縮の約30%の筋活動を認めた.〔結語〕肩関節挙上位でのCKC運動は棘下筋の理学療法に有効である. <br>