著者
中尾 優人 麻山 智信 小山 大貴 桜井 浩登 佐々木 拓良 杉田 裕汰 廣瀬 健太 前田 聖也 石坂 正大 貞清 香織 久保 晃
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.439-442, 2017 (Released:2017-06-23)
参考文献数
10
被引用文献数
2

〔目的〕健常者における円背姿勢が体組成成分の計測値に及ぼす影響を明らかにする.〔対象と方法〕50名の健常男性で,通常計測(通常条件),円背指数19.4 ± 2.0の擬似円背装置を用いた円背姿勢かつ通常身長値での計測(円背条件),円背姿勢の身長値かつ円背姿勢での計測(円背・身長補正条件)の3条件で体組成成分を計測した.〔結果〕通常条件と円背条件では,全ての計測値において有意差はみられなかった.円背・身長補正条件は,他条件と比較し,体脂肪量が有意に高値,除脂肪量,四肢骨格筋量,骨格筋指数が有意に低値を示した.〔結語〕円背による身長低下は体組成成分の計測値を変化させ,高度な変形の場合は身長の推定式が推奨される.
著者
檜山 宏太 石山 優太 小沼 亮太 齋藤 彩花 殿村 由樹 貞清 香織 石坂 正大
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.619-622, 2018 (Released:2018-08-21)
参考文献数
10
被引用文献数
1

〔目的〕円背姿勢が家庭用体組成計における体組成成分の測定値に及ぼす影響を明らかにする.〔対象と方法〕健常男性40名とした.家庭用体組成計を用いて同一被験者で通常測定(通常条件),円背指数19.4 ± 2.0の擬似円背装置を用いた円背姿勢で身長入力測定(円背条件),円背姿勢でその姿勢で身長を測定した(円背身長条件)の3条件で身体組成を測定した.〔結果〕通常条件と円背条件では,すべての値において有意差はみられなかった.円背身長条件は他の条件と比較し,全筋肉量,四肢骨格筋量が有意に低値を示し,SMI,体脂肪率は有意に高い値を示した.〔結語〕家庭用体組成計においても,円背による身長低下は体組成成分の測定値を変化させることが明らかになった.
著者
井川 達也 勝平 純司 山本 澄子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.35-38, 2013 (Released:2013-04-11)
参考文献数
17

〔目的〕高齢者と若年者の平地歩行・階段昇降動作時の筋の同時活動の筋電図学的相違を分析し,その要因を明確にすることとした.〔対象〕高齢者と若年者を各々14名とした.〔方法〕筋電計測の対象はヒラメ筋,前脛骨筋とした.床反力計および表面筋電計を用い,平地歩行・階段昇降動作中に計測された位相ごとの筋活動を分析し,高齢者と若年者との間で比較した.〔結果〕歩行立脚後期および階段昇降の全周期において,高齢者は若年者に比べ前脛骨筋活動量が有意に高値を示した.〔結語〕高齢者は前脛骨筋活動量を増大させ,足関節の剛性を高めていることが示唆される.
著者
久保田 雅史 小久保 安朗 佐々木 伸一 嶋田 誠一郎 北出 一平 松村 真裕美 亀井 健太 北野 真弓 野々山 忠芳 鯉江 祐介 松尾 英明 成瀬 廣亮 小林 茂 馬場 久敏
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.873-878, 2009 (Released:2010-01-28)
参考文献数
37

〔目的〕本研究の目的は,術後早期から股関節内外転筋力強化運動を重点的に行うことで,退院時の歩容に影響があるかを明らかにすることとした。〔方法〕対象は2005年1月から2007年12月までの期間で骨盤骨折を受傷し,当院にて骨接合術を施行した12例とした。術後2週目より骨折側の筋力強化を開始した6例を標準リハ群,術後2-3日後より筋力強化を開始した6例を早期リハ群とした。全荷重可能となった退院時に三次元動作解析装置を用いて歩行解析を行い,群間における歩行速度,歩幅,ケイデンス,股関節外転モーメントを比較した。〔結果〕歩行速度,歩幅,ケイデンスは群間に有意差は見られなかったが,早期リハ群の立脚期股関節外転モーメントは標準リハ群と比較して有意に高値を示していた。〔結語〕本研究の結果より,術後早期からの股関節内外転筋力強化運動によって退院時の歩行能力が改善される可能性が示された。
著者
山本 澄子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.3-10, 2002 (Released:2002-07-24)
参考文献数
3
被引用文献数
16 4

3次元動作分析システムを用いて1名の片麻痺者(下肢Br.stage 4,発症後18週)の歩行を計測し,結果を正常歩行と比較しながら片麻痺歩行に共通した特徴について述べる。計測項目は,体重心の動き,麻痺側と非麻痺側の床反力,関節角度,関節モーメント,関節パワーである。正常歩行では両脚支持期に低い位置にあった体重心が単脚支持期に向けて上昇していくが,片麻痺者の麻痺側接地時にはこの動きが見られない。これは麻痺側の接地時に足関節背屈筋と股関節伸展筋の活動が正常に行われないことが原因と考えられる。これらのことから,非麻痺側から麻痺側への体重移動の重要性について考察した。
著者
廻角 侑弥 久保 峰鳴 福本 貴彦 今北 英高 藤井 唯誌 稲垣 有佐 田中 康仁
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.779-783, 2020 (Released:2020-12-19)
参考文献数
20

〔目的〕変形性膝関節症(膝OA)患者の歩行能力と自己効力感の関連性を検討することとした.〔対象と方法〕対象は膝OA患者67名とした.測定項目は,10 m歩行速度,Timed up and go test(TUG),自己効力感,疼痛,膝関節伸展筋力,足趾把持力,痛みの破局的思考とし,関係性を分析した.〔結果〕10 m歩行速度とTUGはそれぞれ,自己効力感,膝関節伸展筋力,足趾把持力,痛みの破局的思考との間に有意な相関関係を認めた.また,10 m歩行速度とTUGに影響する因子として,自己効力感と膝関節伸展筋力が抽出された.〔結語〕膝OA患者の歩行能力には歩行に対する自己効力感が影響することが示唆された.
著者
木村 和樹 久保 晃 石坂 正大 伊藤 晃洋 塩見 誠
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.615-618, 2015 (Released:2015-09-03)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

〔目的〕Semmes-Weinstein-Monofilament(以下SWM)を使用して定量的に足底触圧覚を測定し,加齢変化を足底部位別に検討した.〔対象〕日常生活動作の遂行に支障のない男性62名,女性174名,合計236名(472肢)とした.年代を20-29歳群,55-74歳群,75-94歳群の3群に設定した.〔方法〕SWMを使用し両足底の母趾,母趾球,小趾球,踵の計8ヵ所を評価し,加齢と部位の影響を検討した.〔結果〕55歳までに足底触圧覚閾値は上昇し,部位別では踵が他の部位より触圧覚閾値が有意に高かった.〔結語〕加齢によって足底触圧覚閾値は上昇し,踵部がより高くなる事が示唆された.
著者
佐藤 香緒里 吉尾 雅春 宮本 重範 乗安 整而
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.323-328, 2008-04-20
参考文献数
15
被引用文献数
1

本研究では,股関節外旋筋群が股関節屈曲に及ぼす影響を検討することを目的とし2つの実験を行った。若年健常男女60名を対象とした股関節回旋角度の違いによる股関節屈曲角度の計測では,股関節内旋角度の増加に伴い股関節屈曲角度は有意に減少し(p<0.001),股関節外旋筋群の伸張が股関節屈曲を制限する因子として考えられた。新鮮遺体1体の両股関節後面各筋を切離するごとに股関節屈曲角度の計測と観察を行った結果,梨状筋と内閉鎖筋に著明な伸張が見られ,これらの切離後に股関節屈曲角度は顕著に増加した。梨状筋と内閉鎖筋は股関節外旋筋であることから,これらが股関節屈曲を制限している可能性があると考えられた。理学療法プログラムとして股関節屈曲可動域を拡大するときには,屈曲角度のみに注目せずに内旋角度にも注意を払う必要があると示唆された。<br>
著者
長谷川 隆史 佐熊 晃太 西 啓太 小無田 彰仁 東 登志夫
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.137-141, 2021 (Released:2021-02-24)
参考文献数
17

[目的]本研究の目的は,痛みに対する破局的思考が強い脊椎圧迫骨折患者への有効な介入方法を検討することである.[対象と方法]対象は脊椎圧迫骨折と診断され,当院に入院した高齢男性であった.成功体験を強調した介入を行い,痛みの程度(NRS),痛みに対する破局的思考(PCS),不安抑うつ状態(HADS),日常生活動作能力(mFIM),活動量を評価した.[結果]入院時PCSの合計点は44点と高値を示したが,成功体験を強調した介入を実施することで,32点に改善し,その他の痛み関連因子も改善し,mFIMも37点改善した.[結語]痛みが強い脊椎圧迫骨折患者に対し,入院早期から多職種協働で成功体験を強調した介入を実施することで,PCSを改善させ,痛みの遷延化を防止できる可能性が示唆された.
著者
櫻井 陽子 武市 尚也 杉村 誠一郎 飯島 節
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.171-175, 2017 (Released:2017-05-02)
参考文献数
18
被引用文献数
1

〔目的〕下肢筋力は最大一歩幅や歩行に大きく関与する.股関節屈曲筋群,膝関節伸展筋群,足関節底屈筋群に着目し,最大一歩幅と歩行におけるそれぞれの役割の変化を加齢的側面から調査することとした.〔対象と方法〕女性77名を対象とし,若年者群,前期高齢者群,後期高齢者群,超高齢者群の4群に分類し,身体機能や動作能力において検討した.〔結果〕最大一歩幅と最大歩行で,若年者群は股関節屈曲筋群,前期高齢者群は膝関節伸展筋群,後期高齢者群は膝関節伸展筋群および足関節底屈筋群と有意な相関がみられたが,超高齢者群では有意な相関はみられなかった.〔結語〕歩行や最大一歩幅において相対的に大きな役割を担う筋群は,加齢に伴い変化していくことが示唆された.
著者
飯島 大志 福井 勉
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.449-454, 2019 (Released:2019-08-28)
参考文献数
17

〔目的〕座位側方リーチ課題における座圧中心移動距離に関係する因子を明らかにすること.〔対象と方法〕対象は健常成人17名とし右手での座位側方右側リーチ課題を行った.三次元動作解析装置と床反力計を用いて座圧中心移動距離とリーチ距離胸郭と骨盤角度および立ち直り反応の大きさを角度に変換した数値を算出しそれらの相関関係を検証した.〔結果〕座圧中心右側方移動距離と右側方リーチ距離,骨盤右側方傾斜角度,胸郭と骨盤右回旋角度に有意な相関関係が認められ,重回帰分析では右側方リーチ距離,骨盤右側方傾斜角度が選択された.〔結語〕座位右側方リーチ課題における座圧中心移動距離に関係する因子は右側方リーチ距離と骨盤右側方傾斜角度であることが示された.
著者
竹井 和人 村田 伸 甲斐 義浩 村田 潤
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.79-81, 2011 (Released:2011-03-31)
参考文献数
17
被引用文献数
10 6

〔目的〕足把持力トレーニングの効果を足把持力の経時的な変化により検討した。〔対象〕健常成人女性19名とした。〔方法〕10分程度の足把持力トレーニング(タオルギャザー)を週4日,6週間継続して実施し,トレーニング前,3週間後,6週間後の足把持力を比較した。〔結果〕トレーニング前と比較して3週間後の足把持力は有意な増加を示した。一方,3週間後と6週間後との間に有意差は認められなかった。〔結語〕足把持力トレーニングによる筋力増強効果は,3週間で生じることが示された。また,足把持力に関与する筋群は,形態的な特徴から6週間のトレーニングでは筋肥大による筋力増強は得られない可能性が推察された。
著者
大西 邦博 堀 芳郎 河村 顕治
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.771-775, 2019 (Released:2019-12-21)
参考文献数
25

〔目的〕本研究は当院でTKAを施行した26名26膝の術後1年までの身体機能の推移を術前および健常群と比較検討した.〔対象と方法〕TKA群26名と健常群19名を対象に,膝関節可動域,歩行時痛,等尺性膝伸展筋力,10 m歩行速度,Timed Up & Go test(TUG)を比較検討した.〔結果〕術前と比較し,歩行時痛,膝関節伸展可動域,10 m歩行速度,TUGは向上するが,膝関節屈曲可動域や膝伸展筋力はまだ不十分であった.また健常群と比較すると,歩行時痛,膝伸展筋力,歩行速度,膝関節伸展可動域は同程度まで回復するが,膝関節屈曲可動域やバランスはまだ不十分であった.〔結語〕術前と比較すると,術後1年は膝関節屈曲可動域と膝伸展筋力はまだ不十分であり,健常群と比較すると膝関節屈曲可動域とバランスはまだ不十分であった.
著者
岡山 裕美 大工谷 新一 黒澤 和生
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.623-633, 2019

<p>〔目的〕歩行速度を変化させた場合のPhysiological Cost Index(PCI)および表面筋電図の変化とそれらの関係性を明らかにすることとした.〔対象と方法〕対象は整形外科学的,神経学的に問題のない健常者35名とした.歩行速度は各被験者が快適であると感じる歩行速度(FWS)を基準とし,5種類の歩行速度で歩行させた.その際,心拍数および表面筋電図の計測を行い,PCI値,筋電図積分値(IEMG),中間周波数(MdPF),平均周波数(MPF)を算出した.〔結果〕PCI値はFWSにおいて-50%FWS,50%FWSより有意に低値を示した.歩行速度の増加に伴いIEMGは増大したが,MdPFとMPFは低周波から中周波帯域での活動を示した.〔結語〕歩行速度の増加に伴いPCIはFWSより速くても遅くても増大し,IEMGは増大することが確認された.</p>
著者
山本 良平 大橋 ゆかり
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.765-769, 2015 (Released:2015-12-06)
参考文献数
12

〔目的〕言語的なフィードバック(FB)の付与のタイミングが,運動学習と練習パフォーマンスに与える影響を明らかにすることとした.〔対象〕健常若年成人24名を対象とした.〔方法〕対象を同時フィードバック(CF)群と最終フィードバック(TF)群の2群に分けた.学習課題は右脚の振り出し課題とした.右脚の軌跡の目標値からの変位の平均値(RMSE)を学習の指標とした.〔結果〕両群ともにRMSEが減少し,学習が認められた.CF群では練習中のFB対象試行がその前の試行と比較して有意に小さい値を示したが,TF群では有意差を示さなかった.〔結語〕言語的なCFとTFは同様の学習効果をもつが,パフォーマンスを変化させるタイミングが異なると示唆された.
著者
原口 裕希 山村 千絵
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.171-175, 2012 (Released:2012-06-13)
参考文献数
13

〔目的〕姿勢変化が咀嚼の効率へ与える影響を調べること.〔対象〕健常成人23人とした.〔方法〕4通りの姿勢をランダムにとらせ,試料の咀嚼開始から嚥下までを筋電図で記録し解析した.〔結果〕咀嚼回数はリクライニング30度頭頸部屈曲30度(R30-HN30)がリクライニング90度頭頸部0度(R90-HN0)より多かった.総咀嚼時間はリクライニング30度頭頸部0度(R30-HN0)とR30-HN30がR90-HN0より長かった.バースト持続時間はR30-HN0が他の姿勢より長かった.咀嚼周期はR30-HN0がR90-HN0より長かった.バースト持続時間の変動係数はR30-HN0がR90-HN0より大きかった.〔結語〕咀嚼の効率はR30の姿勢で悪く,R90-HN0の姿勢のときが最も良いことが示唆された.
著者
陳之内 将志 小野 武也 沖 貞明 梶原 博毅 金井 秀作 長谷川 正哉 坂口 顕 島谷 康司 清水 ミシェル・アイズマン 大塚 彰
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.169-173, 2008 (Released:2008-04-05)
参考文献数
15
被引用文献数
5 5

本研究は,関節可動域制限発生の予防に必要な持続的伸張運動時間を関節角度と筋の形態学的な変化から検討した。実験動物には9週齢のWistar系雌ラット35匹を正常群7匹と足関節を最大底屈位で1週間ギプス固定した固定群7匹,1日1回ギプスを除去し持続的伸張運動を実施した伸張群21匹に振り分けた。さらに伸張群は10分,30分,60分の伸張時間の違いによって7匹ずつ振り分けた。結果は,関節角度の変化から見ると,30分の持続的伸張運動が最も効果的に関節可動域制限の発生を抑制することができた。また筋の形態学的な変化から見ると,30分を超える持続的伸張運動では筋線維を脆弱化させる可能性が示唆された。
著者
石坂 正大 久保 晃 金子 純一朗 野村 高弘 韓 憲受 貞清 香織 堀本 ゆかり
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.627-630, 2017 (Released:2017-10-23)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

〔目的〕理学療法学科学部生における興味を持つ専門分野の縦断的変化を明らかにすること.〔対象と方法〕平成28年度理学療法学科学部4学年98名とした.アンケートは7専門分野と23専門領域から最も興味のある領域を選択させた.アンケート実施は,2学年前期,3学年前期,3学年後期,4学年後期に行った.〔結果〕興味のある専門分野は,基礎,神経,内部が縦断的に増加した.専門領域は,2学年前期ではスポーツが49名(55%)と最も人気が高いが,4学年後期では運動と脳卒中に続いて3番の順となった.〔結語〕スポーツ領域に興味のある学生は,3学年前期で神経系に,4学年になると内部障害に興味が移る傾向にある.
著者
中山 彰一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.151-155, 2001 (Released:2001-12-27)
参考文献数
17

近年、関節の機能と障害が関節神経生理学的側面より重視され始めた。関節を操作する専門家であるPTは運動学、生体力学的観点からの知識、技術は長けているが、神経生理学的視点より論ずることは少なかった。関節構成体には沢山の神経受容器が存在するが、種々の理学療法が与える神経生理学的影響については殆ど未解明といっても過言ではない。例えば、関節への徒手的操作が関節包、靭帯等にどの様な神経生理学的変化を与えているのか? また関節損傷や構成体の退化変性は神経受容器の機能と神経 · 筋協調にどの様な影響を与えているのか? 文献的考察を加えながら関節神経生理について言及したい。
著者
杉田 裕汰 原 毅 久保 晃
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.843-848, 2020 (Released:2020-12-19)
参考文献数
40

〔目的〕周術期消化器がん患者における入院中の歩行数に関わる要因を,身体機能評価,血液生化学データより検討し,明らかにすること.〔対象と方法〕周術期消化器がん患者28名とした.身体機能評価には,体組成計値,等尺性膝伸展筋力,握力,6分間歩行距離,呼吸機能評価,片脚立位時間の全6項目を使用し,血液生化学データには血清アルブミン(Alb),C反応性蛋白(CRP),総蛋白を使用した.〔結果〕歩行数においては,術前と比して術後は,有意な低下を認めた.術後歩行数と術前Alb,術前CRP,術前の体脂肪率に有意な相関関係を認めた.〔結語〕術後の代謝変化による骨格筋量の低下を考慮すると,術前より栄養状態,免疫反応,体脂肪率に着目することの重要性が示唆され,手術後の歩行数低下には,その点を踏まえたリハビリテーション介入が必要である可能性が示唆された.