著者
小林 怜司 浦辺 幸夫 沼野 崇平 小宮 諒 福井 一輝 前田 慶明
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.747-750, 2018 (Released:2018-10-26)
参考文献数
11

〔目的〕母趾球荷重が,選択移動時間に及ぼす影響を明らかにすることである.〔対象と方法〕対象は,健常男子大学生12名とした.選択移動時間は,ランプ発光後できるだけ素早く中央マットから左右マットにサイドステップで移動し,中央マットから両足が離地するまでの時間として測定した.直立姿勢,母趾球荷重を意識していない構え姿勢,母趾球荷重を行った構え姿勢の3条件で選択移動時間を測定し,同時に右脚の内側広筋,腓腹筋,長腓骨筋の筋活動開始時間を測定した.〔結果〕母趾球荷重を行った構え姿勢で,内側広筋と長腓骨筋の筋活動開始時間ならびに選択移動時間が短縮した.〔結語〕母趾球荷重を行った構え姿勢で,選択移動時間が短縮することが明らかになった.
著者
久保 晃 石坂 正大 貞清 香織 小野田 公 屋嘉比 章紘 原 毅 伊藤 晃洋 小林 薫 沢谷 洋平
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.719-722, 2019 (Released:2019-10-28)
参考文献数
6
被引用文献数
1

〔目的〕入試区分の相違による新入生の志願理由の違いを明らかにすること.〔対象と方法〕2018および2019年に国際医療福祉大学理学療法学科に入学し,協力の得られた199名とした.19項目の志願理由を「とても思う」,「思う」,「思わない」,「全く思わない」の4件法で調査した後,最重要項目を抽出させ入試区分との関連性を検討した.〔結果〕多くの項目で有意差が認められ,専願入学者で肯定的回答率が高かった.最重要項目上位3項目とその順位は専願および併願入学者で一致していた.〔結語〕専願と併願入学者の間には,多くの志願理由項目で有意差が認められ,志願の理由や重みづけが異なることが示唆された.
著者
上田 泰久 上條 史子 大竹 祐子 大川 孝浩 千代丸 正志 望月 久
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.1-5, 2019 (Released:2019-02-26)
参考文献数
16

〔目的〕高齢者における立位姿勢の安定性と頭頸部肢位・足趾筋力の関係について検討することである.〔対象と方法〕対象は健常高齢男性30名とした.立位姿勢の安定性は姿勢安定度評価指数(IPS)で評価した.重心動揺計を使用して開眼・開脚10 cmの立位で,頭頸部肢位(中間位・屈曲位・伸展位・側屈位・回旋位)でIPSを測定した.また足指筋力測定器を使用して端座位で左右の足趾筋力を測定した.〔結果〕IPSは屈曲位と側屈位間でのみ有意な差が認められた.全ての条件におけるIPSと足趾筋力はそれぞれ有意な正の相関が認められた.〔結語〕立位姿勢の安定性は屈曲位より側屈位で低下した.またIPSが高いと足趾筋力も大きい傾向であった.
著者
石田 弘 廣瀬 良平 小野 晃路 江見 健太 小橋 潤子 篠原 沙織 渡邉 進
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.631-633, 2013 (Released:2013-11-09)
参考文献数
22
被引用文献数
1 1

〔目的〕荷重位で中殿筋活動を促す運動の考案と,その運動時の中殿筋活動を定量化することとした.対象:健常成人男性31名とした.〔方法〕右下肢に荷重をかけた片脚立位で左股関節に対する最大等尺性外転収縮を行っている際の右中殿筋の筋活動を記録し,正規化のための基準とする右股関節外転の最大随意収縮時(maximum voluntary contraction:MVC)の筋活動で除した値(%MVC)を筋活動量の指標とした.〔結果〕運動時の筋活動量は108 %MVCを示した.〔結語〕本研究で用いた運動は,荷重をかけた状態での中殿筋の筋力増強運動のバリエーションを増やすことにつながるものと期待される.
著者
佐々木 賢太郎 神谷 晃央 丸尾 朝之 木村 剛
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.7-10, 2012 (Released:2012-02-21)
参考文献数
11
被引用文献数
3 1

〔目的〕車椅子のリクライニング角度が呼吸機能,および呼吸機能測定中の呼吸筋活動に及ぼす影響を検討することであった.〔対象〕健常男子大学生27名.〔方法〕車椅子のリクライニング条件として,最も快適と感じる角度(BASE),それより10°前傾(FORWARD),10°後傾(BACKWARD)の3条件を設定した.呼吸機能と呼吸筋の筋活動を測定し,条件間で比較した.〔結果〕呼吸機能は,ERVにおいてFORWARD条件が他2条件よりも有意に増大した.スパイロメトリー中の筋活動については,最大呼気相において外腹斜筋の筋活動はリクライニングの角度条件間に差が認められた.〔結語〕搭乗者が快適と感じるリクライニング角度よりもわずかに前傾することで,外腹斜筋の活動が増加し,ERVが増大する可能性が示唆された.
著者
正保 哲 柿崎 藤泰
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.499-502, 2015 (Released:2015-09-03)
参考文献数
16
被引用文献数
4 3

〔目的〕中間座位と後傾座位において胸郭拡張差と上下胸郭体積変化について検討することを目的とした.〔対象〕若年男性12名とした.〔方法〕三次元動作解析装置を用い胸郭拡張差と胸郭体積変化を算出した.胸郭拡張差の測定は,第3肋骨と第10肋骨の高さとし,胸郭体積変化は胸骨剣状突起より上部を上部胸郭,下部を下部胸郭とした.〔結果〕上下部胸郭の体積変化は,中間座位で上部胸郭が下部胸郭に対して有意に大きく,後傾座位で上部胸郭,下部胸郭に対して有意な減少を示した.〔結語〕後傾座位では上部胸郭の体積変化が大きく減少し,この体積減少が肺活量および最大吸気量低下の要因になることが示唆された.
著者
武田 広道 岡山 裕美 大工谷 新一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.229-232, 2015 (Released:2015-06-24)
参考文献数
8
被引用文献数
1 5

〔目的〕本研究は胸椎弯曲角度,腰椎弯曲角度,骨盤後傾角度が胸郭可動性や呼吸機能に影響を及ぼす程度を明らかにすることを目的とした.〔対象〕対象は健常成人男性14名とした.〔方法〕骨盤前後傾中間位,10°後傾位,30°後傾位,50°後傾位の端座位で呼吸機能,胸郭拡張差,胸腰椎弯曲角度を測定した.また胸郭可動性,呼吸機能と胸椎後弯角度,腰椎後弯角度,骨盤後傾角度の関係について重回帰分析を行った.〔結果〕胸郭可動性と呼吸機能は骨盤後傾角度の程度に最も影響された.次いで腰椎後弯角度,胸椎後弯角度が影響した.〔結語〕骨盤後傾角度の改善が胸郭可動性と呼吸機能を改善する可能性があることが示唆された.
著者
垣内 優芳 佐々木 貴哉 松本 晋輔 森 明子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.113-116, 2014 (Released:2014-03-26)
参考文献数
17

〔目的〕頸部回旋が随意的な咳嗽力におよぼす影響を検討すること.〔対象〕健常成人15名.〔方法〕頸部は正中位,右30°回旋位の2条件とし,各条件における咳嗽時最大呼気流速(CPF),呼吸機能検査,最長発声持続時間(MPT)を測定した.〔結果〕CPF,肺活量(VC)と%VCは正中位に比べて右30°回旋位で有意に低かった.一回換気量(TV),MPTなどは両条件で有意差はなかった.CPFとVC,努力性肺活量(FVC),一秒量(FEV1.0),%FEV1.0,最大呼気流速(PEF),MPTに正の相関が認められた.〔結語〕CPFは,VC,FVC,PEFやMPTなどと関連が認められ,頸部正中位より30°回旋位で減少することが明らかとなった.
著者
小林 薫 丸山 仁司 柊 幸伸
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.401-404, 2011 (Released:2011-07-21)
参考文献数
15

〔目的〕転倒回数の違いが座位両足開閉ステッピング(以下開閉ステッピング)におよぼす影響を検討した.〔対象〕歩行が自立している高齢者67名(男性10名,女性57名:平均年齢78.3±5.3歳)とした.〔方法〕過去1年間の転倒回数により非転倒群,1回転倒群,複数回転倒群の3群に分類した.開閉ステッピングにおける施行回数を群間で比較した.〔結果〕開閉ステッピング施行回数は,非転倒群15.2±2.1回,1回転倒群12.6±1.7回,複数回転倒群11.5±2.1回であった.1回転倒群および複数回転倒群の施行回数は非転倒群よりも有意に少なかった.〔結語〕開閉ステッピングが高齢者の転倒リスク評価として応用できる可能性が期待できた.
著者
神谷 晃央 山本 拓哉 竹井 仁
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.773-777, 2010 (Released:2010-11-25)
参考文献数
18
被引用文献数
2 2

〔目的〕両上肢による支持や反対側下肢による支持の仕方で,股関節屈曲筋力値や股関節周囲筋の筋活動が異なるかどうかを検討すること。〔対象〕同意を得た健常成人男女各10名。〔方法〕股関節屈曲筋力値を両上肢による支持,反対側下肢による支持,支持なしの3条件で比較した。また,支持の仕方による股関節周囲筋への影響を確認するために,多裂筋・外腹斜筋・股関節屈曲筋群・大腿直筋・大殿筋・大腿二頭筋長頭の筋活動量を算出した。〔結果〕股関節屈曲筋力値は支持のない条件において有意に低い値を示した。両上肢による支持では両側外腹斜筋や挙上側多裂筋,反対側下肢による支持では反対側股関節屈曲筋群や反対側大腿二頭筋長頭の筋活動量が増加した。〔結語〕支持を行うことで姿勢保持筋の筋活動が上昇し,股関節屈曲筋力も増大した。
著者
村上 幸士 桜庭 景植 永井 康一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.893-897, 2010 (Released:2011-01-28)
参考文献数
14
被引用文献数
2 3

〔目的〕腰痛経験の有無と腹部筋群との関連を明らかにすることを目的とした。〔対象〕平均年齢23.7±3.3歳の男性64名である。〔方法〕問診を行い,腰痛経験の有無にて3群に分類した。また,超音波診断装置にて安静時の腹横筋・内腹斜筋・外腹斜筋を測定し,筋厚の差を腰痛経験の有無にて比較し,分析した。〔結果〕腰痛にて受診経験のある群は,腰痛を認めるが受診経験のない群および腰痛経験のない群と比較して腹横筋筋厚が低値であり,他筋は有意差がなかった。〔結語〕腰痛経験が有ることは,腹横筋の筋活動低下による安静時の筋厚減少および内腹斜筋と外腹斜筋を合わせた表在筋の過剰な筋活動による安静時の筋厚増大と関連することが示唆された。
著者
今 直樹 堀尾 暁 佐々木 誠
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.403-407, 2007 (Released:2007-08-18)
参考文献数
10

健常女性12名を対象にNeutral,Knee-In & Toe-Out,Knee-Out & Toe-Inの3条件の下肢アライメントで,高さ40 cmの台から床反力計への片脚着地動作を行い,筋放電,床反力を測定した。Knee-In & Toe-OutではNeutralよりも大腿直筋の最大筋放電・積分値,外側広筋の積分値,身体内側方向への床反力が有意に大きかった。Knee-Out & Toe-Inでは身体外側方向への床反力が有意に大きかった。結果よりKnee-In & Toe-Outでは,大腿直筋と外側広筋が収縮することで脛骨を前方に強く引き出す力が働き,また身体内側への床反力を受けて大腿骨に対する脛骨の内側への剪断力が生じるため,ACL損傷が起こりやすいのではないかと考えられた。Knee-Out & Toe-Inでは下腿内旋位によるACLの張力の高まりに加え,大腿骨に対する脛骨の外側への剪断力が生じるためNeutralに比してACL損傷が起こりやすいと考えられた。
著者
菊元 孝則 宮川 俊平
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.245-250, 2018 (Released:2018-04-27)
参考文献数
19

〔目的〕本研究は,片脚着地時における矢状面上の下肢関節モーメントが,床反力垂直成分ピーク値にどのような影響を与えているか,明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕対象者は,大学女子バスケットボール部に所属している選手30名とした.三次元動作解析装置を用い,片脚着地時の矢状面上の各下肢関節モーメントを算出し,床反力垂直成分ピーク値との相関関係を検証した.〔結果〕足関節モーメントと床反力垂直成分ピーク値との間に強い負の相関関係が認められた.また,膝関節モーメントとの間には,正の相関関係が認められ,股関節モーメントとの間には,弱い正の相関関係が認められた.〔結語〕本研究の結果から,片脚着地時において足関節モーメントを高値にすることにより,床反力垂直成分ピーク値を抑える効率的な衝撃吸収となる可能性が示唆された.
著者
村上 茂雄 中原 雅美
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.737-739, 2008 (Released:2009-01-28)
参考文献数
13

[目的]本研究は筋力維持増強運動としての他動的関節運動(他動運動)の効果を明らかにするとともに,その具体的方法を検討することを目的とした。[対象と方法]対象は健常男子学生39名であり,対象群と他動運動のみ実施する群,視覚的注意を伴う他動運動を実施する群に分けた。対象群と他動運動群,視覚的注意群に対し筋機能評価運動装置(BIODEX社製 BIODEX SYSTEM3)にて筋出力を計測した。[結果]対象群と比べ他動運動群は膝伸展,屈曲ともに最大トルク値が有意に低下した。視覚的注意群では,伸展最大トルク値のみ有意な低下を示し,他動運動群と比べ最大屈曲トルク値が有意に高値を示した。[結語]視覚的注意を伴う他動運動では部分的ではあるが筋出力発揮に繋がり,筋力維持増強運動として活用できる可能性が示唆された。
著者
小枝 周平 澄川 幸志 佐藤 ちひろ 佐藤 速太 齋藤 峻 白坂 真妃 小山内 隆生
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.655-660, 2016 (Released:2016-10-27)
参考文献数
15
被引用文献数
1

〔目的〕遅発性筋痛(DOMS)に対する超音波療法の温熱刺激が運動時の疼痛やつっぱり感,疲労感などの不快感,運動面の改善につながるかを経時的・即時的な視点で検討した.〔対象と方法〕対象は健常な大学生14名とした.ランダム化クロスオーバー比較試験を行い,超音波照射条件ではDOMS誘発運動後2・4・8日目に連続波の超音波を10分間照射した.超音波照射前後には運動時の疼痛,つっぱり感,疲労感,肘関節運動角度を測定した.〔結果〕超音波照射条件では運動後2日目の超音波照射後にのみ照射前と比べて運動時のつっぱり感や疲労感に有意な改善が認められた.〔結語〕超音波療法の温熱刺激は,DOMSが現れた際に運動時の不快感を一時的に軽減させるのに有効である可能性が示唆された.
著者
稲田 竜太 三谷 保弘 植田 篤史
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.209-213, 2018 (Released:2018-04-27)
参考文献数
26

〔目的〕大腿四頭筋セッティングの肢位の違いが,大腿四頭筋の筋活動に及ぼす影響について検討した.〔対象と方法〕健常男性10名を対象とし,背臥位ならびに腹臥位でのセッティングを実施した.腹臥位でのセッティングは片脚で行い,非支持側の股関節を伸展0°と最大伸展位の2つに設定した.このときの支持側の大腿直筋,内側広筋,外側広筋の筋活動を表面筋電計にて計測した.〔結果〕非支持側の股関節を最大伸展位にした腹臥位でのセッティングは,他の肢位に比べて支持側の大腿直筋の筋活動が有意に増大した.〔結語〕大腿四頭筋セッティングは,腹臥位にて非支持側の股関節を最大伸展位にすることで支持側の大腿直筋の筋活動が増大することが示唆された.
著者
中村 豪志
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.765-769, 2016 (Released:2016-10-27)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

〔目的〕介護老人保健施設における在宅復帰の要因を明らかにすることとした.〔対象と方法〕全国老人保健施設協会に加入している九州・沖縄の介護老人保健施設(542施設)の施設ケアマネジャーとした.郵送による自記式質問紙調査を行った.〔結果〕有効回答は147通だった(回収率27.1%).在宅復帰支援に関する要素は,3因子から構成されていることが分かった.在宅強化型老健は,それ以外の老健と比較して利用者に対するADL支援と家族介護者に対する情報提供支援の実践度が高かった.〔結語〕老健からの在宅復帰には利用者に対するADL支援とともに,家族介護者に対する教育的支援が重要な要因である.
著者
松田 雅弘 渡邉 修 来間 弘展 村上 仁之 渡邊 塁 妹尾 淳史 米本 恭三
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.117-122, 2011 (Released:2011-03-31)
参考文献数
22
被引用文献数
8 5

〔目的〕脳卒中により利き手側の片麻痺を呈した場合,利き手交換練習を行うことが多い。そのため健常者における非利き手での箸操作の運動時,イメージ時,模倣時の脳神経活動を明らかにした。〔対象〕神経学的な疾患の既往のない右利き健常成人5名(平均年齢20.7歳)とした。〔方法〕課題は,左手箸操作運動課題,左手箸操作イメージ課題,左手箸操作の映像をみながら箸操作運動課題(模倣課題)の3種類とし,その間の脳内活動を3.0T MRI装置にて撮像した。〔結果〕運動課題では左右感覚運動野・補足運動野・小脳・下頭頂小葉・基底核・右Brodmann area 44が賦活した。イメージ課題では,運動課題と比べ左感覚運動野・小脳の賦活が消失していた。模倣課題では,左右感覚運動野・補足運動野・上下頭頂小葉・Brodmann area 44が賦活した。〔結語〕イメージ課題と模倣課題には,運動課題時に賦活する領域を両課題とも補う傾向にあることから,箸操作訓練の際には運動課題のみではなく両者を取り入れて行う意味があることが示唆された。
著者
黒川 貴志 勝平 純司 丸山 仁司
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.589-594, 2010 (Released:2010-09-25)
参考文献数
29
被引用文献数
2

〔目的〕本研究の目的は,脊柱後弯を呈する高齢者の歩行の特徴を明らかにすることである。〔対象〕健常高齢者12名と脊柱後弯を呈する高齢者12名の24名とした。〔方法〕脊柱後弯の定量的指標として円背指数を用いて2群(健常群,脊柱後弯群)に分けた。運動学,運動力学的歩行計測のために,赤外線カメラ12台を含む三次元動作分析装置と床反力計6枚を用いた。計測条件は,自由速度とし,歩行動作を3回計測できるまで計測を繰り返した。〔結果〕脊柱後弯を呈する高齢者は立脚後期の股関節外転モーメントピーク値が減少した。また骨盤後傾と回旋角度が増大した。〔結語〕脊柱後弯を呈する高齢者の姿勢のアライメント変化は,前額面上の力学的変化を及ぼしていることが明らかになった。
著者
田中 亮 戸梶 亜紀彦
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.737-744, 2009 (Released:2009-11-25)
参考文献数
27
被引用文献数
4 3

〔目的〕本研究の目的は,我々が開発を進めている「欲求の充足に基づく顧客満足測定尺度(Customer Satisfaction Scale based on Need Satisfaction: CSSNS)」の因子的妥当性を検証するために,検証的因子分析を行って因子構造モデルの適合度を検討することである。〔対象〕対象は,リハビリテーションサービスの利用者311名とした。〔方法〕CSSNSの因子構造モデルとして仮定した斜交モデル,直交モデル,二次因子モデルの適合度を検討するために,構造方程式モデリングによる検証的因子分析を行った。〔結果〕分析の結果,モデル適合度の絶対的指標であるCFIとRMSEAが基準値以上を示したモデルは,斜交モデルと二次因子モデルであった。さらに,モデル適合度の相対的指標であるAICを比較した結果,斜交モデルは二次因子モデルよりも適合が良いことが示された。〔結語〕CSSNSの因子的妥当性は斜交モデルにおいて検証された。