著者
髙橋 忠志 栗田 慎也 久米 亮一 遠藤 聡 尾花 正義
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.917-921, 2020 (Released:2020-12-19)
参考文献数
11

〔目的〕急性期脳卒中患者において,早期離床や立位・歩行練習は,深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)および肺塞栓症(pulmonary embolism:PE)を予防するとされている.今回,発症早期より長下肢装具を用いて歩行練習を開始したが,経過中にDVT・PEを発症した脳出血患者を経験したので報告する.〔対象と方法〕80歳代の女性で右視床出血による左片麻痺を生じた.〔結果〕介入初日より車椅子乗車を開始し,4病日より備品長下肢装具を用いて,歩行練習を開始した.24病日にD-dimerが高値を示し,CTにて左大腿静脈内にDVT,右肺動脈にPEの所見を認めた.〔結語〕DVT・PEを発症した要因として,運動麻痺や脱水,便秘,解剖学的問題などが考えられた.
著者
小山内 正博 舘川 康任 田村 麻美子 清水 弥生 新井 美紗 渡辺 裕介 福山 勝彦 秋山 純和
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.91-94, 2010 (Released:2010-03-26)
参考文献数
19
被引用文献数
1

〔目的〕姿勢変化に伴う側腹筋の活動を超音波画像診断装置と表面筋電図法で検証することである。〔対象〕健常成人9名であった。〔方法〕背臥位で安静呼吸と最大呼出の筋厚と筋活動を測定後,体幹を前傾位,中間位,後傾位で,各円背位と伸張位の6種類の坐位姿勢をとらせて再度測定した。〔結果〕最大呼出時に筋電図は,内腹斜筋だけが中間位伸張に対し前傾位円背,中間位円背,後傾位円背で有意差を認めた。安静吸気時は,筋厚で内腹斜筋に中間位伸張に対し前傾位円背,前傾位伸張,後傾位円背で有意差を認めた。〔結語〕中間位伸張は内腹斜筋の姿勢保持筋としての活動に関与しない姿勢と考えられる。最大呼出時の筋電図から内腹斜筋は呼気筋としての機能を発揮しやすい姿勢と考えられる。
著者
宮崎 純弥 村田 伸 堀江 淳 鈴木 秀次
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.379-383, 2010 (Released:2010-07-28)
参考文献数
28
被引用文献数
4 3

〔目的〕男性高齢者における30秒間の開眼片足立ち保持の臨床的意義ついて,身体機能との関係から検討した。〔対象〕健康調査に参加した男性高齢者57名とした。〔方法〕30秒間の開眼片足立ち保持が可能な者(可能群)と保持ができない者(不可能群)における矢状面脊柱アライメント,大腿四頭筋筋力,足把持力,最大歩行速度,Timed Up and Go test,10 m障害物歩行,6分間歩行距離テストについて,年齢を共変量とした共分散分析で比較した。〔結果〕胸椎後彎角以外のすべての測定項目で,2群間に有意差を認め,可能群が高い能力を示した。〔結語〕開眼片足立ち保持時間が30秒保持可能群と不可能群では,明らかに身体機能に差を認めることから,臨床的意義があることが示唆された。
著者
Seongho Kim Hyungguen Kim Jaeyeop Chung
出版者
理学療法科学学会
雑誌
Journal of Physical Therapy Science (ISSN:09155287)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.579-582, 2014 (Released:2014-04-23)
参考文献数
26
被引用文献数
4 31

[Purpose] The aim of this study was to evaluate the efficacy of using spinal stabilizing exercise to reduce atrophy of the multifidus and psoas major muscles, reduce the levels of pain and disability, and increase paraspinal muscle strength in patients with degenerative disc disease (DDD). [Subjects and Methods] In 33 patients (Age range: 25–65 years) diagnosed with DDD, spinal stabilization exercise was conducted for 8 weeks. The levels of pain and disability were measured before and after exercise using the visual analogue scale (VAS) and the Oswestry Disability Index (ODI). Paraspinal muscular strength in four directions was evaluated with a CENTAUR 3D Spatial Rotation Device. Cross-sectional areas (CSAs) of both the left and right multifidus and the psoas major at the upper endplate of L4 were measured before and after exercise using computed tomography (CT). [Results] After 8 weeks of spinal stabilization exercise, the pain and lumbar disability in subjects decreased significantly from 6.12±1.24 to 2.43±1.14. The ODI score also improved from 20.18±7.14 to 8.81±5.73. In addition, paraspinal muscle strength increased significantly, while the CSAs of the left and right multifidus and psoas major widened as compared with the pre-exercise size. [Conclusion] Spinal stabilization exercise was effective for reducing pain and disability in DDD patients. It was an effective adjunct to aid rehabilitation in these cases.
著者
千葉 哲也 堀本 ゆかり 丸山 仁司
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.803-806, 2020 (Released:2020-12-19)
参考文献数
6

〔目的〕厚生労働省は2015年より50人以上の規模である事業所にメンタルヘルスチェックを義務付けした.当院は外部委託し年 2回実施している.近年管理者間に連携不足を感じ2018年12月の集団分析で管理者と一般職員に分類したところ,管理者の健康リスク値が高値であった.健康リスク値の改善を目的にDonabedianの考えに基づき構造改革を行った.〔対象と方法〕リハビリテーション科44人に対し介入前後の健康リスク値等を比較した.〔結果〕健康リスク値の改善はみられなかったが,離職率は改善した.管理者への対策が一般職員の離職予防の一助になったと考える.〔結語〕多くの施設でメンタルヘルスチェックを活用し,組織分析を行い組織運営改善の一助となることを希望する.
著者
松浦 和文 山崎 文夫
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.175-180, 2021 (Released:2021-04-20)
参考文献数
17
被引用文献数
1

〔目的〕腹式呼吸が気分と脳血流に及ぼす影響を検討した.〔対象と方法〕健常成人10名を対象とし腹式呼吸あるいは通常呼吸を行った後ストループ課題を行った.実験中,前頭部の酸素化ヘモグロビン濃度(Oxy-Hb)を測定し,呼吸前後とストループ課題後の気分を評価した.〔結果〕腹式呼吸後は混乱-当惑,緊張-不安,総合的気分状態得点が低下しストループ課題後も緊張-不安の低下が持続した.Oxy-Hbは腹式呼吸後に低下したが通常呼吸後は増加した.両呼吸条件でストループ課題後にOxy-Hbは増加した.〔結語〕1)腹式呼吸は気分を改善して前頭葉の血流抑制作用をもたらすこと,2)腹式呼吸後に精神性ストレスを受けた際,緊張-不安の低下が持続することで気分も改善傾向が続き前頭葉の血流量も低い傾向があることが示唆された.
著者
村上 雅仁 加藤 順一 高橋 健太郎 前田 慶明 山本 千恵子 細川 晃代 永田 安雄 古川 宏
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.155-157, 2005 (Released:2005-07-27)
参考文献数
9
被引用文献数
3 2

片麻痺を伴う脳血管障害患者200例(男性146例, 女性54例:61±11歳)を対象に,麻痺側と非麻痺側の脈波伝播速度を測定し,運動麻痺が脈波伝播速度に及ぼす影響をみるとともに,機能的自立度評価法(FIM: functional independence measure)による身体活動量との関連について検討した。麻痺側の上腕-足首間脈波伝播速度は非麻痺側と比較して有意に高値を示したが(p<0.0001),脳出血と脳梗塞による病型別および左右麻痺側別では有意差を認めなかった。麻痺側の上腕-足首間脈波伝播速度は年齢と有意に正相関を示し(r=0.56,p<0.05),FIMと負相関を認めた(r=-0.29)。これらの結果より,片麻痺を伴う脳血管障害患者の麻痺側では,非麻痺側と比較して血管の伸展性が低下しているだけでなく,加齢および運動麻痺により身体活動量が低いほど,動脈スティフネスの低下と関連していることが示唆された。
著者
石坂 勇人 水嶋 優太 阿久津 瑞季 秋山 純和 千田 雅之 久保 晃 丸山 仁司
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.461-467, 2016 (Released:2016-07-06)
参考文献数
17

〔目的〕肺癌切除術前後の6分間歩行試験(6MWT)の変化と歩行距離を規定する因子を明らかにすることを目的とした.〔対象〕肺癌切除術を施行した57名を対象とした.〔方法〕術前後で6MWT,呼吸機能検査,膝伸展筋力を測定した.6MWTを従属変数とした重回帰分析を用いた.〔結果〕歩行距離は術後で有意な低下が認められた.術前6MWTの重回帰分析では,最高PR,安静時PR,年齢,%VC,安静時呼吸困難感,膝伸展筋力を独立変数とする有意な変数が得られた.術後6MWTは,年齢,歩行後SBP,%VC,最高PR,安静時呼吸困難感を独立変数とする有意な変数が得られた.〔結語〕術前6MWTには心拍予備能力,術後6MWTには心拍出量が関与し,術前後ともに年齢,%VCの影響を受けた.
著者
伊井 公一 山中 健行 鈴木 一弘 廣瀬 健人 神野 佑輔 山田 和政
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.763-767, 2017 (Released:2017-12-20)
参考文献数
27
被引用文献数
2 1

〔目的〕TUGテストにて転倒リスクが低いと判断される高齢者の転倒要因を明らかにし,転倒予防について検討した.〔対象と方法〕TUGテストが13.5秒以内の高齢女性29人を,非転倒群と転倒群に分類した.歩行課題と起立-歩行課題における定常歩行に至る歩数,起立-歩行課題における起立動作時の前方重心移動速度,身体運動機能,転倒恐怖心を調査し,2群間で比較した.〔結果〕非転倒群(19人)と比較して転倒群(10人)は,起立-歩行課題で定常歩行に至る歩数が1歩多く,前方重心移動速度は有意に遅く,また転倒恐怖心のみ有意に低かった.〔結語〕転倒経験のある転倒低リスク高齢者の転倒要因は転倒恐怖心であり,転倒予防として動作方法の工夫もそのひとつの手段であると考えられた.
著者
橋本 直之 横川 正美 山崎 俊明 中川 敬夫
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.377-381, 2013 (Released:2013-07-16)
参考文献数
23
被引用文献数
2 2

〔目的〕運動強度の違いが,脳血流と注意力に与える影響を検討すること.〔対象〕20~30歳代の健常男性30名.〔方法〕対象者を最高酸素摂取量に応じ20%群,40%群,60%群の各運動群と運動なしのコントロール群に振り分けた.近赤外分光装置にて,運動中の前頭葉領域の脳血流を測定し,運動前後にPaced Auditory Serial Addition Task(PASAT)とPsychomotor Vigilance Task(PVT)を行った.〔結果〕脳血流の変化量は,左右ともに60%群がコントロール群と20%群よりも有意に大きく,PASATの正解数は運動後に40%群と60%群で有意に増加した.〔結語〕60%群は前頭葉領域の血流を増加させるとともに注意機能を向上することが示唆された.
著者
茂原 亜由美 本間 友貴 平山 哲郎 石田 行知 柿崎 藤泰 泉﨑 雅彦
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.467-472, 2019 (Released:2019-08-28)
参考文献数
37

〔目的〕努力呼気における広背筋下部線維筋厚の左右非対称性の有無と,骨盤側方挙上角度,呼吸機能との関連性を検討した.〔対象と方法〕若年健常成人男性20名を対象とし,安静呼気位と最大呼気位での左右広背筋下部線維筋厚,骨盤側方挙上角度を測定,また,呼吸機能検査を実施した.〔結果〕安静呼気位において広背筋下部線維筋厚は右側が厚く,筋厚左右比率と%ICの間に負の相関を認めた.最大呼気位には左側広背筋下部線維筋厚が増大した.最大呼気位での筋厚左右比率と骨盤側方挙上角度,%PE maxの間に負の相関を認めた.〔結語〕左右の広背筋下部線維筋厚は,骨盤の前額面上での水平化および%IC,%PE maxとの間に関連性があることが示唆された.
著者
篠原 智行 土田 奈生子 山根 達也 新藤 香那子 大谷 知浩 石井 大祐
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.645-651, 2019 (Released:2019-10-28)
参考文献数
20
被引用文献数
1

〔目的〕ADL(Activities of daily living)維持向上等体制加算病棟の実情とADL低下の原因を明らかにする.〔対象と方法〕退院患者2460名を対象に,年齢,診療科,在院日数,入退院時のBarthel Index(BI)を調査し,ADL低下の原因を診療録より後方視的に分析した.〔結果〕各平均値は年齢68.4歳,在院日数10.2日,入院時BI67.0点,退院時84.8点,ADL低下率は2.0%であった.ADL低下群では有意に年齢が高く,入院期間が長かったが,ADL低下の有無と診療科には関連はなかった.ADL低下の原因は疼痛や術後の低体力,新規脳血管疾患,悪性腫瘍,呼吸機能の悪化が多かった.〔結語〕ADL低下の予防には年齢や疼痛,術後の低体力に留意する必要がある.
著者
吉田 浩一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.25-32, 2002 (Released:2002-07-24)
参考文献数
11

モーターコントロールのなかで述べられている診療の概念的枠組み,そこで用いられている課題指向型アプローチを最初に概説し,後半では実際歩行分析し診療につなげるために必要な戦略(strategy)レベルの概念および評価について述べた。
著者
徳田 光紀 庄本 康治 冨田 恭治
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.565-570, 2012 (Released:2012-12-05)
参考文献数
18
被引用文献数
6 1

〔目的〕肩関節術後症例に対する経皮的電気刺激治療(TENS)の効果を電極設置部位に着目して比較検討することである.〔対象〕肩関節術後症例12名とした.〔方法〕TENS前,中,後の電流知覚閾値(CPT),疼痛強度(VAS),関節可動域(ROM)を評価した.TENSの電極設置は,疼痛部位の皮膚分節領域と一致させる方法(電極設置A)と一致させない方法(電極設置B)で実施した.〔結果〕電極設置Aでは,電極設置BよりもTENS中,TENS後に有意なCPTの上昇やVASの減少を認めた.また,ROMはどちらの電極設置でも改善された.〔結語〕肩関節術後症例に対するTENSは,疼痛部位の皮膚分節領域上に電極設置部位を一致させると効果的である.
著者
徳田 一貫 新小田 幸一 羽田 清貴 合津 卓朗 田中 泰山 吉田 研吾 木藤 伸宏 菅川 祥枝 本山 達男 川嶌 眞人 阿南 雅也
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.437-442, 2014 (Released:2014-07-03)
参考文献数
23
被引用文献数
1 2

〔目的〕変形性膝関節症のlateral thrustと膝関節の回旋の関係を明らかにすることである.〔対象〕対照群8人,膝OA群13人であった.〔方法〕ハイスピードカメラを用いて歩行立脚時の関節角度を解析し,3軸角速度計を用いて大腿と下腿の回旋角速度を解析した.〔結果〕対照群に比し,軽度膝OA群は荷重応答期から立脚中期の下腿の外旋角速度が有意に小さく,重度膝OA群は立脚期の両肩峰傾斜,下腿傾斜,膝関節内反角度が有意に大きかった.膝OA群の膝関節内反角度は,荷重応答期から立脚中期の下腿の外旋角速度が関連要因であった.〔結語〕膝OAの初期は荷重応答期から立脚中期の大腿部に対する下腿部の適合性が低下し,膝OAの重症化に伴いlateral thrustへと繋がることが示唆された.
著者
相澤 高治 松田 雅弘
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.547-550, 2013 (Released:2013-10-08)
参考文献数
12

〔目的〕今回の研究目的は,切り返し動作を含むジャンプ動作と股関節筋力および膝関節筋力との関連性を検討した.〔対象〕下肢に整形外科疾患のない健常成人32名(平均年齢21.05歳)とし,被験者には事前に研究内容の説明を行い,同意を得た.〔方法〕等速性筋力測定器(BIODEX)を用いて股関節・膝関節の屈曲・伸展筋力を3回計測した.ジャンプ動作は利き足片脚で6 m HOPジャンプ,8字走ジャンプ,スラロームジャンプの3種類とし,そのゴールへの到達時間を測定した.筋力とジャンプの測定値をPearsonの相関を用いて検討した.〔結果〕股関節・膝関節筋力と3種類のジャンプに有意な相関が認められた.〔結語〕直線のジャンプ動作よりも切り替えしの多いジャンプ動作で筋力との関連があり,特に膝関節屈曲筋力との関連が最もみられた.
著者
小暮 英輔 原 毅 大沼 剛 森山 隆 阿部 勉
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.435-437, 2020 (Released:2020-06-20)
参考文献数
9
被引用文献数
1

〔目的〕スパイロメーターから得られた換気機能と最長発声持続時間(Maximum Phonation Time:MPT),最長呼気持続時間との併存的妥当性を調査することを目的とした.〔対象と方法〕呼吸器関連に異常がない健常者23名を対象とした.調査項目は基本属性,スパイロメーターから得られた換気機能,MPT,最長呼気持続時間とした.MPTと最長呼気持続時間と各評価指標との関係性を調査した.〔結果〕MPTと最長呼気持続時間は有意に正の相関を認めた.MPTは肺活量,%肺活量と正の相関を認めたが,最長呼気持続時間はどの換気機能とも相関を認めなかった.〔結語〕MPTは,肺活量を簡易的に評価できる測定方法である可能性が示唆された.
著者
鈴木 優喜子 原田 祐輔 下田 信明 望月 秀樹
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.251-255, 2020 (Released:2020-04-20)
参考文献数
23

〔目的〕視空間認知障害に対する介入研究の介入デザイン,対象疾患,介入方法と効果,評価指標について分析することを目的とした.〔方法〕国内文献データベースを用いて検索した.〔結果〕適格基準を満たした文献は14編であった.準ランダム化比較試験(RCT)が1編,非RCTが2編,前後比較研究が11編であった.対象疾患は脳卒中が14編であった.介入方法は9種類あり,それらのうち8種類の介入で視空間認知障害に有意な改善を示した.〔結語〕視空間認知障害に対するRCTによる研究や脳卒中の半側空間無視以外を対象とした視空間認知障害についての研究が不足していることが示された.
著者
末吉 のり子 太田 玉紀 村山 敏夫
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.913-917, 2015 (Released:2016-01-09)
参考文献数
9
被引用文献数
1

〔目的〕バレエの引き上げ姿勢を評価するために,X線撮影像を用いて脊柱アライメント変化を検証した.〔対象〕バレエ経験年数の異なる健常成人女性9名とした.〔方法〕脊柱X線撮影では普段の立位姿勢(NP)とバレエの姿勢(BP)での脊柱アライメントの評価を仙椎傾斜角(SIA),腰椎前弯角(LLA)にて行い,第1腰椎上縁と交わる垂線と水平線のなす角を(PUA)と定義した. 被験者がNPからBPに姿勢を変化させた際の各角度変化を計測した.〔結果〕適切な引き上げ姿勢を取れるものは脊柱の生理的弯曲が減少し,そうでない者との差がみられた.〔結語〕バレエの姿勢は経験によって異なり,SIA, LLA, PUAを測定することによって引き上げ姿勢を評価できる可能性があることが示唆された.
著者
吉澤 隆志 藤沢 しげ子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.35-39, 2009 (Released:2009-04-01)
参考文献数
11
被引用文献数
1

〔目的〕自己学習授業と従来授業における授業意識の比較と,学習意欲との相関を検討した。〔対象〕某A専門学校理学療法学科学生(116名)とした。〔方法〕自己学習授業と従来授業とを実施し,授業意識アンケート結果について因子分析を行い,両者を比較した。また,学習意欲アンケート結果との相関を調べた。〔結果〕自己学習授業における因子分析結果のうち第1因子(自ら授業に取り組む姿勢)および第3因子(クラスメイトとの交流)は,従来授業よりも下位尺度得点が高かった。また,第1因子は主に内発的動機づけ,第3因子は学院への適応度との相関が見られた。〔結語〕自己学習授業は,内発的動機づけや学院への適応度を高めることの出来る授業形式であると考えられた。