著者
内田 智也 古川 裕之 松本 晋太朗 小松 稔 野田 優希 石田 美弥 佃 美智留 大久保 吏司 藤田 健司
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.791-794, 2016 (Released:2016-12-22)
参考文献数
15

〔目的〕我々が考案したSingle Leg Up Downテスト(以下SLUDテスト)と体重支持指数(以下WBI)の関連について検討すること.〔対象と方法〕中学野球選手202名にSLUDテストおよびWBI(等尺性最大膝伸展筋力を体重で除した値)を測定した.非投球側のSLUDテスト遂行可能な高さで群分けし,各群間のWBIをKruskal-Wallis検定,多重比較法を用いて比較した.〔結果〕SLUDテスト40 cm,30 cm,20 cm,10 cmのWBIの平均はそれぞれ0.79±0.18,0.87±0.20,1.00±0.19,1.04±0.24であり,40 cmと30 cmの各群に対して,20 cm,10 cmの各群が高値を示した.〔結語〕スポーツ選手に必要な筋力はWBI 1.0以上とされていることからも,20 cm台からのSLUDテスト遂行の可否が下肢筋力のスクリーニングテストとして有用であることが示された.
著者
平賀 篤 髙木 峰子 隆島 研吾 鶴見 隆正
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.505-510, 2019 (Released:2019-08-28)
参考文献数
19

〔目的〕本研究の目的は,健常成人に対し超音波療法(ultrasound therapy:US)とスタティックストレッチング(static stretching:SS)の実施条件による検証を行い,併用の有効性を明らかにすることとした.〔対象と方法〕健常成人男性13名を対象とした.下腿三頭筋の筋腱移行部に対しUSとSSを,①US照射中にSSを同時実施,②US照射直後にSS実施,③US単独実施,④SS単独実施の4条件で実施した.測定項目は足関節背屈可動域,深部組織温,深部血流量とし,介入前後の変化量を比較した.〔結果〕背屈可動域の変化は,US同時群が他条件に比べ有意な増大を認めた.US直後群はUS単独群,SS単独群と比べ有意な増大を認めた.〔結語〕可動域変化を目的に行う場合,USとSSを同時に行う重要性が示唆された.
著者
茂内 卓 佐々木 誠
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.495-498, 2019 (Released:2019-08-28)
参考文献数
19

〔目的〕本研究の目的は,立位での動的バランステストにおける腹部ベルト装着の効果を検討することである.〔対象と方法〕対象は,健常大学生14名とした.腹部ベルト装着時,非装着時における前方リーチテストのリーチ距離,5 mの継ぎ足歩行の時間,段差踏み換えテストの時間を計測し比較した.〔結果〕前方リーチテストと継ぎ足歩行テストでは,ベルト装着の有無による差がなかった.段差踏み換えテストでは,ベルト装着時に時間が有意に短縮した.〔結語〕健常者における腹部ベルトの装着は,立位での動的バランス能力を要する3種類の動作課題のうち,段差踏み換えテストで有効であることが示された.この理由として,動作課題の難易度と課題の動作特性の要因が影響している可能性があると推察された.
著者
秋葉 崇 小川 明宏 寺山 圭一郎 土谷 あかり 中川 晃一 榊原 隆次 丸岡 弘
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.695-699, 2017 (Released:2017-10-23)
参考文献数
16
被引用文献数
2

〔目的〕足関節底背屈運動が血行動態と自律神経系に与える影響を検討し,起立性低血圧の対処法としての一助とすること.〔対象と方法〕対象は健常男性8人(年齢28.8 ± 5.3歳)とした.プロトコルは,5分間の安静座位の後,1分間の足関節底背屈運動を行い,再度5分間の安静座位を保持した.その間,循環動態と自律神経の反応を評価した.〔結果〕心拍数,一回拍出量,心拍出量は,安静時の値と比較して,足関節底背屈運動中の値が有意に高値を示した.また,その効果は運動後1分まで持続した.LF/HF,HFなどの自律神経系の反応は,有意な変化が認められなかった.〔結語〕足関節底背屈運動の即時効果が認められ,その効果は1分程度持続した.足関節底背屈運動が,起立直後の血圧低下を回避する方法としての一助となる可能性が示唆された.
著者
多久和 良亮 岡田 恭司 若狭 正彦 齊藤 明 木元 稔 鎌田 哲彰
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.93-96, 2017 (Released:2017-02-28)
参考文献数
18
被引用文献数
1

〔目的〕頭頸部伸展位が片脚着地動作に及ぼす影響を明らかにすること.〔対象と方法〕対象は,健常成人女性31名(平均20.1歳)とした.高さ30 cm台からの片脚着地動作を,頭頸部屈曲伸展中間位と,頭頸部伸展位の2条件で行った.片脚着地時の最大の膝関節屈曲と外反角度,体幹前後屈,側屈角度,および着地位置を測定し,条件間で比較した.〔結果〕頭頸部伸展位での着地では頭頸部屈曲伸展中間位の着地に比べて最大膝関節外反角度が有意に大きかった.最大膝屈曲角度と体幹前後屈,側屈角度,着地位置には有意差はみられなかった.〔結語〕頭頸部伸展位での片脚着地動作は膝関節外反角度を増大させ,非接触型前十字靭帯損傷の一要因となると推察された.
著者
樋口 大輔 新谷 和文 内山 靖
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.533-539, 2007 (Released:2008-01-31)
参考文献数
15
被引用文献数
1

頚髄症に対する理学療法評価項目とその判定基準を提示することを目的とした。頚髄症者55人を対象に,代表的な評価指標の中から下位項目ごとの度数分布を示し,下位項目間の関連性を検証した。その結果,手指巧緻運動障害および歩行障害は,自立度のみではなく,動作の円滑性や困難度を含めた機能・能力を評価することが適切であった。また,感覚障害は体幹の感覚障害の有無や日常生活活動への影響を考慮することが必要であることが示された。膀胱直腸障害は,排尿の開始遅延や頻尿の有無をまず聴取すべきである。今後は,これらの評価項目に基づき,頚髄症に対する効果的な理学療法を実践していくための障害構造および介入課題の検証を進める必要がある。
著者
古後 晴基 村田 伸 村田 潤 仲村 匡平
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.631-634, 2010 (Released:2010-09-25)
参考文献数
16
被引用文献数
3

〔目的〕本研究は,乾熱法と湿熱法でホットパック(以下HP)施行後の筋硬度の変化に及ぼす効果を比較検討した。〔対象〕健常成人10名(男性7名,女性3名,平均年齢22.3±6.8歳)の両下肢(20脚)を対象とした。〔方法〕被験者は腹臥位で,下腿部後面に直接HPを20分間施行した。湿熱法ではパックを直接コットンタオル(8層)で巻き,乾熱法ではパックをビニール袋で包んだ後,コットンタオル(3層)で巻いてHPを施行した。HP施行前,乾熱法および湿熱法HP施行後の腓腹筋内側頭の筋硬度を比較した。〔結果〕HP施行前の筋硬度に比べ,湿熱法および乾熱法によるHP施行後の筋硬度はともに有意に低下した。ただし,湿熱法と乾熱法後の筋硬度にも有意差が認められ,湿熱法の方が乾熱法より有意に低下した。〔結語〕HPは筋硬度を低下させる手段として有効であり,とくにその効果は湿熱法の方が乾熱法より高いことが示唆された。
著者
大槻 桂右
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.779-782, 2013 (Released:2014-01-21)
参考文献数
14

〔目的〕非特異的急性腰痛症と診断された1症例を対象に,大腿筋膜張筋(tensor fasciae latae muscle; TFLM)へのダイレクト・ストレッチング(direct stretchig; DS)を実施し,即時的効果を検証し,4週間継続フォローすることである.〔対象〕症例は非特異的急性腰痛症と診断された患者(60歳,女性)とした. 〔方法〕研究デザインはシングルケースで,腰痛緩和肢位を実施するA期とTFLMに対してDSを実施するB期で構成されるAB型とした.visual analog scale (VAS),指床間距離 (finger floor distance; FFD),下位腰椎後弯域(posterior lumbar flexibility; PLF)を評価指標とし,二項検定を用いて分析した.〔結果〕B期のVAS,FFD,PLFはA期と比較して,有意な改善を示した.また腰痛の訴えは2週間後になくなった.〔結語〕TFLMに対するDSが急性腰非特異的腰痛症に対して即時的効果を発揮することが示唆された.
著者
田代 峻一 髙嶋 美和 岩田 幸子 森田 正治 髙嶋 幸男
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.125-129, 2019 (Released:2019-02-26)
参考文献数
13

〔目的〕周産期脳障害において早期MRIから脳障害特性評価と予後予測の可能性を調査する.〔対象と方法〕療育施設利用者のNICU退院時頭部MRIより在胎週数別に異常部位の視覚的評価と部位別の径計測,また白質異常部位と臨床所見と対比した.〔結果〕すべての群で大脳白質に異常所見が多く,白質部位別では在胎22~26週群では全体,27~32週群では中間部と脳室周囲,33~36週群では中間部,37~40週群では皮質下に異常が多くみられた.白質の皮質下異常では自閉スペクトラム症が有意に多く四肢麻痺と重度知的障害が多い傾向にあった.脳室周囲異常では軽度知的障害が有意に多く痙性両麻痺が多い傾向にあった.〔結語〕大脳白質異常は在胎週数別で特徴があり,予防的リハビリを実施することは重要である.
著者
八木 優英 鈴木 謙太郎 阿南 雅也 新小田 幸一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.373-377, 2012 (Released:2012-09-07)
参考文献数
11
被引用文献数
1

〔目的〕本研究は,足関節機能的不安定性(FAI)を有する者の片脚立位時の運動学的および運動力学的な特徴を明らかにすることを目的として行った.〔対象〕片側足関節にFAIを有する若年成人11人(男性9人,女性2人)を対象にし,患側と健側で比較した.〔方法〕課題動作は側方一歩移動後の片脚立位とし,運動学的および運動力学的情報を3次元動作解析システムおよび床反力計にて計測・解析した.〔結果〕後行肢股関節外転運動中の内部股関節内転モーメントの積分値,先行肢内部股関節内転モーメントの積分値,後行肢離床後の股関節内外転・体幹側屈の角度変化量・角速度は患側が健側より有意に高値を示した.さらに動作時間は患側が健側より有意に延長した.〔結語〕患側条件において,後行肢での身体重心の制動を強め動作を行ったが,股関節・体幹を多く用いた姿勢制御を行い,動作に時間を要した.
著者
山内 智之 来間 弘展 雨宮 耕平
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.535-539, 2018 (Released:2018-07-06)
参考文献数
30

〔目的〕超音波Shear Wave Elastography(SWE)を用い大腿四頭筋のセッティング運動における大腿四頭筋の筋硬度を測定し,大腿四頭筋各筋の筋活動の違いを明らかにすることとした.〔対象と方法〕対象は健常男性14名の右下肢とし,測定肢位は股関節55°屈曲位の長座位姿勢とした.運動課題は膝関節0°伸展位で膝窩を支点とした膝関節伸展運動を実施し,筋硬度測定は,大腿四頭筋各筋に対して超音波診断装置のSWEモードを用い無作為にて測定した.筋弛緩と収縮時での筋硬度の変化率を検討した.〔結果〕中間広筋は他の3筋に対して有意に筋硬度が高値であり,その他の筋間には有意差を認めなかった.〔結語〕膝関節伸展位では大腿四頭筋のうち中間広筋の活動が重要であることが示唆された.
著者
濱島 一樹 兼岩 淳平 工藤 慎太郎
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.177-180, 2012 (Released:2012-06-13)
参考文献数
18
被引用文献数
2

〔目的〕静止立位(立位)と,下腿最大前傾位(前傾位)の内側縦アーチ(MLA)の測定の差から,動作時におけるMLAの形態の変化を求める方法の再現性を検討すること.〔対象〕下肢疾患の既往のない健常成人8名8足(男女各4名)とした.〔方法〕測定項目は,アーチ高率(AR)と踵部角(CA)とした.また,測定肢位は立位と前傾位とし,各項目の信頼性を検討した.〔結果〕ARは両肢位共に高い再現性を示した.一方,CAは両肢位ともに再現性は低値を示した.しかし,測定経験や触診技術により,再現性が改善し得ることが示唆された.〔結語〕同方法は,臨床での使用に十分な再現性が得られることが示唆されたと考える.
著者
石田 和宏 対馬 栄輝 梅野 恭代 佐藤 栄修
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.731-737, 2011 (Released:2012-02-04)
参考文献数
17

〔目的〕本研究の目的は,brief scale for evaluation of psychiatric problems in orthopedic patients (BS-POP)における測定の信頼性を求めることとした.〔対象〕BS-POPには,“患者用”と“治療者用”が存在する.対象は,“患者用”で慢性腰痛者10名,“治療者用”で腰椎椎間板ヘルニア患者42名とした.〔方法〕“患者用” と“治療者用”の検者内・検者間信頼性を求め,各質問項目別ではκ係数,順位相関係数,一致度を指標とした.〔結果〕“患者用”のICC(1,1)は0.98,“治療者用”のICC(1,1)は0.90,“治療者用”のICC(2,1)は0.87であった.質問項目別では“治療者用”における検者間信頼性の2項目を除き,κ係数あるいは順位相関係数にて中等度以上の相関または81%以上の高い一致度を示した.〔結語〕BS-POPにおける測定の信頼性は全般的に良好であった.しかし,“治療者用”の一部の項目では,検者間信頼性が低かった.
著者
岩下 篤司 小西 有人 吉田 正樹
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.183-187, 2013 (Released:2013-06-25)
参考文献数
28
被引用文献数
2

〔目的〕ペダリングとトレッドミル歩行,スクワット時の下肢筋活動量を比較検討することとした.〔対象〕健常成人9名とした.〔方法〕筋電図を用い,仕事率60 Wと120 Wでのペダリング,4 km/hと6 km/hでのトレッドミル歩行,60回/分でのスクワットの動作における筋活動量を計測した.〔結果〕歩行時と比較した筋活動量を見ると,大腿四頭筋ではスクワットとペダリング(120 W)で,腓腹筋は歩行(6 km/h)で,ハムストリングスは歩行(6 km/h)とペダリング(120 W)で,前脛骨筋は歩行(6 km/h)やスクワット動作でそれぞれ高値を示した.〔結語〕大腿筋群の強化にはペダリングとスクワットがよく,またペダリングとスクワットでは腓腹筋が,ペダリングでは前脛骨筋が歩行よりも筋活動が少なく訓練効果が少ない.
著者
近藤 裕貴 岩田 学
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.577-581, 2011 (Released:2011-11-25)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

〔目的〕体幹筋へのアプローチとして,臨床場面でのSLRの活用方法を見出すために下肢伸展挙上(以下,SLR)保持における非挙上側下肢の条件設定によって,下肢・体幹筋活動がどのように変化するか調査した.〔対象〕健常男性21名(年齢20.6±3.7歳)を対象とした.〔方法〕課題動作は,非挙上側下肢を鉛直下方向に押すことを強調したSLR保持:「押す」,押さないことを強調したSLR保持:「押さない」,特別な条件を加えない通常のSLR保持:「通常」,の3条件とした.非挙上側下肢の肢位は股・膝関節伸展位とした.表面筋電図により,脊柱起立筋,腹直筋,内側ハムストリングス,大腿直筋,それぞれ左右両側の計8筋の筋活動を測定した.〔結果〕脊柱起立筋は「押す」,腹直筋は「押さない」において,左右両側とも他の2条件に比べて有意に%MVCが高かった.〔結語〕「押す」,「押さない」の2条件は,脊柱の運動が制限されていても様々な臨床場面で体幹筋活動を促して,体幹機能の賦活化を図ることが可能であることが示唆された.
著者
平井 達也 吉田 大輔 島田 裕之
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.177-181, 2017 (Released:2017-05-02)
参考文献数
18
被引用文献数
2 1

〔目的〕本研究の目的は,高齢入院患者におけるサルコペニアの実態調査,サルコペニアと栄養,ADL能力および認知機能との関連を検討することである.〔対象と方法〕高齢入院患者60名(82.8 ± 7.5歳)を対象とし,SMI値からサルコペニア有症群と非有症群を分類した.調査項目は疾患名,入院病棟,入院期間,入院時血液生化学的検査,入院時ならびに調査時(2013年12月)FIM,MMSEとした.〔結果〕サルコペニア有症率の男女差はなく,病棟型別,疾患別の比較では有意差があった.ロジスティック回帰分析では入院時FIMが有意な変数であった.〔結語〕歩行が自立していない高齢入院患者のサルコペニアは入院時のADL能力と関連することが示唆される.
著者
木村 大輔 岩田 晃 川﨑 純 島 雅人 奥田 邦晴
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.631-635, 2011 (Released:2011-11-25)
参考文献数
17
被引用文献数
1

〔目的〕2009年度の大阪国際車いすテニストーナメントのメディカルサポート(以下MS)における障害調査から,車いすテニス選手のスポーツ障害の特性を明らかにする.〔対象〕MSを利用した車いすテニス選手53名とした.〔方法〕記録表を用い,車いすテニス選手の原疾患,障害部位,疼痛動作と疼痛部位についてMSの結果から集計を行った.〔結果〕一般テニス選手は肘関節障害が多いと報告されているが,車いすテニス選手では,障害部位の総件数のうち55%に肩関節障害を認めた.疼痛動作に関して,サーブ動作が最も多く,特にフォワードスイング相に多く認められた.〔結語〕車いすテニス選手にとって,サーブ動作は肩関節に負担の大きい動作であることが示唆された.
著者
木村 愛子 内田 芙美佳 鈴木 哲
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.563-567, 2017 (Released:2017-08-20)
参考文献数
24

〔目的〕介護職員に対する腰痛に関する情報提供が,破局的思考および腰痛予後に対する認知に与える影響,またその影響と腰痛の有無・程度との関連性を検討することとした.〔対象と方法〕対象は介護職員29人とし,腰痛に関する情報提供を講義形式の研修会にて行った.対象者を腰痛群と非腰痛群の2群に分け,介入前後間で評価項目の得点を比較した.〔結果〕腰痛予後に対する認知の得点は,腰痛群と非腰痛群のいずれも,介入後に有意に向上した.破局的思考の得点は,非腰痛群では介入後に有意に改善したが,腰痛群では有意な変化はみられなかった.〔結語〕介護職員に対し腰痛に関する情報提供を行うことで,腰痛のある者には破局的思考および腰痛予後に対する認知を,腰痛のない者には腰痛予後に対する認知を改善できる可能性が示唆される.
著者
渡邉 五郎 藤平 知佳音 星 賢治 蒲田 和芳
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.593-599, 2019

<p>〔目的〕ハイヒール着用での歩行は,しばしば歩容の変化や足部・足関節の疼痛,捻挫などの外傷を引き起こす.本研究の目的を,ハイヒール用インソール(IHS)が,ハイヒール着用中の立位バランス能力向上に及ぼす効果を明らかにすることとした.〔対象と方法〕対象者は若年健常女性20名で,ハイヒール着用下で,①開眼片脚立位,②開眼片脚スクワット,③開眼足踏み動作の3試技を重心動揺計上で行った.各試技での総軌跡長,単位軌跡長,外周面積,前後・左右の位置ベクトルを記録し,IHSの有無で比較した.〔結果〕IHSの使用により,開眼片脚スクワットと開眼足踏み動作で重心動揺が有意に減少した.〔結語〕IHSの使用はハイヒール着用下での階段降段,歩行の安定性向上につながる可能性が示唆された.</p>
著者
池田 耕二 山本 秀美 黒田 未貴 河野 茉梨絵
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.175-180, 2016
被引用文献数
3

〔目的〕がんサバイバー1人の二つの体験から理学療法ケア(心理的ケア,配慮,工夫など)構築のための有効な視点を提示すること.〔対象〕直腸がんによるストーマの造設と化膿性関節炎による大腿骨骨頭の切除を同時に体験した40歳代の男性1人とした.〔方法〕構造構成的質的研究法をメタ研究法においた事例─コード・マトリックス法とした.〔結果〕本男性の体験は,【排泄機能の変更体験】と【下肢支持機能の停止体験】という二つの体験事例と,【生活レベルの変化の感じ方】,【機能変更,停止による感情表出】,【機能変更,停止に対する受け止め方】,【患部に対する認識】,【患部に対する接触行動】,【機能変更,停止による新たな学習】の六つのコード(カテゴリー)から構成された.二つの事例比較からは,生活レベルの変化の感じ方や機能変更,停止による感情表出,受け止め方,新たな学習の内容に違いが認められ,患部に対する認識や接触行動の内容には共通したものが認められた.〔結語〕直腸がんによるストーマ造設後と化膿性関節炎による大腿骨骨頭切除後のがんサバイバーに対する理学療法ケア構築のための有効な視点が提示できた. <br>