著者
熊埜御堂 毅 福永 昌夫 鎌田 正信 今川 浩 安藤 泰正 和田 隆一 新田 仁彦 秋山 綽
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.1191-1197, 1986-12-15

西日本地域の馬飼養地2箇所において, 1980年5月11日〜11月18日の期間, 隔週に採集した雌成虫蚊33,604匹から, Vero及びHmLu-1細胞培養によって計13株のウイルスが分離された。これら13株中4株はゲタウイルス, 9株は日本脳炎ウイルスと同定された。ゲタウイルス4株中3株は宮崎競馬場から採集されたコガタアカイエカ200プール19,465匹から分離され, 感染率は1:6,488であった。残りの1株は栗東トレーニング・センターで採集された5,897匹のコガタアカイカから分離された。宮崎競馬場及び栗東トレーニング・センターにおけるコガタアカイエカは全採取蚊種のそれぞれ85.1%及び54.5%を占め, 両調査地において捕獲されたキンイロヤブカは2%以下であった。以上の成績から西日本地域の散発的ゲタウイルス感染症においては, コガタアカイエカが主要ベクターであることが示唆された。
著者
高瀬 公三 西川 比呂志 野中 富土男 山田 進二
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.567-574, 1985-08-15
被引用文献数
3

肉用鶏の腱鞘炎由来トリレオウイルス58-132株の病原性を検索した. 1日齢SPFひ^^.な^^.に58-132株を皮下接種すると, 10^<2.7>PFU/羽以上でひ^^.な^^.は全例死亡し, LD_<50>は10^<0.8>PFUであった. 10^<5.7>PFU/羽の経口接種では14羽中10羽が死亡した. 58-132株を7日齢以下のひ^^.な^^.に経口接種すると生残ひ^^.な^^.の全例に腱鞘炎が認められたが, 14日齢接種では5羽中3羽のみが発病し, 21日齢以上のひ^^.な^^.への接種では発病例はなった. また, 感染ひ^^.な^^.と同居させたひ^^.な^^.の全例に腱鞘炎が発生し, ウイルスが回収され抗体も陽性を示した.
著者
鹿江 雅光 井土 裕児 花見 正幸 戸田 光敬 原 行雄
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.73-76, 1979-02-25

乳用雄若令肥育牛64頭について検討したところ, 肝膿瘍が18頭(28%)に, 第一胃等の損傷が33頭(51.8%)に認められ, また, 前者の13頭に第一胃等の損傷が観察された. 肝膿瘍牛ではA/Gの減少がみられた. 細菌学的には, 肝膿瘍全例からF. necrophorum phase Aに属する菌が分離され, その菌数は平均10^<6.2>/gであった. 本菌のVPI 2891株を抗原とした寒天ゲル内沈降反応では肝膿瘍牛血清のうち14例が陽性を示し, また, 凝集反応では本血清の多くが1:64から1:1024の凝集価を示した.
著者
斉藤 久美子 田川 雅代 長谷川 篤彦
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.65, no.7, pp.797-799, 2003-07-25
被引用文献数
2 11

人の梅毒検査用RPRテストが兎梅毒の診断にも有用であることが報告されていることから,日本の伴侶兎について兎梅毒の血清学的調査を行った。2001年4月から2002年3月の1年間に来院した兎で,梅毒の症状も発症歴もなく,交尾歴のない単独飼育の伴侶兎100頭に対してRPRテストを行ったところ,35例が陽性,65例が陰性であった。伴侶兎における本症予防のためにはRPRテストを行って繁殖兎を選別する必要性があるものと思われた。
著者
渡来 仁 杉本 千尋 尾上 貞雄 小沼 操 保田 立二
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.17-22, 1995-02-15
被引用文献数
3

Theileria sergenti のレセプターとして, ウシ赤血球膜ガングリオシドが機能しうるか否かを調べるために, ウシ赤血球膜由来のガングリオシドならびにウシ赤血球膜のガングリオシドと同じ糖鎖構造を持つガングリオシドをリポソームに組み込み, 原虫によるリポソーム凝集反応を行った. 原虫は, N-アセチルノイラミン酸(NeuAc)を持ったI型ガングリオシドを組み込んだリポソームを弱く, またN-グリコリルノイラミン酸(NeuGc)を持ったI型ガングリオシドを組み込んだリポソームを強く凝集したが, GM3(NeuAc), GM3(NeuGc), sialosylparagloboside(SPG) (NeuAc), SPG(NeuGc), i型ガングリオシド(NeuAc)ならびにi型ガングリオシド(NeuGc)を組み込んだリポソームは凝集しなかった. このことは, ウシ赤血球膜のI型ガングリオシド(NeuAcおよびNeuGc)が, T. sergenti のレセプターとして機能していることを示唆するとともに, I型ガングリオシド(NeuAc)に比べてI型ガングリオシド(NeuGc)のほうが, ウシ赤血球膜において, T. sergenti のレセプターとして強い活性を持っていることを示唆している. さらに, T. sergenti 感染前後の赤血球を用いて, ウシ赤血球膜のガングリオシド組成の変化を分析したところ, T. sergenti 感染後において, I型ガングリオシド(NeuAc)の量が僅かに(p < 0.05), またI型ガングリオシド(NeuGc)の量が顕著(p < 0.01)に減少した. しかしながら, 他のガングリオシドにおいては, T. sergenti の感染に伴う変化が認められなかった. この現象は, T. sergenti 感染後の赤血球においては必ず認められ, T. sergenti感染に伴う特徴的なガングリオシドの組成の変化であることが示された.
著者
Kim Junghyun Chung Han-Kook Jung Taewon CHO Wan-Seob CHOI Changsun CHAE Chanhee
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.57-62, 2002-01-25
被引用文献数
6 70

1999年1月から2001年12月までの間に発生した離乳後全身性消耗症候群について, 疫学, 組織病変および混合感染の有無についてレトロスペクティブに調べた.離乳後全身性消耗症候群の診断は臨床所見(体重遅延), 特徴的な組織病変(肉芽腫性炎と封入体形成)と病変中のサーコウイルス-2(PCV-2)の存在によってなされた.これらの所見に基づいて1, 243例中の133例(8.1%)が離乳後全身性消耗症候群と診断された.年齢は25日齢から120日齢の間に分布していたが, 大多数は60日齢から80日齢(78例, 58.6%)に集中していた.発生は年間を通してみられたが, 5月(38例, 28.6%), 4月(18例, 13.5%), 6月(13例, 9.8%)の順に多かった.特徴的, 普遍的病変は, リンパ節, 肝臓および脾臓における多発性の類上皮細胞と多核巨細胞からなる肉芽腫性病変であった.また大多数の例(113例, 85, 0%)で混合感染がみられた.PCV-2とヘモフィルス・パラスイス(43例, 32.3%)ついで豚生殖器・呼吸器症候群(39例, 29.3%)との混合感染が多かった.病変部には他のウイルスや細菌に比べPCV-2の存在が圧倒的に多かったことから, 離乳後全身性消耗症候群の病因としてPCV-2が強く示唆された.
著者
清水 晃 尾崎 潤一郎 河野 潤一 斉藤 吉広 木村 重
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.355-357, 1992-04-15
被引用文献数
5

検索した8種類の動物およびヒトの皮膚からブドウ球菌が高率に分離された. 動物で分離頻度の高かった菌種はノボビオシン(NB)抵抗性のもので, なかでもStaphylococcus xylosusがブタ, ウシ, ウズラ, ニワトリ, マウス, ラットの皮膚に広く分布していることがわかった. また, ニワトリからはNB感受性のS. aureusとS. hyicusも比較的多く分離された. ヒトから分離されたブドウ球菌はすべてNB感受性の菌種であった.
著者
加藤 久弥 村上 敏明
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.39-PLATE I, 1962-01-25

1959年4月, 定型的リステリア(以下Lと略)脳炎で弊死した羊を剖検し, 偶然, 鼻洞に寄生する羊蝿 Oestrus ovis の幼虫を発見した. 採取した9匹の幼虫の内2匹を試みに培養し, 残り7匹はフォルマリン標本とした. また, 後に同一牧場から得た5頭(健康羊3, 急性鼓張2)から22匹の幼虫を採取してL菌の培養に供した. 各材料は夫々減菌食塩氷で10回洗滌し, 5mlの食塩水乳剤としてその0.2mlを平板に塗抹し, 37℃, 24時間培養した. いづれの場合も虫体の最終洗滌液を培養して無菌なることを確めた. 結果は第1表の如く, L症羊寄生幼虫2匹の内1匹からL菌(K16株)が殆ど純培養状(Fig.1)に分離された. 本株の生物学的性状及び血清学的型別を行い, 1型菌と同定された(Tables 2〜4). 従来L症の自然感染要約については種々の推論があり, 齧歯類, 野獣, 野鳥等, 或はサイレージ等区々として, 未だ確立されていない. 羊蝿とL症の関係について1937年, GILL により示唆されたが, その後これを支持する研究が出なかった. 今回の著者等の報告は GILL に次いで, 羊蝿幼虫からL菌を分離した第2例である. 先に, 著者等は盛岡における羊蝿の生活環を研究した. 一方1951年以降10年間の日本における家畜のL症の発生時期が外国と同じく晩冬初夏の候に限局することを知った. 之等の事実と羊蝿のL症との関係を追及することは興味あるものと考える.
著者
小澤 真 大橋 和彦 小沼 操
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.1237-1241, 2005-12-25

ニューカッスル病(ND)はニューカッスル病ウイルス(NDV)により引き起こされる鶏の最も重要な感染症のひとつあり, 生および不活化ワクチンにより制御されている.しかしNDVは多種類の野鳥など, ワクチンされていない鳥に感染し, これらの感染がNDの発生・伝播に重要な役割を果たしているので, 野外での新たなNDの制御法が必要である.ファージディスプレイ法は目的の標的分子に結合するペプチドの検索方法として有用であり, バイオパンニング法によりNDV結合性ペプチド3種類(EVSHPKVG, WVTTSNQW, およびSGGSNRSP)を同定した.ファージ上のこれらのペプチドのNDV結合特異性は抗NDV鶏血清を用いた競合ELISA法により確認された.またこれらのアミノ酸配列をもとに作製した合成ペプチドはin vitroにおいて部分的にNDVを中和した.今回同定したペプチドモチーフは, 免疫系に依存することなくNDV感染を阻止する新規分子の同定へと発展する可能性を有している.
著者
村田 浩一
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.785-790, 2002-09-25
被引用文献数
1

1988年から2001年までの13年間に国内で捕獲された701羽の野鳥について血液内寄生虫の保有状況を調査した.供試した野鳥は一部を除いて傷病が原因で神戸市内およびその周辺で保護され,動物園に治療のために持ち込まれた個体であった.総検査羽数の10.6%にあたる74羽に血液内寄生虫の感染が認められ,その内,住血原虫の寄生する個体はPlasmodium spp.が12羽,Haemoproteus spp.が36羽およびLeucocytozoon spp.が32羽であった.ミクロフィラリアがイカル(Coccothraustes personatus)およびツグミ(Turdusnaumanni)の各1羽から検出された.Haemoproteus sp.とLeucocytozoon sp.の混合感染が4種6個体,ミクロフィラリアとLeucocytozoon sp.の混合感染が2種2個体にそれぞれ観察された.住血原虫の感染が比較的多く認められた鳥種は,コノハズク(Otus scops):4羽中3羽,ホンドフクロウ(Strix uralensis):14羽中10羽,ハシブトガラス(Corvusmacrorhynchos):26羽中17羽,ウミネコ(Larus crassirostris):7羽中4羽,アオバズク(Ninox scutulata):9羽中5羽,ハシボソガラス(Corvus corone):39羽中18羽,ゴイサギ(Nycticorax nicticorax):29羽中7羽であった.
著者
村田 浩一 仁位 亮介 由井 沙織 佐々木 絵美 石川 智史 佐藤 雪太 松井 晋 堀江 明香 赤谷 加奈 高木 昌興 澤邊 京子 津田 良夫
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.501-503, 2008-05-25
被引用文献数
2

南大東島に生息する野鳥4科4種183個体の血液原虫感染状況を調査した.そのうち3種109羽(59.6%)に血液原虫感染を認めた.ダイトウコノハズク30個体の末梢血液中に原虫を認めなかった.Haemoproteus sp.およびPlasmodium sp.感染がダイトウメジロ14羽(45.2%)に認められた.モズおよびスズメにPlasmodium spp.感染が認められ,感染個体比率はそれぞれ92.2%(94/102)と5%(1/20)であった.
著者
小松 武志 山本 欣郎 坪田 敏男 阿閉 泰郎 鈴木 義孝
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.329-335, 1996-04-25
被引用文献数
7

野生個体1頭と飼育個体3頭から採取した精巣組織材料を用いて, ニホンツキノワグマ(Selenarctos thibetanus japonicus)における精子形成サイクルについて, 光学顕微鏡および電子顕微鏡による観察を行った. 光顕による観察から, 精子細胞の核およびアクロソームの形態学的変化に基づいて, 精子細胞を11ステップに分類した. さらに, この精子細胞の形態学的変化, 減数分裂像および精子細胞の管腔への遊離時期を指標にして, 精上皮サイクルを8ステージに区分した. 一つの精細管横断面は, 大抵単一のステージによって占められていた. ステップ1-2の精子細胞は, よく発達したゴルジ装置を持ち, ステップ3-5では核膜表面を被うアクロソームに沿って, 三日月状に観察された. ステップ6の精子細胞は先端を基底膜方向に向け, 精子細胞の細胞膜とアクロソーム外膜とが接着した. ステップ9においては, アクロソームがセルトリ細胞の細胞質ヘ突出している像が観察され, ステップ11になると, 精子細胞の細胞質のほとんどがセルトリ細胞に取り込まれ, 精子細胞そのものは精子として管腔へ遊離した.
著者
San Gabriel Maria Concepcion S. 遠矢 幸伸 杉村 崇明 清水 孜 石黒 信良 望月 雅美
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.97-101, 1997-02-25
被引用文献数
1 11

日本で分離されたイヌカリシウイルス(CaCV)No.48株をMDCK細胞で大量培養し, 塩化セシウム平衡密度勾配超遠心により精製した. 精製ウイルスをSDS-PAGE解析したところ, 約60キロダルトンの1種類の主要ウイルス蛋白のみの存在がクマシー染色により示された. カプシド蛋白と考えられる同一のバンドはマウス高度免疫血清を用いたウェスタンブロッテイングにより検出され, 本カプシド蛋白はMDCK細胞において感染後少なくとも2時間で合成されていた. 実験感染犬における抗CaCv抗体の産生がマイクロ中和試験とウェスタンブロッテイングにより示された. 同様に, 血清調査においても中和抗体の存在が示されるとともに, 精製ウイルスのカプシド蛋白に野外血清が反応することが明らかとなった. これらの結果はCaCV No.48株のカプシド蛋白が免疫原性を有し, 本蛋白に対する抗体をウェスタンブロッテイングにより検出しうることを示している.
著者
荒木 誠一 鈴木 護 藤本 昌俊
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.1055-1056, 1992-10-15
被引用文献数
9

鶏卵白由来の卵白粗製物(AEWP)に経口投与で生体防御能を増強する作用を見出した. マウスにAEWP500mg/kg〜2g/kgを大腸菌感染1日前に予防的に投与することにより, 用量依存的な感染防御効果が認められた. また, AEWP12mg/kg〜1.5g/kgを黄色ブドウ球菌感染直後から14日間毎日治療的に連投することにより, 用量依存的な延命効果および生存率の上昇が認められた. 食品由来のAEWPは, 経口投与によって感染抵抗性を増強した.
著者
跡部 ヒサエ 尾形 学
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.39-46, 1977-02-25

Investigation was made on the resistance to intranasal challenge with thevirulent strain of Mycoplasma pulmonis of mice vaccinated intranasally or intramuscularlywith the formalin-killed organisms. The protective effect of vaccination was evaluated bycomparing the clinical appearance, establishment of organisms in the respiratory tract,and development of pneumonia between these mice and those unvaccinated and servingas controls. A significant protection was observed after either intranasal or intramuscularvaccination. No relationship was shown between such protective effect and serum anti-body titer. Intranasal vaccination could inhibit the establishment of organisms in therespiratory tract without causing a remarkable increase in antibody titer. In contrast, theprevention of pneumonia was observed after intramuscular vaccination resulting in producLion of high antibody Liter. These findings suggested that the mechanisms to inhibit theestablishment of organisms in the respiratory epithelium might be separate from thoseto prevent the occurrence of pneumonia.
著者
大石 勇 片江 宏巳 中垣 和英 中井 正博
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.125-130, 1988-02-15
被引用文献数
1

Ivermectinの1か月間隔投与による犬糸状虫の寄生予防効果を,自然感染下で実験した. 実験犬35頭をA(15頭), B(10頭), C(5頭)の3群とし,7月1日から9月30日の3か月間蚊に曝して自然感染させた. さらに,A,B両群には7,8月に3回に分けてL_3を1頭当り30匹実験感染した. A群には8,9,10,11月の各月1日にivermectin 6μg/kgを経口投与し,B群にはA群と同一日にplaceboを投与し,C群は無投薬群とした. B群全例からは平均49.1匹の虫が回収(実験感染L_3数に対して平均163.7%の回収率)され,C群全例からは平均33.6匹の虫が回収されたことから,この実験では高度の自然感染があったことが示された. Ivermectin投与のA群からは虫は回収されず,右心への寄生予防効果は確実であり,副作用は認められなかった. 以上の成績から,自然感染開始後1か月から終了後1か月の期間を通して,1か月間隔でivermectin 6μg/kgを投与すれば,犬糸状虫寄生を確実に予防できることが証明された.
著者
猪熊 壽 田村 和穂 大西 堂文
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.225-228, 1996-03-25
被引用文献数
2

岡山県の一犬舎において発生したクリイロコイタマダニの季節消長を観察した. 8月下旬にマダニ駆除を行った後, 寄生マダニ数は急激に減少したものの少数の若ダニおよび成ダニは10月まで認められた. 平均気温が15℃未満となる11月上旬には寄生マダニは認められなくなったが, 平均気温が11℃を越える3月下旬には再びマダニ寄生が認められた. 次に本マダニの定着性を確認するため, 産卵と発育に及ほす温度の影響について検討したところ, 23から37℃の範囲内では温度の上昇に伴って産卵および発育の速度は上昇したが, 14℃では産卵は著しく遅延し発育は認められなかった. 4℃では産卵も発育も認められなかった. また, 9月から3月まで未吸血成ダニを屋外犬舎内のケージに飼養された家兎に耳袋法にて寄生させたところ, 11月には吸着するが飽血には至らず, 12月から2月までは吸着も認められなかった. さらに, 低温条件下における未吸血成ダニの生存性を検討したところ, 12℃湿度50%で140日あるいは12℃湿度50%で40日, 続いて4℃湿度50%で100日保存しても, 家兎からの吸血が可能であった. 以上の所見から考えると3月に岡山県内の犬に寄生していたマダニは当該犬舎内で越冬していた可能性が高いと考えられた.