著者
鈴木 祥之 小松 幸平 下川 雄一 中尾 方人 北守 顕久 秦 正徳 中治 弘行 森 拓郎 須田 達 松本 慎也 向坊 恭介 向井 洋一 山田 耕司 後藤 正美 斎藤 幸雄 斎藤 幸雄 棚橋 秀光
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2007

伝統構法木造建築物では、仕口・接合部や耐力壁など構造ディテールの性能評価を含めた総合的かつ合理的な構造設計法は、いまだ確立されていない。本研究では、木材のめり込みなどによる仕口・接合部の耐力発現のメカニズムおよび土塗り壁や木造軸組の力学特性や破壊性状を実験的かつ解析的に解明するとともに、構造ディテールに基づく伝統木造建築物の設計法に適用するための評価手法を開発した。
著者
馬 書根 WANG Kundong
出版者
立命館大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本研究は、蛇の運動原理とミミズの移動原理を融合し、震災等における瓦礫の散在する環境下で生存者の探索・救援が行なえるロボットシステムを開発することを目的としている。平成22年度において、昨年度に試作された基本関節ユニット(直動駆動、ロール回転、及びピッチ回転の3自由度を持つ)を用いて、頭部と尾部をも持つロボットシステムの開発を行った。本ロボットには12自由度を有し、長さ92cm、直径10cm、重さ3.1kg、円柱型の外形を持つ。直動駆動自由度を持たせることで、このロボットは蛇型運動だけでなくミミズの移動原理も行え、蛇とミミズの移動原理を有機的に融合した超生物的な移動を実現することができる。次に、このロボットを駆動制御する制御システムを構築した。この制御システムには駆動電源を含め、サーボーモータ制御系や無線通信系などを全て各ユニット内に納め、ロボットを構成する関節同士やコード類などの相互干渉を無くすことができ、ロボットの運動性能、柔軟性、信頼性が向上できる。また、実機械モデルの開発と並列して、蛇の運動原理とミミズの移動原理を有機的に融合するための理論研究を行い、蛇型移動、ミミズ型移動、および蛇型-ミミズ型の混合移動を行う本ロボットの数学モデルを構築し、これらの運動について計算機シミュレーションで運動解析を行った。その結果として、開発されたロボットにミミズ型移動を導入することで、狭隘空間へ侵入が簡単となり、蛇型移動特有の特異姿勢問題も解決できることを判明した。本年度の研究は超多自由度多関節型移動ロボットを効率よく運動制御するための基礎を成している。
著者
黄 盛彬
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

昨年度に引き続き、日本と韓国両方の政策当局および関連業界、専門家などを対象に積極的に聞き取り調査を行い、数回にわたって韓国での実際の「日本大衆文化」の受け入れ状況、そして日本における「韓国文化」の実態にっいても調査を進めてきた。一連の研究作業の成果は、単行本としての出版を目指しているが、本研究を進めながら研究の対象を、両国における関係認識のほうにシフトさせた経緯があり、今年度においても直接的な研究の成果は「日韓の相互認識」に関連するものが多かった。その第一の理由は、昨年7月以来、いわゆる「歴史教科書問題」や「靖国神社問題」で韓国内の世論悪化などを背景に「日本大衆文化」の追加開放が中断されている状況が続いたことに関連している。この問題をめぐる韓国内のメディア言説や政策担当者とのインタビュー結果などから、「日本文化開放政策」が一般の貿易政策とはちがって、さまざまなレベルの日本認識(他者像)に大きく影響されていることがわかった。「日本文化禁止」政策にも過去の歴史をめぐる記憶や政治が大きく関わっており、その点を解明した上でさらに近未来の展望を示す作業がより緊要な作業であると指摘できた。一方で、2002年W杯の共同開催をきっかけに両国間の文化交流・交易の動きは大きく進展した。しかし、一連の現象においても、日本と韓国それぞれの「自画像」と「他者像」をめぐってさまざまな相互作用が見られたので、いわば両国における相手認識がどのように国内政治へ動員され、いかなる作用をもたらすのかを解明する作業に主に取り組んできた。なお、今後も本研究テーマの問題意識を維持しながら、「東アジアの文化の地形を、市場、イデオロギー、民族、言語などの多様な層の分節状況および相互に影響しあう複雑な絡まりのダイナミックス」を解明する作業を続けていきたい。本研究はその出発点となるものであった。
著者
齋藤 雅通 池田 伸 土居 靖範 近藤 宏一 谷口 知弘 棚山 研
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

調査に基づく共同研究の結果、研究論点として、ドイツの各都市でNPO法人によって推進されている都市マーケティング(Stadtmarketing)の重要性を析出した。また都市マーケティングは、都市型サービス産業が直面している課題の解決の一視点でもあると結論づけた。この点を具体的に明らかにするために2005年2月および9月に、マンハイム及びケルンの都市マーケティングNPO及び商工会議所、市役所(スポーツ局、文化局)、地域スポーツNPO等関連団体へのインタビューと資料収集を実施した。都市マーケティングのより深い究明については、今後も継続して研究する課題である。各メンバーによる研究としては、(1)齋藤雅通は、ドイツにおける都市型の小売商業集積であるパサージュの実態調査に基づいて理論的可能性と限界を明らかにした。(2)土居靖範は、ドイツのケルンおよびカールスルーエの都市交通経営体や運輸連合の調査を行い、財源調達のしくみを主に解明した。またLRTの国内への導入を、具体的にJR富山港線のLRT化の経緯と課題を調査研究した。(3)近藤宏一は、主にドイツにおける都市公共サービス、とりわけ文化・芸術関連サービス(オーケストラ、歌劇場、美術館)と観光および公共交通にかかわる組織の現状と課題について調査と資料収集を行った。(4)棚山研は、サッカーの日韓W杯開催時から開催地である新潟の継続調査と調査データの整理を行った。併せて、2度にわたるドイツのスポーツクラブの調査を通じて、日独のスポーツクラブの運営、生活文化への定着度についての比較を試みた。(5)池田伸は、現代都市における消費者研究およびそれに係わる調査方法論について、社会統計学や文化人類学などの周辺領域の成果を含めて検討した。その結果,現代都市のポストモダニティをマーケティング(消費者行動)の社会学として構想するにいたった。(6)谷口知弘は、京都市出町地域の取り組みの現地調査に基づいて、市民参加のまちづくりについて論究した。
著者
矢藤 優子
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,行動計測機器「デジタルペン」を用いて,幼児の書字・描画活動のプロセスとその発達過程を明らかにすることを目的とした。本研究の結果,「なぐり描き」を含む幼児期の描画活動は学童期に必要とされる書字能力の発達と連続的な関係にあることが示唆され,また,描画研究を行うにあたって,これまでのように完成された絵画(何を描いたのか)を分析するばかりでなく,「どのように描いたのか」というプロセスを分析することによって,新たな知見を得られることが示された。
著者
徐 継舜 曹 瑞林
出版者
立命館大学
雑誌
社会システム研究 (ISSN:13451901)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.81-87, 2002-03-31

70年代末に改革開放政策を開始してからの20年間,遼寧省における個人(個体)および私営経済は急速な発展を遂げ,きわめて大きな成果をあげた.個人・私営経済は地域経済の発展,税収の増加,雇用の確保,市場の活発化,安定化などの面で,重要な役割を果たしつつある.しかし,遼寧省の個人・私営経済の発展は全体的にはまだ初期的段階にあり,多くの困難と課題に直面している.その主なものは,資金源の不足,技術水準と経営管理方式の立ち遅れ,市場競争秩序の混乱による困難,企業の合法的な権利や利益がしばしば侵害されること,および政府と社会の支持が強力でないことである.遼寧省の非公有制経済を一層発展させるために,政府は個人・私営企業の創業や成長を支援する一連の政策及び法律・法規を速やかに立案,制定し,その実施に力を入れる必要がある.政府は4つの政策的支援に重点をおくべきである.第1に,憲法の規定に従い,個人・私営企業の合法的な権益を保護し,内国民待遇を与えるべきである.第2に,社会的サービスの提供システムの構築である.具体的には,融資保証制度の整備,技術革新の支援措置の拡充,情報サービスの提供網の整備,人材育成システムの整備などである.第3に,構造調整と制度改革を加速し,とくにハイテク産業型企業,大中型企業を含むグループ企業,農産品の加工型企業,環境保全型と資源総合利用型企業,第三次産業グループ型(群体型)企業を重点的に支援することである.加えて,政府は個人・私営企業が国有経済構造の戦略的調整と国有資産の新たな結合に関する改革への参加を奨励すべきである.第4に,政府は都市,農村の双方の住民による創業を支援する.これによって,中小企業が大いに発展することは雇用を増加させ,今後,一時帰休と過剰労働力の移転問題を解決する重要な国策の一つとなる.上述の政策目標を実現するうえで,政府自身の改革が不可欠である.それは政府と企業の明確な分離,行政機構の簡素化と統一化,効率の原則に基づく「四つの転換(本稿,参照)」を速やかに実行すべきである.これは国民経済の持続的で健全な発展を実現する根本的な保証である.
著者
劉 雅文 楊 秋麗
出版者
立命館大学
雑誌
社会システム研究 (ISSN:13451901)
巻号頁・発行日
no.4, pp.99-105, 2002-03

非公有制経済関係者は,わが国社会主義初級段階における生産力の解放と発展の必要性に応じて,改革開放,社会主義市場経済発展のプロセスにおいて現れた一つの新しい社会グループである.2000年末に遼寧省全体の個人および私営企業は152.6万社,そのうち私営企業7.4万社,個人および私営企業の従業員数は省全体の労働人口の19.3%を占める.人員構成から見ると,このグループの発展初期に,就業者は主に農民や無職者であったが,近年,大勢の知識人,専門家,技術者,帰郷軍人,政府幹部および帰国留学生が参入してきた.就業動機から見ると,生存型,自由追求型,生活改善型,自己価値実現型が存在している.学歴から見ると,個人および私営企業経営者の学歴は年々高くなっている.年齢構成からみると,主に中年である.資産規模から見ると,20数年の発展を経て,個人経済の資本蓄積が早くなり,一定規模の経営も現れてきて,経済的実力が強くなった.以上の側面からわかるように,遼寧省の個人および私営企業経営者の出身,就業動機,学歴および年齢構成は大きく変化してきている.その資産規模は迅速に拡大しており,個人の資質も高くなりつつある.個人および私営企業経営者はほかの階層に比べて,最も裕福な階層であり,かつ改革の絶対的支持層に属するという二重の特徴を持っている.一定の政治参加意識を持ちながら,政策に対し敏感に反応している.筆者は決断能力,管理能力,人格,忍耐力についての調査を通じて,遼寧省の個人および私営企業経営者を高,中,低3つのレベルに分けた.個人および私営経済の発展につれ,一部の中低レベル経営者は中高レベルまで上昇することが期待されている.
著者
張 鳳羽 尹 文紅
出版者
立命館大学
雑誌
社会システム研究 (ISSN:13451901)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.89-98, 2002-03-31

ここ数年,遼寧省政府は,一連の政策と法規を相次いで打ち出した.それらは非公有制企業が買収,合併,持株支配,株式参加,連合,請負,リース等の方式によって,国有企業改革の経営方式改編,並びに資産再編に関与することを支持し奨励している.非公有制企業の国有企業改革への関与は,国有企業の活力を増強し,国民経済の市場化の進度を加速し,多様な所有制経済の公平な競争と共同の発展を促進し,就業機会を増やし,遊休資源の利用,遼寧省の経済発展と社会の安定の維持等に重要な役割を果たした.非公有制企業の国有企業改革への関与は多くの問題にも出会っている.例えば,一部の幹部,国有企業管理者及び従業員,非公有制企業主等は非公有制企業が国有企業改革に関与することに対して,多くの不安を抱いていて,積極的でない.いくつかの関連する政策と法律はまだ完備しておらず,不整合や,実施困難であったりしている.またいくつかの非公有制企業には経済的実力がなく,管理水準も低く,個人の素質も欠陥があるため,国有企業改革に関与する準備が不足している.問題の解決には,社会各方面が努力する必要がある.例えば,良好な世論環境が必要であり,社会各方面が思想や観念を改めて,非公有制企業が国有企業改革に関与する役割を正確に認識し,国有企業改革への非公有制企業の関与を心底より熱烈に励まし,支持し,関心をもつ必要がある.諸政策,法律を制定し,経済体制の改革を深化させることによって,国有企業改革へ関与する私営企業が平等に競争する外部環境を創造することが必要である.制度転換企業が困難な問題を解決するのを援助する上で特別重要な鍵は,人月と資産の分離問題をうまく解決することである.市場ルールと法律に従ってことを処理し,非公有制経済の国有企業改革への関与を一つの市場行為及び企業行為としなければならない.各種の非経済的要素,非市場的要素の干渉を避け,非公有制企業の国有企業改革への関与が順調に進行することを促進しなければならない.