著者
朝尾 幸次郎
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

英語を外国語として学んだ人で正確に文章を書くことのできる人でも、その英文の英語らしさ、上手下手には大きな違いがみられる。また、英語母語話者の書く文章でも、わかりやすさ、読みやすさには大きな違いがある。本研究では、このような違いが何に由来するものかを探った。このため、テキストの語彙、文長、語連続に着目し、テキストの英語らしさ、難易などの性質にかかわる要因を探り出し、それを一覧表として提示する手法を提案した。
著者
ラムザン 優子
出版者
立命館大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は多言語多文化共生日本語教育を実践する教員の多文化性の理解の仕方を明白にし、それが日本語学習者の多文化性の開発にどのように影響を及ぼすのかを明確にし、現在世界の教育一般に求められている多文化間のコミュニケーションを円滑に執行することができる人材育成を目的にした言語教育に貢献するという目的の基に執行された。結果は「多文化共生教育」を目指すに あたり、言語教育の範疇で「多文化性」とは何なのかという教員自身の捉え方の重要さを明白にし、教員のその捉え方によって授業の到達目標、評価基準、授業活動、課題設定が全く違った体を成す事を示した。
著者
下妻 晃二郎 能登 真一 齋藤 信也 五十嵐 中 白岩 健 福田 敬 坂巻 弘之 石田 博 後藤 玲子 児玉 聡 赤沢 学 池田 俊也 國澤 進 田倉 智之 冨田 奈穂子
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

経済状況の低迷が続く多くの先進国においては、公的医療資源の適切な配分は、費用対効果などの合理的な社会的価値判断に基づいて行われている。日本では従来そのような仕組みがなかったが、2016年度から、高額な医療用製品を対象に政策への施行的導入が予定されている。本研究では費用対効果分析による効率性の向上にむけて技術的課題の解決を図り、同時に、効率性の追求だけでは疎かになりがちな公平性の確保を図るために考慮すべき、倫理社会的要素の明確化とそれを政策において考慮する仕組み作りを検討した。
著者
米山 裕 坂口 満宏 山崎 有恒 河原 典史 和泉 真澄 南川 文里 轟 博志 ハヤシ ブライアン・マサル 物部 ひろみ 宮下 敬志 東 栄一郎 清水 さゆり ニイヤ ブライアン
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は、北米を中心とした「日系移民史」とアジアにおける「移殖民史」の分断状況の打破を試みるため、環太平洋地域を対象として、(1)各地における日本人社会の形成、(2)国際移動した日本人と様々な国家との関係、(3)環太平洋地域システム形成の分析をすることであった。いずれも達成することができた。さらに、地理学情報システム(GIS)を活用した移動研究の新しい方法論を模索することができた。
著者
柿並 良佑
出版者
立命館大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

「政治的なもの」に関する原理的研究を行い、成果として論文数点を発表した他、まもなくラクー=ラバルト&ナンシーのテクストの翻訳を発表予定である。また期間中に二度の渡仏調査を行ったが、その間、研究者と貴重な対談、インタビューを行うことができた。その一端は既にWebに公開されているが、残りの分についても発表予定である。
著者
小林 雄一郎
出版者
立命館大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012-04-01

最終年度では、これまでの研究を総括し、今後の研究方向に繋がる分析を行った。まず、異なるトピックで書かれたライティングを対象として、語彙、品詞、統語、談話などに関する言語使用の差を調査した。そして、t検定、決定木、ランダムフォレストなどの結果から、異なるトピックで書かれたライティングでは、言語使用が大きく異なることが明らかにされた。このことは、習熟度の自動判定をする場合に、タスクの影響の有無に注意しなければならないということを示している。また、これまでは「学習者が何をできるか」という点に注目してきたが、今年度はそれに加えて、「学習者が何をできないか」というエラーの情報を分析に加えた。その結果、冠詞、前置詞、動詞の時制などに関するエラーが習熟度と高い相関関係にあることが明らかにされた。
著者
福井 正博 築山 修治
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

集積回路技術の進展に伴い,回路が大規模化・複雑化すると共に,物理変動によるタイミング動作保証が困難化している.本研究課題は,次世代の集積回路に対して,製造ばらつき,電源電圧,熱変動,トランジスタの経年劣化を考慮し,チップレベルでのタイミング解析を高速に行う技術の確立を目指し,(A) パワーゲーティングによるラッシュカレントに関する信頼性ホットスポットの見える化システム,(B) トランジスタの発熱,電源配線のIRドロップの高速統計的解析技術の解明,(C) NBTI などの経年劣化と製造ばらつきに起因する遅延ばらつきを統一的に取り扱うことができる遅延モデルと統計的静的遅延解析手法を完成した.
著者
近藤 宏
出版者
立命館大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

2012年度は、博士論文提出を目標に研究活動を進めた。博士論文の構成を踏まえ、学会発表、論文執筆ではそれぞれ異なる主題を取りあげた。またそれらの報告/論文は、これまでにおこなってきた現地調査に基づく研究成果でもある。申請者の成果は、大きく分けて二つの議論に分類できる。ひとつは、現地特有の植物・動物と人間の関係性の在り方に関する民族誌学的な考察である。こうした議論については、南米低地先住民に関する人類学という学問領域における近年の国際的な議論(主に英語、フランス語で書かれたもの)を参照しながら考察、記述を進めた。もうひとつは、をはじめとする中南米先住民の同時代的な状況に関する、開発学や政治学の領域における議論と現地の状況を結ぶ記述・考察である。先の民族詩学的な考察は、現地に特有の視点と関係性の記述するためのものだが、こちらは現地に特有な生活様式に由来しない様々な観念や実践を導入する枠組みと現地の生活との関係に焦点を当てるための議論である。こちらについてはスペイン語圏における政治学の議論等も参照する必要があった。人類学という領域に限定されず、異なる学問領域における、国際的な議論を参照しながら研究を進めた。これらの内容は、学会報告や論文の形式で発表した。
著者
ウェルズ 恵子
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

1)マイケル・ジャクソンの業績から黒人文化の特質を指摘。2)奴隷制度の中で発達した口頭文化の具体的内容を概観。3)動物民話が暴力と笑いに満ち、弱者が強者をくじく物語である一方勧善懲悪の物語ではないことを詳細に分析。4)主流の価値観を逆転させた行動様式が黒人ヒーローの活躍譚にあること。5) 奴隷時代の生活上の喜びや、主人への暗黙の批判、逃亡を歌う屈折した歌を分析。6) 南部刑務所に残ったハンマーソングの歌詞の変遷に、自我のあり方や世界観の変化を指摘。7) 黒人霊歌からゴスペルへの変遷を辿り、神や救いのイメージの変化を指摘。8) 抑うつ心理からの脱出方法として、ブルーズの歌詞様式が発展したこと。
著者
辻 浩和
出版者
立命館大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

1. 〈遊女〉の生活実態に関わる基礎的事実の解明をすすめた(1)『梁塵秘抄』380番歌および『遊女記』の読解から、遊女・従女の服飾・身分的表象・出自等について解明を進めた。(2)『遊女記』の新解釈を提示し、〈遊女〉の得分について明らかにした。2. 〈遊女〉の身分論的把握をすすめた→(1)従女を中心として、〈遊女〉の「家」内外の権力関係を考察した。(2)『遊女記』をもとに、〈遊女〉集団内外の秩序・勢力関係について考察した。その結果、集団内部に遊女・従女の階層が、集団外部に「豪家之侍女」(出遊)との競合関係が存在することがわかった。3. 中世後期〈遊女〉史研究への展望をひらくべく、基礎作業を進めた→(1)〈遊女〉の芸態について、芸能史的系譜関係を考察するため、『梁塵秘抄』248番歌の新解釈を提示し、傀儡子と関わる可能性を指摘した。(2)〈遊女〉の芸能を中世芸能環境の中に位置づけるため、仏教芸能を中心として、広く文化・芸能状況の調査を行った。また、神社関係の新出史料を中心に法楽芸能における歌女参仕について分析・考察した。(3)女性を含む芸能者、および被差別民と関連の深い祇園社に関してその実態を探るため、その統括者である社家に関して基礎的な分析を行った。さらに、祇園祭に関する文献の紹介と批判を行った。また、同じく芸能者・被差別民との関係が深い賀茂社に関して新出史料の分析を進めた。
著者
柴田 悠
出版者
立命館大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

まず、1.研究課題「現代社会における他者援助」の公的な典型形態である「所得再分配」(一般政府による公的支出)に関する研究として、(1)所得再分配の規定要因について、歴史社会学的研究と計量社会学的研究を、国内研究会での発表と議論をつうじてさらに精緻化し、ワーキングペーパーと博士論文(2011年7月京都大学大学院人間・環境学研究科受理)にまとめた。また(2)再分配政策の(自殺率・出生率・経済成長に対する)効果についての計量社会学的研究を、国際会議や国内学会での口頭発表と議論をつうじてさらに精緻化し、博士論文(同上)と投稿論文(投稿中)にまとめた(結果の詳細は博士論文などを参照)。つぎに、2.「現代社会における他者援助」の私的な典型形態である「親密性」に関する研究として、とりわけ今後の日本社会で活性化が必要と考えられる(幼児と高齢者の間の非血縁の世代間ケアが生じうる)「多世代コミュニティ」に着目し、国内先進事例に関する文献調査と現場調査(子育て支援施設と高齢者の居場所を兼ね備えたボランティア運営施設での参与観察とインタビュー)を行い、「多世代コミュニティの活性化条件」に関する理論仮説を得ることができた(その成果は現在、論文として執筆中である)。また、東アジアでの国際的な質問紙調査のマイクロデータ(日本・韓国・中国・台湾・バンコク・ハノイ)を用いて、「親子間ケア」(家事援助と金銭援助)のパターンを統計的に分析し、ベトナム・ハノイでの国際研究会で発表した(成果は論文として執筆中)。さらに研究計画にはなかった追加的研究として、子どもと高齢者に対する公的援助(ケアサービス)と私的援助(ケア行動)に関して、東アジア諸国(日本・韓国・中国・台湾・シンガポール・タイ・ベトナム)のマクロデータを、海外研究者たちの協力のもとで、先行研究を上回る規模で収集し、集計した(成果は論文として執筆中)。
著者
仲間 裕子
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

ドイツのドレスデン美術館やロシアのエルミタージュ美術館を始めとした国外調査を経て、ドイツ・ロマン主義画家のフリードリヒの作品分析を行い、画家の世界観、および近代における視覚の変容がいかに作品に反映されたかを考察した。また、フリードリヒの作品の受容をめぐる諸問題を、フリードリヒが"再発見"された1906年の「ドイツ100年展」を主軸に調査し、国家権力に左右された経緯とともに考察した。さらにこうした受容の反省に立つ戦後のドイツ美術作品を"崇高性"、"アイロニー"、"社会関与"の観点から分析し、ドイツ・ロマン主義の20世紀における継承と変容を指摘した。研究結果は、まず、フリードリヒ研究成果をまとめた著書、『C.D.フリードリヒ、《画家のアトリエの眺め》-視覚と思考の近代』(三元社、2007年3月)である。第1章《画家のアトリエからの眺め》、第2章フリードリヒの「抽象」、第3章リューゲン島の風景-自然、主体をめぐる言説、第4章北方の風景-トポグラフィーとアイデンティティ、第5章観照の美学から新しい美学へ、第6章「ドイツ100年展」、第7章メランコリーとロマン的イロニー-フリードリヒから今日のドイツ美術へ、から構成されている。また、フリードリヒの手記を翻訳・解説した『ドイツ・ロマン派風景画論』(共訳、三元社、2006年)を出版した。次に、海外共同研究者のエアランゲン=ニュルンベルク大学のハンス・ディッケル教授を日本に招聘し、2007年9月21日に京都国立美術館でシンポジウム「ドイツ・ロマン主義の<現在>」、24日に国立新美術館で講演会「ドイツ・ロマン主義と現代美術」を開催し、ドイツ・ロマン主義の伝統と今日性について様々な角度からの報告とパネリストを交えた討論の機会を得た。