著者
樋口 彰宏 斉藤 大 新井 基洋 岡本 牧人 八尾 和雄
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.438-443, 1997

1996年6月より我々は整形外科関節手術用シェーバーシステムである, SE5, ペースセッター (ラージハンドピース) をESSに使用し始めた。56例 (99側) にSE5 (あるいはペースセッター), ハマー, 通常手術器具でESSを行い, その有用性の検討を行ったところ, SE5 (あるいはペースセッター) 使用症例 (あるいは側) はハマー, 通常器具使用症例 (あるいは側) に比して, 手術時間, 出血量, 術中副損傷, 創傷治癒など全てにおいて優れていた。シェーバーの安全性, 有用性はそのままで, ハマーの欠点を克服できた。SE5, ペースセッターは整形外科で広く普及していて, すでに所有している施設も多いため, 多くの耳鼻咽喉科医が, すぐにでもESSにシェーバーを使用できるという利点もある。
著者
中山 雅博 吉村 知倫 芦澤 圭 中馬越 真理子 廣瀬 由紀 星野 朝文 西村 文吾 田中 秀峰 上前泊 功 田渕 経司 大久保 英樹 高橋 和彦 和田 哲郎 原 晃
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.56, no.Supplement1, pp.s113-s117, 2013-03-05 (Released:2014-03-05)
参考文献数
6

2002年1月から2011年12月までの10年間に当科において初回手術を施行した甲状腺腫瘍38例につき臨床的検討をした。性差は女性に多く, 男女とも50歳代, 60歳代に多かった。組織型は良性11例, 悪性27例であった。良性は全例が腺腫様甲状腺腫で, 悪性は乳頭癌が24例, 低分化癌が2例, 未分化癌が1例であった。主訴は頸部腫瘤が最も多く, 嗄声, 咽喉頭異常感と続いた。手術は良性では葉峡切除を, 悪性では総合的判断により全摘, 亜全摘, 葉峡切除を施行した。頸部リンパ節郭清は気管傍リンパ節と気管前リンパ節の郭清は悪性腫瘍の全例に行った。治療成績は未分化癌の1症例の死亡例以外は, 現在まで生存している。再発症例は6例あった。
著者
野中 聡 国部 勇 浅野目 充 海野 徳二 石川 幸雄
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.150-154, 1995

喉頭ネブライザー療法におけるエアロゾル粒子の気道内への沈着様式についての解析はこれまであまりなされていない。本実験では経口RI吸入実験を行い, 喉頭超音波ネブライザー療法における気道, 消化管内へのエアロゾル沈着率を解析するとともに, 粒子に送気, 振動などを加え, これらの条件が沈着率にどのような影響を与えるか検討を加えた。超音波ネブライザー単独で吸入した場合, 咽喉頭部への沈着率は約4%と小さく, 大部分のエアロゾルは肺に沈着した。毎分3Lの送気付加トライアルでは咽喉頭部への沈着率はネブライザー単独とほぼ同じであった。振動付加トライアルのみ全ての被験者に共通して咽喉頭部への沈着率が増加した。RI標識製剤をテクネシウムHSAに代えた場合も, 咽喉頭部への沈着率は送気付加の場合と同様であった。
著者
渡邉 暢浩 高橋 真理子 宮本 直哉 村上 信五 井上 ひとみ 出口 正裕 関谷 芳正 井脇 貴子
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.354-359, 2006-12-15 (Released:2011-03-18)
参考文献数
9

HiRes 90K® Bionic Ear implantは米国アドバンスト・バイオニクス社の新しい機器であり, 米国食品医薬品局の承認を受け, 本邦以外の世界で採用されている。特徴として柔らかくしなやかで, 薄い形状であり, 手術侵襲が軽減されていることやこれまでの8チャンネルから16チャンネルに倍増していること, 新しいコード化法を取り入れていることなどが挙げられる。今回4名の中途失聴成人 (男性3名, 女性1名, 年齢64歳から74歳) に本機器を手術する機会を得, 特に術中, 術後に問題はみられなかった。軽度の浮遊感が続いた患者が1名みられたが, まもなくそれも消失した。4名のうち2名においてMAIS (Meaningful auditory integration scale) を行ったところ, 従来のプログラムであるContinuous Interleaved Sampler (CIS) やPaired Pulsatile Stimulation (PPS) よりもHiRes-SやHiRes-Pにおいて明らかに高い値を示した。結果として4名の患者はすべて新しいHiRes® sound processingを選択され, 従来のコード化法を選んだ患者は一人もいなかった。短期観察期間ではあるが, HiRes 90K® Bionic Earimplantは, 欧米での評価もあわせて効果の面でも安全性の面でも現在認可されている人工内耳より優れていると考えられた。
著者
辻 富彦
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.153-157, 2015-06-15 (Released:2016-06-15)
参考文献数
8

当院を平成25年の1年間に受診した耳鼻咽喉科疾患の症例のストレス検査 (STAI=State-Trait Anxiety Inventory) の結果について集計した。 STAI の結果は特性不安, 状態不安に分けて Ⅳ, Ⅴ を呈した症例を高値例として集計した。 末梢性めまい, メニエール病を含む “めまい群” では STAI 高値の症例は特性不安で47.1%, 状態不安で80.8%であった。 突発性難聴, 低音型突発難聴などの “難聴群” では STAI 高値の症例は特性不安で50.0%, 状態不安で69.7%であった。 咽喉頭異常感症, 逆流性食道炎を含む “異常感症群” では STAI 高値の症例は特性不安で42.9%, 状態不安で57.1%であった。 正常成人では STAI で Ⅳ, Ⅴ を呈する割合は30~40%程度とされており, これと比較すると高値例の割合が高い傾向にあった。 このような耳鼻咽喉科疾患にはストレスが高い症例が多く存在していることがわかったとともに, ストレスを客観的に定量化する検査法として STAI は有用であると考えられた。
著者
石井 正則 金田 健作 関 博之 小林 直樹 八代 利伸 小林 毅 吉田 茂 栄 春海 森山 寛
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.604-613, 1994-10-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
4

めまいや耳鳴を主訴とした患者の中には, 症状の増悪に患者の心理的因子や環境因子が関係することがあり, その治療には心身症としての側面を考慮する必要がある。とくにメニエール病では, ストレスが発症に関与していることが多く, ときとしてその治療に難渋することもある。そこで, 心身症や神経症に対して優れた臨床効果の報告がある抗不安薬 (Ethyl Loflazepate, メイラックス ®) を使用し, メニエール病を中心にめまいや耳鳴を主訴とした疾患に対してその臨床効果を検証した。その結果, この薬剤の内服により動揺感, 悪心・嘔吐, 耳鳴の大きさなどにその改善度や有用率が高いことがわかった。しかも心理検査のCMI検査や健康調査表でも服用後にCMIの値や健康調査の値が有意に低下することを認めた。以上により抗不安薬であるメイラックス ® が自律神経症状や動揺感を主体としためまい感や耳鳴の大きさに対する自覚症状を和らげる効果を示すことがわかった。
著者
尾尻 博也
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.309-311, 2015-12-15 (Released:2016-12-15)
参考文献数
11
著者
小林 信一
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.243-249, 2008 (Released:2009-11-19)
参考文献数
28
被引用文献数
1

EBウイルスは, 発癌ウイルとして知られているが, 特に小児領域で多くみられる疾患は伝染性単核球症, 移植後リンパ増殖性疾患 (Post-transplant lymphoproliferative disorder, PTLD), EB関連血球貪食症候群 (EB-VAHS, EB-HLH hemophagocytic lymphohistiocytosis), 伴性リンパ増殖性疾患 (X-Linked lymphoproliferative syndrome, XLP, Duncan症候群), 慢性活動性EBウイルス感染症などである。この中で特に現在問題となっている疾患は慢性活動性EBウイルス感染症である。これは発熱, リンパ節腫脹, 肝脾腫, 咽頭痛などが反復または持続して出現し, 基礎疾患を有せずEBウイルス抗体価の異常高値を示す。予後は不良で, NK細胞に感染した26例中5例 (20%), T細胞に感染した34例中17例 (50%) が死亡している。治療にはacyclovir, ganciclovir, ara Aなどの抗ウイルス剤, プレドニン, シクロスポリン, VP16, 各種抗腫瘍剤の併用 (CHOP療法など), IFNα, 活性化T細胞輸注療法などが試みられているが, 明らかに有効な治療法はまだ確立していない。骨髄移植は24例で行われたが生着は50%とやや低く, 現段階では唯一の根治療法とはいえない状況である。今後より有効な治療法の開発が急務である。
著者
湯浅 涼 湯浅 有
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.289-294, 2001

耳鼻咽喉科診療において, 顕微鏡下あるいは内視鏡下での観察・手術は欠かせない現状である。これらの記録写真は動画用の3板カラーCCDカメラにより記録された動画の一部を静止画像として用いているのが現状である。動画用CCDの画素数は30~40万画素が一般的で, 静止画としては現在の民生用デジカメの1/10程度と解像度の点で不満足である。また, デジタル出力でないためにコンピュータ処理上でもAD変換を要する。近年, プロ用デジタルー眼レフカメラが各社から発売され, 医用に試用してみたが, その重量, 大きさ, 価格などの点から, 手術用顕微鏡あるいは内視鏡に装着し, 撮影するには問題が少なくないことが判明した。そこで, 日進月歩が著しい民生用デジカメを無改造で顕微鏡または内視鏡に装着できるカメラアダプターを試作し, 安価な民生用デジカメにより, 手術用顕微鏡下, 内視鏡下での高画質デジタル静止画像を得ることに成功した。この試作品を更に改良し, 大多数の民生用デジカメが顕微鏡ならびに内視鏡に装着可能となる量産品を目下検討中である。

1 0 0 0 OA 耳鼻と気圧

著者
仙石 潜
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.709-715, 1986-12-15 (Released:2011-08-10)
著者
仙石 潜
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.727-743, 1983-12-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
25

When the air in an inverted bell (A) falling into a water tank is discharged through a tube of least resistance, the pressure at the outlet is constant without reference to the changes of following objective resistances ®. In fact, however, the internal resistance of the apparatus is inevitable in greater flow. Then a cock (C) is placed midway on the tube and a pitot tube (B) is set closely to a nozzle attached to the naris, to read the total pressure at this point with a water manometer. While the air passes into the nose and nasopharynx and then out through the mouth, the cock is adjusted so as to fix the water column at 1 cm. in height. As the pressure drop (P1-P2) from inside the bell to the nozzle is constant, the closing angle of the cock is a function of the flow rate. The angle is also a direct index of the nasal resistance or time in seconds necessary for a liter of air to be forced out with the driving pressure of a 1 cm. water column (Fig.1).By means of this method, it was proved that resistance of the nasal cavity was between 3 to 5 seconds for sides, in 94 per cent of 100 normal nasal passages tested.
著者
藤倉 輝道 宮崎 隆 小山 悟 岡坂 健司
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.474-481, 2009

鼻噴霧ステロイド薬はアレルギー性鼻炎において極めて有効な治療薬であるが, 点鼻薬を好まない患者もいる。医師が実地に点鼻方法を指導する機会は少ないため, 噴霧した薬剤が適切に鼻粘膜に噴霧されているか否か十分な検討はなされていない。18例のスカイロン<SUP>&reg;</SUP> 噴霧時鼻腔内視鏡観察の結果, 約半数は鼻腔底や鼻前庭に噴霧されており薬剤が有効に鼻粘膜に付着し患部に移行していないと推察された。4名のボランティアにおいて鼻腔内での薬剤の停滞時間をフルナーゼ<SUP>&reg;</SUP> とスカイロン<SUP>&reg;</SUP> で比較検討した。スカイロン<SUP>&reg;</SUP> は広く放射状に噴霧, 付着し, 長時間停留する傾向がみられた。スカイロン<SUP>&reg;</SUP> は吸着性が優れていることに加え, ノズルにも改良がなされ容易に広く均一に噴霧できた。通年性アレルギー性鼻炎患者27名における使用経験からも, においなどの使用感, デバイスの利便性から総合的にスカイロン<SUP>&reg;</SUP> の方が使いやすいとした患者は多かった。今後は薬剤の薬理効果のみならず, 基剤やデバイスの特性などにも目を向ける必要がある。患者に対し, 点鼻方法, 基剤やデバイスの特性などについても説明を行うことで点鼻ステロイド薬のより有効な使用と効果発現が得られると考える。
著者
北村 正樹
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.312-314, 2015-12-15 (Released:2016-12-15)
参考文献数
5
著者
中山 次久 小森 学 高柳 博久 米本 友明 松脇 由典
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.82-91, 2008 (Released:2009-09-17)
参考文献数
25
被引用文献数
2

アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎 (AFRS) は真菌に対するI型・III型アレルギーにより発症し, 副鼻腔粘膜や鼻茸中に著明な好酸球の浸潤をきたす再発率の高い難治性鼻副鼻腔炎である。欧米ではAFRSの頻度は慢性鼻副鼻腔炎と診断され手術に至った症例のうち4~10%程度と報告されているが, 本邦では現在のところ多くが症例報告であり, 有病率に関しての検討は松脇らの3.9%との報告にとどまっている。そこで本邦におけるAFRSの有病率を調査するため, 2006年4月から2007年3月までに富士市立中央病院を受診し, 鼻副鼻腔炎の診断をもとに内視鏡下鼻内手術を施行した症例を対象として検討を行った。対象症例は50症例で, 米国アレルギー喘息免疫学会 (AAAAI) 等の定めた鼻副鼻腔炎に対するガイドラインの分類にのっとり診断した。診断結果は急性化膿性鼻副鼻腔炎 (ABRS): 2例, 鼻茸を伴わない慢性鼻副鼻腔炎 (CRSsNP): 19例, 鼻茸を伴う慢性鼻副鼻腔炎 (CRSwNP): 25例, AFRS: 4例であった。また, 50例中真菌性鼻副鼻腔炎は11例で認め, 慢性非浸潤性 (sinus mycetoma): 7例, AFRS: 4例であった。以上よりAFRSは手術に至った慢性鼻副鼻腔炎48例中8.3%で認められた。本邦においても欧米とほぼ同等の頻度でAFRS症例が存在することが確認され, 今まで難治性鼻副鼻腔炎として治療を行っていた症例の中にAFRS症例が存在する可能性が示唆された。
著者
村井 和夫
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.112-124, 1999-04-15 (Released:2011-03-18)
参考文献数
34
著者
内尾 紀彦 苦瓜 夏希 月舘 利治 飯島 明 石井 正則
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.135-139, 2016-06-15 (Released:2017-06-15)
参考文献数
9

65歳, 女性。 左耳からシュー, シューという空気の抜けるような音が出現し当科を受診した。 頭部 MRA にて左内頸動脈の狭窄を認めたため, 当院の脳神経血管内治療科へ紹介した。 脳血管撮影にて左内頸動脈海綿静脈洞部に75%の狭窄を認めた。 本人の強い治療希望もあり, 血管内治療を施行した。 内頸動脈狭窄部にバルーン拡張を施行したところ, その直後より血管性耳鳴の消失を認めた。 再狭窄や解離を予防するため, 血管内ステント挿入術として STENT TSUNAMI® を挿入し手術を終了した。 術後半年経過するも, 血管性耳鳴の再発を認めていない。 拍動性耳鳴の患者を診察する際には血管性病変の存在に注意し, 画像診断により原因検索を充分に行うべきと考える。
著者
伊藤 真人 長山 郁生 岡部 陽喜 古川 仭
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.527-531, 1991-10-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
17

近年Bell麻痺に対してはStennert法が普及し, Hunt症候群には抗ウイルス剤 (アシクロビル) とStennert法の併用療法が試みられ, 良好な治療成績が得られている。我々は臨床的にBel1麻痺と診断される症例 (Huntの一部を含む) に対してもHunt症候群と同様にアシクロビルとStennert法とを併用しているので報告した。本治療の目的は臨床的Bell麻痺の中に含まれるHunt不全型の治療と, 病初期に帯状疱疹を認めないHunt典型例の重症化の予防, VZV以外のウイルスが関与するBell麻痺症例の治療が目的である。結果は25例中治療開始が遅れた1例を除き他は全例完治した。
著者
今野 昭義 寺田 修久 花沢 豊行 沼田 勉 片橋 立秋
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.127-136, 1996-04-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
24

鼻アレルギーにみられる鼻粘膜の血管拡張および血漿蛋白漏出の発現機序に局所および中枢を介する神経反射は一部関与する。 蒼白浮腫状の鼻粘膜では間質浮腫が著明であり, レーザードップラー血流計で測定した鼻粘膜血流は著明に減少している。また浮腫状の鼻粘膜においては容積血管の交感神経刺激に対する反応は減弱している。鼻アレルギー症例にみられる高度な鼻粘膜腫脹の大部分はペプチドロイコトリエン, ヒスタミン, PAFなど多種類の化学伝達物質の鼻粘膜血管に対する直接作用によるものであり, その中でもペプチドロイコトリエンが最も重要である。これらの化学伝達物質はお互いに作用し合うことによって鼻粘膜の標的器官に対する作用が増幅される。