著者
熊倉 誠一郎
出版者
順天堂大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

挿管し陽圧呼吸で管理する全身麻酔施行前後に、気道上皮被覆液中(以下ELF)のインターロイキン-8(以下IL-8)濃度の測定を行った。揮発性吸入麻酔薬であるセボフルランに亜酸化窒素を併用投与すると、併用しない場合と比較し、術後ELF中のIL-8の濃度が有意に上昇した。しかし静脈麻酔薬であるプロポフォールに亜酸化窒素を併用投与した場合には、IL-8濃度の上昇は有意には高まらなかった。以上から今回の研究によりセボフルランと亜酸化窒素を併用投与することで肺局所に炎症を惹起する可能性が認められた。
著者
檀原 高 岡田 隆夫 建部 一夫 坂本 直人 富木 裕一 案浦 健 鈴木 千賀子 中村 真一郎 津村 秀憲 栗原 秀剛 小林 敏之 諫山 冬実 奥村 彰久 田村 剛 富野 康日己
出版者
順天堂大学
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.651-656, 2007-12

定例の順天堂医学教育ミニワークショップが,2007年6月1日に開催された.50名以上の教員が参加し適切な試験問題の作成のための討議を行った.午前のセッションでは,予め作成していただいた定期多肢選択問題をスモールグループで検討修正を行った.午後のセッションでは,基礎医学系教員にはCBTにおける順次解答4連問を,臨床医学系の教員には4年次および5年次の臨床実習における口頭試験問題を作成していただいた.
著者
船曳 和彦 岡崎 圭子 仲本 宙高 有賀 誠記 相澤 昌史 金子 松五 蒔田 雄一郎 堀越 哲 富野 康日己
出版者
順天堂大学
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.318-323, 2008-09

目的:順天堂東京江東高齢者医療センターは2002年6月1日に開院し,質と安全度の高い先端的な高齢者医療を提供してきた.開院後5年間における血液浄化室にて施行した血液透析患者について解析し,今後の高齢者に対する透析療法に活かすため,わが国全体の慢性透析療法の現況と比較検討した.対象・方法:2002年6月より2007年5月までの5年間に,当センター血液浄化室にて透析療法を施行された慢性維持血液透析入院患者および維持血液透析療法に導入された入院患者計431名(男性265名,女性166名)を対象とした.対象患者を1年毎に性別,平均年齢,新規血液透析導入患者数を統計学的に評価するとともに,新規血液透析導入患者の原疾患および入院中の死亡原因について調査し,日本透析医学会の統計調査と比較検討を行った.結果:毎年透析患者数は増加傾向で開業時と比較して直近で約3倍となっていた.5年間の平均年齢は,70.8歳(男性69.4歳,女性73.4歳)であった.また,5年間で計89名(男性61名,女性28名)が新規導入され,平均年齢は71.6歳(男性66.7歳,女性76.4歳)であった.患者の原疾患は,糖尿病性腎症46名(51.7%),腎硬化症17名(19.1%),慢性糸球体腎炎7名(7.9%)であった.当センター入院中に46名が死亡し,原因として感染症が最も多く(14名),死亡患者全体の30.4%を占めていた.悪液質/尿毒症により死亡した5名の入院時平均血清アルブミン値は,24g/dlと低下していた.結論:当センター血液浄化室にて透析療法を施行された患者は増加傾向であり,2006年6月からの1年間では平均年齢73.6歳と全国と比較して7.2歳高齢であった.原疾患も糖尿病性腎症が半数以上を占め,急速進行性糸球体腎炎の比率も高いことは高齢化に起因すると思われる.死亡原因としては感染症が最も多く,患者の高齢化や糖尿病患者の割合が多く免疫不全により誤嚥性肺炎や敗血症に罹患しやすいためと考えられた.悪液質/尿毒症による死亡者は全例が高齢で長期透析患者であり,低アルブミン血症を伴っていたことから当センター入院中の高齢長期透析患者に対する適切な栄養管理および透析効率の確保が一層必要と思われる.
著者
山岸 明子
出版者
順天堂大学
雑誌
医療看護研究 (ISSN:13498630)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.95-101, 2008-03

本研究の目的は,劣悪な環境に長期間置かれて育ってきたにもかかわらず,それにめげずに立ち直った青年について,立ち直りを可能にした外的・内的要因を発達心理学の観点から検討することである。実母から苛酷な虐待を長期間受けながら立ち直ったDave Pelzer氏(「"it"と呼ばれた子」の著者)が書いた5冊の著書を用いて,なぜ彼が立ち直れたのか,何がそれを可能にしたのかについて分析を行った。その結果,まわりからのサポートを得られたこと,本人が心理的強さや肯定的な志向等のresilienceをもっていたこと,そしてサポートや状況要因と本人のもつ逆境に耐えうる資質がうまくかみ合って,マイナス要因を補強しプラス方向に導いたことが示された。また自分の経験を振り返り著書にまとめたり講演をする中で,sense of coherenceをもつようになっていった可能性も示された。更に彼がもつ強さの源はどこにあるのかについても検討を行い,生得的なものもあると同時に虐待を受ける前の幼少期の経験が関連していること,Eriksonの第1,第2段階の発達課題をしっかり達成していたことが強さを培い,その後の劣悪な状況をくぐり抜けさせたことが示唆された。
著者
湯浅 美千代 小川 妙子 石塚 敦子 内村 順子 本田 淳子 武井 テル
出版者
順天堂大学
雑誌
医療看護研究 (ISSN:13498630)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.50-57, 2007-03

本研究は,入院期間の短縮化が図られている高齢者専門病院の認知症専門病棟での入院長期化の要因と退院支援の内容を看護師の視点から明らかにすることである。老人性認知症疾患治療病棟2病棟及び身体合併症対応精神科病棟1病棟の師長,主任,リーダー業務を行うスタッフ計9名を3名3グループとしたグループインタビューを実施し,質的に分析した。インタビュー対象者が認識していた入院長期化の要因は,【治療に伴う退院目標の遷延】【退院先探索・決定,待機のための時間消費】【家族の退院受容困難】【入院を長期化させないアプローチの未整備】という4つのカテゴリーにまとめられた。また,インタビュー対象者からあげられた退院支援の内容は,【退院できる状態にむけての患者のケアと治療の調整】【退院を促進するための他職種との連携】【チームでのアプローチ】【家族との連携を通した退院準備】【看護職間の連携と教育】【退院を念頭にした調整】【家族のパワーを保つ支援】という7つのカテゴリーにまとめられた。今後の退院支援の課題として,患者自身へのアブローチの充実,家族に生じうる心情を予測した入院・治療計画,退院後の治療継続のシステム,認知症高齢者への治療選択を検討するシステムがあげられた。
著者
工藤 綾子 稲冨 惠子 佐久間 志保子
出版者
順天堂大学
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.458-467, 2007-09
被引用文献数
1 1

目的:本研究は訪問看護師ならびに施設責任者の在宅医療廃棄物処理の現状を把握し,訪問看護ステーションの適正処理に関する教育的課題を明らかにすることを目的とした.対象:訪問看護師703名,施設責任者345名.方法:対象者には質問紙による郵送法調査を行った.調査内容は,(1)在宅医療廃棄物の処理状況,(2)医療廃棄物取り扱いに関する指導内容と方法,(3)感染性医療廃棄物に関する意識と取り扱い,(4)行政・企業・施設に対する要望などであった.調査結果:(1)訪問看護師が施設に持ち帰る廃棄物は注射器・注射針,点滴セット,血糖測定時のテステープ・カット針などであった.(2)医療廃棄物に関する講習会への参加経験がある訪問看護師は25%であった.(3)職員を講習会に参加させている施設責任者は34%であった.(4)施設に対しては医療廃棄物に関するマニュアル作成,感染症に対する学習の機会を要望していた.(5)行政・企業への要望は訪問看護師・施設責任者ともに知識の普及であった.結論:講習会参加については参加させている施設責任者,参加経験のある訪問看護師ともにその効果を認めているものの,職員を講習会に参加をさせている施設責任者は少なく,訪問看護師の在宅医療廃棄物に関する知識の普及と各市町村ならびに施設の廃棄システムを踏まえた感染性医療廃棄物の取り扱いマニュアルの作成が急務な課題であることが明らかになった.
著者
岩間 義孝
出版者
順天堂大学
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.278-287, 2007-06

睡眠時無呼吸が頻繁におこると,睡眠が分断され日中に過度の眠気を伴い生活の質を低下させる.また,いびきをかくことも多く,ベッドパートナーに迷惑をかける.しかし,この睡眠時無呼吸症候群が臨床的に注目されている理由は,高血圧,糖尿病,心臓病,脳血管疾患などと密接に関連するからである.睡眠時無呼吸を有する患者は,一般人口と比較して,高血圧が約2倍,虚血性心疾患が約3倍,脳血管疾患が3〜5倍の頻度で合併すると報告されている.米国のデータでは,睡眠1時間あたり20回以上無呼吸がある患者をそのまま放置すると, 9年後には10人のうち4人は心臓病・脳血管障害などで亡くなっていたという衝撃的な報告がある.睡眠時無呼吸症候群が心血管疾患に影響を及ぼす理由は,繰り返す低酸素状態,交感神経の活性化による悪影響,肥満に伴う冠危険因子(高血圧・高脂血症・糖尿病など)の増加などが考えられている.また,睡眠時無呼吸症候群の治療が心血管疾患自体の予防・治療につながる.なかでも生活習慣の改善は睡眠時無呼吸症候群および心血管疾患自体の予防・治療にとって重要である.睡眠時無呼吸症候群の患者の中には,食事・運動をはじめとした生活習慣の改善をはかり減量に成功した結栄,睡眠時無呼吸が改善しCPAP治療(睡眠時無呼吸の治療機器)をやめられる方もある.眠りには,質の良い眠りと悪い眠りがある.良く眠れたときは,目覚めが良く頭がすっきりしている.活動的な質の良い生活を送るためには,良い睡眠は欠かせない.睡眠時無呼吸症候群の予防・治療を行うことにより,"健康に生きること"が約束されることになる.
著者
田中 亮太
出版者
順天堂大学
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.2-10, 2006-03-31

成体の中枢神経組織には,ニューロン,グリアを新たに生み出す能力を持った神経幹細胞neural stem cells (NSCs)の存在が近年の研究で明らかにされている.この神経幹細胞を利用した中枢神経系の再生医療が注目され,脳梗塞,頭部外傷,脊髄損傷など克服困難とされてきた中枢神経系疾患への新たな治療法として期待が寄せられている.今回われわれは,内在性神経幹細胞を利用した脳梗塞の治療の可能性について,ラットの局所脳梗塞モデルを用い検討した.脳梗塞後4日目より,神経幹細胞増殖因子であるプロラクチン(PRL),神経細胞分化誘導因子であるエリスロポイエチン(EPO)をそれぞれ1週間ずつ脳室内に注入し,最長45日まで観察・検討を行った.運動機能テストではPRL+EPO群ではコントロール群に比し脳梗塞6週間後において優位な機能回復を認めた.一方治療群の脳組織ではBrdU/NeuN陽性の新生したニューロンが損傷部位とその周辺に優位に多数認められ,これら再生したニューロンが脳梗塞後の機能回復に関与していると考えられた.今後成人脳においても移植療法と同様に,内在性神経幹細胞を用いた機能回復を目的とした新しい治療法の確立が期待される.以下の事由により本文を削除。2007(平成19)年11月29日1.海外の共同研究者から,未発表の図表を含む論文を共同研究者の承諾なしに単著として発表した,という指摘が今年(2007年)10月になって正式文書として来信。2.著者もこれを認め了解したので,遡って掲載を取り消し。3.本件については順天堂医学53(4)紙上にて公告。
著者
王 美華 片山 佳代子 町田 和彦 黒沢 美智子 稲葉 裕
出版者
順天堂大学
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.166-175, 2008-06
被引用文献数
1

目的:中国都市部高齢者のメタボリックシンドローム(MS)の実態と日常生活歩数との関連を明らかにすることを目的とした.対象:2004年3月の研究開始時点に中国天津市南開区にあるコミュニティ病院に登録された65歳以上の地域住民高齢者9,167人のうち,200名が健診と質問票調査に参加した.2005年2月に同じ健診を実施した.質問票調査と2回の健診を受け,かつ1年間の平均歩数を測定できた90名を解析対象とした.方法:質問票調査と健診を受けた対象者全員(200名)に万歩計を配布し,1週のうち任意の3日間,起床から就寝までの1日の歩数を1年間継続して記入するよう依頼した.この総歩数を記録日数で割った1年間の1日平均歩数を今回の日常生活歩数とした.MSの診断基準は中国のCDS(Chinese Diabetes Society 2004)に従い,構成因子5因子中3因子以上該当する者をMSとした.2004年と2005年の健診で2回ともMSと診断されなかった高齢者40名を非MS群とし,2回あるいは1回MSと診断された50名をMS群とした.解析には統計ソフトSPSS11.0Jを使用した.結果:対象90名は,男性49名,女性41名,平均年齢(±SD)70.2(±4.6歳,年間の1日平均歩数(以下歩数)(±SD)は5509(±3480であった.MS群(歩数4811±2580)と非MS群(歩数6380±4226)の歩数には有意な差が認められた(p=0.043).MS構成因子に全く該当しないグループの歩数は該当数1〜4のグループより有意に多かった(p=0.004).また,肥満群(BMI≧25.0)の歩数は正常群(BMI<25.0)より有意に少なく(p=0.004),拡張期血圧(DBP)≧90mmHg群の歩数はDBP<90mmHg群より有意に少なかった(p=0.045).歩数のカットポイントを各々5000歩,6000歩,7000歩,8000歩として2カテゴリ化し,MS構成因子との関連を見たところ,6000歩以上では肥満と,8000歩では肥満および拡張期高血圧が有意な関連が認められた.性,年齢を調整した多重ロジスティック解析の結果,歩数5000以上で肥満のリスク,歩数8000以上で肥満と拡張期高血圧のリスクが有意に低かった.結論:中国高齢者で日常身体活動量の客観的指標である日常生活歩数はMSと関連があることが示された.特に1日平均歩数5000以上で肥満,8000歩以上で肥満と拡張期高血圧のリスクが低いことが示された.
著者
小西 敏郎
出版者
順天堂大学
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.465-471, 2002-03-22
被引用文献数
1

リスク管理には,過去のインシデントのレポートを集積して検討し対策をたてること,そして医師を含めてナースや医療従事者の個人個人がリスク管理面での医療知識レベルを向上させること,また医療従事著聞のコミュニケーションをよくして情報をできるだけ共有化すること,医療の標準化を図って医療内容を効率化して無駄な検査や治療を減らすことなどが重要である.これらのいずれにもクリニカルパスは極めて有効である.さらに重要なことは,クリニカルパスから逸脱する異常を患者自身あるいは家族が早期からチェックできることもクリニカルパスの大きな利点である.これからの医療システムにおいては,患者および家族からのチェックシステムも加えることにより,医療過誤を防ぎ,発生した異常に対して早期に治療を開始することが必要である.クリニカルパスは医療費の診断群類別の定額支払い制度(DRG/PPS)への対応として注目を集めているが,リスク管理の面でも極めて有用であるので,21世紀の医療変革にクリニカルパスの導入は必須である.
著者
横井 尚子 石川 正治 加納 章子 芳川 洋 市川 銀一郎
出版者
順天堂大学
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.185-193, 2003-07-31

目的:音響外傷による急性感音難聴の薬物治療には,ビタミン剤・循環改善剤等とともに,ステロイドホルモンの投与が多く行われており,特にステロイドホルモンで高い臨床効果が得られている.ステロイドホルモンは鼓室内投与によって内耳障害に治療効果を示すと報告されている.そこでわれわれは急性音響外傷モデルを作成し,デキサメタゾンの鼓室内投与の効果を聴性脳幹反応(以下ABR)および蝸牛神経複合電位(以下CAP)を指標に検討した.対象:鼓膜正常,プライエル反射正常のハートレー系モルモット(体重約400g) 方法:全身麻酔の後,局所麻酔下に気管切開し,筋弛緩剤を投与し人工呼吸管理下においた.両側の中耳骨胞を開放し,鼓室内に銀ボール電極を設置した.音響負荷としては,耳介側方3cmの位置より105dBSPL,4kHz純音を30分間与えた.音響負荷後同一個体の一側の鼓室内にデキサメタゾンを,対照として反対側の鼓室内に生理食塩水を鼓室内に充満するよう投与した.10分後薬液を除去した.音響負荷前,負荷直後,薬剤投与直後,音響負荷1時間後・2時間後のABRのI波潜時,蝸牛神経複合電位(CAP)のN1の潜時・振幅・閾値について検討した.結果:潜時・振幅ともデキサメタゾン投与側と対照側との間には統計的には有意な差は認められなかった.しかし各個体毎に検討するとABRのI波・CAP潜時の改善がより多く認められ,ステロイドの効果が示唆された.結論:潜時・振幅ともデキサメタゾン投与側と対照側との間には統計的には有意な差は認められなかった.
著者
園城寺 康子
出版者
順天堂大学
雑誌
順天堂医療短期大学紀要 (ISSN:09156933)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.76-85, 1995-03-25

P.D.JamesのThe Skull beneath the Skinは本格派イギリスミステリーであると同時に文学的スリラーと評価されている。この小説の舞台であるCourcy IslandはAmbrose Gorringeの犯罪の性質を語る重要な役割を果たしている。彼は一連の犯罪に大いにかかわったにもかかわらず,真犯人が自殺したこともあり,その犯罪は法のもとで裁かれなかった。彼の犯罪は証明が困難で,素人探偵Cordelia Grayの聖なる常識によって浮かび上がってくる性質のものであり,この視点はある意味では作者James自身のものでもある。だからこれは現代的犯罪の特殊で複雑な性質を描きだした犯罪小説と解釈できる。