著者
今 一義
出版者
順天堂大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

平成18年度の研究では、インスリン抵抗性のモデルマウスであるKK-A^yマウスを用いて、アセトアミノフェン誘導肝障害がインスリン抵抗性マウスで増悪し、肝細胞におけるROSの産生増強がその増悪メカニズムに深く関与していることを示した。そこで、今年度ではアセトアミノフェン肝障害増悪メカニズムの詳細な解析と、肝細胞の脂肪沈着とアセトアミノフェン肝障害増悪の関連についての研究を行った。in vivoの検討では、KK-A^yマウスの肝臓ではアセトアミノフェン処置後のJNK-2の活性化が著明に亢進しており、肝細胞壊死の亢進に関与したことが明らかになった。肝細胞の脂肪沈着については遊離脂肪酸の影響に注目し、初代培養肝細胞に遊離脂肪酸を添加してROSの産生メカニズムに対する影響を調べた。その結果、遊離脂肪酸によって前処置を行うと肝細胞の細胞質内に脂肪滴が沈着し、tert-butyl hydroperoxide添加による肝細胞壊死およびROS産生が増悪した。今回の研究により薬物性肝障害の発症・増悪におけるインスリン抵抗性の関与とそのメカニズムの一端が解明され、ひいては薬物性肝障害の発症予防・早期治療におけるターゲットとしてインスリン抵抗性に伴うシグナルの変化が重要であることが示された。また、肝細胞脂肪沈着によるROS産生刺激に対する感受性の亢進は非アルコール性脂肪性肝炎の発症・進展にも関与している可能性があり、メタボリックシンドローム関連の肝障害全般のメカニズム解明にも関連しうる結果と考えられた。
著者
島内 憲夫 高村 美奈子
出版者
順天堂大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

ハッピネス・ライフ・デザインは、人間が生まれて、生活する中で周囲の環境の影響を受けて染み付いてしまった悪い習慣(意識や行動)を改善し、良い習慣(意識や行動)を形成するための方法の開発を意図している。その改善方法を提案するための評価シートとして「ハッピネス・ライフ・チェックシート」の開発を試みた。そのチェック項目は、「快食・快眠・快動・快笑・快楽・快生」ブラス「幸福感」の7項目、基礎的な情報として「健康観(主観的健康の定義)」「健康感(主観的健康状態)」「病歴」「幸せを感じる時」の4項目である。調査は、千葉県Y市、S市、S町、岡山県M町で行った。すべての地域でハッピネス・ライフ。チェックシートを用いて講座前と講座後の比較を行った。特に岡山県のM町では介入群と対象群とに分け、介入群にはハッピネス・ファクター(幸福因子)を発見・促進するため「笑い・人間関係・自信」に焦点を当てた「ふれあい生き生き講座」を行い、対象群にはリスク。ファクター(危険因子)の発見・改善のため「運動・栄養」に焦点を置いた「健やか講座」を行った。講座終了後の調査の結果、介入群・対象群共に「心身とも健やかなこと」の健康観が主流を占めたが、特徴的な差をみると介入群では「心も身体も人間関係も良いこと」・「前向きに生きること」・「人を愛することができること」など身体的・精神的。社会的・スピリチュアル(霊的・魂的)な健康観へと広がりをみせた。一方、対象群は「病気でないこと」、「快食・快眠・快便」など、身体の健康を意識した狭い健康観が多かった。また「幸福感」も介入群の方が高かった。今後はこの種の介入研究を継続し、リスク・ファクターをコントロールすることを重視した健康講座のみでなく、ハッピネス・ファクターを支援する健康講座のカリキュラムについても考えていきたい。
著者
白井 將文
出版者
順天堂大学
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.335-342, 2002-12-12

わが国では更年期と言えば女性特有なものと言う考えが支配的であるが,男性にも更年期は存在する.ただ女性の更年期に相当する年齢の男性に女性に見られるような症状があるかと言えば必ずしもそうではない.しかしその症状の程度には差こそあれ多くの男性に,倦怠感・不眠・うつ傾向・集中力の低下・性欲の減退・勃起障害(ED)などがみられる.男性の精巣も女性の卵巣と同様加齢と共に機能低下,即ち精子形成能の低下やホルモン分泌能の低下がみられるが女性と違い精子形成は続いているし,男性ホルモン分泌の減少も緩やかで,しかもこれら変化は個人差が大きい.従って出現する症状も女性程激しくなく,個人差も大きい.この男性に見られる各種症状のうち男性にとって最も関心の高いのが性欲の減退とEDである.加齢と共に勃起機能,特に夜間勃起の減少が見られ,年齢と共に男性ホルモンの欠乏に伴うEDも増加してくる.これら症例に男性ホルモン補充療法を行うと勃起力の回復だけでなく,気力や体調の改善も見られる.しかし,前立腺癌の存在を知らずに男性ホルモンを使用すると前立腺癌が発育してしまう危険があるので,ホルモン補充用法前には必ず前立腺癌の無いことを確認すると共にホルモン補充療法中も常に前立腺癌に対するチェックが必要である.また最近EDに対する経口治療薬のバイアグラ[○!R]が加齢に伴うEDにも使用され良好な成績が得られている.これらホルモン補充療法やバイアグラ投与で男性のみを元気にしても,ホルモン補充療法の普及していないわが国の女性の多くは性欲の減退や膣分泌液の減少に伴う性交痛などから性交を希望していないことが考えられ,女性に対するホルモン補充療法や膣分泌液を補う目的のリューブゼリー[○!R]の使用なども考慮しながらEDを治療していく必要がある.
著者
山下 巖 淺間 正道 前野 博
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究の成果として、1)ブレンディドラーニングにおけるe-ラーニングと教室内対面授業の連携をより密にしたプレ・コア連動型モデルの開発に着手したこと、2)ウェブ上に形成した学習コミュニティが予備教育の場として機能したこと、3)ムードルが成績不振者の学習活性化や学習支援に大きな役割を果たす可能性があることなどが揚げられる。特に第1点目に関しては、単なるe-ラーニングと対面学習とを組み合わせただけに留まらず、ウェブ・コミュニティを活用した知識探求型学習と教室内における発表を主体とした知識活用型学習との組み合わせにより、大きな学習効果が期待できる。また、ムードルを活用した成績不振者の学習サポートも、スマートフォンの本格的普及により大きな学習効果へとつながった。
著者
坪内 暁子 奈良 武司 丸井 英二 青木 孝
出版者
順天堂大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

新型インフルエンザ(H1N1)の発生・流行によって、「新型インフルエンザ」という名称は周知されたにも関わらずマスコミ報道等の影響で正しく理解されていない可能性が非常に高いと考えられたため、流行が収まるのを待って予備調査を実施した。その結果、リスク認知とリスク回避行動とが、リスクマネジメントの概念通りに正しくリンクしている勤労者(危機管理担当者)に対して、高齢者は自らの身体的リスクを認識した上で、新型インフルエンザ対策に関する情報収集等に強い関心を示し、マスコミや広報から得た知識を正しく認識できていない割合も他のグループより多いが、行動面で慎重でリスク回避の方向に進む傾向があることがわかった。その一方で、中学生他若者層は、知識吸収能力は高く対策についても正しく理解しているが、行動に関するリスクの認識が甘く、知識と行動とが合致せず危険性が高いことがわかった。H1N1型の国内発生・流行時の関西の高校生がカラオケ店に殺到した事件が裏付けとなる。中学生と、高校生・大学生を比較した場合、知識に関する設問でほとんど有意差がみられなかったため、調査モデル国の台湾では対象を中学生に絞った。台湾の中学生の行動は、日本の勤労者に近い行動をとること、講義や広報、マスコミ(一律の政府報道)に依存し、より慎重であることがわかった。また、全体的に、高病原性と低病原性のリスクを正しく理解していないことがわかった。以上から、リスク認知とリスク回避の関係は非常に密接であり、「感染症教育」の効果としての行動リスクの低減への期待値は非常に高いという結論を得た。
著者
平井 慶徳
出版者
順天堂大学
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, 2001-10-19
著者
渡部 幹夫 酒井 シヅ 杉山 章子 鈴木 晃仁 永島 剛
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

第二次世界大戦後占領下の日本において行なわれた、行政制度の法的な改正は多岐にわたる。GHQ公衆衛生福祉局サムス准将の主導により行なわれた保健医療制度の変革は、占領国の法律を超える積極的な予防医学的な法の精神で作られたようである。しかし今回の研究により、その法を実際に施行した日本の混乱と新たな問題の発生が明らかとなった。
著者
廣瀬 伸良 菅波 盛雄 中村 充 菅原 秀二
出版者
順天堂大学
雑誌
順天堂大学スポーツ健康科学研究 (ISSN:13430327)
巻号頁・発行日
no.1, pp.36-50, 1997-03

The purpose of this study is to investigate the difference performance between European judo contests and Japanese judo contests. We try to analyze between Kodokan cup and Europe judo championships in the 95 kg category.Results are as follows; 1) Concerning detail of contests, Ippon or Yusei-gachi frequently found in Europe Judo Championships. On the contrary, Hantei-gachi which has no detail points, is frequently found in Kodokan Cup Judo Championships. 2) In competition, Te-waza and Ashi-waza are frequently found in Both Judo Championships. 3) Among Te-waza, the techniques of reaping, catching or scooping directly by own hands, were frequently found in Europe Judo Championship. In Kodokan Cup Judo Championship, Seoinage was the most famous techniques of all. 4) Among Ashi-waza, the Japanese competitors used the big-movement technique. On the contrary the small-movement techniques frequently found in Europe Judo Championship. 5) The European Competitors tried to attack with the circumstance of incompletely grips. 6) The numbers of infringements in Kodokan Judo Championships are 2.6 times as many as in Europe Judo Championships. Europe Judo Championships found serious infringements more than Kodokan Cup Judo Championships.
著者
高宮 信三郎 進藤 典子
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

1.回虫成虫体壁および自活性線虫C.elegansのミトコンドリア蛋白のプロテオーム解析(1)大気圧下の好気的環境に生息する自活性線虫C.elegansと、宿主の腸腔という酸素分圧の低い環境に生息するブタ回虫の体壁から、高純度のミトコンドリアを単離する方法を確立した。(2)C.elegansとブタ回虫体壁からのミトコンドリア蛋白を二次元電気泳動で展開し、そのパターンを比較したところミトコンドリア蛋白の組成が両者間で著しく異なっていた。特に分子量45および31kDa付近において顕著な相違がみられた。C.elegansの蛋白の主要スポット18を切り出し、In-gel digestion後、質量分析計により解析した。C.elegans由来と確定された14スポットのうち11が、ミトコンドリアに局在する蛋白として同定された。そのうちわけをみると、ATP合成酵素のサブユニット(atp-2)、ヒートショックプロテイン(hsp-60)、プロピオニルCoAカルボキシラーゼのα、βサブユニット、TCA回路の構成酵素であるリンゴ酸脱水素酵素およびアコニターゼ、グルタミン酸脱水素酵素であった。また、ミトコンドリア外膜に局在するポーリン様の蛋白も見いだされている。2.回虫呼吸鎖複合体および酸化還元蛋白の分子特性解析(1)回虫成虫体壁のシトクロムb5前駆体を大腸菌で発現させたところ、native蛋白と同一な性質を有した蛋白がペリプラズムに輸送された。本蛋白はワンステップのイオン交換クロマトで精製され,大量調製に適した発現系である。(2)回虫L3複合体II CybSサブユニットの分子クローニングを行ったところ、成虫のものとは異なったものであることが明らかとなった。3.今後の展望:計画した項目は一部未達成であるが、上述のように、比較的少量の材料から高純度のミトコンドリアを調製する方法を確立し、ミトコンドリア蛋白を一部マッピングできたことの意義は大きく、今後,回虫成虫と幼虫の解析を飛躍的に進めたい。
著者
清水 芳男
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

(1)メチシリン抵抗性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染後腎炎の原因候補抗原の組換え蛋白を作製し、培養メサンギウム細胞と反応させたところ、メサンギウムの増殖に関し、正・負の両者のシグナルをToll-likeレセプターを介して伝達することを見出した。(2)Fcα/μレセプター(Fcα/μR)は、IgA・IgMに対する高親和性Fcレセプターである。Fcα/μRトランスフェクタントにより、患者血清中の多量体IgAを捕捉し、ヒンジ部O-結合型糖鎖を標識レクチンで染色し、フローサイトメトリーにて解析する系を開発した。
著者
南谷 和利 笠原 嘉介 ITOH Mamoru
出版者
順天堂大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

近年、高齢者のスポ-ツ愛好家が増加する中、マラソンのような激しいスポ-ツ活動に参加する高齢者が目立つようになってきた。しかしながら、同時にスポ-ツ中に突然死する事故も急増している。その原因として、循環器系の器質的障害が報告されているが、未だ解明されていない点が多い。また、習慣的にトレ-ニングを継続してきた者にも運動中の急死が起こることがある。本研究では、運動中における急死の発生機序を検討するための基礎的資料を得ることを目的として、市民マラソンに参加した経験をもつ高齢者マラソンランナ-を対象に、循環器系機能を中心とした体力測定、および血液生化学検査を実施した。平成2年度は、被験者14名(平均年齢61.2歳)を対象に安静時の心電図記録、体力測定、血液生化学検査などを実施し、被験者らのトレ-ニング状況を調査した。平成3年度では、被験者らのトレ-ニング状況などを引き続き調査し、被験者7名(平均年齢68.2歳)を対象にマラソンレ-ス前後の血液生化学検査所見の検討を行った。被験者らの体力レベルは個々に異なり、バラツキはみられたものの、一般の高齢者と比較した結果、一部を除き全体的に優れていたと思われる。心電図の記録では、数名の被験者に異常所見が認められたが、現状の運動継続には支障のないものと判断された。血液生化学検査所見においては、加齢や運動による影響と考えられる異常値が認められた。現在、変化の認められた血液生化学検査結果について運動の影響を検討している。本研究結果から、突然死に対する科学的対処法を導き出すことはできない。今後、本研究結果を基礎にして、さらに同様な知見を積み重ねていくとともに、高齢者が安全に運動を行うためのメディカルチェックを検討していく予定である。
著者
牛尾 直行
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究成果は以下の三点を明らかにしたことに集約される。1.現代南インド 2 州において SC/ST/OBCs 学生の就学前教育段階からの学歴形成過程は様々なパターンや制度があること、2.RTE 法(2010 年 4 月施行)の法制度とその施行過程のなかで、最貧層の人々の教育機会を保障するには至っていないこと、3.中等教育・高等教育人口が急激に増加する中で、マイノリティ・インスティテューションやシフトIIといったオプションが彼らの教育機会の生成過程に大きく影響を及ぼしていること。
著者
加藤 聖子 内田 聡子
出版者
順天堂大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

我々は以前ヒト正常子宮内膜よりSide Population細胞を分離しSP細胞が長期増殖能を持ち内膜腺上皮や間質細胞への分化能を有すること、このSP細胞の割合は月経期内膜に最も高いことを報告した。子宮内膜症の発症を月経血逆流説から検討するため、インフォームドコンセントを得た患者から月経血を採取し内膜細胞を分離培養しSP細胞を分離しその増殖能を解析した。月経血中の内膜細胞にはSP細胞が存在した(n=5,平均0.704%)。このSP細胞およびnon SP細胞を分離培養し、増殖能を解析したところ、SP細胞の増殖能が亢進されていた。また、コラーゲンプレートに500 cells/cm^2の細胞を播種したところ、SP細胞のみでコロニーが形成され、このコロニーより分離された細胞は同様にコラーゲンプレート上にコロニーを形成した(自己複製能)。また、昨年度ラット子宮内膜細胞のSP細胞とnon SP細胞を用いたマイクロアレイによりSP細胞で有意に発現の高かった受容体蛋白を蛍光免疫染色で解析すると、月経血中子宮内膜のSP細胞にnon SP細胞に比べ陽性細胞数が多かった。以上より、月経血中の子宮内膜細胞に、増殖能の高い、コロニー形成能、自己複製能を有する細胞が存在することが明らかになった。この細胞群が異所性に増殖する性質を持っ子宮内膜症の発生機構に関与する可能性が示唆された。内膜症からの癌化機構を検討するため、内膜症と卵巣癌(明細胞腺癌)が共存する組織切片を用いて、子宮体癌SP細胞で発現が増加していた蛋白の発現を免疫染色法で解析した。この蛋白発現は卵巣癌近傍の子宮内膜症に強く発現されていたが、離れた部位の内膜症組織や正常内膜には発現していなかった。
著者
羽鳥 浩三 長岡 正範 赤居 正美 鈴木 康司 服部 信孝
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

パーキンソン病(PD)のリハビリテーション(リハ)の効果を明らかにするためには、PD の動作緩慢や無動などの運動障害を客観的に評価することが求められる。近年、 PD の疲労感、うつ状態などの非運動症状が運動症状に少なからず影響をおよぼすと考えられる。 私たちはこのような背景から非運動症状の影響を受けにくい運動障害を検討するため、随意運動と反射の複合運動である嚥下障害に着目した。口に入れた食塊は、口から咽頭を経由して食道に送り込まれる。私たちは嚥下造影検査を用いて咽頭期の嚥下運動に密接に関わる舌骨の運動を PD と健常対照(NC)で比較検討した。その結果、PD では NC に比し咽頭期での舌骨の運動範囲の狭小化と平均移動速度の遅延を認めた。また、この結果は PD の日常生活動作の指標となる Unified Parkinson's Disease Rating Scale(UPDRS)の動作緩慢に関する評価項目と正相関を示した。 本結果は、咽頭期の嚥下において PD では舌骨の運動障害が存在し、この運動障害は PD の動作緩慢と関連する可能性を示唆する。このことは、PD の嚥下障害に対する抗 PD薬の調整やリハの評価に対してさらに有用な情報を提供する可能性を指摘した。
著者
土屋 基 鈴木 勝彦 井上 忠夫 樋口 和洋 三野 大來
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

中学・高校・大学等に通う女性約8,000名のうちの約3割が「手足双方の冷え」(冷え性)を自覚し、別の約3割が「手または足の冷え」を自覚していた。全般に、中学から大学等へと就学段階が進むにつれて食生活、生活習慣、痩身意識、行動などが好ましい状況からかけ離れて行く傾向が見られた。この傾向は、大学等学生の冷え性率(冷え性自覚者の全体に占める割合)が中学生のそれよりも高く、また高校生のそれをはるかに上回っていることにも表れていた。冷え性の女性は、非冷え性の女性に比べて、先に触れた生活、意識、行動が芳しくないだけでなく、身体や精神に関する愁訴率も高いことが確認された。
著者
米田 継武
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

随意的に素早い筋運動が投・跳・打・蹴などの日常動作の根本にありその神経的機構が、主として大脳皮質由来の機能に依存するという立場で研究を進めている。研究の基本は運動の元になる動き以前の力発生解析であり、パラメータは研究開始以来筋電図放電量(時系列区間解析)、筋電図周波数特性、および随伴する脳電位活動特性である。現象の一般的事実抽出に主眼をおいた1、2年目から、この3年目は個人差の類型特定という点で特に加齢に伴う分布変動を、健常人の広い年齢層を対象に、膝関節伸展運動及び筋電図の量的・時間的特性から有効なパラメータを求める計画をたてた。また全体的な目的からは神経筋系統合観点また、筋電図学上の観点から、筋の駆動のための神経プログラムの内容を探索がなされる必要があることから、運動単位動員と脳波の連関現象も引き続き検索した。しかし3年目初期に、制御パラメータの確立には中枢性の機序背景、中でも1側運動の神経支配が中枢側でも実行されているかどうかという確認計画を挿入して行う論理的な必要が生じた。そこで今年度研究は、3つの方向性で進められることになった。つまり、(1)素早い力発揮の所要時間が健常人の年齢別分布、(2)1側動作における両側運動皮質の振る舞い。(3)素早い力発揮時の運動単位脱動員に関連する皮質活動電位を捉える、であった。計画(1)についてはこれまでの進捗と同方向なので順調にデータ蓄積を果たし、学会発表を行い(国内1と国際1但し後者は21年6月)論文の執筆が可能な状況に到達した。(2)は新たな基礎実験であったが、予想外に進行させることが出来て国内学会(1)に成果を発表できた。(3)の検討は(2)という新たに加えられた実行プランに影響を受け昨年同様実験進度の低い状況となった。総じてこの手法により、個人差の類型特定という点と、実際のすばやい'運動'に適用を拡延して行くこととで研究の土台は確実に構築された。
著者
澤木 啓祐
出版者
順天堂大学
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.312-316, 2003-09-30

東京箱根間往復大学駅伝競走は1920年(大正9年)に始まり,本年2003年に79回の歴史を刻んでいる.わが順天堂大学は1958年,初出場より本年まで46回連続出場を達成している.この間10回の優勝,18回の2位・3位を数え,参加全大学中,抜群の勝率を残している.この好成績の要因としては種々の医科学的アプローチの賜である.1966年,初優勝よりスポーツ生理学的指標である最大酸素摂取量を基盤としたトレーニング,1979年より血液性状によるコンディションチェック,脚筋力と競技記録の関連,1990年代より血中乳酸を指標としたトレーニング強度の改善など,生化学的検査を駆使し,出場選手のコンディションチェックの手法を確立し,持久性能力の改善手段として関連諸学科との協力体制を構築することにより『順天堂大学方式』としての評価を得ることができた.医科学的データに基づく<客観的指標>,現場のコーチングスタッフの眼力による<主観>との融合,学生選手と現場指導者であるコーチングスタッフとの信頼関係により大きな成果を得たものと確信している.今後,私どもは関連諸学科との連携により更なる改善を重ね競技力向上に邁進したいと考える.
著者
木南 英紀 横沢 英良 鈴木 紘一 田中 啓二 中西 重忠 水野 義邦
出版者
順天堂大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2000

特定領域研究「蛋白質分解-新しいモディファイアー蛋白質による制御-」(平成12年度〜平成16年度)が終了したので、その成果をとりまとめ、研究成果報告書を文部科学省に提出した。本研究のテーマとした細胞内の主要な蛋白分解システムであるユビキチン・プロテアソームシステム研究とオートファゴソーム・リソソームシステム研究は、研究期間の5年間に大きな進展が見られた。ユビキチン・プロテアソームシステム研究では、このシステムが広く生物・生命現象に関わることが定説となった時点で、一昨年ユビキチンの基質蛋白質への結合反応の発見についてノーベル化学賞が贈られた。本特定領域研究で得られた成果は、その後のこの領域の生物医学的研究の発展に、極めて大きな貢献をした。また、日本発信の研究であるオートファジー研究では、本特定領域研究チームの研究成果は世界最先端を行っており、平成17年度においても世界に注目される成果が出されている。研究成果報告書の提出に加えて、この特定領域研究で得られた研究成果を社会の方々に広く知っていただき、より理解を深めていただくという趣旨で公開講座を平成17年12月24日に順天堂大学有山記念講堂で行った。「いきいきとした細胞、そして健康を保ために」というタイトルで、副題を「タンパク質分解の重要性」とし、5人の演者から世界トップレベルの研究内容をわかりやすく、面白く話していただいた。最後に5人の演者が登壇し、パネルディスカッションを行ったが、150人ぐらいの出席者の中から、次々と質問が出され、討論時間の30分はあっという間に終わった。細胞の中で蛋白質がつくられた後なぜ壊されなければならないか、蛋白質の分解が健康維持や病気の原因・進行にどう関与しているのかという疑問に対する科学的な説明は、かなり理解していただいたように思えた。蛋白質分解の研究領域が益々発展することを祈念する。
著者
金子 育世
出版者
順天堂大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

日本人英語学習者のスピーキングにおける感情表現を観測し、米語母語話との比較を行うため、生成実験を実施した。日本人大学生10名(男性6名、女性4名)と米語母語話者(男女各1名)を被験者とし、2つの課題のもとに書かれた英文手紙をテープレターにするつもりで読んでもらい、録音した。感情表現の中でも愛情表現と哀悼表現に着目し、それらが第二言語と第一言語でどのように異なるかを観測するため、課題は「付き合って3年目の記念日に恋人に渡すラブレター」と「大学入学前にとてもお世話になった先生が亡くなったことについて、先生の家族に送るお悔やみの手紙」とした。日本人被験者は全て海外滞在経験のない大学生で、英語能力はTOEICにおいて平均が484点(280点〜650点)であり、米語母語話者は英語教材の録音を担当するプロのナレーターであった。音声資料において、音声分析ソフトを用いて音声波形、スペクトログラム、イントネーションカーブを作成し、米語母語話者が強調している語を分析語とした。日本人被験者の各分析語のピッチ高低差、持続時間、強度を測定し、米語母語話者のものと比較、分析を行った結果、日本人被験者は米語母語話者に比べて、ピッチの高低差が少なく、持続時間が短かいが、強度は高いことが観測された。このことから、日本人英語学習者はピッチの高低差と持続時間の不足部分を強度で補おうとしていることが示唆された。また、男性よりも女性において英語母語話者に近い音響特徴が観測され、女性の方が英語における感情表現の習得が進んでいることも示唆された。さらに日本人の音声資料に関して、単音、プロソディ、感情表現、全体的印象を4人の英語母語話者(男女各2名)にそれぞれ評価してもらった結果、ラブレターよりもお悔やみの手紙の方が高い評価を得た。このことから、日本人英語学習者は愛情表現よりも哀悼表現において習得が進んでいることが示唆された。
著者
木村 博子 内田 浩二
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

酸化ストレスマーカーである過酸化脂質, 4-Hydoroxy nonenal(HNE)やニトロ化物の3-nitrotyrosine(NT), 6-nitrotryptophanの時間分解蛍光イムノアッセイを開発し, lipopolysaccharide(LPS)投与ラット(感染症モデルラット)の心臓・大動脈・腎臓・肝臓・腸管などにおけるHNEや他の酸化ストレスマーカーの生成量の測定, 酸化ストレス発生源の同定を行い, その感染症病態における関与の解明を行った. また高血圧を発症した自然発症高血圧ラット(SHR)に持続的な運動を行わせて運動がスーパーオキシドジスムターゼ(Mn-SOD)合成を増加させて酸化ストレスが減少する仕組みを解明した.