著者
小林 良二
出版者
首都大学東京
雑誌
人文学報. 社会福祉学 (ISSN:03868729)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.169-188, 1990-03-10
著者
林 琢也
出版者
首都大学東京
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.143-154, 2010-03-30
被引用文献数
1

都市住民の農業・農村体験,農産物の直接購入の需要を満たす観光農園の経営は,農家にとっては,労力の軽減や所得向上のための大きな手段となる。本稿では,同一品目を主な「商品」とする観光農園の入園料が地域において大きく異なる点に注目し,YAHOO!JAPAN のキーワード検索において「サクランボ狩り」で上位100件に挙げられた地域を取り上げ,価格設定と集客圏,所得の関係を考察した。その結果,価格設定は,食べ放題の時間制限と入園料により「短時間・低価格」と「短時間・高価格」,「長時間・低価格」の地域に分類できた.さらに,価格と集客圏となる地域の所得水準の高低は総じて比例関係にあるとともに,低価格地域の多くは,大都市(圏)から離れた地域にみられた。すなわち,観光農園の入園料は,集客圏とする地域の所得や大都市(圏)との距離に大きく影響を受けており,それによって同じ品目を「商品」として利用する場合でも価格設定をはじめとする経営内容に差異を生み出すことが明らかとなった。
著者
大橋 隆哉 石崎 欣尚 山崎 典子 江副 祐一郎 満田 和久
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2009-05-11

宇宙で未検出のダークバリオンすなわち中高温銀河間物質(WHIM)を、赤方偏移した酸素の輝線スペクトルで検出する小型のX線天文衛星DIOS (Diffuse Intergalactic Oxygen Surveyor)を目指して、装置開発や衛星へ向けた検討を行った。TESカロリメータは基盤の厚さ方向へ配線を重ねる積層配線技術を実用化し400素子製作への目処をつけ、ベースバンドフィードバックによる多重読み出しや独自設計の低発熱SQUIDを開発し、機械式冷凍機や新型熱スイッチの性能確認、DIOS衛星の熱・機械設計を行うなど、DIOS衛星の実現性を確認し、小型衛星の提案へ向けた技術基盤を確立した。
著者
新井 清美
出版者
首都大学東京
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

アルコールに起因する問題が生じてから連続飲酒までの状態であるプレアルコホリックをどのように認識しており、どう変化していったのかを明らかにすることを目的に、アルコール依存症患者と当時の同居家族に対して半構成的面接を行い、質的記述的に分析した。その結果、プレアルコホリックの認識と変化には飲酒による高揚感といった効果を求めて飲んでいる段階、社会的な困難事といった直視し難い現実から逃れるために飲んでいた段階、飲酒量や頻度の増加に伴い健康上の障害が出現するようになった段階の3つの段階があり、医療従事者も適正飲酒の指導、問題飲酒者の抽出や経過観察、短期介入と、段階に合わせた支援をしていく必要性が示唆された。プレアルコホリックの段階では簡単な治療介入により良好な予後が期待できるため、対象がコーピングを図れるような環境調整や、医療従事者による短期の介入によりアルコール関連問題の改善していくこが求められる。
著者
奥野 和彦 松本 淳 城丸 春夫 阿知波 洋次
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

(1) SUS1/4"管の内部に8本の0.5φSUS線を張ったビームガイドを真空隔壁を貫通させた3段の差動排気システムにより、大気圧あるいは大気圧に近い圧力領域のイオン化室から生成イオンをガス流の電荷輸送特性とビームガイドのイオントラップ効果を活用して効率よく高真空領域に導いて質量分析ができる大気圧質量分析技術を開発した。(2) AP-LDIにおいてレーザーを回転させた試料塗布ディスク上に点収光させて超低速で走査する螺旋軌道照射させることにより低出力のレーザー光で脱離イオンを長時間安定に連続供給することに成功した。(3) AP-LDIにより生成したC_<60>-イオンのレーザー照射による電子脱離実験(C_<60>-+hn R C_<60>+e-)から、大気圧に近いAP-LDIイオン源で生成されビームガイド中をガス流とともに下流に搬送されてトラップされた分子イオンは運動エネルギーのみならず内部エネルギーも基底状態あるいはその近傍にまで十分冷却されていることが確認された
著者
吉田 樹
出版者
首都大学東京
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、観光地域における生活者と観光者がともに快適な環境を創出するために、生活者と観光交通の折り合いに配慮した交通計画に関する理論化と計画技術の構築を目的として実施したものである。具体的には、以下の二点について検討した。第一には、青森県奥入瀬渓流地域を事例として、観光地域における交通問題の現象解析とその発生構造の分析を行い、観光バスによる車窓観光が地域の道路交通に与える影響を定量的に示した。第二に、鉄道と自転車の融合利用の一つであるサイクルトレインに着目して、地方鉄道の活性化や観光における周遊手段としての可能性を検討した。
著者
樋口 貴広
出版者
首都大学東京
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では,視覚情報が利用できない条件でも,より正確に空間を移動できる歩行方略を検討するため,視覚情報を一時的に遮断した状況下での歩行中の空間認識,および歩行動作特性について検討した.歩行中に視覚情報が利用できず,記憶を頼りに障害物をまたぐ課題(回避課題),および障害物があると思う位置で立ち止まる課題(到達課題)の2つの課題において,障害物位置の認識の正確性を比較検討した.その結果,その結果,課題間で僅かな違いが見られたものの,いずれの課題においても実際よりも手前の位置に障害物があると認識していることがわかった.
著者
菅野 菜々子
出版者
首都大学東京
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

【研究目的】細菌は自然生態系の中で分解者・生産者という重要な役割を担っている。自然環境中では栄養資源の量が変動するため、栄養源が豊富な時には細菌は分裂増殖し、それ以外の期間は分裂しない状態で生きのびていると考えられる。しかし非分裂条件下で、細菌細胞が生きのびるために必要なエネルギー量や何にエネルギーを使用しているのかの詳細はよくわかっていない。本研究では細菌の非分裂条件下での生存機構をエネルギー(ATP)との関係から明らかにするために、光エネルギーからATPを獲得できる光合成細菌を利用して非分裂条件下でATPを消費している生理活性とATP維持に関わる細胞状態を特定する。【平成25年度研究計画】25年度は、これまでの研究で紅色光合成細菌の中でも非分裂条件下・暗条件および浸透圧・熱ストレス条件下で生存性が高いことがわかっているRhodopseudomonas palustris CGA009株を材料として、非分裂条件下・生子性の異なる細胞の網羅的転写角析、非分裂条件移行過程における代謝動態、非分裂条件下でのATP生産能力解析を行った。【25年度研究成果】非分裂条件下でのATP生産能力解析から、非分裂条件下では光の有無にかかわらず光合成によるエネルギー獲得能力を維持しており、非分裂条件下で生き残るために光合成をエネルギー源として頼りにしている可能性が示唆された。暗条件でも他の細菌種に比べて生存性の高かったR. palustrisでは非分裂条件下での代謝・転写状態はエネルギー供給量によって大きく異なり、エネルギー供給のあるときはタンパク質回転が積極的に行われていると示唆された。一方でエネルギー供給量が制限される条件では供給量の高いときとは異なる代謝・転写状態であり、非分裂条件を生きのびるための生存機構は細胞内のエネルギー量によって異なる可能性が示された。
著者
矢嶋 里絵
出版者
首都大学東京
雑誌
人文学報. 社会福祉学 (ISSN:03868729)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.41-71, 1997-03-25

わが国における障害者福祉法の起点である「身体障害者福祉法」の制定過程を、基礎的な史料に基づいて検証する。とくに本稿では、日米の障害者福祉に対する考え方の違い、法案作成をめぐる交渉経過、障害者による法制定要求の展開等に着目して、法成立に至る道筋を明らかにしたい。
著者
西澤 由輔
出版者
首都大学東京
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本年度は始めに,ヘテロ次元接触を含むヘテロ次元サイクルをもつ微分同相写像について,ヘテロ次元接触の近くでどのような力学系が存在するかを考えた。研究代表者は二つの不動点の固有値が複素数の場合に元の微分同相写像にC^1摂動を加えることにより,ヘテロ次元接触の近くに馬蹄が存在することを示し,その馬蹄を用いてwild hyperbolic strange attractorsをもつ微分同相写像が,ある条件下では元の微分同相写像のC^1位相で近いところに存在することを証明した。詳細については[西澤由輔,Heterodimensional tangencies leading to hyperbolic sets and wild hyperbolic strange attractors,数理解析研究所講究録(掲載決定)]に記されている。また,この研究の発表を[RIMS共同研究マクロ経済動学の非線形数理(京都大学,数理研),2010年9月8日],[日本数学会総合分科会(名古屋大学),2010年9月22日],[2010年度冬の力学系研究集会(東京工業大学),2011年1月9日]で行い,論文[Y.Nishizawa,Heterodimensional tangencies leading to hyperbolic sets and wild hyperbolic strange attractors,preprint]としてまとめた。本年度は次に,ヘテロ次元接触を含むヘテロ次元サイクルをもつ微分同相写像でそのサイクルを作るインデックスが2の不動点を含むブレンダーをもつものを考え,ブレンダーのdistinctive propertyを用いてインデックスが2の不動点の安定多様体の極限から葉層構造が構成できること示した。この研究の発表を[第7回数学総合若手研究集会(北海道大学),2011年3月2日]で行った。この研究については,この葉層構造がロバストであるか,現在も研究中である。本年度は次に,点分岐と呼ばれる分岐について考えた。研究代表者は首都大学東京の満倉氏との共同研究として,3次多項式の2パラメータ族を考え,2つのパラメータで同時に点分岐をもつ3周期点が存在し,分岐図中にバブルが現れる初めての具体例を構成した。この研究の発表を[力学系セミナー(首都大学東京),2010年12月17日]で行い,論文[Y.Nishizawa and E.Mitsukura,Simultaneous point bifurcations and bubbles for two parameter family of cubic polynomials,preprint]としてまとめた。
著者
中林 一樹 池田 浩敬 饗庭 伸 市古 太郎 澤田 雅浩 薬袋 奈美子 福留 邦博 米野 史健 石川 永子 ハイリエ センギュン
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

災害からの復興の仕方は、国や地域によって異なる。被災した地域の文化、社会経済状況、地域社会構造、法制度の特徴が反映されるからである。1999年マルマラ地震では、トルコの災害法の規定に基づき、震災復興の第1段階は、全壊した住宅と事業所を、郊外に新規開発した復興住宅団地に「移転復興」させることであった。この段階は、地震の直後から取り組まれ、2000~2004年に約43千戸の恒久住宅と約1000戸の復興個人事業所の建設・供給によって基本的に完了した。一方、被災市街地での現地復興については、安全性に配慮して、地盤条件に対応させて個別耐震基準の遵守とともに都市計画による建築階数規制がダウンゾーニングされ、建物の階数制限が強化された。被災した6~8階建の建物が、再建にあたっては2~4階建以下に制限された。それは郊外に移転復興する住宅と事業所の空間量を差し引いた被災市街地の再建空間計画であった。しかし、郊外に移転した事業所の営業はふるわず、被災市街地の中心商業地域では2階建の仮設店舗が再建され、賑わいを取り戻しだしたのが2003~2006年頃で、これが復興第2段階である。一方、これらの郊外に供給された復興住宅・事業所を獲得する権利は借家層にはないこともあって、全壊しなかった損傷程度の建物は修理して使い回されるようになっていった。本研究の成果では、上記のような復興過程に引き続き、2007-2009年を研究期間とし、第3段階の被災市街地の復興実態を明らかにした。空地が増えていた被災市街地では、商店街での現地再建が急速に進展しはじめた。主要な被災都市であるアダパザル市とデールメンデレ市の中心市街地を事例都市として、定期的な現地踏査による市街地の復興過程と街並み景観の変化をデータ化し、階高不揃いの街並み再建の実態を明らかにした。同時に、この時期にトルコの地方自治体制度が改定され、大都市自治体制度に移行し、被災市街地の復興から大都市圏整備計画としての都市開発に移行している現状を明らかにした。さらに、被災市街地での再建および新築建物の階高制限にもかかわらず、全員合意の区分所有制度は改定されず、被災建物の再建復興は、個人あるいは企業が、区分所有者の権利を買い集めることによって個人建物として再建が進んでいることを明らかにした。こうした都市復興の理解と同時に、10人の被災者への詳細なインタビュー調査を実施し、被災者の生活再建過程について都市部では復興への関わり方を通して、被災者の個々の復興過程の多様化の実態を明らかにした。
著者
石井 良則
出版者
首都大学東京
雑誌
小笠原研究年報 (ISSN:03879844)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.53-73, 2007-03

京都府船井郡園部町出身の猪子氏豊は、戦前の小笠原諸島母島に渡って幼児保育事業を開始し、長男で沖村世話掛の猪子徹雄の支援を得て、1928(昭和3)年4月15日の開園から1942(昭和17)年3月21日の閉園までの14年間にわたり、「小笠原尚美園」という名称の幼稚園を経営した。当時の様子を卒園生に聞いたり、東京都公文書館所蔵の『視察関係書類(八丈島・小笠原・館知事)冊の48』等を参考にしたりして論述した。