著者
大久保 寛
出版者
首都大学東京
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

地震の発生をいち早く検知するにはどのような方法が有効だろうか。本研究では,地震発生をこれまでよりも数秒早く知るための新しい地震検知技術とその検知を実現するための超高感度な地球磁場(地磁気)センシングシステムの研究開発を検討している。いわき観測点における高温超電導SQUID(HTS-SQUID)磁力計システムによる高感度地磁気観測を実施した。HTS-SQUID磁力計によって観測された地球磁場信号の波形を評価した。世界初のHTS-SQUID磁力計による野外地球磁場計測が成功している。
著者
伊藤 眞 渡邊 欣雄 鄭 大均 高桑 史子 何 彬 綾部 真雄 渡邊 欣雄 鄭 大均 高桑 史子 何 彬 綾部 真雄
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

東アジア各国にも日本の老人クラブに似た組織がある。しかし、高齢者の多くは、そうした組織にあまり依存せず、主体的に人生を享受している。一方日本の老人クラブの活動には、概して受け身的な傾向が認められる。高齢者が多様化する現在、トップダウン型の組織化は不適切である。高齢者を高齢者として枠づけない考え方が重要である。本調査研究は、高齢者に自由な場を提供することこそが組織の持続化につながることを提言する。
著者
桑田 耕太郎 松嶋 登 高橋 勅徳 山田 仁一郎 水越 康介 山口 みどり 入江 信一郎
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究テーマである「制度的起業」とは、単に制度的環境を与件としてそれに組織が適応するとする議論を越えて、企業が既存の制度に埋め込まれながら新たな制度を創造する側面を持っていることに注目した概念枠組みである。本研究では、こうしたダイナミックな制度的実践の側面に注目しつつ、制度変革のマネジメントについて明らかにした。
著者
桑田 耕太郎 松嶋 登 高橋 勅徳 長瀬 勝彦
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、科学ないし技術的な知識基盤に支えられたベンチャー企業(以下、技術系ベンチャー企業)が、特定の科学および技術コミュニティにおける科学的・技術的知識を、それとは異なったコミュニティ(ビジネス・コミュニティ)へと移転し、ひいては経済活動を通じて社会変革を導くメカニズムを理論的ないし経験的に明らかにすることを目的として取り組んできた。まず、本研究では、技術系ベンチャー企業をめぐる理論的基盤の整備が行われた。ベンチャー企業論は、1970年代から欧米において研究が着手され、経済学、経営学、心理学、社会学、人類学等の領域を横断するカタチで無秩序に拡散・増大してきた。80年代末より独自の体系を持つ研究領域として体系化が進められ、近年は新制度学派社会学の知見を取り入れた理論的・方法論的基盤の整備について議論が交わされるようになった。こうした理論的基盤の整備の下、本研究では、ハイテクのなかでも、とりわけ近年勃興しているネット系のベンチャー企業の行動原理に基づいたビジネスモデルの形成過程について考察を行ってきた。そしてさらに、ハイテクベンチャーをめぐる理論的課題を検討する中で、本研究が新たに注目した論点として、ハイテクベンチャーをめぐる制度的環境の重要性を見出すにいたった。従来まで予見とされてきた制度的環境は、実は、ベンチャー企業にとっての設計対象であることに、その要点がある。なお、本研究で取り上げた事例の一部は、社団法人ニュービジネス協議会の協力を得て、近年にニュービジネス大賞を受賞した企業の中からリサーチサイトとなりうる技術系ベンチャー企業を理論的な観点から選定を行い、現実の経済界とのつながりを重視してきた。また、具体的な調査方法としても、ライフヒストリーの編集や、参与観察、GFA(グループ・フィードバック分析)など、さまざまな方法論・手法を用いて綿密に行われた。
著者
南方 久和 安田 修 梶田 隆章 梶田 隆章
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

スーパー神岡実験によって質量とフレーバー混合が存在することが発見されたニュートリノという素粒子が未知の非標準的相互作用(NSI)をもつ可能性について研究した。NSIが存在する系におけるニュートリノ振動の全般的性質を明らかにし、全く新しいタイプの多重解の存在を見いだした。ニュートリノファクトリーを用いるNSI探索における積年の問題である1-3角とNSIとの混同の問題の解決方法を提示し、NSIの最も感度の高い探索方法を明らかにした。さらに、ミュー・タウニュートリノチャンネルにおける非標準的相互作用の探索には数年前に提唱した神岡・韓国2検出器系が有利であることを指摘し、この感度評価を行った。
著者
高橋 日出男 三上 岳彦
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,関東地方南部を対象とした稠密な雨量計とレーダの資料による強雨頻度の統計的解析と,東京都心域に発生した雷雨に伴う短時間強雨の事例解析を行った.都心域では夕刻から夜半に強雨頻度が増加していること,都心風下側で空間スケールの小さい強雨域が多発していることがわかった.また,都心域の強雨発生事例について,高い都市キャノピーによって強雨域近傍で停滞したガストフロントが強雨の維持停滞に関与した可能性が指摘された.
著者
松本 淳 遠藤 伸彦 林 泰一 加藤 内藏進 久保田 尚之 財城 真寿美 富田 智彦 川村 隆一 浅沼 順 安成 哲三 村田 文絵 増田 耕一
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

1950年代以前のアジアモンスーン諸国における紙媒体気象データをデジタル化したデータセットを作成し,20世紀全体でのアジアモンスーンと台風の活動や経路の長期変動を解析した。その結果,日本の冬季モンスーンが弱まり,冬の期間が短くなる傾向や,フィリピンで夏の雨季の開始時期が近年遅くなる傾向,東南アジアで降雨強度が強まる傾向,台風発生数の数十年周期変動,台風の低緯度地方での経路の長期的北上傾向等が見出された。
著者
柳渾 一希 (2008) 柳澤 一希 (2007)
出版者
首都大学東京
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

本年度は,昨年度までのシミュレーションモデル・数理モデルに主に基づいていた研究を発展させ、地域公共施設の再整備に取り組むためのより実証的な研究を実施した。第一に、電子自治体の推進のなか近年の自治体に急速に普及している公共施設予約システムについての研究を行った。この予約システムによれば、施設の利用目的や利用頻度などの施設需要などを精緻に把握できるため、ここから得られる情報をもとにした、新たな公共施設管理手法の開発も可能であると思われる。このため、アンケート調査により現状の予約システムの普及状況を把握し、今後の公共施設管理についての見通しをたてた。第二に、昨年度開発した競合して立地する施設と他施設との利用圏の重なりの影響を考慮した施設利用者密度の幾何学的分析手法に基づく重要構造分析モデルを実際の観測データをもって検証した。具体的には、鈴木ほか(利用者の選好に立脚した通所型高齢者施設の利用構造と配置の分析、日本建築学会大会学術講演梗概集、F-1、pp.649-650、2002)により観測された高齢者福祉施設の利用者分布の状況を、多重ボロノイ図にもとづき解析し、開発した分析手法の有用性を示した。第三に、昨年度開発した施設再配置モデルを再検討し、施設閉鎖とともに施設移転を考慮した最適配置シミュレーションにより最適な施設統廃合についての試算を行った。この際、地域の将来人口・公共施設の建築年数・公共施設の空室率の3要素のうち、いずれの要素から優先順位をつけるかにより、閉鎖・移転施設の組合せにより統廃合後の施設利用者の負担が大きく変わることを確認した。同モデルは統廃合計画の効果測定にも有用である。
著者
赤塚 若樹
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究のテーマは、20世紀のチェコの視覚芸術において発揮されている想像力のあり方を美術史的・文化史的文脈を考慮するだけでなく、歴史的・社会的・政治的状況も視野に入れながら考察することにあった。おもに映画、写真、絵画、グラフィック・デザインといったジャンルをあつかい、その特色が、シュルレアリスムを中心とするアヴァンギャルドの美意識ならびに社会主義体制下の歴史的・社会的状況と密接に結びつきながら独自の発展を遂げてきた点にあることをあきらかにした。
著者
齋藤 仁
出版者
首都大学東京
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

研究目的を達成するために平成22年度に行った研究内容は,以下のようにまとめられる(齋藤ほか,2011,GIS-理論と応用,投稿中).1.土砂災害のリアルタイムモニタリングシステム(SWING system)の構築前年度までの研究で得られた「2種類の降雨イベント(短時間集中(SH)型と長時間継続(LL)型)の特徴」に基づいて,斜面崩壊を発生させる降雨イベントのリアルタイムモニタリングシステム(the system with Soil Water Index Normalized by Greatest value, SWING system)を構築した.SWING systemは,気象庁発表の毎正時の解析雨量と土壌雨量指数をリアルタイムで解析し,現在の降雨イベントをSH型またはLL型に分類する.その結果を図化・Web表示することで,日本全域を対象として,斜面崩壊を発生させる降雨イベントのリアルタイムモニタリングが可能である.本システムは,http://lagis.geog.ues.tmu.ac.jp/swing/にて試験公開した.2.2010年の豪雨による土砂災害を対象とした,SWING systemの検証SWING systemの構築後,2010年に発生した土砂災害(九州南部,岐阜県八百津町,広島県庄原市など)をモニタリングし,本システムの有用性を検証した.その結果,霧島市国分重久や岐阜県八百津町での事例では,SH型の降雨イベントとして過去10年間で最も斜面崩壊が発生しやすい状況であったことをモニタリング,事前予測できた.また,霧島市霧島大窪や都城市高野,庄原市の事例では,LL型の降雨イベントとして,斜面崩壊が発生しやすい状況であることがモニタリング,事前予測できた.より多くの事例での検証やシステムの改良が必要であるが,本システムを土砂災害情報として応用できる可能性が示された.
著者
赤塚 若樹
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-10-20

本研究のテーマは、20世紀チェコの視覚芸術における文学的想像力のはたらきを、美術史的・文学史的・文化史的観点からだけでなく、歴史的・社会的・政治的文脈においても検討することにあった。絵画、写真、グラフィック・デザイン、コラージュ、映画、アニメーションといったさまざまなジャンルをあつかいながら、20世紀に開花したチェコの視覚芸術が、表現の点でも思想の点でも、文学と密接な関係を取り結びながら発展してきたことをあきらかにした。
著者
和田 圭二
出版者
首都大学東京
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

分散型電源の代表である太陽光発電が国内をはじめ欧米諸国において急速に普及している。そのため,配電系統にインバータが多数接続されるようになってきた。本研究課題では,太陽光発電用インバータが複数台接続された場合における,伝導ノイズの発生状況とノイズフィルタの設計手法について研究を行った。また,複数台インバータのスイッチング手法についても検討を行った。主となる研究対象は,50W〜100W程度の太陽電池モジュールの背面に接続するACモジュールと呼ばれる太陽光発電の方式とした。この方式の場合には,20〜30台の小容量(50W〜100W)のインバータが同時に動作するために,伝導ノイズの発生量がインバータの動作状態やフィルタの接続法によって大幅に変化する可能性がある。まず,2台のフライバックインバータ同時動作の場合について研究を行い,インバータのスイッチングのタイミングを180度ずらすことによって,ノイズ成分が等価的に2倍になることを実験により明らかにした。一方,複数台インバータを非同期でスイッチングさせることによって特別な制御を用いることなくノイズ発生量を低減できることを示した。また,ノイズフイルタの設計では,フィルタの寄生容量を考慮して設計を行い,各インバータにノイズフィルタを設置するよりも-括設置することによって伝導ノイズを効果的に低減可能であることを解析と実験により明らかにした。以上の結果は,今後予想されるインバータ複数台動作時におけるノイズ抑制手法に関するフィルタ設計法の指針を与えるものであり,分散電源装置のさらなる普及・促進のための重要な研究成果を得ることができた。
著者
高橋 勅徳
出版者
首都大学東京
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究課題は、欧米における企業家研究の理論的・方法論的転回を踏まえた、理論的・経験的研究を行うことを目的としている。理論的研究としては、制度派組織論、社会企業家研究および経営学の実践的転回に関する文献レビューを実施し、あらたな理論的フレームワークを提示した。経験的検討については、主として大阪市におけるクリエイター集積、沖縄県・北海道におけるエコツーリズム、老舗企業の事業転換に関する調査を行い、経験的分析を行った。本研究課題から得られた研究成果は、国内の主要学会で研究報告を実施した上で、査読付き論文として掲載された。
著者
泉 岳樹
出版者
首都大学東京
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本年度は、都市型集中豪雨に都市ヒートアイランド(以下、UHIと称す)が与える影響を分析するために都市気候モデルを用いたアンサンブルシミュレーションを行った。具体的には、複数の対象事例と複数の客観解析値を初期値に用いたシミュレーションを行い、その平均(アンサンブル平均)を用いた解析を行った。使用した客観解析値は、JRA-25、RANAL、NCEP-FNL、NCEP/DOE-R2、GANALの5つである。アンサンブル平均を用いることにより、カオス性の高い都市の対流性降雨の再現精度は、単一のシミュレーションのみを用いた場合に比べ大幅に向上することが確認された。その結果、UHIは、関東での都市型集中豪雨の際によく見られるE-S型風系(鹿島灘からの東よりの風と相模湾からの南よりの風が東京付近で収束する風系)の形成自体には、大きな影響を持っていないことが明らかとなった。一方で、UHIは、都市の風下側や都市内部での風の収束を強化し、降水量を増加させる効果があることが明らかとなった。このことは、都市の高温化は、それ自体だけで都市型集中豪雨を引き起こすだけの力はないが、他の発生要因が揃っていた際の豪雨の発生確率を高くしたり、降雨量の増大をもたらす効果があることを示唆している。計画当初は、緑化や人工排熱の削減など様々な対策シナリオを設定し、都市型集中豪雨を減らすだめに効果的な方法を分析することを最終的な目標としていた。しかし、アンサンブルシミュレーションを行うのには、多大な計算機負荷がかかることやデータ解析の作業量も増大するため、効果的な対策シナリオの分析までは行うことができなかった。
著者
小崎 隆 縄田 栄治 舟川 晋也 矢内 純太 角野 貴信
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、湿潤地において定常的な有機物動態を攪乱・変容させるストレス要因を、土壌有機物動態モデルへ定量的に組み込む可能性を検討した。その結果、多糖基質分解プロセスにおいては可溶化/無機化二段階プロセスモデルの、また単糖無機化プロセスにおいては段階的基質利用コンセプトの適用が有用であり、反応論としてミカエリス-メンテン式の利用によって定量的に評価することが可能であった。いずれにおいても土壌酸性がストレス要因として重要なものであることが検証された。
著者
中林 一樹 饗庭 伸 市古 太郎 池田 浩敬 澤田 雅浩 米野 史健 福留 邦洋 照本 清峰
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

近年、アジアでは多くの地震災害が発生した。そのうち、日本では阪神・淡路大震災(1995)、新潟県中越地震(2004)、トルコ北西地震(マルマラ地震:1999)、台湾集集地震(1999)を取り上げて、地震災害からの都市と住宅の復興過程の実態及び関連する法制度の比較研究を行ってきた。震災復興は、被災した現地での再建復興「現地復興」と、被災した地区を離れ住宅・生活を再建復興する「移転復興」がある。いずれの国でも、災害復興に当たって、現地復興と移転復興が行われているが、そこには対照的な復興過程が存在することが明らかになった。日本では自力復興を原則とし、持家層は現地復興を基本としているが、被災現地が危険な状況にあるなど移転が望ましい場合にのみ移転復興(防災集団移転事業)が行われる。他方、借家層は多くが被災した現地を離れて近傍あるいは遠隔地の借家や災害復興公営住宅に個別に移転復興を行う。また、都市部の震災復興の特徴的な課題は、土地区画整理事業・都市再開発などの都市基盤整備を伴う復興の推進と区分所有集合住宅の再建に見られたが、中山間地域の復興では、現地復興を原則としながらも、高齢化は地域復興の大きな阻害要因となり、孤立した集落などの集団移転による移転復興が選択されている実態が明らかとなった。他方トルコでは、被災現地は地盤条件が悪いために被害が大きくなったという基本認識のもと、被災現地に対して建築制限を指定するとともに、建物自己所有層に対して住戸及び事業所1戸分を郊外に新設し、特別分譲するという移転復興を基本対策として震災復興を進めてきた。その結果、自己住宅が被災したわけではない借家層に対する住宅再建に関する公的支援対策は基本的にないにも拘わらず、都市計画制限もため被災現場での集合住宅の再建は遅れ、現地復興は大幅に遅れる現状が明らかとなった。台湾では、変位した断層近傍地帯と震源域直上の中山間地域が被災地域で、その震災復興は原則として現地復興である。しかし、斜面崩壊した集落や地震に引き続き多発した台風災害による複合災害化のため、土石流などによって現地復興が不可能となった集落などは移転復興を余儀なくされている。台湾の震災復興の最大の特徴は、民営型の重建基金会(復興基金)が地域社会の生活再建や区分所有の集合住宅の再建などの取り組みをまちづくり(社区営造)として支援し、新たな復興手法を創設して、柔軟に震災復興を進めていったことである。また、このような3地域の震災復興過程における特徴を比較研究するとともに、トルコ及び台湾では、事例的に市街地の復興現状をGISに基づく写真等のデータベースを試作した。
著者
池井 寧 山下 利之 茅原 拓朗 上岡 玲子 上岡 玲子
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的は,人間の記憶力強化の新しい手法として,空間情報にかかわる人間の記憶特性を利用した容量拡大の方法論を構築することである.本手法の特徴は,携帯型コンピュータ等を用いて,場所(空間)やモノの画像と記憶掛けくぎ画像の素早い合成操作を行わせることだけで記憶を高めうることである.携帯電話を含む小型コンピュータを用いた複数の実験で,短い制限時間の記憶課題において,本手法を用いない場合に比較して著しい再生率の向上を達成しうることが実証された.
著者
猫田 泰敏 斉藤 恵美子 村田 加奈子 入江 慎治 原 正一郎
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、公衆衛生看護学の立場から、保健師養成課程の教育内容である疫学および保健統計学のミニマム・エッセンシャルズ(案)、すなわち、保健師学生が卒業時に最低限、身につけておくべき内容(案)を提案することである。また、これらの内容の習得に効果的で実践的な教育方法について、一部実践結果も含め、関連資料の提示を行った。
著者
堤 健智
出版者
首都大学東京
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究の中心はアメリカ合衆国内における法の研究であり、そこでは、非営利団体における団体と個人との間の責任分担がどのように変化してきたのかを示した上で、そのような変化がどのような理由に基づくものであるのかを明らかにすることが必要である。そして、そのような研究から得られる示唆について、日本法への応用可能性を検討することが次なる課題となる。このうち、アメリカ合衆国法の大きな方向性については、数々の困難にもかかわらず、一定の整理ができたものと考えられる。すなわち、判例法による/団体の免責から、制定法による/個人の免責へと変化しつつあるらしきことは示せたと考えている。しかし、その理由については、充分な根拠を持って示すことができなかった。とはいえ、それでも一定の仮説(団体と個人の資力バランスの変化)を立てることは可能であり、そのような仮説に立って日本国内における過去の紛争事例を分析することで、たとえば団体資力の強化が個人免責の前提にならざるを得ないであろう点などを示すことができたと考えられ、ここに本研究は一定の成果を上げたと評価できる。