- 著者
-
齋藤 仁
- 出版者
- 首都大学東京
- 雑誌
- 特別研究員奨励費
- 巻号頁・発行日
- 2008
研究目的を達成するために平成22年度に行った研究内容は,以下のようにまとめられる(齋藤ほか,2011,GIS-理論と応用,投稿中).1.土砂災害のリアルタイムモニタリングシステム(SWING system)の構築前年度までの研究で得られた「2種類の降雨イベント(短時間集中(SH)型と長時間継続(LL)型)の特徴」に基づいて,斜面崩壊を発生させる降雨イベントのリアルタイムモニタリングシステム(the system with Soil Water Index Normalized by Greatest value, SWING system)を構築した.SWING systemは,気象庁発表の毎正時の解析雨量と土壌雨量指数をリアルタイムで解析し,現在の降雨イベントをSH型またはLL型に分類する.その結果を図化・Web表示することで,日本全域を対象として,斜面崩壊を発生させる降雨イベントのリアルタイムモニタリングが可能である.本システムは,http://lagis.geog.ues.tmu.ac.jp/swing/にて試験公開した.2.2010年の豪雨による土砂災害を対象とした,SWING systemの検証SWING systemの構築後,2010年に発生した土砂災害(九州南部,岐阜県八百津町,広島県庄原市など)をモニタリングし,本システムの有用性を検証した.その結果,霧島市国分重久や岐阜県八百津町での事例では,SH型の降雨イベントとして過去10年間で最も斜面崩壊が発生しやすい状況であったことをモニタリング,事前予測できた.また,霧島市霧島大窪や都城市高野,庄原市の事例では,LL型の降雨イベントとして,斜面崩壊が発生しやすい状況であることがモニタリング,事前予測できた.より多くの事例での検証やシステムの改良が必要であるが,本システムを土砂災害情報として応用できる可能性が示された.