著者
舛元 康浩
出版者
鹿児島大学
巻号頁・発行日
2001

博士論文
著者
桑木 共之 山中 章弘 李 智 礒道 拓人 山下 哲 大塚 曜一郎 柏谷 英樹 宮田 紘平 田代 章悟 山口 蘭 石川 そでみ 桜井 武 加治屋 勝子 上村 裕一 二木 貴弘 Khairunnisa Novita Ikbar 有田 和徳 垣花 泰之
出版者
鹿児島大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

快情動は疾病予防や健康増進に有益であることが経験的に知られている。その脳内神経回路を明らかにすることによって、経験則に生物学的エビデンスを付与することが本研究の目的であった。快情動によってカタプレキシーを引き起こすことが知られているオレキシン欠損マウスを用い、カタプレキシー発作直前または同時に活性化される脳部位を網羅的に探索したところ、側坐核の活性化が顕著であることが明らかになった。今まで不明であった快情動を研究する際のターゲットとなる脳部位を絞り込むことができたが、健康増進との関連解明にまでは至らなかった。
著者
田邊 史 小宮 節郎 瀬戸口 啓夫
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

細胞はヒトiPS細胞から樹立された神経幹細胞AF22を使用した。1%O2下では20% O2下と比較してオートファジーのマーカーであるLC3-IIの発現が亢進した。またオートファジー活性剤であるLiClの投与で1% O2,20% O2ともにAF22の細胞増殖能が亢進することがWST assayで示された。さらに他のオートファジー亢進剤であるラパマイシンの投与でも同様に1% O2,20% O2ともにAF22の細胞増殖能が亢進することがWST assayで示された。低酸素で培養した際のヒトiPS細胞由来AF22の分化能を検討したが20% O2と比較して1% O2では分化能に影響がないことが示された。
著者
森田 康彦
出版者
鹿児島大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

前年作成した装置は従来のX線CTの検出器を輝尽性蛍光体イメ-ジングプレ-トに置き換えたものであったが今年はさらにイメ-ジングプレ-トを2次元X線検出器として用いた小型実験用X線断層撮影装置を試作し、画像再構成をおこなった。この装置では1ピクセル1mmx1mmで128x128ピクセルでスライス厚さ1mmの連続した画像5スライスを1回のスキャンで得ることができた。これは1ボクセル1mmx1mmx1mm128x128x5ボクセルの画像を1スキャンで得られるということもできよう。また装置の大型化により人乾燥下顎骨の画像再構成が可能となった。特にわずか幅5mmではあるが2次元投影デ-タ収集が可能になったため"下顎骨に沿った投影デ-タ"と仮に呼ぶ軌道により得られた2次元投影デ-タから5枚の連続した横断画像を1回のスキャンで得ることが可能になった。この画像は現在のX線CTにより同一下顎骨を撮像し得られた画像にくらべればいまだ劣るものであるが、1回のスキャンで5枚のデ-タが得られたことは重要な成果であると考えられる。以上のような成果については日本歯科放射線学会総会にてすでに口演し、またコンピュ-タシミレ-ションについては歯科放射線学会誌上に発表した。さらに詳しい内容については近く投稿の予定である。
著者
Kitano Motoo Hirano Masao Ishihara Takashi YOSHIDA Aichi HATTORI Shosaku UEDA Naoko CHIJIWA Takahito OHNO Motonori キタノ モトオ ヒラノ マサト イシハラ タカシ ヨシダ アイチ ハットリ ショウサク ウエダ ナオコ チヂワ タカヒト オオノ モトノリ 北野 元生 平野 真人 石原 尚 吉田 愛知 服部 正策 上田 直子 千々岩 崇仁 大野 素徳
出版者
鹿児島大学
雑誌
南太平洋研究 (ISSN:09160752)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.11-18, 2002

Trimeresurus flavoviridis (Tf) serum proteins were fractionated by anmnonium sulfate precipitation to five portions depending on the differences of its saturation percentages, that is, 0-20%, 20-30%, 30-40%, 40-50%, and 50-70%. The effects of these proteins on Tf venom-induced rat skeletal muscle damage were investigated with closer attention to histopathological features of impairment, necrosis, and regeneration ofmuscle fibers. The knowledges which portion of Tf serum proteins is effective for prevention of local lesions caused by Tf venom should shed light on the effective medical treatment after bitten by Tf snake. In consequence, it was found that the necrotic change of the rats inoculated with Tf crude venom together with the serum protein fraction of ammonium sulfate saturation percentage 40-50% was the smallest compared to those of the rats tested with other Tf serum protein fractions.
著者
西中川 駿 松元 光春 大塚 閏一 河口 貞徳
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.147-157, 1983-03-15
被引用文献数
1

黒川洞穴出土の自然遺物, とくに哺乳類の骨を肉眼的ならびに計測学的に調査した.1.自然遺物の総重量は, 20455.5g(貝類を除く)で, そのうち哺乳類が全体の99%である.2.動物種や骨の種類を同定できたものは, 2059個の骨片で, それらはイノシシ, シカ, カモシカ, ツキノワグマ, オオカミ, イヌ, タヌキ, アナグマ, テン, イタチ, ノウサギ, ムササビ, モグラおよびサルの6目14種である.3.出土骨片数は, イノシシがもっとも多く(66%), ついでシカ(21%)であり, そのほかは13%である.オオカミ, ツキノワグマ, カモシカの出土は, 極めて貴重なものである.4.骨の形状は, 各動物ともに現生のものにほとんど類似し, また, 骨の大きさは, シカ, イノシシ, ノウサギで, 現生種より幾分大きい傾向を示した.5.以上の観察から, 縄文後期から晩期の鹿児島地方には, 少なくとも14種以上の哺乳類が生息していたことが伺われ, また, 縄文人がイノシシ, シカをよく狩猟し, 食べていたことが示唆された.
著者
西中川 駿 松元 光春 大塚 閏一 河口 貞徳
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.83-93, 1984-03-15

高橋貝塚出土の自然遺物, とくに陸棲哺乳類の骨を肉眼的ならびに計測学的に調査した.1.自然遺物の総重量は, 40963,0gで, そのうち, 陸棲哺乳類が全体の85.7%を占める.2.動物種や骨の種類を同定できたものは, 2811個の骨片で, それらはサル, ノウサギ, イヌ, タヌキ, アナグマ, テン, イノシシ, シカ, ウシ, ウマの5目10種である.3,出土骨片数は, イノシシでもっとも多く(60)%, ついでシカ(37%)であり, そのほかはわずか3%である, 4.骨の形状は, 各動物ともに現生のものにほとんど類似し, また, 骨の大きさは, シカ, イノシシ, ノウサギで, 現生種より幾分大きい傾向を示す.5.以上の観察から, 高橋貝塚を遺した人々は, イノシシ, シカをよく狩猟し, 食料としていたことが示唆された.
著者
西中川 駿 大塚 閏一 林田 重幸
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.91-98, 1966-03-14

家畜の乳房血管系の研究として, さきに山羊28例の乳房血管分布について報告したが, 今回は乳牛(Holstein)14例の乳房血管分布を肉眼的に精査し, その走行および分岐状態を明らかにした.1.乳房に分布する動脈はA.pudenda ext.とA.perinealisがある.しかしこのA.perinealisの乳房実質への分布はほとんどみられなく, 乳房後部および乳鏡の皮膚に分布し, 乳房上リンパ節枝からの分枝と吻合する.A.pudenda ext.は一般に, A.subcutanea abdominisを分岐して, A.mammariaになると記されているが, 検索した乳房全例ともこのA.subcutanea abdominisはA.mammaria cranialisの移行枝としてみられた.2.A.mammariaは後乳区の乳房基底部で乳房実質に入り, 直ちにA.mammaria cranialisとA.mammaria caudalisとに分かれる.A.mammaria cranialisは後乳区の実質と後乳頭に達する枝を分け, さらに前乳区実質および前乳頭に分布する内側乳腺動脈を分けて, A.subcutanea abdominisに移行する.A.mammaria caudalisは乳房上リンパ節へ枝を分け, 後乳区実質に広く分布して, 後乳頭に達する.前後の乳区間の動脈吻合枝として, A.mammaria cranialisからの後乳頭枝がみられ, 左右乳区間には内側乳腺動脈からの分枝と乳房上リンパ節枝からの分枝がみられた.3.A.mammariaからの枝の分かれ方に4つのTypeがあり, そのTypeと出現頻度についてはFig.5に示した.4.静脈はおおよそ動脈に随伴して走り, 外径は同名の動脈の約2〜3倍の大きさで, 乳房基底面および腹面では左右の静脈が連絡し, いわゆる静脈輪を形成している.5.従来, 血液の流出する径路にはV.pudenda ext., V.subcutanea abdominisおよびV.perinealisの3つの径路があると記されている.しかし, 静脈弁の位置と構造からして, V.perinealisは乳房から血液の流れ去る径路とはならず, むしろ乳鏡付近でこの静脈に入つた血液は乳房に向い, 会陰静脈吻合枝, V.mammaria caudalisを通り, V.pudenda ext.へ流れると考えられ, また乳房を環流した血液はV.subcutanea abdominisよりもV.pudenda ext.へ流れ去るものが多いと考えられる.
著者
西中川 駿 松元 光春 大塚 閏一 出口 浩
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.19-27, 1992-03-30

縄文後期の草野貝塚出土の哺乳類の骨を肉眼的および計測学的に検索し, 動物種や骨の種類を明らかにした.1.自然遺物の総重量は, 157.843kg(貝類を除く)で, そのうち哺乳類が152.983kgで, 全体の96.9%を占めている.2.哺乳類の種や骨の種類を同定できたものは, 16,323個の骨片で, それらはニホンザル, ムササビ, ネズミ, ノウサギ, オオカミ, イヌ, タヌキ, アナグマ, カワウソ, テン, イタチ, イノシシ, シカ, カモシカ, イルカおよびクジラの6目16種である.これらのうちイノシシ(11,590個), シカ(4,155個)が全体の96.5%を占める.3.骨の形状は, 各動物ともに現生のものとほとんど差はないが, 大きさは出土骨の方が幾分大きい.4.以上の観察から, 草野貝塚を遺した人々は, イノシシ, シカを中心に狩猟していたことが示唆され, また, オオカミ, カワウソなどの出土は, 当時の動物相を知る上に貴重な資料である.
著者
西中川 駿 臂 博美 松元 光春 大塚 閏一 中島 哲郎
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.105-113, 1987-03-16
被引用文献数
1

縄文後期の麦之浦貝塚出土の自然遺物, とくに哺乳類の出土骨を肉眼的ならびに計測学的に調査した.1.自然遺物の総重量は, 72,174.2g(貝類を除く)で, そのうち哺乳類が99%を占めている.2.哺乳類の種や骨の種類を同定できたものは, 3,865個の骨片で, それらはニホンザル, ムササビ, ネズミ, ノウサギ, ツキノワグマ, オオカミ, イヌ, タヌキ, アナグマ, カワウソ, テン, イタチ, アシカ, イノシシ, シカ, カモシカ, ウマ, イルカおよびクジラの7目19種である.これらのうち, 出土骨片数の多いものは, イノシシ(2,414個), シカ(1,310個)で全体の89%を占め, ほかのものはわずか11%である.3.骨の形状は, 各動物ともに現生のものとほとんど差異はなく, また, 骨の大きさは, イノシシ, シカ, タヌキ, アナグマ, ノウサギで, 現生のものより大きい.4.以上の観察から, 麦之浦貝塚を遺した人々は, イノシシ, シカを中心に狩猟していたことが示唆され, また, オオカミ, ツキノワグマ, カワウソなどの出土例は, 動物地理学上貴重な資料となるであろう.
著者
大塚 閏一 山入端 正徳 西中川 駿
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.277-281, 1973-03-24

1)ラットの耳下腺, 下顎腺および単孔舌下腺について, 血管分布密度を組織切片一定面積中の血管断端数で検討した.2)血管分布密度は耳下腺が最も高く, 下顎腺がこれにつぎ, 単孔舌下腺が最も低かった.3)下顎腺においては, 雌の血管分布密度が雄よりも高かった.
著者
西中川 駿
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.1-55, 1970-03-25

乳腺に分布する血管の起源, 走行, 分布域などを, 乳牛, 山羊, トカラ山羊, めん羊, 馬, 犬, 猫, 家兎, モルモット, ハムスター, マウスおよびラットの12種類の動物について, 比較解剖学的に精査し, その詳細を明らかにし, 図および表に示した.また, 処女, 妊娠, 泌乳および退行の各時期におけるマウス乳腺の実質の消長と, これらに分布する血管系の消長との相互関係を検討した.さらにこれらの点についてはホルモンを用いた実験を加わえて追究し, また, これらの結果はさらに, アイソトープを用いて, 乳腺に分布する血管の形態学的観察と乳腺を灌流する血液の流量との相互関係について比較検討を行なった.以上の結果は以下のように要約される.1.乳腺への動脈系の分布状態から上記動物は5型に分類出来た.すなわち, 乳牛, 馬, 山羊, トカラ山羊, めん羊およびモルモットの乳腺は鼠径部にあり, その動脈系は外陰部動脈に由来し(Type I), 従来, 成書に記載されている会陰動脈の乳腺実質への分布はみられなかった.乳牛は1側に2つの乳腺域をもち, 血管も前後の乳腺動脈に分かれて分布し, これらの血管は互いに吻合している.また, 左右乳区間の血管吻合については特に山羊, トカラ山羊, めん羊で明らかに認められた.犬, 猫の前位乳腺には内胸, 外胸動脈が, 後位乳腺には外陰部動脈がそれぞれ主流として分布し, これらは互いに吻合している(Type II).家兎乳腺は胸部から腹部にあり, 動脈系は犬, 猫の主流動脈に浅腹壁動脈が加わり, 外陰部動脈より強枝で, 腹部乳腺に広く分布する.また, 外胸動脈は内胸動脈よりも強枝であり, 乳腺への分布域も広い(Type III).ハムスターの乳腺は胸部から腹, 鼠径部にあり, 内胸動脈は乳腺枝をもたず, 外胸, 浅腹壁, 外部の3動脈系が関与する(Type IV).マウス, ラットでは胸部乳腺に外胸, 浅頸動脈が, 腹鼠径部乳腺に浅腹壁, 腸腰, 外陰部動脈が主流をなして分布する(Type V).2.静脈系はいずれの動物においても, その大部分がほぼ動脈に伴行して走る.反芻家畜の静脈系の主流は外陰部静脈であるが, 馬の場合, 乳房後部から大腿深静脈に入る主要乳腺静脈が主流をなし, 本来の外陰部静脈は非常に細いという特徴を示した.腹皮下静脈は乳牛で最もよく発達してみられた.従来, 乳房の静脈路として記載されている会陰静脈は静脈弁の配置と構造からみて, 血液の流れの方向は乳房より流れさるのではなく, むしろ乳房に向かって流れるものと考えられた.犬, 猫の前位の乳腺の静脈は内胸, 外胸静脈へ, 後位のものは外陰部静脈へ流れ, 家兎の場合, 動脈は浅腹壁動脈が強枝であってその分布域は広いが, 静脈は外陰部静脈が太い.また, ハムスターでは浅腹壁静脈が太く, 血液はこの方へ流れるものが多いと考えられる.3.乳腺血管の分布状態は動物の生理的変化に伴う乳腺の機能状態に応じて変化するが, マウスでは, それぞれの主な血管系の本幹には大差はなかった.しかし, 導管や腺胞に分布する血管には特徴的な差がみられた.すなわち, 処女期においては導管やBudに分布する血管網の発達は弱いが, 脂肪組織への分布は多い.奸娠期には乳腺の血管分布は密になり, 特に妊娠初期から中期にわたって, Budや腺胞の付近の脂肪組織中にルーフ状の特徴的な毛細血管網があらわれ, 妊娠が進むにつれてこれらの血管網の中に腺胞が発達, 侵入するのが認められた.また, この像は分娩後3日目の乳腺にも少数認められた.これらの血管叢の起源は導管に沿って伸びた血管と, 導管とは無関係に脂肪組織に分布していた血管からであり, 明らかに腺胞系の発育のために脂肪組織の中に確立していた血管が妊娠により, 活発化したものと推測される.泌乳期では導管および腺胞は毛細血管で密にとりかこまれ, 小葉間導管と腺胞の一部に, 分娩3日目頃から蛇行した血管が出現し, 12日目最高に達して, 以後次第に退化した.この蛇行血管は特に泌乳中のみに発達している点から, 乳汁の生成および導管や腺胞中の乳汁の貯留および排出とも関係があるものと考えられる.離乳期における腺胞の退化はすみやかであるが, 血管は原型に近い形でそのまま退縮後も残り, そののち次第に退縮して付近の脂肪組織に分布するのが確認された.4.未成熟, 成熟および卵巣除去マウスにEstradiol, Progesteroneを同時に14日間投与すると奸娠前期から中間にほぼ準じた血管分布像がみられ, Budや腺胞の付近にはルーフ状に特異的に吻合した血管網がよく発達していた.この様な血管像はまた, Progesterone単独投与でもみられたが, Estradiol単独投与のものでは少なく, むしろ乳頭や導管周囲の血管がよく発達していた.5.胸部乳腺の血液の流量をIsotopeを用いて測定したが, 流量は妊娠開始と共に増加し, 分娩後12日目で最高となり, 以後下降した.これらのことは乳腺の血管分布密度の発達の程度とほぼ一致した結果を示した.
著者
西中川 駿 松元 光春 鈴木 秀作 大塚 閏一 河口 貞徳
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.157-166, 1982-03-19

南九州の古代にどのような動物が生息し, また, 古代人がどのような動物を狩猟し食していたか, さらには現生種との間に骨学的差異があるかなどを知る目的で, 今回は鹿児島県片野洞穴出土の哺乳類, 鳥類の骨を肉眼的ならびに計測学的に調査した.1.自然遺物は, 縄文後期から晩期の土器と共に出土し, 総出土量約10547gで, そのうち哺乳類が7204g(68%)で, 鳥類はわずか0.8gであり, その他貝類などであった.2.動物種や骨の種類を同定出来たものは, 773骨片で, それらはイノシシ, シカ, ツキノワグマ, イヌ, タヌキ, アナグマ, ノウサギ, ムササビ, サルおよびキジの6目10種であった.3.動物別出土骨片数をみると, イノシシが最も多く(53%), ついでシカ(38%)であり, その他の動物はそれぞれ2〜5%にすぎなかった.ツキノワグマの出土は貴重なものであり, 最大長186mmで, 両骨端の欠如していることから若い個体と推定した.4.骨の形状は, 各動物共に現生のものにほとんど類似し, また, 骨の大きさはシカ, ノウサギで現生種より幾分大きい傾向を示した.5.以上の観察から, 縄文後期から晩期の鹿児島県大隅地方には, 少なくとも6目10種以上の動物が生息していたことが伺われ, また, 古代人がイノシシ, シカをよく狩猟し, 食べていたことが示唆された.
著者
大塚 閏一 山入端 正徳 西中川 駿
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.167-179, 1972-03-30

1)29頭の犬を用い, 51例の下顎腺および耳下腺に分布する動脈を肉眼的に観察した.2)下顎腺に分布する主要動脈は, A.facialis(顔面動脈)よりのRamus glandularis(腺枝)およびA.auricularis caud.(後耳介動脈)より起こるRami glandulares(腺枝)であった.このほか, A.thyroidea cran.(前甲状腺動脈)より起こるRamus sternocleidomastoideus(胸鎖乳突筋枝)の分枝およびA.parotidea(耳下腺動脈)の分枝が分布する例も認められた.なお, A.thyroidea cran.のRamus sternocleidomastoideusが, A.thyroidea cran.より起こらず, A.occipitalis(後頭動脈)の基部より分岐して, その分枝が下顎腺に分布する例が1例認められた.3)下顎腺への動脈分布状態は5型に分類でき, それらの頻度はTable 1のようで, A.facialisのRamus glandularisおよびA.auricularis caud.のRami glandularesのみが分布する型が41.2%と多かった.4)耳下腺に分布する主要動脈は, A.parotidea, A.auricularis caud.より起こるRamus auricularis lat.(外側耳介枝)の分枝およびA.temporalis sup.(浅側頭動脈)より起こるA.auricularis rost.(前耳介動脈)の分枝の3動脈であった.このほか, A.auricularis caud.のRami glandulares, A.temporalis sup.よりのA.transversa faciei(顔面横動脈)の分枝およびA.masseterica(咬筋動脈)の分枝が耳下腺に分布する例も認められた.5)耳下腺への動脈分布状態は7型に分類でき, それらの頻度はTable 2のようで, 主要3動脈のみが分布する型が45.1%と最も多かった.6)A.parotideaはA.carotis ext.より起こる例のほか, A.auricularis caud.またはA.temporalis sup.より起こる例が31.3%も認められた.7)A.auricularis caud.は一般に耳介の輪状軟骨の基部でA.carotis ext.より起こるが, 9.8%にあたる5例において, A.carotis ext.が舌下神経と交叉する部位より起こっていた.