著者
日隈 正守
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学教育学部研究紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:03896684)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.19-26, 2012

本論文では,現鹿児島県薩摩川内市東郷町藤川に鎮座している藤川天神に伝わる菅原道真伝説について考察した。その結果,藤川天神の菅原道真伝説は江戸後期に成立したと考えられること,菅原道真伝説が残っている地域は安楽寺(太宰府天満宮)領であったこと,藤川は安楽寺末寺である薩摩国分寺領であったと考えられ,薩摩国最北端地である出水郡と薩摩国における政治の中心地である高城郡とを結ぶ交通上の要衝であったこと等を明らかにした。
著者
鈴木 宜則
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学教育学部研究紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:03896684)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.55-66, 2003-03-18

選挙区間の人口ないし有権者数の不均衡,言い換えれば,1票の価値に格差があるという問題は,頻繁に指摘され続けてきたにも拘らず,定期的に適切に是正されずに放置されている。1994年に衆議院選挙区画定審議会設置法で最多区と最少区の人口格差の限度を基本的に2倍未満と明確に定めた効果は殆どなく,最近のいわゆる5増5減措置にも拘らず,衆院小選挙区におけるそれが2倍以上の選挙区が少なからずあり,しかも増え続けている。参院の場合,格差が3倍を超えるものも少なくない。そこで本論文では,関係昌法規,主要6カ国の法制及び最高裁の判例,ロックやJ. S.ミルという近代の政治思想家の理論を踏まえ,1票の格差の許容範囲とその対象を恐らく日本では初めて理論的に明らかにする。結論として,格差は,各選挙区の有権者数を対象とし,できるだけ1対1に近づけるべき事,少なくとも全選挙区の平均値の上下20%未満であるべき事を示す。
著者
日隈 正守
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学教育学部研究紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:03896684)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.23-38, 2003-03-18

本稿では,大隅・薩摩両国に存在する万得(徳)領について再検討を加えた。その結果万得価は,11世紀末から12世紀初期の間に大隅・薩摩両国の国管に拠り設定されたと考えられる。万得領の設定目的は,大隅・薩摩国内の主要な神社の神事用途を弁済するためであると考えられる。大隅国内においては,大隅国正八幡宮が国内最有力の神社であるので,大隅国内の万得価の年貢は,主に大隅国正八幡宮の神事用途に使用された。この事実が前提となり,大隅国内では,荘園公価制の大枠が形成された12世紀前期に,大隅国内の万得領は大隅国正八幡宮の半不輸価化した。薩摩国内の万得領は,当初新田八幡宮等国内の有力神社の神事用途を負担していた。しかし平安後期薩摩国管と新田八幡宮とが浮免田設定や修造に関して対立する様になると,薩摩国管の在庁官人達は自分達が領有している万得領を大隅国正八幡宮に半不輸領として寄進した。その結果,薩摩国内の万得領も大隅国正八幡宮領化した。
著者
大田 由紀夫
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿大史学 (ISSN:04511913)
巻号頁・発行日
no.62, pp.1-16, 2015
著者
細川 道久
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿大史学 (ISSN:04511913)
巻号頁・発行日
no.63, pp.9-25, 2016

2014~2015年度日本学術振興会科学研究費補助金による研究成果の一部
著者
"蓮井 和久"
出版者
鹿児島大学

日中病理学分野の草の根交流の記録病理学分野の草の根交流第1回国際分子病理学シンポジウム(敦煌会議)第2回国際分子病理学シンポジウム(成都・九寨溝会議)第3回国際分子病理学シンポジウム(昆明-大理-麗江会議)第4回国際分子病理学シンポジウム(ウルムチ-トルファン会議)第5回国際分子病理学シンポジウム(鹿児島会議)第6回国際分子病理学シンポジウム(西寧会議)日中病理学シンポジウムの偶然の立ち上げ第2回日中病理学シンポジウム第3回日中病理学シンポジウム
著者
関山 徹
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学教育学部研究紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:03896684)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.139-147, 2014

広汎性発達障害者の人間表象の特徴を分析するために、TAT反応に現れた登場人物の描写を検討した。調査協力者は、広汎性発達障害者の群19名(P群)および同人数の対照群(NP群)であった。その結果、P群はNP群と比較して、(1)物語内に登場させる人数が少ないこと、(2)登場人物同士の関係が確定的でないこと、(3)登場人物同士の関与の程度が弱いこと、(4)登場人物の内面についての言及が少ないこと、(5)登場人物に愛着対象を見ることが少ないことが明らかになった。また、P群は人間関係への関心が低いと考えられるものの、基本的な対人知覚能力が劣るわけではなく視覚的な手掛かりの有無によって関心の程度が影響を受けやすいと推察された。
著者
深水 知英
出版者
鹿児島大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

【研究目的】経管栄養患者管理における下痢、胃・食道逆対策として経腸栄養剤を半固形化させる方法が有用であるが、この半固形化法の中でも増粘剤を先に投与し、後に経腸栄養剤を投与して行う胃内固形化法は、細いチューブでも注入可能であり、ベッドサイドでの調製の手間も省ける。そこで、胃内固形化法で実際に半固形化されるか、実験的検討を行った。また増粘剤の多くは、陽イオンの影響を受けるため、イオンを放出し、なお且つ経管栄養患者が使用する可能性がある薬剤について、増粘効果に与える影響を検討した。【方法】37℃、100rpmの振盪下、増粘剤リフラノン75g中に各種経腸栄養剤200mLを滴下した。また、人工胃液50mL中に液状リフラノン75gを加えた中に、同条件で各種経腸栄養剤200mLを滴下した。粘度測定はB型粘度計を用いた。陽イオンを放出する薬剤として、塩化ナトリウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カリウム、酸化マグネシウムを1g/50mLの濃度で水に溶解し、リフラノンで半固形化した各経腸栄養剤に加えた。【結果】リフラノンを先行投与し、後に各種経腸栄養剤を滴下したところ、いずれの経腸栄養剤においてもその粘度は37℃、100rpmの条件下で、約40~50%低下した。また、人工胃液中での粘度はさらに低下した。よって、胃内固形化法を行う場合には、通常の半固形化法よりもリフラノンを増量する必要があることが示唆された。また、経腸栄養剤を滴下する速度は、粘度には大きく影響しなかった。陽イオンを放出する薬剤を各経腸栄養剤に加えて、半固形化を行ったところ、いずれの経腸栄養剤でも塩化ナトリウム、乳酸カルシウム、酸化マグネシウムの添加により粘度は低下した。とくに乳酸カルシウムは著しく粘度を低下させ、経腸栄養剤によっては10%以下まで低下した。一方、グルコン酸カリウムは、いずれの経腸栄養剤においてもわずかに粘度を増大させた。
著者
川村 軍蔵 不破 茂
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学水産学部紀要 (ISSN:0453087X)
巻号頁・発行日
no.23, pp.p9-18, 1974-12

"Even when the fishing is carried out under the constant fishing effort, catch fluctuates largely. Its fluctuation depends on two main factors, i.e. phychophysiological phase of fish and the fish population size in the fishing ground. To clarify these factors, the analysis of the catch fluctuation is needed. By use of Auto-correlation Coefficient, the authors carried out the analysis of periodic fluctuation of the catch of spotted mackerel in the fishing ground off the Yaku Island in Kagoshima Prefecture. In this study, it was clarified that when the number of the catch per one operation is less than 25 fish, the catch depends mainly on the chance, and when it is over 25 fish, the catch depends on the fishing ability of the crew, which is fixed by the experience and the strength of the crew. Then, in this analysis, the authors used the catch-data obtained in 1971 and 1972, and of the crew who showed an average catch irrespective of the catch per one operation, and who was looked upon as the one with much experience and full strength. Moreover as the catch was supposed to be affected by the winds and waves because of the smallness of the fishing boat, the fluctuation of the scale of wind waves in the fishing ground was analyzed. The following results were obtained. (1). In the wind waves fluctuation, significant cycles consisting of 3.4 days, 5.2 days and 32.7 days were observed in 1972. (2).In the catch fluctuation, significant cycles consisting of 3.8 days and 8.8 days were observed in 1971; and those of 5.1 days and 9.6 days in 1972; and the former in 1972 was considered to be the cycle affected by the wind waves. (3). No cycle agree with that of the moon-age was observed in the catch fluctuation. (4). It was assumed that the periodic fluctuation of catch is to be caused chiefly by both emigration and the immigration of the spotted mackerel in the fishing ground round the Yaku Island."
著者
張 日新 秋山 邦裕 Zhang Ri xin Akiyama Kunihiro
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学農学部学術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
no.59, pp.51-58, 2009-03

外国人研修・技能実習制度は,外国人労働者の技術,技能,知識の習得と雇用関係における実践的,実務的習熟により,母国での技能活用を援助する制度として設けられている。この制度に基づく外国人の違法就労,強制労働,労基法違反などが大きな社会問題となっている。外国人研修・技能実習制度について,社会問題をもたらす可能性がある現行制度の研修生受入れプロセス及び外国人研修生をめぐる管理費用の実態分析を行った。具体的には,①地元雇用より外国人研修生の受け入れにシフトするようになった背景・動機と効果,②外国人研修生受入れのプロセス,③現行外国人研修生受入れの体制の下での負担費用実態などを明らかにする。
著者
張 日新 秋山 邦裕
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告=Bulletin of the Faculty of Agriculture, Kagoshima University
巻号頁・発行日
vol.59, pp.51-58,

外国人研修・技能実習制度は,外国人労働者の技術,技能,知識の習得と雇用関係における実践的,実務的習熟により,母国での技能活用を援助する制度として設けられている。この制度に基づく外国人の違法就労,強制労働,労基法違反などが大きな社会問題となっている。外国人研修・技能実習制度について,社会問題をもたらす可能性がある現行制度の研修生受入れプロセス及び外国人研修生をめぐる管理費用の実態分析を行った。具体的には,①地元雇用より外国人研修生の受け入れにシフトするようになった背景・動機と効果,②外国人研修生受入れのプロセス,③現行外国人研修生受入れの体制の下での負担費用実態などを明らかにする。
著者
川村 軍蔵 安樂 和彦
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

1)蛍光灯照明下においてキンギョを用いて縦縞と横縞を識別する学習を完成後、紫外線LED照射下において紫外線反射縞模様に置き換えて識別学習行動をみた。供試魚は紫外線模様に対して識別行動を示さなかったことより、紫外錐体のみでは高度な形状識別が困難であると考えられた。2)上記の実験方法を変えて、心電図条件付法による形状識別能を確認する実験を行っているが、まだ結論を得られていない。3)紫外線LED照射下においてウグイを用いて紫外線縞模様に対する視運動反応を調べた。視運動反応装置内において、ウグイは弱い視運動反応を示したことより、紫外線視覚で運動視は可能であるが通常光下における反応より精度が低いと考えられた。4)上記の実験はテレビでモニタするため背景光に近赤外線(波長860nm)を用いたが、供試魚はこの近赤外線に感度をもつ可能性がみられた。コイを用いて近赤外線応答を網膜電図と心電図法によって調べ、両方で応答が見られた。ティラピアを用いた同様な実験では、波長860nmと940nmに心電図応答がみられ、近赤外線受容器は眼であり、上生体は近赤外線感度をもたなかった。網運動反応による受容視細胞の特定を行った結果、完全な暗順応でも近赤外線に心電図応答があることから、桿体が近赤外線受容視細胞であることが明らかであるが、錐体の可能性は否定できなかった。
著者
ローシュングリ アブリミテイ 岩元 泉 坂爪 浩史 高梨子 文恵
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.37-53, 2005-03-01

現在,新彊ウイグル自治区の農村女性において教育レベルの格差が拡大している。そこで我々は農村地域における女性の教育レベルの現状,および低学歴が家庭経済状況とどのような関係にあるかを明らかにすることを目的として,トルファン市ヤル村およびウルムチ県三坪農場の2つの地域で調査研究を行った.この2つの村で調査した結果,ウイグル農村女性においては教育機会が乏しく依然として低学歴状態に置かれていることが分かった.また,伝統的慣習による早婚の傾向,早婚による離婚,さらに低学歴に深い相関関係が見られた.これらは低い経済生活水準とも相まって,悪循環に陥っている.しかし次第に女性の収入が世帯の収入に寄与する割合も高くなってきている.経済的収入機会を増やすことが農村女性の地位向上には重要であることが明らかになった.
著者
黒木 千晴
出版者
鹿児島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

TRPA1が呼吸ガス中の酸素濃度を体内に取り込む前に感知し、呼吸調節を引き起こす早期警告系としての役割を持っているのではないかという仮説を検証した。鼻腔三叉神経でのTRPA1による軽度低酸素の感知は重度低酸素となる前に、生体防御反応としての覚醒と呼吸の活性化を引き起こし、早期警告系としての役割をもっていることが明らかとなった。
著者
"桑原 季雄"
出版者
鹿児島大学
雑誌
南太平洋海域調査研究報告=Occasional papers (ISSN:13450441)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.21-30,

与論島では昭和54年をピークに観光客が減少していくなかで,様々なイベントを企画することによって,シーズンオフ期の冬場の観光客の開拓と誘致を積極的にはかってきた。従来の若者中心のビーチ観光やマスツーリズムから,ブーム後は様々なイベントの企画によって幅広い年齢層,多様な観光客の誘致を目指し,受動的観光から積極的観光政策へ大きく方向転換した。本稿では与論島の観光の現状と再生に向けた様々な取り組みについて紹介し,与論島の観光の性格や変遷の特徴について考察する。"Tourism in Yoron had its peak in 1979 and after that the number of tourists decreased markedly. Afterthe boom, Yoron islanders have ever been trying to bring tourists back again by creating various kinds ofevents and attractions not only in su ㎜ er but also in winte and all year round. Thus Yoron tourism haschanged from a mere beach tourism and mass tourism to a tourism which atracts a wider range of tourists,or from passive tourism to proactive tourism. The paper discusses about the present situation of tourismand the various efforts toward the rivitarization of tourism in Yoron Island."
著者
日高 富男 河口 貴史 崎田 勲 ヒダカ トミオ カワグチ タカフミ サキタ イサオ HIDAKA Tomio KAWAGUCHI Takafumi SAKITA Isao
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学水産学部紀要=Memoirs of Faculty of Fisheries Kagoshima University (ISSN:0453087X)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.219-233, 1982-12-25

The authors dealt with the distribution and identification of luminous bacteria in seawater around the Ryukyu Island Arc. We sampled in every autumn, 1978-'80: in '78, 33 samples were collected from 50m, 100m, and 300m depth layers at 14 stations around the Miyako Island; in '79, 38 samples from 15 stations around the Amami-o-shima; and in '80, 52 samples from 24 stations in the west region of the northern Ryukyu Island Arc; all told 123 samples from 53 stations.The luminous bacteria were detected in 32 samples (5 samples in '78, 6 in '79, and 21 in '80).The number of samples containing luminous bacteria were more in 50-100m layers than in 300m layers. Luminescent bacteria were recovered at concentrations of 1 to 4 cells per ml, and 50 strains in all were isolated. On the 50 luminous bacterial isolates, 23 (46%) were Vibrio fischeri, 1(2%) were Photobacterium phosphoreum, 13 (26%) were P.mandapamensis, 13 (25%) were Lucibacterium harveyi. In sampes of '78, L.harveyi was a major component. It was different from the composition of luminescent bacterial species in samples of '79 and '80. The species composition of'79 was almost same as that of '80, that is, V.fischeri 59%, P.phosphoreum 3%, P.mandapamensis 25%, and L.harveyi 13%. Thus, the species composition of the luminous bacterial commucities may serve as the indicators of different condition in marine water masses.著者らは,琉球島弧周辺海域の海水から発光細菌を計数,分離し,それらを同定して,菌種別分布を調べた。我々は,試料を1978年から'80年の各年秋季に採集した。すなわち,それは,'78年には宮古島近海の14定点の深度50m,100m,300m層から33の試料,'79年には奄美大島近海の15定点から38試料,'80年には北琉球島弧西方海域の24定点から52試料,合計53定点から123試料であった。発光細菌は,32試料('78年の5試料,'79年の6,そして'80年の21)から検出された。発光細菌が検出された試料の数は,300m層よりも50~100m層で多かった。それらの1ml当たり発光細菌細胞は,1~3個の濃度で見出され,50株が分離された。分離発光細菌50株の菌種組成は : Vibrio fischeriが23株(46%); Photobacterium phosphoreum,1(2%); P.mandapamensis,13(26%); Lucibacterium harveyi,13(26%)であった。'78年の試料では,L.harveyiが優占種であって,'79年と'80年の試料中の菌種組成とは異なっていた。後2者の菌種組成はほとんど同じで,それは,V.fischeri 59%,P.phosphoreum 3%,P.mandapamensis 25%,そしてL.harveyi 13%であった。これらの結果から発光細菌群の菌種組成は,その海域の海況や生物生産性の違いを表す指標として役に立つものと考えられる。
著者
神戸 悠輝
出版者
鹿児島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

うつ病患者の3分の1は現行の抗うつ薬に耐性であり, 新規のターゲットの創出は急務である. 研究代表者は, うつ病におけるミトコンドリアの障害仮説に焦点を当て, うつ病への関与を検討した. マウスに対し慢性的にストレスを与えることで, うつ病モデルマウスを作成すると, このマウスの脳ミトコンドリアに障害がある可能性が推察された. さらに, ミトコンドリアの障害に関わる5種類の遺伝子の発現は全てうつ病モデルマウスで上昇し, これらの遺伝子発現とうつ病の指標は全て正に相関した. このことから, ミトコンドリアの障害はうつ病に強く関連し, 創薬ターゲットとなる可能性が示された.