著者
小片 守 林 敬人
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

各種虐待の法医病理学的証明法の開発を目的として, まず高齢者虐待例の胸腺・副腎重量を対照例と比較したところ, 重量に有意差を認めなかった。しかしながら, 虐待期間が3ヶ月未満の虐待例の副腎重量は対照例に比して有意に増加していた。次に, 各種臓器に浸潤する白血球数を検討したところ, 特に肺・肝臓において虐待例で有意に増加しており, 高齢者に対する身体的虐待の法医病理学的証明法として有用である可能性が示唆された。
著者
HIGASHI Masataka ヒガシ マサタカ 東 政能
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学水産学部紀要=Memoirs of Faculty of Fisheries Kagoshima University (ISSN:0453087X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.53-62, 1989-12-25

The CTD observations were carried out along 131°E from 30°N to 15°N in the NorthwesternPacific from the 10th to 14th of June, 1989.Vertical sections of water temperature, salinity and dynamic height along 131°E were described,and some representative temperature-salinity relations were drawn from CTD records. Thecondition of temperature distribution section was related to the existence of the zonal currents.These currents along section from the north to the south were the Kuroshio, the KuroshioCountercurrent, the Subtropical Countercurrent, the northern part of the North Equatorial Currentand the easterly current near 18°N. Numerous small step-like and inversion features were existedin the temperature-salinity relations above 15°C, which showed the existence of surface watermixing.
著者
崎村 弘文 サキムラ ヒロフミ SAKIMURA Hirofumi
出版者
鹿児島大学
雑誌
南海研紀要 (ISSN:03895351)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.102-113, 1985-10-31

This paper attempts to show that the Japanese dialects in Central Amami-Oshimaare tone-languages which have 1 type of pitch-pattern on their prosodical unitsimilar to the dialect of Miyakonojo or Kise, and are not 'accentless' or tonelesslanguages as they have been generally regarded.
著者
片岡 美華 玉村 公二彦 森下 勇 FADDEN Steve BRANDON Alicia
出版者
鹿児島大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

短期大学生・大学生が抱えている、講義内容の理解やレポート課題への取り組み、一人暮らしや対人関係などにおける困難さ、及びそれに対する支援ニーズを調査によって明らかにした。この結果と米国等の先進的な取組例を検討した上で、導入・初年次教育の充実、添削等の学習支援や学習方法への助言を行うコーチング、障害の自己認知やセルフ・アドボカシー・スキル形成に関する支援を含めた継続的かつ系統的な支援モデルを提案した。
著者
古澤 美由紀
出版者
鹿児島大学
巻号頁・発行日
2012

理工学研究科博士論文 (理学) ; 学位取得日: 平成24年3月15日
著者
池田 由里子 イケダ ユリコ IKEDA Yuriko
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学医学部保健学科紀要 (ISSN:13462180)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.27-34, 2014-03

内閣府国際交流事業の1つである平成25年度青年社会活動コアリーダー育成プログラムに参加し, デンマークにおける高齢者福祉を取り巻く状況を学ぶ機会を得た。 デンマークは社会福祉国家として教育費, 医療・介護費の無料化, 充実した公的扶助により国民全ての生活が保障されている。 他方, 社会福祉サービスは社会サービス法で一元的に規定され, この法律の中で, 高齢者は可能な限り在宅で生活することを期待されている。 また, 高齢者3原則(自己決定の尊重, 自己資源の活性化, 継続性の維持) の考えのもと, 1) 自助支援, 2) リハビリテーションの推進, 3) 福祉テクノロジーの活用, 4) インフォーマルサービス等の多様な支援により高齢者は地域で質の高い生活を実現できている。 これは高齢者, 家族, 地域住民, 専門職, 行政がそれぞれの役割を理解し, その役割を実行することで互いが合理的かつ的確に連携しているためであると考える。We had the opportunity to learn about the situation surrounding elderly welfare in Denmark through participation in the FY 2013 Young Core Leaders of Civil Society Groups Development Program, one of the international exchange projects sponsored by the Japanese Cabinet Office. As a social welfare state, Denmark guarantees life security for all its citizens by providing extensive public assistance, as well as free education, medical care, and long-term care. On the other hand, social welfare services are centralized under the law of social services. This law stipulates that the elderly should live at home to the extent possible. Moreover, based on the three principles of the elderly (i.e., respect for self-determination, use of own resources, and maintain continuity), a high quality of life is possible among community-dwelling elderly through various types of support, such as 1) help to self-help, 2) promotion of rehabilitation, use of welfare technology, and 4) informal services by NGOs and volunteers. This is made possible by the rational and appropriate collaboration between the elderly, families, community residents, specialists , and administration, by understanding and carrying out their respective roles.
著者
渕田 孝康
出版者
鹿児島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

離散ボロノイ分割を利用したフラクタル画像圧縮においては、一般にレンジの形状が多角形となるためドメインからレンジへの最適なアフィン変換を求めるための計算に膨大な時間がかかり、この時間が、画像圧縮における時間短縮のボトルネックとなっている。この問題を回避するために、我々は昨年度に引き続いて縮小画像を利用したドメイン探索についての研究を行った。昨年度の研究結果より、母点数(=レンジ数)が10000を越えたあたりから急激に所要時間が増えてしまうという問題が指摘されていたが、この点を、アルゴリズムを見直すことによって改善し、すべての母点数範囲において従来の方法よりも1/2〜1/4に高速化された圧縮を実現できた。さらに、これまでのレンジ分割は、最適ドメインとの誤差値の大きいレンジに対してランダムに2つの母点を生成することによって行っていたが、これに代わる新しい方法として、レンジの重心座標を利用する2種類の方法を提案し、計算機シミュレーションによってその有効性を確認した。その結果、重心を利用した方法が、従来法と比較して高速なレンジ分割を行えることが示された。さらに、分割後の後処理として誤差値の標準偏差を利用した分割を行うことで、圧縮時間をほとんど増やすことなく画質、圧縮率の両方を改善できることも示した。しかし、この分割法は圧縮時間の短縮は実現できたが、復元画像の画質の改善にはならないことも同時に判明し、原画像情報を利用したレンジ分割の方法の必要性も指摘された。
著者
園田 祥三 伊佐敷 靖 園田 祥三
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

シトクロムP4501B1遺伝子およびその他の眼疾患関連遺伝子について、新しい知見を得ることができた.1.シトクロムP4501B1(CYP1B1)は先天緑内障の候補遺伝子のひとつであるが、成人発症緑内障の症例についてCYP1B1遺伝子多型を検索した.緑内障83例および正常対照90例を対象とした.CYP1B1遺伝子翻訳領域のアミノ酸置換を伴う多型(R48G, A119S, A330V, S331R)を検索した.それぞれの遺伝子型を、緑内障、正常対照の順に、置換ホモ/ヘテロ/正常ホモの例数で示すと、R48G:7/11/61、2/12/62;A119S:10/43/27、13/35/31;A330V:1/3/72、0/7/83;S331R:0/5/76、0/5/55であった.遺伝子型頻度およびアリル頻度の群間検定では、統計的な有意差はなかった.検討した限り、CYP1B1遺伝子は成人発症緑内障の罹病感受性に関与しない.2.先天網膜分離でのRS1遺伝子の新規ミスセンス変異およびNorrie病のNDP遺伝子の新規ノンセンス変異を検出した.3.レーベル病の人類遺伝学的な背景を検討するために、D-loop領域の塩基配列を決定した.対象は独立の家系(九州26、本州8、沖縄2)のレーベル病発病者で、mtDNA G11778A点変異陽性の36例である.D-loop領域(np16002-np16490)の塩基配列データを系統樹作成ソフトで処理して、類似の塩基配列を持つアラインメント群(以下、群)に分類した.37種類(既知34、新規3)の遺伝子多型(一塩基置換)がみられ、枝分かれパターンから13群に分類された.過去の報告と比較すると、mtDNA G11778A点変異で特化された集団のD-loop所見の概要はアジア人全体の概要と大差ない.D-looPの高い可変性と比べて、mtDNA G11778A点変異は保存性が高く、変異新生のイベントが古いことが示唆された.
著者
"佐藤 宏之"
出版者
鹿児島大学
雑誌
南太平洋海域調査研究報告=Occasional papers (ISSN:13450441)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.7-8,

本研究は、16世紀から19世紀半ばの「小氷期」と呼ばれる世界的に寒冷とされた時期に、種子島においてどのような気候変動や災害が発生し、それにいかに社会が対応していたのか、『種子島家譜』をもとにあきらかにしたものである。
著者
髙野 哲也 タカノ テツヤ TAKANO Tetsuya
出版者
鹿児島大学
雑誌
地域政策科学研究 (ISSN:13490699)
巻号頁・発行日
no.12, pp.133-158, 2015-03

The purpose of this paper is to suggest a realistic policy to sustain non-city rural communities through a case study of the rural districts in Satsumasendai, Kagoshima Prefecture. Contrary to common belief that not only relatively small-scale countries such as Japan but also small rural communities are out of reach of the center system theory, the novelty of this case study illustrates there is a possibility to deal with centricity in smallscale communities. This point leads us to evolve a center system theory to be able to redefine small community business through the argument about evenly placed small business activities, which are an underlying foundation of the theory. Small community businesses in this case study make the most of regional resources, and play a significant role in maintaining local population to a certain degree. This case study focuses on four rural towns in the eastern part of the municipality of Satsumasendai, namely Hiwaki, Iriki, Kedoin and Tōgō. These towns were chosen because: 1) we can extract specific location regulations or patterns of small-scale business activities, and 2) we can examine the sustainability of depopulating areas from the viewpoint of private goods or services. Usually, it is not easy to foresee the continuation of autonomous management bodies if they do not meet certain economic geography conditions.本論文の目的は,人口減少が進む非都市域のコミュニティを消滅させない現実的な方策を探求することである。そのため,過疎地域のモデル例として薩摩川内市の郡部を選び,経済活動の指標として小規模な経済経営の立地にどのような規則性があるか吟味し,人口減少が進む地域における民間財・サービス面から地域の存立可能性を明らかにする。経済地理学から見た一定の要件を満たさなければ,通常,自立的な経営体の存続見通しは立たない。分析の対象を生活に必需的でかつ移出性のない財サービス提供の経済経営体として,本土過疎市域において,それぞれの町に包含される等間隔分布性の検証という切り口を採用する。分析基軸として用いる概念は,経済距離の供給原理にもとづいた中心地システム論である。本稿では中心性が対象フィールドに存在すると想定し,中心地システム論の基礎にある等間隔分布性でコミュニティビジネスを再定義することを企図する。どうにか人々がそこに定住することを支えているのは小さな経済経営で,それが無くなれば定住の要件を失うことになろう。薩摩川内市東部の樋脇,入来,東郷,祁答院は,モデルとしては過疎地域と位置づけられる。平成の大合併から4町が統合され,甑島を含むと県内最大の行政面積を有する鹿児島県の北西部にある薩摩川内市の周辺地域は,旧役場が支所となり政策及び経済機能が縮小する。日本の地方を見渡せば,人口が下降局面に入る中,特に,非都市地域において過疎化,少子化の進行は顕著であるばかりか,機能の維持存続すら危ぶまれている。過疎化する地域社会において,条件次第で成立するビジネスが存在するかもしれない。本稿は,地域社会の問題に地域資源を活かしながらビジネス手法で解消させるために地域から必要とされて,地域によって支えられている経営をコミュニティビジネスと定義する。経営体の等間隔分布性に依拠して,地域における人々の生活を考察し,人口減少が進む地域における民間財・サービス面からの存立可能性を探る。
著者
松尾 智英 白藤 梨可
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

魚類以外の脊椎動物に寄生し、大量吸血と共に幅広い病原微生物の媒介能を有するマダニ類が類い希な飢餓耐性を持つことから、その飢餓耐性を裏付ける能力としてオートファジーに着目して研究を行った。その結果、いくつかのオートファジー関連遺伝子がフタトゲチマダニを用いて同定され、それらは未吸血期および脱皮を行う変態期に発現していたことから、マダニ類の飢餓耐性に重要な役割を持つことが示された。
著者
下原 美保 長友 希巳 シモハラ ミホ ナガトモ キミ SHIMOHARA Miho NAGATOMO Kimi
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学教育学部研究紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:03896684)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.65-76, 2014

科学的手法を用いた絵巻における画像のパターン分析は、一部の研究を除き、従来ほとんど着手されてこなかった。本研究は、ハフ変換を用いることで、絵巻に描かれた建築物の斜角を検出し、その傾向をパターン分析したものである。対象とした作品は、制作年代が巻によって異なる「石山寺縁起絵巻」、鎌倉時代に同一工房で制作された「春日権現験記絵巻」、江戸時代初期に制作された「元三大師縁起絵巻」等である。「石山寺縁起絵巻」では、時代の違いと建築物における斜角の傾向がほぼ一致していること、「春日権現験記絵巻」では、前半の斜角はほぼ同じであるが、後半は差異が見られること、「元三大師縁起絵巻」では全巻を通して斜角にばらつきが見られることを指摘した。これらは時代や工房の違い、分業の在り方、絵巻における古典編集を反映していると推測される。今後は、従来の文献や様式研究等と照合することで、その有用性を検証していきたい。
著者
大川 あゆみ 富原 一哉 オオカワ アユミ トミハラ カズヤ OKAWA Ayumi TOMIHARA Kazuya
出版者
鹿児島大学
雑誌
地域政策科学研究 (ISSN:13490699)
巻号頁・発行日
no.12, pp.69-89, 2015-03

Affective disorders are characterized by a significant dysfunction of controlling a person's emotional state ormood, inducing social maladjustment. Because women have approximately twice the risk for these disorders than men and the risk increases during peri-menstrual, pregnant, and menopausal periods, it is considered that gonadal hormones, such as estrogen and progesterone, are involved in women's vulnerability to the disorders. In this review, we focus on the risk factors of women's typical affective disorders and discuss the neuroendocrinological mechanisms regulating them. Many studies have provided evidence that the limbic system, including the amygdala and hippocampus, play an important role in regulating the emotional state, and that the GABAergic and monoaminergic neurotransmitter systems and Hypothalamic-Pituitary-Adrenal (HPA) axis are involved in the neurobiology of affective disorders. In addition, the brain areas involved in emotion are rich in estrogen receptors (ERs) and estrogens influence the functions of the neurotransmitter and neuroendocrine system. Especially, the distinct roles for two ER subtypes, ERα and ERβ, in HPA axis activity may be responsible for the development of women's vulnerability to affective disorders. Understanding this rucial mechanism will help provide a prophylactic and therapeutic preparation for women specific affective disorders.情動障害とは,情動機能がうまく働かず社会的な不適応が生じる障害であり,自殺との関連が高く,それらの疾患に対する施策やメカニズムの解明が求められている。また,その発症率は女性が男性の約2倍であり,月経関連症候群や産褥期精神障害など女性特有の情動関連障害も存在することから,女性は情動関連障害に対して脆弱性が高いと考えられている。そこで本論文では情動関連障害の発症要因とその神経内分泌メカニズムについて概観し,女性の情動関連障害への脆弱性に対するそれらの影響を考察することとした。 まず,女性の情動障害の発症要因としては,遺伝要因,女性特有のライフイベント,性腺ホルモンの関与などが考えられる。しかし,性腺ホルモンの影響は遺伝的要因の主要な発現経路の一つであり,女性特有のライフイベントも性腺ホルモンの変動時期と連動することから,エストロゲンやプロゲステロンといった性腺ホルモンを中心にしてこれらが相互作用していると考えることができる。 次に,女性の情動関連障害発症メカニズムを明らかにするために,性腺ホルモンと情動調節の神経解剖学的機構,神経化学的機構,ストレス反応の神経内分泌学的機構との関係を考察した。例えば,性腺ホルモンの投与は,扁桃体や海馬の構造や活性を変化させ,また,GABAやセロトニンなどの神経伝達物質の合成や受容体の発現を変化させることが示されている。さらに内分泌的ストレス反応を司る視床下部-下垂体前葉-副腎皮質系にも性腺ホルモンは影響を与え,ストレスに対するこの系の反応性を変容させる。このように性腺ホルモンが情動を司る脳・神経機構と強く関係することについては多くの報告がなされているが,その機序についての解明は未だ十分とはいえない。今後,これらの疾患の予防・治療に有効な知見を得るためにも,さらに情動調節を媒介する各要因とそのメカニズムの解明に注力していく必要があると考えられる。