著者
孫 セイ媛
雑誌
崇城大学芸術学部研究紀要
巻号頁・発行日
no.7, pp.151-157, 2014

チャイナドレスは中国語で「チーパオ」といい、中華民国時代から現在にかけて世界的に注目されているファッションアイテムの一つである。海派チーパオはチーパオの一つの種類である。中国では現代チーパオと言えば、海派チーパオが代表的なものである。チーパオの歴史を見てみると、清朝の貴族である「旗人」たちが着装した服から派生し、1920年代の上海で現在の形が誕生した。租界を通じた西洋文化の浸透や、消費文化の拡大を背景に誕生したこの新しい服飾は、やがて当時の「モダンガール」の流行のファッションとして一世を風靡する。国内からの視点で見ると、新文化運動と五四運動を契機として古い社会(関門鎖国の清朝政府)を変革し、新しい時代の正統な政治体制を確立する原動力として女性(学生、女工など)に大きな期待が寄せられることになる。国外からの視点で見ると、中国の門戸開放によって、多くの外来会社が拡大されながら、租界が増え、外国人と中国の地方からの移住者が増えていた。各国と各地方の消費者を満たすため、伝統と西洋を結び付けた商品が生まれた時代でもある。「服」は「時代性の特徴の表現手段」と「個人の表現手段」の役割がある。そのような1920~40年代における「チーパオ」は、当時の人々の生活文化の表象そのものであった。本研究は、服飾が「服飾」として独立して存在するのではなく、それは社会構造に現れた一つの現象であるという視点から、当時の世界情勢や経済的状況、文化や習慣などを読み取ることにより、服飾に対する社会の価値観や服飾文化の変化、ファッションの変化などを明らかにしチーパオのデザインの時代性を解明することを本研究の目的とする。
著者
牟田 仁 古屋 治 村松 健
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.70-83, 2016 (Released:2016-05-15)
参考文献数
15
被引用文献数
2

One of the most important issues of the current PRA methodology is the precise modeling of dynamic changes such as state transitions among several states including fault(s) or maintenance of the nuclear facility, safety-related systems or components by fault-tree analysis and event-tree analysis. Moreover, though safety-related systems are usually in the stand-by state during normal operating conditions of a nuclear power plant, modeling of the dynamic changes in safety functions, along with changes in component failure rates due to the aging effect in the stand-by state or continuous/intermittent effects originating from external hazards, is also carried out under the same situation. On the basis of the background described above, the authors proposed a reliability analysis methodology of using the Markov state transition model applied to the digital reactor protection system of an ABWR plant, and demonstrated the applicability of the developed methodology using the component failure modes discussed in DIGREL, the task group of WGRisk belonging to OECD/NEA/CSNI. These studies showed that the PRA methodology including the state transition model can consider state transitions of components and time-dependent changes in component failure rates, and the relationship between this methodology and minimal cut sets for calculating the core damage frequency was also clarified.
著者
杉田 文
出版者
日本水文科学会
雑誌
日本水文科学会誌 (ISSN:13429612)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.155-160, 2014-08-31 (Released:2014-11-08)
参考文献数
14
被引用文献数
2

地下水中の硝酸性窒素濃度が平面的に大きくばらつく要因について,流域内が主に農業地域で構成されている場合を想定して整理した。主な要因として,①土地利用分布,農地における作物種や肥培管理の違い,降水と施肥のタイミングの違いなどによる溶脱量の平面的なばらつき,②地下水の流線ごとに異なる,帯水層中に散在する小さな脱窒スポット内における脱窒の影響,③広範囲の濃度のばらつきが狭い流出域に収束する流れ場構造と小さい分散,④地下水が地表や井戸内へ流出する際に通過する堆積物や井戸壁における局所的な脱窒,などが挙げられた。ほかの一般水質成分にくらべ,窒素は,地中における反応場の不均質性が大きく,また,小さい反応場によりその濃度が大きく変化するという特徴をもつ。このほか,小規模な点源や不連続な流路が存在する場合には,濃度分布のばらつきは,さらに大きくなると考えられる。地中における窒素の挙動を明らかにするためにも,今後,これらの要因の影響を定量的に評価する必要がある。
著者
綾田 穣 石川 哲也 奥村 明彦 大橋 知彦 松本 英司 佐藤 顕 堀田 直樹 福沢 嘉孝 各務 伸一
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.10-15, 2006 (Released:2006-11-24)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

症例は53歳, 女性. 骨粗鬆症に対し, リセドロン酸ナトリウム (sodium risedronate hydrate : SRH) が投与され, その約6カ月後, 全身倦怠感が出現. 血液検査で肝胆道系酵素の著明な上昇を認めたため, 当科に入院となった. SRHによる薬物性肝障害を考え, DDW-J 2004ワークショップの薬物性肝障害診断基準案に基づいて診断を進めた結果, 病型は胆汁うっ滞型で, スコアは, (+6) : 「可能性が高い」と判定された. 肝生検では, 肝実質のび慢性のロゼット形成や胆汁栓, 軽度の門脈域の拡大などの所見が得られたため, 本剤による薬物性肝障害と診断した. 特徴的な組織像により肝生検が診断の一助となった, SRHによる薬物性肝障害の1例を経験したため, 文献的考察を加え報告する.
著者
村松 剛
出版者
筑波大学
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-14, 1992
著者
笠松 真吾 藤井 重元 赤池 孝章
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.147, no.5, pp.299-302, 2016 (Released:2016-05-13)
参考文献数
10

システインパースルフィドなどの活性イオウ分子種は,チオール基に過剰にイオウ原子が付加したポリスルフィド構造を有する化合物であり,通常のチオール化合物に比べ,高い求核性と抗酸化活性を有している.近年,ポリスルフィドは,システインやグルタチオンなどの低分子チオール化合物だけでなく,タンパク質中のシステイン残基にも多く存在し,細胞内の様々なタンパク質がポリスルフィド化されていることが明らかになってきた.タンパク質中のシステインチオール基は,活性酸素や親電子物質によりもたらされる酸化ストレスのセンサーとして重要な役割を果たしていることが知られており,ポリスルフィド化はタンパク質機能制御を介したレドックスシグナル伝達メカニズムとして,細胞機能制御に関与することが予想される.しかしながら,複雑な化学特性を有するポリスルフィドは検出が難しいことから,生体内におけるタンパク質ポリスルフィド化の分子メカニズムやその生理機能は不明な点が多く残っており,特異的で高感度,かつ簡便なポリスルフィド化タンパク質検出方法の開発が求められている.タンパク質ポリスルフィド化の検出に関してはこれまで様々な問題点があり研究進展の妨げになっていたが,最近,信頼性のあるポリスルフィド化タンパク質の解析方法が報告され,様々なタンパク質が内因的にポリスルフィド化していることや複雑なポリスルフィドの構造と化学特性などが徐々に明らかになってきている.検出におけるいくつかの問題点は残されているものの,プロテオミクス研究への応用も期待されている.今後さらに,タンパク質ポリスルフィドのユニークな構造と化学特性に基づく特異的で高感度な検出方法の開発を進めることにより,タンパク質ポリスルフィドの生物学的意義の解明が大きく進展するものと考えられる.
著者
市村 千裕 梶山 真紀 原田 沙代子 坂口 重樹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.B1597, 2008 (Released:2008-05-13)

【目的】トイレ動作の自立は,患者およびその家族からの要望が高く,在宅復帰可能かどうかの判断基準となっていることが多い。トイレ動作の中で下衣の着脱を非麻痺側上肢で行うためには,体幹の回旋能力が必要であると考えられる。そこで、体幹回旋時の麻痺側下肢の荷重率・回旋角度とトイレ動作の自立度の関係性を検討する。【方法】本研究に同意の得られた回復期病棟に入院中の脳卒中片麻痺患者15名(内訳:男性10名・女性5名、左片麻痺8名・右片麻痺7名)を対象とし、トイレ動作自立群8名、非自立群7名の2群に分類した。1)体幹回旋角度:日整会の関節可動域測定に従い、ベッド上端座位にて、両足を10cm離し両上肢を組み骨盤を固定した状態で体幹を回旋し測定した。立位では、骨盤を固定し体幹のみの回旋角度を測定した後、骨盤の回旋を伴った体幹の回旋角度を測定した。2)麻痺側下肢の荷重率:Win Pod(メディキャプチャーズ社製)を使用して、静止立位および回旋動作時の荷重率を測定した。静止立位は30秒間行い、その平均値を用いた。回旋動作は自動運動にて最大回旋時の値を用いた。【結果】1)体幹回旋角度とトイレ動作の自立度との関係座位での麻痺側への回旋角度と立位での麻痺側への回旋角度(体幹のみ)は、2群間に有意差は認められなかった。座位での非麻痺側への回旋角度と立位での麻痺側への回旋角度(骨盤の回旋を伴う)、非麻痺側への回旋角度(体幹のみ、骨盤の回旋を伴う)は、2群間に有意差を認めた(p<0.05)。2)麻痺側下肢の荷重率とトイレ動作の自立度との関係麻痺側下肢の荷重率は、静止立位時、麻痺側・非麻痺側への回旋時全てにおいて2群間に有意差を認めた(p<0.05)。次に、静止立位と回旋時の荷重率の変化を表すために、(回旋時の麻痺側下肢の荷重率/静止立位時の麻痺側下肢の荷重率)×100で算出した値を変化率とし、その変化率をMann-Whitneyの検定で比較したところ、2群間に有意差は認めなかった。【考察】トイレ動作に必要な体幹回旋能力として、体幹回旋角度を2群間で比較した結果、肩甲帯と骨盤帯の回旋動作だけではなく、骨盤帯の回旋を伴った体幹の回旋動作の重要性が示唆された。麻痺側下肢の荷重率の結果から、トイレ動作には静止立位・回旋動作時ともに麻痺側下肢の支持性は必要であることが分かった。変化率は2群間に有意差が認められなかったものの、自立群は100に近い値を示す傾向があったのに対し、非自立群は非麻痺側への回旋時、高値を示すものが認められた。つまり、自立群は静止立位時と回旋動作時の荷重率に変化が少ないのに対し、非自立群は荷重率に大きな変化があり立位の不安定性の一因ではないかと考えられた。
著者
高野 竹三郎
出版者
早稲田大学法学会
雑誌
早稲田法学 (ISSN:03890546)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3-4, pp.123-130, 1950-06-25