著者
韓 臨麟 砂田 賢 岡本 明 福島 正義 興地 隆史
出版者
特定非営利法人日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.614-621, 2008-12-31
被引用文献数
2

エナメル質亀裂(以下:亀裂)は外傷による歯の破折の最も軽度な変化であるとともに,明確な外傷既往のない歯においてもしばしば観察される一方,エナメル質内に限局した歯冠長軸にほぼ平行に走行する複数の微細な亀裂がよく観察される.この種の亀裂は,二次う蝕・歯の審美障害・歯の破折・歯髄疾患などのさまざまな病態の誘因になりうると考えられるものの,その成因や発生頻度の詳細についていまだ不明の点が多い.本研究では,この種の亀裂の発生頻度や随伴する臨床症状について調査を行った.残存歯20本以上の外来患者80名(10代後半から80代までの各年齢層について各10名,ただし,80代の被験者の残存歯は,平均16.5本であった)を調査対象とし,診療用ライトによる照明下で歯鏡,歯科診療用ルーペ,コンポジットレジン重合用光照射器などの器具を用いて,亀裂の程度,修復物の有無と種類,および冷刺激に対する誘発痛の有無を診査した.亀裂の程度については,肉眼で容易に確認できる場合をレベルC,ルーペによる拡大視で確認できた亀裂をレベルB,光照射器で光を当てた状態で拡大視下で確認できた場合をレベルAとした.また,誘発痛に関しては,スリーウェイシリンジを用いて亀裂歯に冷気を当てて診査した.その結果,亀裂の検出率は年齢とともに上昇傾向を示し,50代以後では100%の被験歯に亀裂が確認できた.また,10代〜30代の被験者では,コンポジットレジンあるいはメタルインレー修復歯が非修復歯と比較して高い亀裂検出率を示す傾向がみられた.さらに,若年者では亀裂は主としてレベルAに分類されたが,加齢に伴ってレベルB,次いでレベルCの亀裂の割合が増加した.一方,冷刺激による誘発痛は,20代〜60代の被験者では亀裂歯の13.0〜16.7%に認められたが,その検出率に年齢による明瞭な相違はみられなかった.以上より,エナメル質亀裂が年齢とともに進展を示すことが明確に確認されるとともに,その発生ないし進行要因として修復処置が関連する可能性が示唆された.また,エナメル質亀裂が象牙質知覚過敏症様の症状発現に関連する可能性も推察されたが,この種の症状と亀裂の程度との明瞭な関連はみられなかった.
著者
井上 文 白石 路雄 新谷 幹夫
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.38, no.16, pp.197-200, 2014-03-10

首都圏での鉄道による移動は,時間・正確さ・料金の点から最も優れている移動方法といってもよい.多くの駅と路線があるため利便性は高いが,目的地にたどり着くためには一般に複数の路線を乗り換える必要がある.現在では,手軽にウェブサービスを用いて移動所要時間を検索できるが,ある地点から任意の地点への移動所要時間を一度に素早く確認する手段はない.そこで本研究では,出発地を入力し,首都圏での鉄道による移動所要時間を分かりやすく可視化するウェブアプリケーションの作成を行った.このアプリケーションでは移動所要時間に応じて地図上の領域を異なる色で塗り分ける.ユーザがウェブブラウザで出発地を入力すると,ウェブサーバでは駅すぱあとWebサービスを利用して駅間の所要時間を取得し,JavaのジオメトリライブラリJTS Topology Suiteを用いて描画する図形の算出を行う.演算結果をJSON形式にしてJava Servletからウェブクライアントに送信し,Google Maps Java Script API v3により地図上にオーバーレイ表示する.
著者
藤田 修 嘉数 侑昇
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.43-44, 1992-09-28

順序づけが可能な任意の特徴空間からユニットの配列への写像を競合学習に基づいた自己組織化により獲得する手法としてトポロジカルマッピングがKohonenにより提案されている.このアルゴリズムは,視覚系-運動系の座標変換問題や,3次元空間情報の学習などに利用されているが,さらにヘップ型の学習を用いて複数のマップ間の対応を学習することにより冗子自由度を持つ多関節平面マニピュレータの座標変換問題,起道生成問題に適用することができる.この多関節マニピュレータモデルの特徴としては,作業空間における自己の姿勢とその時の各関節角との相関を学習することにより,自らのシステムを自覚し,自律的を行動の生成が可能となっていることが挙げられる.さらに作業空間の認識から,移動障害物が存在するなどの未知の作業環境における経路計画問題に適用することができる.これらの特徴は,作業空間を共有するため互いに干渉しない運動を計画することが要求される複数ロボットの協調動作問題に対し有効であると思われる.ここではこのトポロジカルマッピングによるモデルを,複数のマニピュレータからなるシステムの協調動作問題に応用したモデルを提案し,計算機シミュレーションによりその動作を確認する.
著者
鈴木 正信
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.303-308, 2010-05-28 (Released:2011-06-25)
参考文献数
4

「四国学」とは,e-Knowledgeコンソーシアム四国が中心となって推進している地域学の取組である.その目的は,コンソーシアムに加盟している四国の国公私立8大学の教育・研究資源を学問体系化した上で,四国の特徴をさまざまな観点から取り上げることにより,四国の魅力の新発見・再発見を促し,さらには四国の未来を構築していくことにある.また,この「四国学」を各大学がeラーニングによって共有するところに,他の地域学には見られない大きな特徴がある.本稿では,コンソーシアムが発足した2008年度から,eラーニングによる単位互換科目の開講が実現した2010年度に至る3年間の事業実施状況について,主に香川大学の活動の紹介と,単位互換科目を履修した学生に対して行ったアンケートの集計結果の分析を行い,あわせて今後の大学における地域学のあり方を展望する.
著者
谷藤 千香
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.365-371, 2012-03

近年,中高年のスポーツが盛んになりつつある。海外では比較的以前から多くのマスターズスポーツ大会が行われていたが,日本ではまだその歴史は浅い。そこで,各競技団体が行う単種目のマスターズ大会や複数種目で行われるマスターズ大会の日本と海外の事例から現状と課題をあげ,今後のマスターズスポーツについて検討した。単種目のマスターズ大会は,日本では陸上競技や水泳が多く実施され,また,いわゆるスポーツ種目のマスターズ大会は欧米で非常に古くから存在していた。複数種目の大会では,日本スポーツマスターズにおいて生き甲斐を感じる参加者が多いものの,年齢区分などいくつかの問題点が見うけられたが,国際的に行われている最も大きなマスターズの大会であるワールドマスターズゲームズでは,可能な限り誰もが参加できるよう門戸を開き,多くの参加者をひきつけている。今後のマスターズスポーツには,こうした競技スポーツとレクリエーションスポーツの融合した領域が求められる。
著者
穗積 篤子
出版者
日本幼稚園協會
雑誌
幼兒の教育
巻号頁・発行日
vol.41, no.7, pp.9-14, 1941-07
著者
矢野 環 福田 智子 ヤノ タマキ フクダ トモコ Yano Tamaki Fukuda Tomoko
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 = The social sciences (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.27-53, 2016-11

資料(Material)本稿は、「《資料》 竹幽文庫蔵『香道籬之菊』の紹介」(『社会科学』第46巻第2号、二〇一六年八月)を受け、竹幽文庫蔵『香道籬之菊』所載の組香について、とくに和歌を主題とする組香について、翻刻と考察をおこなうものである。本書は、礼・楽・射・御・書・数の六巻六冊から成り、一七七の組香が掲載されているが、その半数近くは、和歌および歌集の序文など、特定の作品を素材として組み立てられている。そこで、本稿では、楽の巻から、桜香・二哥香・残月香・蝉丸香・八重垣香・長月香・待宵香・雲井香の八つの組香を取り上げた。
出版者
フレーベル會
雑誌
婦人と子ども
巻号頁・発行日
vol.5, no.8, pp.46-47, 1905-08
著者
成田 栄子 水上 明子 栄 唱子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.2_26-2_31, 1982

本調査は,第一報に引き続き生後7か月児について夜泣きの要因の検討を行ったものである。対象は受診児821人中夜泣き児89人である。今回は夜泣き群を二群に分け,夜泣きが長期間で泣き方のひどいものをA,長期間で泣き方のひどくないものをBとした。 その結果,A・B群に共通しているものは就寝時少しの物音にピクつく,湿疹の既往,夜間授乳や添寝・添乳の習慣,あやしすぎ,日光浴を行っていない,母親は神経質な傾向がある等の要因がみられる。一方,Aに特徴的なものは,下痢と発熱の既往,最終授乳時刻が遅いか或は決っていない等であり,Bに夜間授乳を出生時より継続している。離乳食の進行状態がよくない等養育にかかわる要因が多い。
出版者
日経BP社
雑誌
日経エレクトロニクス (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.737, pp.204-213, 1999-02-22

今日,2005年2月22日は,「ドリーム・ステーション」最新版の発売日だ。ドリーム・ステーションは,「プレステ」と「ドリーム・キャスト」を過去のマシーンにした最新鋭の家庭用ゲーム機である。太郎は,徹夜で並んで手に入れた初回出荷分の製品をさっそくテレビ受像機につないだ。ゲーム機を起動させると,女性の声が案内する。