著者
青山 賢治
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.679-694, 2013 (Released:2015-03-31)
参考文献数
58

本稿は, 消費社会化が起こるための必要条件にかんする分析である. 消費社会化は, 余剰生産力と需要の関係において問題とされるが, それは十分条件ではない. アメリカの場合, 生産力の余剰に先行して, 空間の余剰があったことが記号論的空間の成立をもたらしたと考えられる. 本稿は, アメリカの西部フロンティアにかかわる空間編成を系譜学的に分析し, そこから記号論化された消費社会の成立を問題にする.19世紀初頭, 未踏で表象不可能な空間であった西部は, 博物誌, 地誌学の調査によって表象の空間へ移される. 1830年代, 表象 (不) 可能性の境界上で, 歪んだイメージを介したフロンティアが語られる. 19世紀半ば, 移住者向けガイドブックに, 博物誌, 新聞, 広告, 誇張話などが並置された記号論的領域が登場する.大陸横断鉄道以後, フロンティアは空間的外縁ではなく, 双極的時間の運動として現れる. レール沿線における未開と近代技術の接触から, フロンティアの不確定な前進=消滅が起こる. この不確定性が消滅したところでは, 都市と農村の形成が同時代的に実現される. 他方, 古いイメージと新しいメディア技術という双極性から, オールド・ウェストという「西部的なもの」の舞台や映画が成立する. カタログという商品=広告は, 都市と農村という空間的隔たりを, 最新モードのうちに結びつけ, 欲望を記号論的空間のなかで分節することで, 消費社会化をもたらす.
著者
椎橋 孝 奈良崎 孝一郎 吉田 元信 野上 貞雄
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.327-328, 2004-03-25
被引用文献数
13

熊本県天草地方で害獣駆除のために射殺された野生ニホンイノシシおよび同地域の動物病院に来院した飼育ネコにおけるトキソプラズマ抗体の疫学調査を行った.イノシシにおける陽性率および疑陽性率は1.1% (1/90)および3.3% (3/90)であった.一方,ネコにおいては,陽性率O% (O/50),疑陽性率3.3% (1/50)であった.本地域のトキソプラズマの浸潤状況は比較的低いものであった.
著者
楜沢 健
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.58-67, 2004-11-10

小林多喜二は「落書き」に強い関心をもっていた。『一九二八年三月十五日』は、留置場の壁に刻み込まれた「落書き」の「連載」を発見し、それに参加する渡という労働者に注目している。「落書き」は時間とともに消され、書き加えられ、訂正され、という「連載」のプロセスを通じて「匿名」と「集団」の表現へと変貌してゆく。それはまさに発禁、削除、塗りつぶしをたえず強いられたプロレタリア文学の姿そのものであった。本論では、小林多喜二における「落書き」と「連載」の発見に注目し、「連載」が抵抗の手法であること、プロレタリア文学運動を可能性へとひらくキーワードであることを論じた。
著者
呉 恵卿
出版者
国際基督教大学
雑誌
教育研究 (ISSN:04523318)
巻号頁・発行日
no.56, pp.119-127, 2014-03

本稿の狙いは,韓国の都心大型市場という空間が言語の芸術性を実現する場であり,ことば共同体として機能していることを明らかにすることである。市場に見られる談話型のうち,本稿では商品と関連した単純な情報を繰り返す「叫び型」談話に着目した。SPEAKINGモデルを援用して韓国の市場で収集した「叫び型」談話を提示し,他の談話型との違いについて述べた。さらに,「叫び型」談話をバーバルアートの側面から考察し,特定の音韻や文法,意味,韻律構造の反復によって実現される言語的並列構造が市場談話の中にどのように現れているのかを分析したところ,韓国の市場における「叫び型」談話は一定の押韻パターンを持ち,遊戯性に優れる詩的構造を持つことが示された。また,音律パターン,同一音韻の反復,語彙的・統語的変異という談話レベルの装置によって音楽性をもった一つのバーバルアートになっていることが明らかになった。Current research reveals that urban marketplaces function as specifically contextualized spaces that encourage linguistic creativity. Among the number of discourses performed in the Korean marketplace, the author focused on Vendor-Call, where sellers repeatedly cry out simple bits of information about the goods and prices in a loud voice. In Vendor-Call, the sellers use limited communicative resources, including both lexicon and syntactic structure. First, the author offers a definition of Vendor-Shouting discourse based on the ethnographic description of naturally occurring Vendor-Call in Korea using the SPEAKING model proposed by Hymes (1972). Next, the author considers the viability of Vendor-Call as a verbal art (Bauman 1977) by analyzing the way in which linguistic parallelism appears through the repetition of a specific phoneme, syntactic structure, specific meaning, and prosody. Consequently, the author elucidated the poetic verse structure of Vendor-Call with its specific rhyme, musical elements, and prosody patterns, repetition of like phonemes, variation in vocabulary and grammatical structure, and other linguistic devices, which are characterized by elements of linguistic play. Finally, the rhythmic structure created through repetition, linguistic parallelism, and musical effects strengthened through the co-occurrence of a nonverbal performance, such as rhythmical clapping and verbal performances accompanied by the tapping of feet, transforms Vendor-Call in the Korean marketplace into a verbal art.
著者
綾部 仁士 山内 康太 石村 博史 海塚 安郎
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, 2008-04-20

【目的】中等度から高度侵襲の外科術後においては、早期に異化亢進が起こり、体重が減少する。そこで術後の身体機能を速やかに回復させるためには異化を最小限に抑止し、同化を促進することが重要である。今回、腹部大動脈瘤切除・再建術と肝切除術後患者において、早期経口摂取と疼痛管理下による早期離床と運動療法が、体重減少と術後在院日数に与える影響について検討した。<BR>【方法】平成17年1月から平成19年4月の間に十分な疼痛管理の下、周術期理学療法を実施し、早期に経口摂取を開始した群(以下:理学療法実施群)38名(再建術22名、肝切除術16名)と平成14、15年度に周術期理学療法を実施せず、かつ早期から経口摂取に努めなかった群(以下:非実施群)39名(再建術25名、肝切除術14名)を対象とした。再建術、肝切除術ともに理学療法実施群における離床は、術後1日目より開始し、術後4~5日目には運動療法を開始した。非実施群の離床は看護師によって個別に行われた。そこで再建術、肝切除術の各群間で(1)経口開始時期、(2)術後2週目での体重減少率、(3)術後在院日数を比較検討した。理学療法実施群においては、術後身体機能の回復度を6分間歩行試験で評価した。また患者背景因子と手術関連事項については両手術群間で差を認めなかった。<BR>【結果】(1)再建術は、理学療法実施群で1.9±0.9日、非実施群で5.9±2.6日、肝切除術は、理学療法実施群で2.0±0.8日、非実施群で3.3±1.0日となり両手術とも理学療法実施群で有意な短縮を認めた。(2)再建術は、理学療法実施群で3.4%、非実施群で5.0%となり非実施群で体重が減少する傾向を認めた。肝切除術は、理学療法実施群で3.4%、非実施群で4.5%となり、両群間で有意な差を認めなかった。(3)再建術は、理学療法実施群で17.4±5.3日、非実施群で25.8±9.5日となり理学療法実施群で有意な短縮を認めた。肝切除術は、理学療法実施群で18.2±5.0日、非実施群で21.0±5.9日となり理学療法実施群で短縮する傾向を認めた。再建術の術後身体機能は退院時で91.1%、肝切除術は97.4%まで回復した。<BR>【考察】再建術では、早期離床と運動療法が、腸蠕動回復を促し、早期経口摂取に寄与したと考えられた。また早期経口栄養と運動療法が、異化亢進を抑止し、同時に同化を促進することで体重減少を最小限に防止できたと考えられた。その結果が身体機能を速やかに回復させ、在院日数を短縮させたと考えられた。肝切除術では、体重減少からは早期経口摂取と運動療法の効果を評価することが困難である。それは切除後の肝機能低下による水分・電解質の貯留による体重変化が起こる可能性が考えられる。よって体重は代謝のパラメーターとして重要であるが、手術臓器によっては評価に注意が必要であると思われる。<BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR>
著者
佐藤 友美
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.92-95, 2005
被引用文献数
1 1

本研究では, 学生の実習体験に関する記述から, 学生が捉える倫理問題の内容を明らかにすることを目的に質問紙調査を行った. 対象は, A医科大学医学部看護学科において基礎看護学実習を終了した1・2年生の中から協力が得られた29名が記述した33事例であり, トンプソンの「倫理問題を明確化するカテゴリー」を使用し質的に分析した. 学生が捉えた倫理問題の内容として,[倫理的責務・義務に関する問題][倫理的権利に関する問題][倫理的忠誠に関する問題]が多く抽出された. 学生は, 臨床での実習期間は限られており免許をもたない学生という立場であるために, 自ら中途半端な立場の者と位置づけることが多かった. このため医療者側の視点より患者の立場に身を置いて倫理問題を捉えることが 多かった. 学生は臨床現場でさまざまな疑問や違和感を抱き, それらの多くは倫理問題の発見につながった. 将来の倫理的感受性・判断力をもった看護師を育成していくために, 学生が臨床現場の中で捉えた倫理問題の明確化や倫理問題と捉えた理由についての言語化およびそれに関する思考を促すような教育的関わりが重要であると考えられた.
著者
張 一平
出版者
広島大学
雑誌
Memoirs of the Faculty of Integrated Arts and Sciences, Hiroshima University. IV, Science reports : studies of fundamental and environmental sciences (ISSN:13408364)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.247-249, 1995-12-28

都市化の進展に伴う人間活動の増大や建築物の増加は,従来の自然的環境を変化させ,いわゆる都市気候の形成をもたらした。現代の都市では都市総表面積の大部分が人工建築物によって占められている。これは道路面(舗装された地表面),壁面および屋上面で構成されるが,都心域では道路面が建築物によって日陰になりやすいのに対して,屋上面は日中ほぼ常時日射を受けることから,屋上面は都市化によって現れた新たな受熱面とみなされる。また,都市を覆っている大気層を屋上面付近と地表面との間の気層(都市キャノピー層)とその上方(都市境界層)とに分けて扱う必要性が,Oke(1976)によって概念的ではあるが指摘されている。このように都市境界層と都市キャノピー層の境界付近に存在する屋上面は,地表面とは別個に上空における大気との熱の授受や空気の運動に対して影響を与え,都市気候の立体構造や都市ヒートアイランドの形成に重要な役割を果たしていると考えられる。本研究では都市気候の立体構造やヒートアイランドの形成要因を解明するために,上述のように重要であるにも関わらず観測事例の少なかった屋上面を対象として,そこでの熱収支特性と大気の成層状態について観測を行い,都市気候の立体構造に与える屋上面の役割を明らかにすることを目的とする。第1章(序論)では既存の研究をレビューして都市気候研究の推移および研究の現状を述べ,そのことを通して都市気候研究に関する問題点の所在を明確にし,上にのべた本研究の意義および目的を提示する。本研究では都市大気の鉛直構造や都市気候に対する屋上面の役割を把握するために,広島大学東千田キャンパス旧総合科学部の建物における屋上面・壁面・地表面の温度および同屋上面上と都市近郊草地において行った放射収支・熱収支の観測資料,ならびに広島市市街地を対象として多点同時に行った係留気球による気温と風速の鉛直観測資料を用いた。第2章では本研究で行ったこのような観測の方法と解析手順,ならびに考察を行うのに必要な物理的基礎を述べる。第3章では広島市市街地における大気の鉛直構造に言及した上で,屋上面上(都市境界層下部)と地表面付近(都市キャノピー層)の気層における温度・風速の鉛直分布の差異について考察する。日中における屋上面上・地表面上ともに市街地の方が海岸部や内陸部郊外の気温とくらべて高い。つまり,屋上面上の気温にも地上気温と同様に都市内外の差異(ヒートアイランド)が存在する。屋上面上の気温の鉛直分布は高度の対数に対して直線的な分布をしているが,日中における風速の鉛直分布は高度の対数の直線分布から外れる。このような点から,屋上面上の大気の成層状態や乱流特性などは,その日変化も含めて地表面とは異なると考えられる。さらに日中には屋上面の表面温度は地表面温度よりも高いこと,ならびに屋上面上3mの気温はそれとほぼ同高度の地上20mあるいは地上3mの気温と比べて日中常に高いことから,屋上面直上においては周囲の大気や地表付近と比べてより高温な気塊が形成されていると考えられる。また,屋上面上の高度1mにおける気温は日中に海風の風上側から風下側へ向かって低下し,屋上面上3mでは逆に風上側から風下側に向かって昇温している。このような屋上面上における気層の状態を明らかにするためには,屋上面上における放射収支と熱収支および大気の成層状態,乱流特性などの考察が必要である。そこで第4章では屋上面と近郊の草地面において夏季と冬季に行った熱収支観測の資料を用い,屋上面の熱収支特性およびその季節による違いを草地面との比較から検討する。日射量がほぼ等しい場合であっても,草地面に比べて屋上面の方が日の出後の加熱による表面温度の上昇が著しく,日中には上向きの長波放射量も大きい。また,有効放射量は日中において屋上面の方が大きく,正味放射量は屋上面の方が小さくなっており,この特徴は夏季に顕著となる。アルベドは屋上面の方が草地面に比べて夏季・冬季ともに小さい。屋上面は草地面に比べて加熱・冷却の影響を強く受け,屋上面の表面温度は午前中に急速に上昇し,午後から夜間にかけての降下量も大きい。しかし,屋上面付近の気層は,高温になっている屋上面からの長波放射を受けるため,草地面上の気層と比べて午後以降における温度の降下が緩くなり,高温な状態を維持する。このことが都市におけるヒートアイランドの形成要因の1つと考えられる。さらに,屋上面において建築物内部から出入りする顕熱フラックスは草地面において地中から出入りする顕熱フラックスに比べて日中・夜間ともに大きく,それは冬季よりも夏季に顕著である。
著者
神保 元二 井上 外志雄
出版者
粉体工学会
雑誌
粉体工学研究会誌 (ISSN:18838766)
巻号頁・発行日
vol.10, no.6, pp.349-354, 1973-07-01 (Released:2010-08-10)

寒い冬の午後, 杉並, 和田本町のお住居にお邪魔して, いろいろとお話を伺った。 環状7号線に近い先生のお宅は, しかし静かな住宅街の中で大小さまざまな樹々に囲まれ, 先生のお人柄を偲ばせるかのようにしっとりしたたたずまいを見せていた。招じ入れられた客間は私たちの訪問を予期してであろう, 四角いけやきの火鉢に今は珍らしい炭火がおこしてあり, さらに電気ストーブなどで柔かく暖められていた。 床の間には先頃の小正月に俳句のお弟子さんたちが贈られたという繭玉が飾られていた。 というのも, 山口吉郎先生は東京大学工学部鉱山学科 (現在の資源開発工学科の前身) で選鉱学の教授をしておられたのであるが, 俳句の方でも知らぬ人はない存在であり, 高浜虚子の高弟であった先生は現在に至る半世紀近くもの間, 山口青邨の俳号をもって同人誌「夏草」を主宰してこられた方だからである。書棚には御自身の多数の著書をはじめとして種々の文学書が並べられており, 先生御自身は「道楽」と呼んでおられる俳句の方面でのお仕事ぶりが窺い知られた。軽い感動を覚えながら室内の調度などに目をやっているうちに, 傘寿を過ぎたとは思われない若々しくお元気な和服姿で先生がヤアヤアと出て来られた。

2 0 0 0 IR はじめに

著者
久保田 祐佳
出版者
名古屋大学法政国際教育協力研究センター(CALE)
雑誌
CALE BOOKLET
巻号頁・発行日
vol.3, 2009-07-15

「法律家と国際協力の世界」(新第62期司法修習生) 久保田祐佳・久保田明人・伊藤朝日太郎・本田千尋・菅原仁人 編
著者
森下 愛子 船渡 和男
出版者
慶應義塾大学体育研究所
雑誌
体育研究所紀要 (ISSN:02866951)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.9-13, 2010-01

The purpose of this study was to examine the changes in velocity and underwater movements during one stroke cycle in competitive breaststroke swimming. The subjects were 19 collegiate swimmers (11 men and 8 women with mean age, 20.9 ± 0.6 y and 20.0 ± 1.0 y; mean height, 173.7 ± 7.0 cm and 165.8 ± 3.8 cm; and mean mass, 66.1 ± 6.7 kg and 59.5 ± 3.9 kg, respectively). They wore a belt that was attached to Speed Meter (manufactured by Vine Inc) via a harness. Each swimmer covered a distance of 25 m twice with the breast-stroke at the highest speed possible. The best time was then analyzed. An underwater video camera (manufactured by YAMAHA K.K) was set up at the center of the pool (at 12.5 m from each end), and it captured pictures of a 5 m section (10 to 15 m). Image analysis revealed 2 acceleration phases in all subjects, which were to the "kick" and "pull" actions of the swimmers. This was agreed upon by the top swimmer of the literature review. Moreover, underwater movement could be estimated from the pattern of change in the speeds on the basis of the relationship between the 2 parameters in the absence of underwater movement.
著者
小田切 明徳
出版者
同志社大学
雑誌
キリスト教社会問題研究 (ISSN:04503139)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.227-236, 2013-12

エッセイ(Essay)『北郷談』とは明治初期に岡山県出身の神官・葵川信近が著わしたものであり、江戸末から明治期の動乱にあってキリスト教を始めとする西洋文化の到来によりどう対応すべきかを述べたものである。私は70年代後半、このテーマに取り組んだが、その論文を振り返ると、葵川信近の奈良時代の経歴調べにおいて重大な誤認があることがわかり、驚き、再調査するため、奈良と岡山に出かけ、再考した。"Hokukyodan"is a work written in the early Meiji period by Aoigawa Nobuchika, a Shinto priest from Okayama Prefecture. It tells how to deal with the Western cultures like Christianity, introduced during the upheavals from the late Edo to the early Meiji era. Once I was engaged in this study in the late seventies. Having reexamined such papers, now I find my misunderstanding of his career in Nara. My surprise was so great and it led me to visit Nara and Okayama; to reconsider this theme.