著者
和田 俊憲
出版者
慶應義塾大学大学院法務研究科
雑誌
慶應法学 (ISSN:18800750)
巻号頁・発行日
no.18, pp.79-136, 2011-01 (Released:2011-00-00)

テーマ企画―遺伝情報をめぐる問題状況 I. はじめに1.遺伝情報と刑事法─概観2.本稿の目的II. DNA型鑑定と「同型性」の認定1.DNA型鑑定の科学的原理・方法と法的類型2.DNA型鑑定の証拠能力─足利事件を題材に3.DNA型鑑定の信用性が争われた近時の裁判例III. DNA型鑑定と「被告人由来性」の認定1.DNA型出現頻度の鑑定の要否2.DNA型出現頻度の意味と評価3.遺伝試料が被告人由来である確率IV. DNA型鑑定と「犯人性」の認定1.指紋鑑定の証明力2.DNA型鑑定のみによる犯人性認定に関する判例・学説3.検 討V. おわりに
著者
宍戸 清一郎 早川 正道 比嘉 功 小山 雄三 秦野 直 大澤 炯
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.401-405, 1990-04

From March, 1986 through June, 1988, the reduced M-VAC (methotrexate, vinblastine, doxorubicin, and cisplatin) regimen was used to treat 6 patients with metastatic or locally invasive transitional cell carcinoma of renal pelvis and ureter. Out of 5 evaluable patients with advanced stages (N+ and/or M+) pathological complete remission and partial remission were observed in one patient each and minor remission in two patients inspite of our reduced regimen according to performance status of the patients. Toxicity was rather mild except in one patient who showed severe myelosuppression. This regimen seems to give favorable antitumor activity against transitional cell carcinoma of upper urothelium.
著者
川田 力 木本 勝士
出版者
岡山大学大学院教育学研究科
雑誌
岡山大学大学院教育学研究科研究集録 (ISSN:18832423)
巻号頁・発行日
vol.147, pp.35-44, 2011-06-25

伊賀市中心部は,伊賀上野として知られ,上野城とその城下町の町並み,伊賀忍者,松尾芭蕉生誕地,伊賀焼や組み紐などの伝統工芸品といった歴史・文化的観光資源を活用し,観光事業を展開してきた。しかしながら,近年,当該地域の主要観光施設や観光イベントの入込客数は漸減しており,伊賀市中心部の観光は停滞期にあるといえる。こうした,伊賀市中心部の観光地域を再構築するためには,季節変化や交通利用状況に起因する観光入込客数の変動に関する課題,観光地域の魅力向上に関わる観光施設の更新や駐車場整備,景観整備などのハード面の課題,観光事業に携わる諸アクターの連携協力の推進といったソフト面の課題を解決する必要がある。これらの課題解決のためには,多様なアクターが関わっているという伊賀市中心部における観光事業の特徴を活かし,諸アクター間の多様なネットワークを活用した魅力的な活動を引き出すことが鍵となる。
著者
大賀 哲
出版者
東京大学社会科学研究所
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3/4, pp.37-55, 2006-03-28 (Released:2008-09-19)

本稿の趣旨は,実証主義とポスト実証主義の認識論的差異,国際関係論における理論と歴史の方法論的な差異を踏まえながら,国際関係論における歴史社会学の用法を考察していくことにある.歴史社会学の用法や,理論と歴史の差異,言説分析の可能性とその限界等は既に社会学で広範に議論されているが,国際関係論において,歴史社会学のもつ可能性についての研究は少なく,未だ十分に議論されていないというのが現状である.本稿の意図するところはまさに国際関係論における歴史社会学の展開を掘り下げ,その研究上の可能性を考察する事にある.具体的には二つの歴史社会学(ウェーバー型とフーコー型)を比較検討し,とりわけフーコー型の歴史社会学にどのような特徴・妥当性があるのかを吟味していく.換言すれば,歴史社会学における先進的な研究動向を取り入れ,ポスト構造主義の概念を援用して歴史・思想要因を考察する.そして,ポスト国際関係史(或いはポスト国際関係論)を再構成した場合にそこにどのような可能性があるのかを検証する. The aim of this paper is, through considering an epistemological difference between positivism and post-positivism, and a methodological difference between theory and history within the study of international relations, to examine uses of historical sociologies in international relations. While issues like an application of historical sociology, a difference between theory and history, and potentials and limits of discourse analysis, have been already and widely discussed in sociology, there are, in the discipline of international relations, few works that examine an effectiveness of historical sociology and the discussion has been still insufficient. Therefore, this paper tries to explore the positive potentials of historical sociology by widely investigating the development of historical sociology in international relations. The contention of this paper compares Weberian and Foucauldian versions of historical sociology and uncovers features and potentials of the latter. In other words, this paper harmonizes post-structuralism and the well-developed researches of historical sociology in order to examine historical and ideological factors. And this paper finally constructs post-international relations (history), as a unification of post-structuralism and historical sociology, and evaluates its potentials.
著者
木村 幹
出版者
神戸大学大学院国際協力研究科
雑誌
国際協力論集 (ISSN:09198636)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.33-65, 1999-12 (Released:2007-02-27)

1860年代から1880年代に至るまでの朝鮮王朝における官僚の序列移動のあり方について論じた。
著者
岡本 弘道
出版者
関西大学文化交渉学教育研究拠点(ICIS)
雑誌
周縁の文化交渉学シリーズ6 『周縁と中心の概念で読み解く東アジアの「越・韓・琉」―歴史学・考古学研究からの視座―』
巻号頁・発行日
pp.89-98, 2012-03-01

1609年の琉球侵略から1879年の琉球処分に至るまでの「近世琉球」期は、明清両朝への朝貢・冊封関係、そして島津氏およびその上位の徳川幕府に対する従属関係が琉球王国を規定した時期である。そのため、明清両朝の華夷秩序と近世日本の日本型華夷観念との衝突やその中で生じる矛盾を琉球は抱え込まなければならなかった。17世紀末頃までにその枠組みを確立した琉球の外交は、島津氏と幕府に対する対日外交、そして朝貢使節の派遣と冊封使節の迎接に代表される対清外交に大別される。両者は琉球の「二重朝貢」として並列されることもあるが、その位相は全く異なるものであり、琉球の外交に制約を課すとともにその国内体制とも密接に絡み合い、逆に琉球の存在意義を保障する役割を果たしていた。 近世琉球期の外交については、既に重厚な研究蓄積が存在するが、本報告ではそれらの成果に依拠しつつ、その国際的位置づけと外交の枠組みに関するいくつかの問題について検討を加え、その中に見いだせる「主体性」もしくは「自律性」について考えてみたい。
著者
日合 文雄
巻号頁・発行日
(Released:2012-03-02)

平成23年度最終講義
著者
鈴木 景二
出版者
奈良大学史学会
雑誌
奈良史学 (ISSN:02894874)
巻号頁・発行日
vol.5号, pp.11-38, 1987-12

明治初年、東大寺より多数の文書等が皇室へ献納され、それらは正倉院へ納められた。現在も伝わる東南院文書がそれであるが、それらの中に一枚の銅板があった。いわゆる「聖武天皇勅書銅板」である。表裏両面に聖武天皇の勅文を刻したこの銅銘板は、古く『東大寺要録』に見え、以後東大寺に伝えられ、江戸時代には松平定信が『集古十種』に紹介し、狩谷液斎もまたこれを『古京遺文』に収録した。その後、喜田貞吉氏は詳細な検討をおこない、そこに刻まれた詔勅が奈良時代のものとは考えられないことを明らかにされた。しかし喜田氏の見解は、その文言が奈良時代の研究の史料としては使用できないということを指摘するにとどまり、偽作の目的や、この文章の製作と刻銘の過程、重宝としての伝来といった銅板勅書そのものの検討がなされていない。偽作とはいえ銅板とそこに刻まれた文章もまた歴史の産物である以上、その検討は必ずしも無意味ではなく、何らかの新たな歴史的事実の存在を証明するであろう。それゆえ、本稿ではこの勅書銅板について基礎的な考察を試み、それがいかなる性格を持つものであるのかを考えてみたい。問題とする銅板は縦三二・七センチ、横三〇・六センチで表には天平勝宝五年(七五三)の聖武天皇の願文、裏には同元年の封戸水田勅施入文を刻んでいるが、文字の書体と刻法から裏面の方が時代が下がるとされる。
著者
三宅 なほみ 齊藤 萌木 飯窪 真也 利根川 太郎
出版者
東京大学大学院教育学研究科
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.441-458, 2012-03-10 (Released:2012-04-05)

The Consortium for Renovating Education for the Future, founded at the University of Tokyo in 2009, has been striving to help teachers develop a networked community for creating authentically learner-centered classrooms. The classes are designed on a cognitive framework where the constructively interactive components during classroom student discussions provide individual students with a chance to express and reflect upon their own ideas as well as others, for integrating and constructively deepening them. This community currently involves more than 100 teachers coming from sixty-nine schools, ranging from elementary to high-schools. The paper reports its success for helping teachers to create sub-communities around their locations as well as their subject areas, so that they could collaboratively share the prime plans for similar classes and reflect upon their outcomes. Discussions on future plans conclude the paper.