著者
末續 鴻輝 織田 祐輔
雑誌
GAT2018論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.13-16, 2018-02-25

ガイスターは,二人で行う不完全情報ゲームである.相手の駒の種類がわからない中で,その正体を推測し,かつ自分の駒の正体を推測されないようにプレイを行う必要があり,単純なゲームでありながら複雑な心理戦の様相を呈する.そのため人工知能研究の対象としても注目され,本年より GAT の種目の一つに,ガイスターの人工知能対戦が採用された.そこで本研究では,ガイスター AI 大会に出場させる人工知能の開発を行った.近年の人工知能に関する話題は,機械学習に関するものが注目されており,ルールベースに開発を行ったものはあまり話題に上らないが,本研究においては,機械学習を用いずに強くできるかを検証するため,機械学習は用いずに開発を行ったので,その行動アルゴリズムをここに紹介する.
著者
早坂 美里
巻号頁・発行日
2021-03

筆者の大学院での研究目的は「木彫仏の様式を用いて女性像を制作することで、陶に霊性を与えることは可能か」を試みることである。本論では、木彫仏に用いられる様式や精神性、過去から現代に至るまでの女性性の変遷をまとめ、関係性を整理した。陶に霊性を与えるために、美術史家・井上正の「霊木化現」の思想を参考にした。神木の「神」が、「仏」として出現する一連の流れが仏像として造形されていると考える思想だ。踏み固めた粘土の塊から、カービングのみで像を彫り出すことで独自の造形を模索した。
著者
福原 理宏 三木 光範 横内 久猛 廣安 知之 Michihiro Fukuhara Mitsunori Miki Hisatake Yokouchi Tomoyuki Hiroyasu
出版者
同志社大学理工学研究所
雑誌
同志社大学理工学研究報告 = The Science and Engineering Review of Doshisha University (ISSN:00368172)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.185-190, 2013-01-31

本稿では、ストループテストによって生じる認知的葛藤が脳血流に及ぼす影響を、fNIRSを用いた多点計測によって検討を行なった.ストループテストでは、言語処理に関わるブローカ野を含んだ左半球下前頭回付近の脳活動が活性化するとされている.そのことから、この部位における脳血流変化の計測は多数行われている.しかし,fNIRSを用いた他の部位を含めた検討や、反応時間と脳血流の関連については十分に検討されていない.そこで本稿では、多点計測可能なfNIRS装置を用いて前頭部と側頭部におけるストループテスト時の脳血流変化の計測を行った.その結果、不一致課題時における脳血流変化は、一致課題時と比較して脳全体で大きく活性化することが分かった.また不一致課題時に、反応時間が速いほど脳血流変化が大きいことが分かった.
著者
芳賀 高洋
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.224-228, 2021-04-15
著者
李 兮然
出版者
埼玉大学大学院人文社会科学研究科日本語専攻内 さいたま言語研究会
雑誌
さいたま言語研究 (ISSN:2432857X)
巻号頁・発行日
no.4, pp.14-25, 2020

本稿は、現代日本語書き言葉均衡コーパス(BCCWJ)に収録されている文学作品を調査資料として過去推量形である「~タロウ」と「~タダロウ」の使用実態を分析するものである。結果として、まず、前接する語の品詞に関して、動詞や補助動詞が前接する動詞型の場合、「~タダロウ」の使用が好まれるのに対し、名詞を代表とする名詞型の場合、「~ タロウ」の使用が好まれる傾向が見られた。また、過去推量形の意味的用法と、会話か地の文かとの間に相互関係があり、「推量」と「不定推量」は「地の文」に多く現れ、「確認要求」は「会話」に多く現れることが確認できた。最後に、経年変化について、1940 年代以降、「~タダロウ」の使用数が「~タロウ」を上回るものの、「~タロウ」もまだ使われ続けている等の特徴を明らかにした。
著者
王 秀文
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 : 国際日本文化研究センター紀要 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.69-109, 2000-10-31

桃は強い生命力を持つ仙果、陰や死に対して不思議な呪力をもつ陽木として、当然ながら長生の神仙の世界や不死の楽園に結びつけられる。伝承上では、神仙の住む世界は東の大海原にある蓬莱山で、桃の巨大な樹のある度朔山または桃都山でもあり、仙木である扶桑は桃と同じ陽性の植物である。また信仰上では、不死の薬の持ち主として人間の福寿を操る女神である西王母は、桃をシンボルとし、死を再生に転換させる生命の象徴である。
著者
藤山 哲朗 Tetsuro FUJIYAMA
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2011
巻号頁・発行日
2011-11-30

近年、建築とファッションの相関性について取り上げられることが多くなった。建築もファッションも、どちらもまず身体を覆うシェルターであり、同じ時代精神や文化的価値観によって立つ社会的規範である。さらに実際に建築家とファッションデザイナーのコラボレーションが増えたという背景がある。しかし最も重要なのは、作品の本質であるコンセプトとデザインプロセス自体が接近してきているということである。 本論文では、こうした形態システムのレベルでの両者の関係を考察するために2007年に開催された「スキン+ボーン」展を取上げる。これは実際の作品を提示した研究としては、近年最も本格的な試みであった。 展覧会の構成において、キュレーターのブルック・ホッジは脱構築という概念を中心においている。しかし会場でのプレゼンテーションだけでは具体的なプロセスを理解するには不足していたように感じる。そこで改めてホッジの意図を読解し、展覧会に含まれない作品を分析したうえで、「変形」という生成方法を提示するものである。
著者
大森 晃
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.976-1023, 2019-03-15

本論文では,少なくとも以下のような内容を含む「所与の文が要求を表現しているか否かを判別するための言語学的知識」を与えた.(1)文レベルでの要求概念の定義,(2)所与の文(特に単文と複文における主節)が要求を表現しているか否かを判別するために必要な言語学的知識,(3)複文の接続節における要求表現に関する言語学的知識.本論文では上記(1)~(3)の内容からなる言語学的知識を「要求文同定論」という.要求文同定論は,様々な産業において要求に携わる技術者・研究者などの助けになるものと期待できる.そのため本論文では特定の産業分野に限定せずに要求文同定論を提供することを目指した.上記(1)については,日本語モダリティ論を手がかりとして要求とは何かについて考察し,文レベルで要求概念を定義した.上記(2)については,1つのまとまった言語学的知識として「要求の態度」を明らかにした.上記(3)については,どの接続節が要求を表現しえて,どの接続節が要求を表現しえないかに関する言語学的知識を明らかにした.また,要求を表現しうる接続節がどのような場合に要求を表現するのかに関する言語学的知識も明らかにした.上記(2)と(3)は所与の文(単文と複文)が要求を表現しているか否かを判別するための豊かな言語学的知識を与える.本論文では要求文同定のための言語処理技術についても言及した.さらに擬似要求文について検討し,「疑似要求文同定論」への発展の可能性を示唆した.
著者
若尾 良徳
出版者
日本体育大学
雑誌
日本体育大学紀要 (ISSN:02850613)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.35-44, 2017-09-30

This study investigated age norm about romantic love behaviors, which is the awareness of timing of the first experience of romantic love behaviors. The age norm was divided into lower limit and upper limit: the lower limit means the acceptable age to initiate romantic love behaviors, and the upper limit means up to what age person is expected to experience romantic love behaviors. 349 university students replied to the questionnaire about approval and recognition of age norm, and the expected age. In result, many of them did not approve the age norm, but they recognized the existence of age norm about romantic love behaviors. The order of expected age was similar to that of “developmental stages in romantic love” (Matsui, 1990, 2000). In lower limit of age norm, there are more male than female who approved the lower limit of age norm, while in the upper limit, it was a reverse result. I discussed the influences of age norm toward the people who have no experiences of romantic love behaviors.
著者
小川 太龍
出版者
禪學研究會
雑誌
禪學研究 = Studies in Zen Buddhism (ISSN:03878074)
巻号頁・発行日
vol.97, pp.47-100, 2019-03-13