著者
中溝 一恵
出版者
国立音楽大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:02885492)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.61-72, 2006

江戸時代の錦絵などに木琴が描かれていた。歌舞伎の演目『天竺徳兵衛韓噺』で木琴が舞台上で奏された場面に始まり、ほぼ19世紀を通じて描かれ続けた。描かれた木琴の中には現在の木琴に存在しない部品が描かれている場合があり、どのように解釈すべきかという点に絞って検証した結果、当時のインドネシアのガンバンと呼ばれる木琴に同様の部品が付けられていたことが判明した。描かれた木琴とガンバンは構造上も際立った類似性を持つ。18世紀末の資料にオランダ人と木琴の関係に触れた記述が既に見られることから、描かれた木琴はオランダの植民地インドネシアのガンバンを模したものである可能性が高い。従来日本の木琴は中国に由来するとされており、描かれた木琴と中国由来の木琴に関する課題が浮かび上がってきた。
著者
宮木 陽介 坂田 禮一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.B0168, 2007 (Released:2007-05-09)

【はじめに】頭部外傷は主に交通事故により発症し、身体・認知・行動に影響を及ぼす。今回、日々の活動性の向上が心身両面の改善に結びついた一症例を報告する。【症例紹介】10代女性。バイクで通学中に乗用車と正面衝突。急性硬膜下血腫と診断。障害として右片麻痺・右顔面神経麻痺・高次脳機能障害を呈した。昨年高校を卒業。来年には看護学校進学を希望。現在、受傷後1年半経過し自宅での受験勉強が中心の生活。今後のことを考え、足のふらつき防止やバランス改善を目的として当院にてリハビリを希望される。【PT評価】ADLや屋外歩行は自立。軽装具を着け自家用車を運転して通院。右片麻痺の影響から右足関節と足指の軽度感覚鈍麻と随意運動遅延、右大腿四頭筋や下腿三頭筋の筋力低下、歯磨きや書字などでは右肩の筋緊張が亢進しやすい。長時間歩行での右足指の痛みがあり、バランス障害により右支持片脚立位時間が開眼25秒、閉眼2秒で動揺が強く、閉眼足踏みでは麻痺側へ90度の回転が生じる。高次脳機能ではいくつか聞いたこと覚えておいてから後で書き写すことが苦手で記憶面に不安を残す。なお看護学校進学レベルの知能や教養は身につけているとのこと。現在、老人ホームにてタオルたたみなどのボランティアをしている。【PTプログラム】立位バランスでは上下肢に徒手的抵抗を加え反応を引き出すことや足底の感覚入力をしながら足部内荷重や重心移動を学習。筋力低下にはフィジオボールを使い、弱化筋と体幹筋を強化。歩行では片脚での支持性改善や重心移動を念頭に爪先立ち歩きや骨盤歩き、木を足底に入れて滑らす歩行を行なう。自宅練習では片脚立ちや腕立て伏せ、スクワットを指導。【本人の行動や言動】週1回のリハビリを始めて1ヶ月で右足内側への荷重感をつかみ、歩行時の右下肢分回しは減少。しだいに活動性が向上し陶芸やお花、エアロビクス、アルバイトを始める。これ以降、台所や家の中で履いている草履が以前は脱げてしまっていたものが足指で挟んで落ちないようにすることが感覚でつかめてくる。歯磨きでも以前は歯にあてた感じがなく、たださすっているものだったのが最近ではしっかり歯にあてて磨いている感じがする。右片脚立位時間が延長し手摺につかまらないでも階段で歩けるようになるなど機能的回復が見受けられた。中でも商品の品だしや重いものを運ぶ作業、走ること、話すことが多いなど本人は楽しいと話しているスーパーでのアルバイトが良い体験となったと思われる。【まとめ】意欲的にアルバイトやエアロビクスなど様々な体験をすること、勉強以外での楽しみや活動の場をみつけたことが心身への刺激となり体力の向上・機能的回復を手助けしたものと考えられる。今後、目標としている看護学校進学では精神的・肉体的に最大限の集中が求められてくる。理学療法士としてどのようなサポートをしていけるかよく考え行動していきたい。
著者
白鳥 高行
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.7, pp.206-206, 1967-07-01
著者
迎山 和司 川又 康平 小林 真幸 川嶋 稔夫
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.8, pp.1787-1794, 2014-08-15

プロジェクションマッピング(PJM)とは立体構造物の形に沿って,コンピュータで処理された映像をプロジェクタで投影する表現手法である.近年フェスティバルなどでPJMはさかんに行われており,対象を直接改変しないので歴史的文化財などに有用である.本論文では,函館市内の歴史建造物に対して実施されたPJMを事例としてあげて,これから実施する人が参考にできる事項をまとめた.加えて,集客効果の高いイベントを実施して得られた公立大学の地域貢献についての知見を述べる.Projection Mapping (PJM) is a technique for displaying visuals such as computer graphics onto buildings or walls using projectors. Recently, PJM is often used in events such as festivals. Since it requires no physical changes of the projection surfaces it is particularly suited in heritage environments. This paper describes useful information for realising a PJM event, using an actual case study carried out at a historic building in Hakodate. Also, it explains the essence of how a municipal university can make community contributions through contributing to popular spectacles.
著者
編輯人不詳
出版者
栄泉社
巻号頁・発行日
vol.自4至5, 1883
著者
松澤 和夫 越原 俊夫 小島 陽
出版者
一般社団法人 軽金属学会
雑誌
軽金属 (ISSN:04515994)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.45-51, 1989-01-30 (Released:2008-10-30)
参考文献数
6
被引用文献数
18 22

Rolling workability, age-hardening and mechanical properties of Mg-5 to 16 mass%Li-1 mass%Al alloys were studied. The limit of reduction for cold rolling of the alloys containing 16 mass%Li exceeds 99.9%. The α+β phase alloys at 8, 10 and 11 mass%Li and the β phase alloy at 16 mass%Li are age-hardenable. A remarkable decrease in elongation is encountered for the β phase alloy having the maximum hardness. Fine platelet precipitates are observed by transmission electron microscopy in the age-hardened 8 mass%Li alloy.

2 0 0 0 OA さくら

出版者
佐倉聯隊区司令部
巻号頁・発行日
vol.第89号, 1926

2 0 0 0 三越

出版者
三越
巻号頁・発行日
vol.1, no.5, 1911-07
出版者
三越呉服店
巻号頁・発行日
no.1, 1908-06
出版者
舵社
巻号頁・発行日
vol.9, no.5, 1940-05
著者
鎌倉 慎治 越後 成志 鈴木 治 松井 桂子
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

種々のリン酸オクタカルシウム(OCP)・コラーゲン複合体(OCP/Col)を用いてその骨再生能について検討し、(1)OCP/Colは細胞の増殖や接着を促進し、(2)小型動物の埋入試験でOCPの含有量に依存して骨再生能が向上し、生じた新生骨の骨質は経時的に増強し、正常骨組織に匹敵する力学特性を示すこと、(3)大型動物での種々の埋入試験によってその十分な骨再生能を確認し、これら一連の成果によって世界初のOCP/Colを用いた臨床研究を実現するに到った。
著者
吉野 正敏
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.131-140, 2013 (Released:2013-01-25)
参考文献数
16

インドにおける熱波の定義は次のとうりである.すなわち,長年の日最高気温の平均が 40℃以上の地域で平年値より 3~4℃以上高い場合を『熱波』,5℃以上を『厳しい熱波』とする.長年の日最高気温の平均が 40℃以下の地域で気温が平年値より 5~6℃高い場合を『中位の熱波の影響を受けた』と言う.もし 6℃以上ならば『厳しい熱波』とする.熱波は通常 5~6 日,まれに 15 日以上連続する.厳しい熱波は通常 3~4 日で終わる.インド全体における 1978 年から 1999 年までの 22 年間の平均では,熱波の 1 年間の発生頻度は 11.5 回,月別にみると,5 月が最多で,5.0 回,6 月が 3.9 回,4 月が 1.9 回である.州別にみると,マハラシュトラ州が 1.6 回/年,ビハール州・ラジャスタン州・西ベンガル州それぞれ 1.3 回/年である.6 月の熱波の発生回数は 5 月と同じかやや少ないが,熱中症による死者数は 6 月のほうが 5 月より多い.影響を受ける人間(高齢者が多い)の体力の遅れ効果と考えられる.また,水供給システム(死者は都市部の貧困層に多い)の劣化・悪化,衛生状態の 2 次的悪化(間接的)影響なども考えられる.死者数はエル・ニーニョ年にはきわめて少ないがその翌年にはきわめて明瞭に多くなる.例えば,1983 年には前年の 17 倍,1988 年には約 100 倍,1998 年には約 190 倍になった.特に 1998 年は 20 世紀末における最大の死者数 1,658 人を記録した.この年の熱波回数は 33 回であった.2012 年 4 月~7 月は南西モンスーンの開始が遅れ,近年,まれにみる猛暑となり,44~49℃に達する地域が広く現われた.死者数は 575 人(2012 年 10 月末現在の資料で)に達した.野生動物(象・ねずみ・カラスなど)大量死が報告された.人間社会では高温による食中毒・生活用水不足が深刻になった.大停電が発生し 6 億 2 千万人が影響を受け,学校閉鎖・医療機関の機能麻痺・交通機関停止(鉄道運休・道路信号機不能による渋滞など),2 次的(間接的)影響が深刻になり生気候学的課題が多数明らかになった.
著者
Hironori Nakagami Hiroshi Koriyama Ryuichi Morishita
出版者
一般社団法人 インターナショナル・ハート・ジャーナル刊行会
雑誌
International Heart Journal (ISSN:13492365)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.96-100, 2014 (Released:2014-03-28)
参考文献数
38
被引用文献数
2 13

Vaccines are commonly used as a preventive medicine for infectious diseases worldwide, however, clinical trials on an amyloid beta vaccine for Alzheimer’s disease represents a new concept in the field of vaccinations. Several recent studies indicate the potential of therapeutic vaccines as well as classical vaccines as preventive medicines. A number of therapeutic vaccines for cancer have been developed as novel immunotherapies. Their targets are usually specifi c antigens in cancer cells, allowing activated cytotoxic T cells (CTLs) to attach and remove the antigen-presenting cancer cells. Recently, we and others have attempted to develop a therapeutic vaccine against hypertension. The vaccine target is angiotensin II (AngII), and induced anti-AngII antibodies could efficiently ameliorate high blood pressure. However, because AngII is an endogenous hormone, we must avoid the induction of autoimmune diseases by administration of an AngII vaccine. Therefore, our system was used to design a therapeutic vaccine that elicits anti-AngII antibodies without CTL activation against AngII. Because the target antigen itself does not include T cell epitopes, the immunogenic molecule (ie, KLH) provides antigen that supports the activation of T cells. In particular, helper T cells may activate B cells that produce antibodies against our specific antigen. In this review, we will explain our concept of therapeutic vaccines based on our recent data.
著者
鈴木 春菜 榊原 弘之
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.53-58, 2014-04-25 (Released:2014-04-25)
参考文献数
9

本研究では、自動車を保有しないと不便であると考えられる地方都市における、移動格差がもたらす心理的諸影響について分析を行った。自動車を利用できる環境にあるが敢えて利用しない積極的自動車非利用者と、自動車を利用したいが利用できない状況にある消極的自動車非利用者がいると想定し、消極的な自動車非利用者は自動車利用者と比較して地域愛着・主観的幸福感・地域の地理認知の水準がいずれも低いという仮説を措定した。山口県宇部市において転入者と学生に対するアンケート調査を行い、仮説の検証を行った。その結果、地域愛着・主観的幸福感・地理認知のそれぞれについて仮説を支持する結果が得られた。また、地域愛着については一般居住者については自動車利用傾向が高いほど地域愛着が低下するという結果が得られ、自動車利用の積極性による影響の差異が示された。