著者
島守 幸代 反田 千穂 伊藤 友彦
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.330-334, 2010-10-20
被引用文献数
1

本研究は吃音児に対する話し方の指導法を開発するための基礎的研究として,1)幼児は発話速度をいつ頃から意識的に調節できるようになるのか,2)速度調節の発達は声の大きさ調節の発達とは異なるのかどうか,について検討したものである.対象児は3歳から6歳の幼児81名であった.刺激語の速度(「ゆっくり」,「速く」)と大きさ(「小さい声」,「大きい声」)を調節させる課題を行った.その結果,速度調節が可能な幼児の割合は3歳で10.0%,4歳で14.3%,5歳で63.6%,6歳で88.9%であった.大きさ調節が可能な幼児の割合は,3歳で35.0%,4歳で61.9%,5歳で77.3%,6歳で94.4%であった.これらの結果から,4歳までは速度調節のほうが大きさ調節よりも困難であることが示唆される.一方,5歳になると速度調節が可能な幼児の割合が著しく増加し,大きさ調節との差が小さくなり,6歳ではほとんどの対象児で速度も大きさも調節可能になることが明らかになった.
著者
大塚 泰正
出版者
広島大学大学院教育学研究科心理学講座
雑誌
広島大学心理学研究 = Hiroshima psychological research (ISSN:13471619)
巻号頁・発行日
no.13, pp.243-249, 2013

本研究は,公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が指定する臨床心理士養成大学院に対してアンケート調査を行い,産業領域に関する臨床心理士養成の現状を明らかにすることを目的とした。48校から得られた回答をもとに分析を行った結果,産業臨床を専門とする専任教員は27.1%の大学院に配属されていることが明らかになった。産業臨床に関する講義科目は25.0%,実習科目は4.2%,課外実習は10.4%,セミナ一等の開催は8.3%,研究所・研究会などの設置は4.2%の大学院に認められた。一方,大学院生については,22.9%の大学院に産業臨床に関する研究テーマを持つ大学院生が存在し,8.3%の大学院に調査時点において何らかの産業臨床に関する活動を行っている大学院生が存在した。また,過去5年間のうちに産業領域に就職した大学院生は38名存在したが,その多くは大学院生時代に産業臨床に関する講義や実習などを受講することなく,現場に配属されている可能性が示唆された。産業臨床に関する専門家を養成するには,今後さらに大学院における教育プログラムを充実させる必要があるといえる。
著者
松井 三枝
出版者
[富山大学杉谷キャンパス一般教育]
雑誌
研究紀要 (ISSN:1882045X)
巻号頁・発行日
no.41, pp.115-157, 2013-12

医療の分野における心理職のニーズは昨今ますます大きくなってきているといえるが、そのためのコアとなる教育が実際には各大学でどこまでなされているかが必ずしも明らかとはいえない。本研究では、臨床心理専門家養成のための医療実習の実態を明らかにすることを目的として、全国の大学病院にアンケート調査を行なったので、その結果を報告し、大学院における専門家教育のためのカリキュラムの充実に向けての資料を提供したいと考える。
著者
松井 三枝
出版者
[富山大学杉谷キャンパス一般教育]
雑誌
研究紀要 : 富山大学杉谷キャンパス一般教育 (ISSN:1882045X)
巻号頁・発行日
no.40, pp.111-114, 2012-12-25

心理学の応用のひとつとして、医療領域に関わる専門家の育成のための教育システムは重要と考えられる。医療の分野における心理職のニーズは昨今ますます大きくなってきているといえるが、そのためのコアとなる教育が実際には各大学でどこまでなされているかが必ずしも明らかとはいえない。広義の臨床心理学のなかに医療領域に従事する心理学専門家の育成が入ってくると思われる。2008年に日本学術会議の健康・医療と心理学分科会は、医療領域に従事する国家資格法制の確立の提言を行ない、これ以降の討論の中で、現状の問題として、教育カリキュラムの確立が課題とされた。とくに、大きな点は臨床実習を含めたカリキュラムの確立にあるといえる。本研究では、そのために全国の臨床心理系大学での教育システム、とくに臨床実習状況の実態調査を行ない、大学院における専門家教育のためのカリキュラムの充実に向けての資料を提供したいと考える。実際には第1段階として現在ある全国の臨床心理士指定校や専門職大学院165校を対象の中心として調査を行なうこととする。第2に全国の臨床心理士に教育経験等についてアンケート調査を行なうことにする。第3に全国の大学病院に臨床心理専門家の医療実習受け入れ状況についてのアンケート調査をする。本報告では、このうちの第1段階のなかのシラバス調査について示すこととした。
著者
浅井広国 著
出版者
風詳堂
巻号頁・発行日
1893
著者
酒井 俊幸 坂巻 正伸
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネスassocie (ISSN:13472844)
巻号頁・発行日
vol.9, no.9, pp.72-76, 2010-05-18

正月の箱根駅伝を連覇した東洋大学。率いたのは就任1年目の青年監督だ。選手と間違われる童顔。柔和な口調。一見、頼りなさげだが、その言葉には確かな決意と情熱が溢れる。年にたった2日の檜舞台「箱根」を目指すランナーたちは、今日も黙々と走り続ける。そして、それを見守る男も"答え"を探して考え続ける。
著者
影山 芳之 町田 洋子 森田 敦
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要. 開発工学部 (ISSN:09177612)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.47-51, 2005-03-31
被引用文献数
1

要介護度1以上の高齢者が入所する特別養護老人ホームでは, 看護師やヘルパーが24時間体制で介護を行っているが, 夜間は監視体制が不十分になるために, 時として徘徊等から転倒事故が発生しているのが現状である. 夜間の転倒事故を防止するためには, 人感センサ等を部屋に設置し, 行動を監視することが考えられる. そこで本研究では, 簡単な構造の人体検出装置を介護施設に設置し転倒事故を防止するとともに, その有用性について検討した. 特別養護老人ホームにて夜間転倒事故を起こす入所者の部屋に人体検出装置を設置し, 観察を行った. 軽度の痴呆症状を呈する入所者の部屋に, 赤外線センサによる人体検出装置を設置し, 夜間に人体を感知すると既存のナースコールを鳴らすようにした. 人体検出装置設置後は, 介護者により入所者を観察, 記録した. 記録には, ナースコールの時刻とその時の入所者の状況, 排尿の有無, 睡眠時間や日常生活動作の変化などを記入した. また, 夜間巡回時に特に変化がある場合は, その状況も記録した. 結果, 月平均2件の転倒事故が, 取り付け後0件に減少した. また排尿が集中している時間帯が明らかになり, 検出装置取り付け以前の排尿誘導時間に1〜3時間のずれが生じていることも判明した. 検出装置取り付け後は, (1) 安心して睡眠が取れるようになった, (2) 昼夜逆転していた生活リズムが正常に戻った, (3) 表情が明るくなり活動的になった, などの変化が入所者に見られた. 今回使用した赤外線センサを利用した人体検出装置は, 簡単な構造で設置も誰にでもでき, しかも安価で維持費も安いという特徴を持っている. したがって今後, 特別養護老人ホームや医療施設などでは非常に有用であると思われる. しかも高齢者の行動を把握するだけでなく, 介護者の負担の軽減とそれに伴う安心感, 介護方法の改善などに大いに役立つと考えられる.
著者
O.A. Hougen
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学 (ISSN:03759253)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.227-235, 1958-04-01 (Released:2009-07-09)

本講演において私はアメリカにおける化学工学教育の範囲と化学工学技術者の職能,さらにこの専門に関する二,三の誤解について申し上げました。またウィスコンシン大学における化学工学教育の歴史的発展,現在の教科課程の説明,およびその課程の特徴をお話ししました。興味あると思われる二,三の一般的な問題,化学工学技術者と他の関連した専門家との関係,工業化学の役割,学士課程の4年制と5年制の問題,工業界との協力教育,アメリカにおける学科課程の認定制度,博士の学位に対する資格などについても申し上げました。
著者
滝川 勉
出版者
日本国際経済学会
雑誌
国際経済 (ISSN:03873943)
巻号頁・発行日
vol.1956, no.8, pp.159-162, 1956-09-25 (Released:2012-02-09)
被引用文献数
1
著者
牧戸 知史 鈴木 徳祥 原田 知育 村松 潤哉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.2257-2266, 2007-07-15
参考文献数
11
被引用文献数
28

本論文では,安全アプリケーションを想定したリアルタイム車車間通信のためのMAC プロトコルについて提案する.提案プロトコルは,低遅延なアクセスを保証するために時分割されたスロット単位でのアクセスを行う.スロットの使用可否に関する情報,パケットの損失の原因に関する情報を送信するデータパケットに付加してブロードキャストすることで互いに交換し,効率的なスロット予約を実現するとともに,隠れ端末問題を解決している.Recently the safety application using wireless communication has taken a great attention in automotive field. The vehicle-to-vehicle communication is categorized as one of the high-mobile adhoc networks and has many difficulties. For safety applications without an infrastructure-terminal, each mobile terminal should have an autonomous operation function. Furthermore, communication latency is strictly restricted. To meet these requirements we propose a new TDMA-based MAC protocol for real-time vehicle-to-vehicle communications. We discuss some simulation models to evaluate transient characteristics, resource reuse, and hidden terminal problem of the adhoc networks.
著者
柴田 哲男 大草 重康
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, 1978-06-15

ソ連の土質工学発展の過程と現状を紹介したものである。まず革命前のロシアにおける科学技術の発達とソ連の地盤, 地質条件の特徴を簡単に説明し, ついで1928年から始まる第1次5か年計画以後, ソ連の国土開発とともに発展してきたソ連土質工学における顕著な研究と著書および, 積極的に行なわれていた海外の研究の導入について述べている。次に, ソ連の土質・基礎工学の分野で指導的な役割を果たしている『基礎および地下構造物研究所』の機構と研究方向および研究テーマを紹介し, ついで, 1959年から出版されている論文誌『地盤, 基礎および土質力学』の論文内容, 論文数について述べて研究の動向を示している。最後に, 近年のソ連における研究として, ソコロフスキーの塑性論, ベレザンツェフの極限平衡理論による基礎の沈下計算, スナルスキーの円形基礎下における地盤内応力と変形問題に対する研究, そして, フローリンからザレッツキーに至る力学モデル, およびクイの負の摩擦力の研究, FEMの応用などの特徴的な研究について簡単に紹介している。
著者
竹上 弘彰 高松 邦吉 伊藤 主税 日野 竜太郎 鈴木 敬一 大沼 寛 奥村 忠彦
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.7-16, 2014 (Released:2014-02-15)
参考文献数
10
被引用文献数
1

One of the important problems in the control of the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant is the removal of fuel debris. As preparation, a nondestructive inspection method for identifying the position of fuel debris is required. Therefore, we focused on a nondestructive inspection method using cosmic-ray muons, which is utilized for ground investigation. In this study, the applicability of this method for internal visualization of the reactor was confirmed by a preliminary test of the internal visualization of the High-Temperature Engineering Test Reactor (HTTR) of Japan Atomic Energy Agency. By using cosmic-ray muons, main components in the HTTR reactor, such as concrete walls and the reactor core, can be observed from the outside of the containment vessel of the HTTR. From the results of the preliminary examination, it appears that the inspection method with muons is promising for searching for fuel debris in a reactor. Based on the results, we also proposed some improvements of this system for its application to inspection at the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station.