著者
大渡 勝己 木谷 裕紀
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2020論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.131-138, 2020-11-06

二人単貧民はトランプゲームの大富豪(大貧民)を簡略化した二人零和確定完全情報ゲームである.二人単貧民において勝敗のみに着目した場合,必勝プレイヤと必勝の戦略は手札の総数N に対してO(N)時間で計算できることが知られている.一方本研究では,二人単貧民において負け側の残り手札枚数を得点として扱い,できる限り相手に出させずに勝ち,逆に負けるとしてもできる限り多く出すことを競う設定を考え,検証を行った.結果として,この得点のミニマックス値と得点を最大化する提出札の必要十分な範囲のいずれもO(N) 時間で計算できることを示し,得点最大化とゲーム中のパスの回数や手数との間に密接な関係があることも確かめた.
著者
人見 佳枝
出版者
近畿大学臨床心理センター
雑誌
近畿大学臨床心理センター紀要 = Bulletin of center for clinical psychology Kinki University
巻号頁・発行日
no.3, pp.49-59, 2010-10-01

[要約] 切腹は日本人が普遍的に心に抱いてきた、名誉を重んじる自死の象徴である。これは「死によって自己の最終責任を果たす」という日本人に共通の民俗のもとになったとされている。その象徴的な意味とその変遷について、主に千葉徳爾氏の著書を引用しつつ、腹部刺創による自殺企図患者について検討を行い、その共通点について論じた。腹部刺創における自殺企図患者においては、相手の目の前で企図する、企図後の精神科的援助を拒否することに特徴があり、これらは男性に顕著であった。これらは切腹が本来もっていた「誠意を示す」「分かってもらう」といった意味合いと共通点を示す一方、彼らなりの「男とはこうあるべき」という、いわゆるmachismoとの関連も伺われた。切腹と現代の腹部刺創を単純に比較することはもちろんできないが、民俗学的な見地からながめた場合、切腹の象徴的な意味は自殺企図全体に通底していており、腹部刺創も例外ではないものの、日本人の切腹に対して持つイメージが変わっていくにつれて減少していくのではないかと推察される。
著者
桑野 裕文 Hirofumi Kuwano 九州情報大学 経営情報学部 経営情報学科
巻号頁・発行日
vol.15, pp.99-105,

運動部活動は学校教育の一環として、またスポ-ツ享受の場として、その価値は大きい。しかし、勝利至上主義、過熱化、スポ-ツ障害、事故と安全管理、教師の負担、など問題が山積しており、その諸問題を解決すべく保健体育審議会答申(1997年)やスポ-ツ振興基本計画(2000年)では「運動部の運営活動改善」が提起されている。一方学校現場では、少子化の影響もあり休部・廃部の話を耳にする。休部・廃部は入学後入りたい運動部がなく、これまで続けてきたスポ-ツを続けられなくなる子どもを生み出している。この問題に歯止めをかける一手として、今注目を浴びているのが合同チ-ムである。合同チ-ムは、運動部活動の最大の魅力「大会参加」への道を開くものとして子どもたちにとっては良報である。しかし、大会参加にはさまざまな条件が付けられている。また大会には、中体連・高体連主催、競技団体主催、民間の冠大会などがあり、それぞれに規定がある。そしてその規定は統一されたものではなく戸惑いもある。本稿では、中体連・高体連規定をベ-スに合同チ-ムの参加規定を検討し、運動部改革の主体的な取り組みの第一歩とする。
著者
谷中 瞳
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.61, no.12, pp.1194-1195, 2020-11-15
著者
岸本 亜野
出版者
武庫川女子大学
巻号頁・発行日
pp.1-38, 2016-03-20

ベルベリンは、キハダやオウレンなどの植物に含まれている成分である。抗菌、抗炎症、止寫作用があり、主に止寫薬として用いられている。また、血糖、血圧および血中脂質低下作用が報告されており、生活習慣病予防に有用であることが示唆されている。 本研究では、腎障害を発症する高血圧自然発症ラット(SHR)を用いて、ベルベリンによる血圧および腎障害への影響を検討した。その結果、ベルベリン投与により、血圧の低下の影響なしに腎障害の軽減作用が認められたことを新規に示し、血圧低下以外の因子がベルベリンによる腎障害軽減に関与している可能性を示した。また、体重増加が抑制され、後腹膜脂肪および腸間膜脂肪のより大きい減少が関与していることが新たに示唆された。さらに詳細なメカニズムを検討するため、in vitroで解析を行った。in vitro の解析では、マウス前駆脂肪細胞の培養株である 3T3-L1 細胞を用いてベルベリンの影響を検討した。その結果、ベルベリン添加により3T3-L1 脂肪細胞の脂肪滴およびトリグリセリドが減少した。また、脂肪細胞特異的遺伝子の発現を抑制し、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化を抑制することが示唆された。さらに、ベルベリンが 3T3-L1 脂肪細胞における活性酸素種を減少させることが新規に認められ、酸化ストレスの改善作用は抗酸化酵素である GPx の上昇が起因していると考えられた。 本研究で得られた結果より、ベルベリンは、血圧に影響せずに腎障害の軽減作用があること、および肥満を基盤とした生活習慣病に有用であることが示唆された。
著者
白井 良成 松田 昌史 藤田 早苗 小林 哲生 岸野 泰恵
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.1660-1679, 2020-11-15

位置情報ゲームをWWWをフィールドとして実現するゲームの概念,WBG(WWW-based games)を提案する.膨大なコンテンツが存在し,多くの人が日常的に利用するWWWをフィールドにしたゲームを構築することで,WWW上のデータを利用したヒューマンコンピュテーション,Webコンテンツを利用した能力開発,Webサイトへの集客効果など様々な効果が実現できる.一方,その構築においては,実世界とは異なるWWWの特徴を考慮する必要がある.本論文では,実世界を対象とした位置情報ゲームとの対比からWBGの概念を整理し,また,WWW上の文字列を擬人化してWebサイトを奪い合うゲーム,テキストモンスターを題材に,WBGによる新たなゲーム体験の実現性,構築によって得られた設計に関する知見,副次的効果の実現可能性について論じる.
著者
山岡 洋
雑誌
桜美林論考. 言語文化研究 (ISSN:21850674)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.15-35, 2017-03-21
著者
中西 泰夫
出版者
専修大学経済学会
雑誌
専修経済学論集 (ISSN:03864383)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.31-38, 2019-03-15

政府による規制の緩和が,生産性の上昇をもたらすかどうかは,各国の市場において重要なテーマであり,定量的にテストされることが必要とされている。特に生産性の上昇を計測することが,まず重要である。この論文では生産関数を推定して,そこから生産性の上昇率をもとめている。その際に近年重要になっている内生性の取り扱いに,十分な配慮をして,最新の方法を含んだいくつかの手法で計算している。そして,規制の緩和が生産性の上昇にどれだけ貢献しているかを,パネルデータをつかって推定することによりもとめている。内生性の排除について適切な方法で処理しており,より正確な方法であると考えられる。分析の結果は,生産関数は内生性を考慮した方法により,有意なパラメータの推定結果を得た。したがって内生性の処理をされた生産関数の推定には成功している。規制緩和に関しては,規制緩和が生産性の上昇に有意に貢献しているという結果を得ているが,その際の規制緩和に関する推定方法については,まだ検討の余地が残されており,結論はつけられない。
著者
松永 賢次
雑誌
高校教科「情報」シンポジウム2019論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.9-12, 2019-10-19