著者
深尾 良夫 三反畑 修 杉岡 裕子 伊藤 亜紀 塩原 肇 綿田 辰吾 佐竹 健治
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

1: 津波地震は地震の規模と比較して異常に津波の規模が大きな地震(Kanamori, PEPI, 1972)で、典型的には海溝すぐ内側に起こる低角逆断層地震が津波地震になりやすい。一方、ほぼ10年に一度繰り返して起こる鳥島近海地震(Mw=5.6-5.7)は、海底カルデラ下で発生する全く別種の津波地震である。最新のイベント(2015年5月2日)であるが、その地震波と津波を震央距離約100km(北北東)の海底に展開した10点の水圧計アレーが記録した。本発表では、津波地震の観測からメカニズム提唱までの概要を報告する。津波解析の詳細は、三反畑らによる別途発表に譲る。2: 10点の絶対圧力計(7000mの水深に相当する圧力を9桁の分解能で測定可能)を最小辺長10km、最大辺長30kmの正三角形を構成するよう配置する。今回は、このアレーを青ヶ島東方沖水深1470-2240mの海底に2014年5月に設置し翌年5月に回収した。このアレーは、周期半日の内部潮汐波(Fukao et al., JpGU, 2017)、周期50-200秒の長周期海洋重力波(Tonegawa et al., JGR, 2018)、周期100-300秒の津波(Sandanbata et al., PAGEOPH, 2018; Fukao et al., Sci. Adv., 2018)など、多様な海洋現象の観測に有効である。3: アレーの観測点配置は、卓越周期200秒の津波がアレーを伝播する間に位相がほぼ1周期ずれ、そのズレを10点で測定することに相当し、高精度な位相解析が可能である。得られた位相速度は周期に依存し理論的な分散曲線と良く一致する。点波源をスミスカルデラ内に仮定し、周期に依存する局所位相速度分布図を用いて破線追跡を行うと、観測された走時と入射方向の周波数依存性をよく説明できる。仮に波源がリムにあるとすると、測定された到達時刻あるいは入射方向との一致は有意に悪くなる。一方、津波の初動は、波形の立ち上がり寸前のゼロ線を切る瞬間として読み取ることができるが、そのアレー通過速度は理論的な長波速度に一致する。この立ち上がりを地震発震時刻まで逆伝播させると、波源域の縁がカルデラリムにあることがわかる。津波波源はカルデラ全体にわたり、それを超えることなかったと推測される。一方、USGS、JMA、GCMTの求めた地震の震央はカルデラサイズを超えて散らばり、津波波源のほうが高精度で求められていることがわかる。4: 津波波源をモデリングするためにt=0の瞬間に海面擾乱を与え、その擾乱の伝播をブジネスク方程式の解として求めた。初期擾乱を軸対称とし、観測波形を最も良く説明する波源域の半径Rと中心隆起の振幅Aをグリッドサーチにより求めた。最適半径A=4kmはスミスカルデラのサイズとよく一致する。最適波高はA=1.5mと求められた。最適モデルに基づいて計算された波形と観測波形との一致は驚くほど良い。アレーで観測された最大振幅は約2cmであるが、八丈島(八重根港)の験潮儀には約60cmの最大振幅が観測されている。八重根港における津波波形を、湾の複雑な地形と津波の非線形効果を考慮して計算すると、計算波形は観測波形と驚くほどの良い一致を示した。5: この地震のメカニズムはT軸がほぼ鉛直のCLVD(Compensated Linear Vector Dipole)であり、Mwは5.7相当である(JMA, GCMT)。しかしこのメカニズムでは、直径8kmの波源域、1.5mの津波波高に相当する海底変位を生ずることはできない。震源を如何に浅くしようとも海底変位は津波の初期波高のたかだか1/20程度しかならない。両者のこの大きな差異は、実際のメカニズムがCLVDではなくHorizontal Tensile Fault(HTF)が鉛直に開口したためであったことを示唆する。このメカニズムが海底下の極浅部に働く場合、(1)遠方長周期地震波の励起効率はゼロに近く、一方で津波の励起効率は最大、(2)励起された地震波は殆ど上側(海側)に放出されるので、断層面上の変位は上側に集中し、水中音波の励起効率も大きく増幅される、(3)震源で体積変化なしと仮定して遠方変位場からメカニズムを求めるとモーメントの不当に小さなVertical-T CLVDが得られる。これら3つの極浅部HTFの特徴は鳥島近海津波地震の特徴と整合する。
著者
姫松 裕志 Freysteinn Sigmundsson 古屋 正人
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

陸域におけるプレート発散境界を観測できる地域のひとつとしてアイスランドが挙げられる.プレート境界に沿って活動的な火山がみられ,いくつかの火山は氷河や氷帽などの雪氷に覆われている.これらの火山が噴火した際には火砕流や火山灰の降灰などの他に,山麓のインフラに被害をもたらすラハールなどの融雪型洪水を引き起こす可能性がある.近年のアイスランドでhあ1996年Gjalp火山や2010年Eyjafjallajokull火山の噴火に伴う洪水被害が報告されている.Bardarbunga火山もアイスランドの中で雪氷に覆われている火山のひとつであり,ヨーロッパ最大の氷帽であるVatnajokull氷帽の北西に位置している.2014年8月に始まったBardarbunga火山におけるダイク貫入イベントでは,氷帽から10km離れた地点で震源の移動は終息し,この地点で始まった割れ目噴火は2015年2月まで続いた.このイベントに伴う非雪氷域における地殻変動は衛星SARデータを利用した干渉SAR(InSAR)やピクセルオフセット法によって報告されている (Sigmundsson et al., 2014, Nature; Ruch et al., 2015, Nat. Comm.).これらの結果はリフト帯におけるダイクの貫入時に観測されるグラーベン構造を形成する地殻変動の描像(最大6mの沈降と最大2mの西北西-東南東方向の水平変位)を明らかにした. 航空機高度計による観測から氷帽のダイク経路上に直径500m,深さ20mを超える氷帽の円状の沈降(Ice cauldron)や最大60mのBardarbungaカルデラの沈降が報告されている.ダイク貫入イベント前後の数値標高モデルの差分(DEM difference)は氷帽下における地殻変動の影響を受けた鉛直変位を示した.本研究では衛星SARデータにピクセルオフセット法を適用することにより,氷帽上の変位からダイク見入イベントに伴う氷帽下の地殻変動の抽出を試みた.ダイク貫入イベントの前後に撮像された画像ペアにピクセルオフセット法を適用した結果,氷帽の定常的な表面変動を示すシグナルに加えて,地殻変動に伴う氷帽上の表面変動を示すシグナルを検出した.そこでダイク貫入イベント時のシグナルから任意の重みをつけたイベント前のシグナルを差し引くことにより,氷帽下における地殻変動を推定した.推定された氷帽下における地殻変動データを使用して,従来のダイク開口モデルから改良した新しいモデルについて議論する.
著者
小島 慎也 佐藤 香枝 前田 亮太 呉 宏堯 矢田 拓也 森田 敏明 岩崎 博之
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2014年大会
巻号頁・発行日
2014-04-07

明星電気株式会社は、小型気象計POTEKA Sta.(ポテカ:Point Tenki Kansoku、以下POTEKA)を開発した。POTEKAは気温・湿度・気圧・感雨・日照を1分間隔で測定でき、従来気象計と比較して安価で、設置が容易なため稠密な設置及びデータ収集が可能である。そのPOTEKAを用いて、伊勢崎市内小中学校及び同市周辺のコンビニ(SAVE ON)に約1.5~4km間隔で計55ヶ所に設置した。本稿では、顕著な観測事例として8月11日に高崎市・前橋市で発生した突風現象の観測結果について紹介する。8月11日18時頃に高崎市から前橋市にかけて突風が発生し、住家の屋根の飛散などの被害がみられた。POTEKAの気温1分値を見ると、最大12分間で-13.9℃の気温低下がみられた。前橋地方気象台発表の突風経路に近いPOTEKAの海面補正した気圧の1分値時系列を下図に示す。気象台の10分値の気圧は徐々に増加していく傾向しか見られないが、POTEKAの1分値では、1~2hPa程度の一時的な上昇がみられた。これはダウンバースト発生時の下降流による一時的な気圧上昇であると示唆される。さらに詳しく見ると、気圧の上昇は2回発生している地点もあり、1回目はガストフロントによるもの、2回目はダウンバーストによる上昇と考えられる(詳細は「地上稠密観測POTEKAによるダウンバーストとガストフロントの識別」を参照のこと)。今回の稠密観測のようなダウンバースト・ガストフロント発生時の地上における気圧変化を、これほど細かい時間的・空間分解能で観測した事例はほとんど見られない。このような稠密観測をすることによって、突風の種類の判別や突風に対する事前の注意喚起が出来る可能性がある。謝辞:本プロジェクト始動にあたり、サンデン(株)殿、(株)セーブオン殿、伊勢崎市教育員会殿にはPOTEKA設置のご協力を頂きました。ここに御礼申し上げます。
著者
宮本 和典 福島 宙輝
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本稿では,嗜好品飲料を対象とし,その味わいの表象を図形と形容詞による複層的な記述として問う実験の手法を提案する.本手法は,従来の手法に比べて二次元図形を多数提示することからタブレット端末を用いて選択肢を提示する.二次元図形はシンメトリ/アシンメトリ,尖り/丸みなどの特性をふまえて選定した100種の図形から,各試行25種をランダムに提示する.図形の選択の後,形容詞の選択を行う.形容詞群は味覚表現において頻出する形容詞100語から,25語をランダムに提示する.全国大会の口頭発表においては,この手法によって得られた,対応のある図形と形容詞の選択結果を分析し,結果を提示する.
著者
村上 亮 古屋 正人 高田 陽一郎 青木 陽介 小澤 拓 島田 政信
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

はじめに 合成開口レーダ(SAR)は,全天候性,広域性,非接触性,計算機親和性など,地殻変動観測に適した多くの長所を有している.一般に,植生が広く分布するわが国においては,Lバンド帯が地殻変動の検出に適している.Lバンドで運用する,我が国の衛星であるJERS,ALOS,およびALOS2に搭載されたLバンドSARによる観測は,火山観測に多くの成果を上げており,すでに火山性地殻変動モニタリングの標準的手法となっている.一方,航空機搭載SARは,ある程度自由に照射方向を設定でき,即時対応にも適応性が高いことから,衛星型にない多くの長所を有しているものの,リピートパス干渉法(DInSAR)に関しては,飛行軌跡の制御や位置追跡の精度がボトルネックとなっており,広く用いられる段階には至っていない.我々は,Lバンド航空機SAR干渉技術の高度化を目ざす研究を実施中であるが,その一環として,九州に点在する活火山(桜島火山,霧島火山,雲仙火山)を対象とした観測を宇宙航空技術研究開発機構(JAXA)が運用する航空機SARシステム(Pi-SAR-L2)を用いて実施した.特に,桜島火山と霧島火山に対しては,リピートパス干渉を目的とした観測をJAXAが2013年以降実施中であり,2017年に新たに観測したデータは,これらの既存データとの干渉処理が可能である.本報告では,衛星観測や水準測量の結果から,最近の数年間における膨張性の変動の存在が明らかになっている,霧島火山硫黄山をターゲットとした,航空機SAR干渉解析結果を紹介する.2.Pi-SAR-L2データの干渉処理についてPi-SAR-L2には,高精度なINS-GPSハイブリッド型の航路追跡装置が搭載されている.これにより,高い軌道再現性が実現されているが,予測不可能な気流の変化等の影響によって,完全な同一航路の実現は困難である.その結果,航空機干渉SARの飛翔航路偏差起源の位相差の分布は,衛星のそれに比べてより複雑な形状を呈し,地殻変動情報の有効な抽出には,航跡の複雑性に起因する位相分布の適切な除去が必要である.これまでの予備的な解析から,ペアを構成する主画像(Master)および従画像(Slave)の位置合わせの達成度が干渉性をほぼ支配することが分かっているので,そのプロセスの確実性を高めることに,解析の主眼をおいた.位置合わせは,主従の元画像どうしのピクセルのズレの検出と,同一地点のピクセルどうしが同じ位置に来るように従画像の位置ズレを補正するリサンプルのプロセスで構成される.解析に使用する干渉SAR解析パッケージであるRINCでは,基本的に二次関数によるズレ予測に基づき,成功領域を徐々に拡大するアルゴリズムに基づいており,今回は,その特徴を生かしつつ確実なズレ検出を全画面領域において成立させるため,手動による確認プロセスを挟みながら,繰り返し処理を行い,徐々に成功領域を広げる処理を定式化した.この方法により,解析した6ペア全ての全画面において,ズレの高精度検出に成功した.一方,従画像(Slave)のリサンプリングは,現状では,二次関数による多項式近似を依然として採用しており,より複雑な変化をする飛行(Azimuth)方向において,数ピクセルにおよぶ残差が残留しており,これが,帯状の干渉不良領域を発生させている原因であることも分かった.二次関数では近似できない高周波成分に対しても対応する,より高精度なリサンプリングを実施すれば,干渉度がさらに改善される期待がある.いずれにせよ,位置合わせ手法を改善した結果,斑状の干渉不良領域は残存するものの2014,2016,2017の三時期に実施された三方向から観測から構成した,全6ペアの全てについて,全領域の干渉が達成された.3. 霧島火山の干渉解析結果リサンプリング手法に改良の余地があり,全画像での均一な干渉は実現できなかったが,現時点でも,かなりの領域で良好な干渉が達成されており,衛星SARや水準測量など他観測から地殻変動の存在が確認されている硫黄山において,航空機SARでも火山活動に対応すると考えられるフリンジが確認できた. 全て膨張性の変動が示唆される結果となっており,視線方向の距離変化の大きさは数cm程度であった.航空機干渉SARでは,上空の風速の変化などの影響で,飛行軌跡が小刻みに変動するため,航空機搭載のGPSによる航跡情報では補正しきれない,軌道縞や地形縞が残存する.今回の解析では,空間的長波長のフリンジは,全て軌跡起源と解釈して,一律に取り除く処理をしたため,空間的に長波長の地殻変動も取り除かれる恐れがある.しかし,硫黄山の地殻変動は力源が浅く,局所に偏在する変動と考えられるため,今回の手法でも確実に捉えることができたと考えられる.なお,長波長成分除去後のノイズレベルの見積もりは,概ね+-2cm程度であるなお,航空機SARの特性を生かし,多方向からの観測が行われており,地殻変動の三次元化を実施し,講演時にはその結果についても報告する.謝辞:干渉SAR解析には小澤拓博士が開発したRINC(Ver.0.36)および国土地理院の標高データを使用した.ここに記して感謝する.
著者
Sun Mingfei 辻川 剛範 大西 祥史 Ma Xiaojuan 西野 淳 橋本 哲
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

瞬きやまぶたの垂れ下がりなど眼に関連した動きが眠気の顕著な症状であるとの報告は多くある。 しかしながら、これらの運きによって説明される眠気推定のための計算上の有効性を調査した者はほとんどいない。この論文では、まぶたの動きと眼球の動きの2つの典型的な動きを分析し、CNN-NetとCNN-LSTM-Netという異なるニューラルネットワークモデルを用いて調査する。 実験において、まぶたと眼球の両方の動きを用いることは、短時間での眠気推定において、まぶたの動きだけを用いるよりも良好な性能を示す。また眼球の動きのみを用いた場合、ベースライン(PERCLOS法)よりも悪化することを示す。 さらに、CNN-Netは、CNN-LSTM-Netよりも正確な眠気度の推定に有効であることを示す。
著者
加藤 倫平 植田 勇人 吉田 孝紀
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-03-10

北海道中軸部の空知-エゾ帯の主要な構成メンバーとして南北に渡って広く分布する白亜系堆積物は蝦夷層群と呼ばれ,多くの層序学的・古生物学的研究が重ねられてきた。その層序は従来から下部,中部,上部に区分されている(Matsumoto, 1942など)が,蝦夷層群の下部と中部の境界の層序学的位置は各地で異なり,蝦夷層群の広域的な対比は困難である。一方,蝦夷層群分布域全域に渡って追跡できる珪長質な凝灰岩や火山砕屑性砂岩からなる鍵層が確認され,北海道中央部では丸山層と命名された (Matsumoto, 1942;本山ほか,1991など)。この鍵層の堆積年代は蝦夷層群の広域的層序対比に有効であると考えられる。しかし,空知-エゾ帯北部の天塩中川地区や南部の春別川地区においても,化石の産出が乏しいため,この丸山層に対比されるような地層の特定は困難である。このような化石の産出に乏しい地層の年代決定には,U-Pb法による砕屑性ジルコンの年代値が有効である。よって,本研究では,天塩中川地区と春別川地区の凝灰岩層中の砕屑性ジルコンを用いて,U-Pb法により堆積年代を決定し,蝦夷層群下部~中部に及ぶ層準の広域的層序対比を試みた。ジルコンのU-Pb測定には新潟大学のLA-ICP-MS (Agilent 7500a ICP-MS及びNew Wave UP213 レーザーアブレーションシステム)を用いた。 その結果,天塩中川地区の蝦夷層群中部の白滝層の凝灰岩の堆積年代として,96.3-103.4Maを得た。一方,春別川地区の蝦夷層群中部春別川層の凝灰岩層の堆積年代として,98.5±0.5Maを得た。これらの凝灰岩及び凝灰質砂岩の岩石学的性質は珪長質であることが分かった。すでに報告されている北海道中央部の丸山層の堆積年代は浮遊性有孔虫の検討から,102-105Maである(高嶋ほか, 1997b)。また,北海道中央部の日陰の沢層の凝灰岩層のサニディンから98.98±0.38Maおよび99.16±0.37Maの Ar-Ar年代がすでに報告されている(Obradovich et al., 2002)。これらの凝灰岩層は,96-127MaのK-Ar年代を示す渡島帯の花崗岩類(柴田・山田, 1978など),100.6±3.3MaのAr-Ar年代を示す火山岩類(滝上, 1984など)に由来すると考えられる。
著者
篠田 広人 仲榮眞 一朗 難波 英嗣 竹澤 寿幸
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

近年,研究者数の増加および学問分野の専門分化と共に学術情報量が爆発的に増加している.研究者が入手できる学術論文の量が増える一方で,そのすべてに目を通すことが困難である.そこで論文の内容を効率的に把握するための読解支援システムが求められている.これまでに,様々な観点から論文読解を支持するシステムが提案されてきたが,本研究では, 論文内の図表に着目したシステムを構築する.図表は,論文中の説明文の要点を表したものと捉えることができ,被験者に説明文だけを提示するよりも,図表とともに説明文を提示したほうが,内容の理解に有用である.本研究では,論文中の図表と,個々の図表に対応する文を自動的に対応付け,ユーザに表示することで論文読解の支援を行う.提案手法の有効性を調べるため,実験を行った.実験の結果,精度0.65,再現率0.13が得られ,提案手法の有効性が確認できた.
著者
角野拓真 轟俊太朗 田所敏弥 石田哲也
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2018(神戸)
巻号頁・発行日
2018-06-20

目視により得られる情報として日射や湿潤状態の有無に着目して部位ごとに環境区分を設定し,設定した環境区分ごとにひび割れや剥離・剥落等の変状発生傾向および鉄筋腐食速度を分析し,目視情報に基づく鉄筋腐食環境の推定法について検討を行った。日射有と区分した部位の中性化深さは,他の部位と比較し進行しているが剥離・剥落の発生は少なく,推定した鉄筋腐食速度は2.1×10-3mm/年であった。日射無・湿潤状態および日射無と区分した部位の鉄筋腐食速度は,それぞれ3.4×10-3mm/年および3.0×10-3mm/年となり,日射有と区分した部位と比較し鉄筋腐食環境にあると推定することができた。
著者
佐藤悠士朗 櫨原弘貴 添田政司 山田浩嗣
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2018(神戸)
巻号頁・発行日
2018-06-20

再振動締固めは,コンクリートの施工において耐久性を向上できる工法の一つである。再振動締固めはできるだけ遅い時間に行なうと良いとされているが,明確な再振動締固めを行う時期の検討は少ない。本研究では,再振動締固めを行うタイミングの指標として, N式貫入深さを用いて,再振動締固め時期の違いがコンクリートの長期品質に及ぼす影響について検討を行った。その結果,再振動時期の遅いN式貫入深さ100mmの際に,再振動を行うことでコンクリートの比抵抗や透気係数の改善が確認された。また,塩分浸透の抑制および鉄筋腐食の抵抗性の向上にも効果的な方法であり,これらの効果は,長期材齢においても確認することができた。
著者
加藤猛 今本啓一 清原千鶴 山崎順二
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2018(神戸)
巻号頁・発行日
2018-06-20

透気試験によって仕上材付きコンクリートの中性化速度の評価を行うためには仕上材およびかぶりコンクリートの透気性をそれぞれ適切に評価する必要がある。そこで仕上材付きコンクリートの透気性をダブルチャンバー法およびドリル削孔法により測定した。さらに両者の測定結果を複合させることを試みた。中性化速度評価手法の適用性を実験的に検討するために4種類の仕上材と3種類の基材コンクリートを組み合わせた試験体を作製した。検討の結果,ダブルチャンバー法およびドリル削孔法の透気抵抗性を複合させた手法による中性化速度評価の可能性と評価区分案を示した。
著者
十川貴行 小松怜史 田中伸介
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2018(神戸)
巻号頁・発行日
2018-06-20

コンクリート床版上面の表層品質が防水層との一体性に及ぼす影響を検討するために,打込み面の養生期間および表面研磨の有無の条件が異なる試験体を製作し,建研式引張試験,せん断疲労試験,膨れ抵抗性試験を実施した。表層品質はシングルチャンバー法によって評価した。その結果,打込み面のごく表層の品質が防水層とのせん断疲労抵抗性に大きく影響することが分かり,建研式引張試験で現行の引張接着強度の基準を満足するだけでは,防水層とのせん断疲労抵抗性を適切に評価できないことが分かった。また,防水層の膨れ抵抗性評価には表層品質を適切に考慮する必要性が示された。
著者
大熊千紗都 岡崎慎一郎 吉田秀典
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2018(神戸)
巻号頁・発行日
2018-06-20

塩害等により鉄筋腐食したコンクリート構造物の腐食速度を非破壊で評価する手法として,分極抵抗法がある。この手法は,鉄筋に微弱な電流を流し,電位変化量から鉄筋の分極抵抗を測定することで,鉄筋の腐食速度を定量的に評価するものである。本測定で得られる測定値は見かけの分極抵抗であり,真の分極抵抗を得るためには被測定面積を乗じなくてはならないが,被測定面積は腐食の不均一性に強く影響され,腐食速度の評価精度が低下する懸念がある。本研究では,不均一に腐食した鉄筋コンクリートを対象に,電気分散性状が被測定面積および真の分極抵抗値の相違に与える影響を検討するものである。
著者
藤井隆史 綾野克紀
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2018(神戸)
巻号頁・発行日
2018-06-20

本研究では,細骨材の全量に高炉スラグ細骨材を用いたコンクリートの圧縮強度,静弾性係数,引張強度,曲げ強度,乾燥収縮,クリープおよびアルカリシリカ反応抑制効果について,砂岩砕砂を用いたものと比較検討した。高炉スラグ細骨材を用いたコンクリートの静弾性係数は,同じ圧縮強度の砂岩砕砂を用いたものに比べて大きくなるが,引張強度および曲げ強度は,砂岩砕砂を用いたものと同程度である。一方,高炉スラグ細骨材を用いたコンクリートの乾燥収縮およびクリープは,砂岩砕砂を用いたものに比べて小さくなる。また,細骨材に高炉スラグ細骨材を用いれば,粗骨材のアルカリシリカ反応による膨張が抑制される。