著者
根元 裕樹
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.100036, 2015 (Released:2015-10-05)

1590(天正18)年旧暦6月、現在の埼玉県行田市にて忍城水攻めが行われた。この時、石田三成は、延長14kmもの水攻め堤を築き、利根川と荒川を引き込んで、忍城を水攻めした。しかし、忍城水攻めは、備中高松城水攻めと紀伊太田城水攻めと並んで日本三大水攻めに数えられているが、失敗した唯一の例となっている。そこで本研究では、水攻めを洪水と考え、洪水氾濫シミュレーションを行い、忍城水攻めをシミュレーションした。その結果から水攻めは可能だったのか考察した。その結果、忍城周辺において、水攻め堤を築き、利根川と荒川から水を引き込んだ場合、水攻めを起こすことができることがわかった。
著者
Hidekazu Nishimura Michiko Okamoto Isolde Dapat Masanori Katumi Hitoshi Oshitani
出版者
National Institute of Infectious Diseases, Japanese Journal of Infectious Diseases Editorial Committee
雑誌
Japanese Journal of Infectious Diseases (ISSN:13446304)
巻号頁・発行日
pp.JJID.2020.902, (Released:2021-01-29)
参考文献数
8
被引用文献数
25

Green tea extracts effectively inactivated SARS-CoV-2 in vitro in a dose-dependent manner. Serially 10-fold diluted solutions of catechin mixture reagent from green tea were mixed with the viral culture fluid at a volume ratio of nine to one, respectively, and kept at room temperature for 5 min. The solution of 10 mg/mL catechin reagent reduced the viral titer by 4.2 log and 1.0 mg/mL solution reduced only by one log. Pre-infection treatment of the cells with the reagent alone did not affect the viral growth. In addition, cells treated with only the reagent was assayed for host-cell viability using the WST-8 system and almost no host-cell damage by the treatment was observed. These findings suggested that the direct treatment of virus with the reagent before inoculation decreased the viral activity and that catechins might have a potential to suppress the SARS-CoV-2 infection.
著者
石田 晋司
出版者
四天王寺大学院
雑誌
四天王寺大学大学院研究論集 (ISSN:18836364)
巻号頁・発行日
no.12, pp.5-18, 2018-03-20

地域自立支援協議会は、障害者支援のネットワーク構築ために中心となり活動することが期待される機関である。大阪市は、区地域自立支援協議会に参画し地域における相談支援体制の中核的な役割を障がい者相談支援センターに課している。現在では、24 区全区に障がい者相談支援センターを中心とした区地域自立支援協議会が設置されている。そこで、区地域自立支援協議会や地域における障害者支援の現状と課題を把握するために、障がい者相談支援センターの職員にインタビュー調査を行った。 結果は、【活動推進の条件】【活動の膠着】【連携困難な事業者の増加】のコアカテゴリーが生成され、行政が参画している組織の受け入れられやすさを活用して、意欲的に障害者福祉支援の周知を行っている状況、制度的課題、地域の事業所の意識の変化などが明らかになった。
著者
毛利 有希子 渡辺 美智子 山内 慶太
出版者
一般社団法人 日本医療・病院管理学会
雑誌
日本医療・病院管理学会誌 (ISSN:1882594X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.19-31, 2017 (Released:2017-04-13)
参考文献数
16

医師・薬剤師がMRにどのような点を期待しているのか,またMR自身は,どのように期待されていると認識しているのか,公益財団法人MR認定センターの「MR実態調査」の回答データから潜在クラス分析を用いて双方の意識構造を抽出した。その結果,医師は,「自社医薬品の知識と人柄・マナー重視」「重視している項目なし」「全要素を幅広く重視」「人柄・マナー重視」「中立的情報提供と他施設・医療経済・症例ベースの情報重視」「自社医薬品・関連領域の中立的知識重視」に,薬剤師は,「自社医薬品の知識と迅速対応重視」「全要素を幅広く重視」「自社医薬品の中立的情報提供と人柄・マナー,迅速対応重視」「重視している項目なし」「中立的情報提供と症例ベースの情報重視」「訪問のタイミング重視」に,MRは,「全要素を幅広く重視」「人柄・マナーと迅速対応重視」「自社医薬品・関連領域の中立的知識重視」「重視されている項目なし」に大別され,各職種における意識構造の構成比も明らかになった。また,各グループを規定する要因について考察した。
著者
鈴木 文子
出版者
佛教大学
雑誌
文学部論集 (ISSN:09189416)
巻号頁・発行日
vol.93, pp.1-20, 2009-03-01

明治時代に始まる「趣味家」といわれるコレクターは、日露戦役の記念絵葉書ブームを経て、大正以降、一般大衆へ広がっていく。また、彼らの趣味蒐集の触手は、時代の趨勢のなか自然に植民地へも伸びていく。本稿では、これまであまり注目されることがなかった趣味家たち、特にその代表的存在である郷土玩具の蒐集家と植民地の関係を考察することにある。趣味家たちは、複数の趣味家集団に属し、自作の版画を交えた多くの同人誌を作成し、また、絵葉書等でさまざまな情報を交換していた。彼らの通信文化を分析しながら、ジャーナリズムとは異なる形で一般の人々に流布していた植民地の風景を考察する。
著者
片山 慶隆 Yoshitaka Katayama
出版者
関西外国語大学・関西外国語大学短期大学部
雑誌
研究論集 = Journal of Inquiry and Research (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
vol.100, pp.167-182, 2014-09

本稿は、1902年の日英同盟成立から、韓国が保護国化された1905年の第二次日韓協約に至る日英関係を検討した。特に、従来あまり検討されてこなかったイギリスの対韓政策を実証的に明らかにした。従来、イギリスは日本の韓国支配を後押ししたとされてきた。しかし実際には、イギリスは日本による韓国への進出を防いで、その独立を維持する援助を行なうつもりだったのである。だが、日露戦争勃発を機にイギリスの政策に変化が見られるようになった。戦争前は、韓国の立場に同情を示していたイギリスも、韓国への失望や伊藤博文訪韓への高い評価もあって、日本の韓国支配に理解を見せたのである。そしてイギリスは、伊藤の韓国支配における手腕に期待し、イギリスの植民地支配の「成功例」であるエジプトのクローマー卿になぞらえて期待をかけていた。これは、「非近代的な」韓国の問題点が日本を近代化させた伊藤により解決されることへの期待だったのである。
出版者
朝鮮総督府
巻号頁・発行日
vol.明治43年, 1912
著者
浦田 健作 中井 達郎 木村 颯 藤田 喜久
出版者
沖縄地理学会
雑誌
沖縄地理 (ISSN:09166084)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.55-71, 2021 (Released:2021-08-02)

沖縄県名護市辺野古崎沖の長島で鍾乳洞を確認し,調査を実施した.その結果以下のことが明らかとなった.①本洞には多様な石灰質洞窟生成物(鍾乳石)が発達しており,これまで報告されていない地形である「固結礫塔」や洞内では稀であるビーチロック類似層が確認された.②本洞は,カルスト作用,波浪作用,生物作用によって形成された洞窟であり,「海岸カルスト」というべき地形である.③洞口付近の微光帯には傾光性をもつ光カルスト地形(光鍾乳石と光カレン)がよく発達しており,亜熱帯海岸カルストの特徴と考えられる.④洞内では人為的影響を受けた痕跡はほとんど認められず,極めて良好な保存状態にある.⑤本洞の空洞形成の状況から,島の面積をはるかに越える集水域に涵養された地下川洞窟の一部であることが考えられ,長島周辺の(サンゴ礁)海域に“失われた石灰岩台地”の存在が示唆される.以上のことから,長島の鍾乳洞(“長島鍾乳洞”と命名する)は,学術的にもまた地域社会の資源としても価値が高いため今後速やかに保全策を講じる必要がある.