著者
高鍋 彩 白木 裕斗
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.22-00270, 2023 (Released:2023-05-20)
参考文献数
15

本研究は,札幌市立小学校の教員と児童を対象にした質問紙調査により,エネルギー教育の実態,及び,エネルギー教育の方法と児童の省エネ行動,知識習得等との関係を明らかにした.教員向け質問紙調査の結果,すべての学校がエネルギー教育を実施していること,エネルギー教育の必要性を感じていることが確認された.児童向け質問紙調査の回答の平均の差を検定した結果,エネルギー教育に取り組んだ教科や実践方法と児童の省エネ行動,知識,関心との間に有意な関係があることが明らかとなった.学校内の再エネの有無やエネルギー教育の時数の多寡と児童の知識・関心等の間の関係は確認できなかった.今後のエネルギー教育では,時数を増やすのではなく,副教材の利用や能動的な授業の実施など,質の向上についての検討が必要と言える.
著者
高澤 秀人 末永 陽一 宮下 岳士 平田 耕志郎 若林 海人 高橋 裕介 永田 靖典 山田 和彦 TAKASAWA Hideto SUENAGA Yoichi MIYASHITA Takashi HIRATA Koshiro WAKABAYASHI Kaito TAKAHASHI Yusuke NAGATA Yasunori YAMADA Kazuhiko
出版者
宇宙航空研究開発機構(JAXA)
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告: 大気球研究報告 = JAXA Research and Development Report (ISSN:24332216)
巻号頁・発行日
vol.JAXA-RR-22-008, pp.37-50, 2023-02-17

深宇宙探査を対象とした新しいサンプルリターンミッションに向けて薄殻エアロシェル型カプセルが提案されている.本カプセルのコンセプトにおける一番の特徴は,軽量・大面積エアロシェルを用いることで空力加熱を避けることである.本カプセルはパラシュートレスでの帰還が想定されていることから全速度域で空力的に安定に飛行することが求められている.実機は,直径0.8m,総質量10kg, 機軸周りの慣性モーメント0.58kg m2, 機軸垂直周りの慣性モーメント0.32kg m2のカプセルを想定している.薄殻エアロシェル型カプセルの低速域における動的不安定性を評価するために,2022年7月1日にゴム気球を用いた自由飛行実験RERA(Rubber balloon Experiment for Reentry capsule with thin Aeroshell) を実施した.気球実験機として,直径0.8m,総質量1.56kg,機軸周りの慣性モーメント0.033kg m2, 機軸垂直周りの慣性モーメント0.020kg m2のカプセルを使用した.カプセルは高度25kmにおいてゴム気球から切り離され,自由飛行を開始し,海上着水した.実験中のオンボードセンサーによる計測データとカメラによる撮影画像は地上局へ送信された.自由飛行においてカプセルは姿勢振動していたもののピッチ方向に縦回転することはなかった.自由飛行時のカプセル周りの流れ場はマッハ数0.15以下,レイノルズ数10(exp 5) オーダーであった.このことから再突入時と同オーダーのレイノルズ数環境下で試験を実施できた.実験機は低速域においてピッチ・ヨー方向の振動運動が発散しないことが示唆された.
著者
北山 響 茶谷 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.22-00216, 2023 (Released:2023-05-20)
参考文献数
11
被引用文献数
1

自動車排出ガス規制による大気汚染物質の排出量削減に対する効果を調べるため,2000年から2019年におけるCO,NOxおよびHCの自動車排出量を推計し,規制の有無による違い,年減少傾向,将来予測による長期傾向の分析を行った.長期規制以降の規制を考慮した場合,規制を考慮しない場合よりも排出量の削減効果がCOとNOxで数倍,HCで2倍以下の割合で大きくなる一方,台数や走行距離の変化による排出量への影響は小さかった.排出量減少傾向は,CO,NOx,HCの順に,-4.4,-3.4,-5.0%/年であり,2030年までの予測値では,-3.1,-3.0,-3.3%/年であった.CO,NOx,HCの規制削減効果は,開始の早さと段階に違いはあるが,長期的に見ると差は見られなかった.
著者
Xiaohui Zhang Yanxia Qi Youzhi Pang Bingjie Yuan Xiaolong Li
出版者
Japan Poultry Science Association
雑誌
The Journal of Poultry Science (ISSN:13467395)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.2023013, 2023 (Released:2023-05-25)
参考文献数
30
被引用文献数
1

Mutations in the HERC2 and OCA2 genes have the potential to affect pigment deposition and alter feather color in birds. Therefore, in this study, we evaluated HERC2-OCA2 gene locus polymorphisms in Korean and Beijing white quails using RNA-Seq and KASP technology. The expression levels of HERC2 and OCA2 mRNA in skin tissues were analyzed using RT-qPCR. Ten single nucleotide polymorphisms were identified by RNA-Seq, of which three (n.117627564T>A, n.117674275T>G, n.117686226A>C) exhibited significant association with feather color in quail. The expression of OCA2 mRNA was significantly lower in the skin of Beijing white quails than that in the skin of Korean quails. These results suggested that variants in HERC2-OCA2 intergenic region could influence the expression of OCA2, which may underlie diluted feather color in the Beijing white quail.
著者
松尾 智仁 瀧本 充輝 前川 鈴世 二村 綾美 嶋寺 光 近藤 明
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.22-00129, 2023 (Released:2023-05-20)
参考文献数
24

建材に使用されたアスベストは解体時等に大気中に飛散することが懸念されるため,行政等によるモニタリングが行われている.漏洩時の迅速な対応のためには,まず迅速なアスベスト検出手法が必要であるが,従来の方法には,技術者が顕微鏡観察によってアスベストを計数するため時間がかかるという課題がある.そこで本研究では,畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いた位相差顕微鏡画像からのアスベスト検出手法および同手法をベースにしたアスベスト計数手法を提案する.CNNの学習には解体現場等から採取された試料および実験室で作成した試料を用いた.学習したモデルは検証データに対して,検出精度では適合率と再現率で定義されるF値が0.83,計数精度では相対誤差が11%という好成績を示した.
著者
大柿 徹 苦瓜 知彦 大久保 仁 小松崎 篤
出版者
Japanese Society of Otorhinolaryngology-Head and neck surgery
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.95, no.9, pp.1323-1331,1477, 1992-09-20 (Released:2010-10-22)
参考文献数
20
被引用文献数
6 6

職業ダイバー31人について聴力検査, 内視鏡による外耳道の検査を行った. この結果, 外耳道外骨腫は40%以上に, 感音性難聴は70%以上に認められ非常に高い発生率を見た. 外骨腫は潜水歴の長さとは関連性がなく, またこれと難聴との関連性もなかった. 感音性難聴においてはその程度と潜水歴と長さとに関連性が認められた. 感音性難聴が認められた者の中で内耳窓破裂等の内耳圧外傷による急激な聴力の低下を経験している者は極めて少なかった. 現在, 潜水による感音性難聴としてはこの内耳外傷による急性の感音性難聴が認められている. しかし内耳圧外傷が生じる程の大きな圧変化でなくても何らかの経路を介して内耳リンパ液圧の変化をもたらし, これが頻回に繰り返されると内耳聴覚器に障害が生じ, 慢性の感音性難聴が発症するのであろうと推察した.
著者
西村 允
出版者
The Vacuum Society of Japan
雑誌
真空 (ISSN:05598516)
巻号頁・発行日
vol.42, no.9, pp.791-796, 1999-09-20 (Released:2009-10-20)
参考文献数
17
被引用文献数
2 2
著者
國政 秀太郎 宮城 和音 下田 宏 石井 裕剛
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会論文誌 (ISSN:13447262)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.41-50, 2014-02-25 (Released:2019-07-01)
参考文献数
27

Several studies aimed at evaluating intellectual productivity and specially designed tasks were given. However, the result may not be reflected the actual intellectual productivity because the designed tasks are different from office works. Meanwhile, there are two mental states (work and temporary rest state) in office workers which are changing alternatively during mental work. If the mental states of the workers can be detected, the productivity can be measured more accurately. In this study, the authors aimed at developing a detection method of temporary rest state while performing mental works by measuring physiological indices such as EEG, ECG, and EMG of extraocular muscles and orbicularis oculi muscle. From these measured indices, the authors extracted 6 features which were alpha and beta brain waves, low and high frequency waves of heart rate, and the intervals of eye blink and saccade eye movement. They were used to detect a temporary rest state by using Mahalanobis Discrimination Analysis. As a result of the subject experiment, it was found that the detection accuracy was 80.2%. This result shows the possibility to use the physiological indices as one of the mental state detection methods.
著者
佐藤 至子
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.50, no.10, pp.57-65, 2001-10-10 (Released:2017-08-01)

黄表紙や初期合巻には、高慢な人間が異人に教訓される光景を滑稽に描いたものや、武芸上達を志す男が異人たちと関わりながら旅をする内容のものがあり、作の主眼は異界遍歴の過程(プロセス)にあったと思われる。また、草双紙は全てがあるべき理想の状態になり、めでたい結末で終わるのが基本であるが、その中で異人や異界は、人間が拠るべき価値観や、困難を克服して成長する過程を比喩的に語る際のモチーフであったとも解釈できる。
著者
カバット アダム
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.50, no.10, pp.34-44, 2001-10-10 (Released:2017-08-01)

「野暮と化物は箱根から先」という諺をふまえて化物たちの住みかを箱根の向こうにするという設定が、化物の黄表紙の中でよく見られる。つまり、「箱根の先」に住む「田舎者」の化物たちは、江戸の通からみると、「野暮」のような存在であり、笑いの対象でもある。それにしても、「箱根の先」という「異界」が一体どういうものなのか。本論では、初期の黄表紙の内容を検討しながら、「化物」と「箱根の先」との関連性を考察してみる。
著者
山本 篤 宮崎 浩一
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.117-131, 2010-10-25

本研究では,第 1 に,20 世紀最後の 15 年間における米国株式市場の上昇をマクロ経済リスクの観点から説明付けた Lettau らのモデルが,異なるマクロ経済リスクの下にある 1990 年代以降の日本株式市場においても説明力を有するかについて検証する.第 2 に,個別株式のベータリスク評価モデルを提案し,分析事例に基づいて個別株式のベータリスク量がマクロ経済リスクの観点から説明可能であるか検証する.検証結果から,彼らのモデルは,日本においてもマクロ経済リスクの観点から株式市場のダイナミックスを説明することが可能であり,また,個別株式のベータリスク量に関してもマクロ経済リスクの観点から説明されることが確認された.
著者
荒木創造 [著]
出版者
講談社
巻号頁・発行日
2001