著者
渡邉妙子 住麻紀共著
出版者
東京堂出版
巻号頁・発行日
2014
出版者
学習研究社
巻号頁・発行日
2006
著者
千葉 郁太郎
出版者
京都文教大学地域協働研究教育センター
雑誌
京都文教大学地域協働研究教育センター 地域協働研究ジャーナル (ISSN:24369667)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.93-109, 2023-03-31

宇治では古来は『源氏物語』、直近では『響け!ユーフォニアム』などの作品を追体験する観光が行われてきたが、紫式部と異なり株式会社京都アニメーション(以下、京都アニメーション)は十分に研究されていない。「ものがたり観光」の原動力となるコンテンツの作り手の研究は「ものがたり観光」の本質に迫る上で重要である。日本におけるアニメ産業は 2 兆円規模を超えており、「クールジャパン」の名のもとに重要な輸出産業として国家戦略にも組み込まれている。アニメ産業の根幹を成すのは制作会社であるが、産業形成の歴史的変遷や取引形態の特殊性からおよそ 90%が首都圏、とりわけ東京 23 区西部に偏在している。その中で、80 年代に京都で起業し独自の経営路線により規模を拡大してきた京都アニメーションは特異な存在である。京都アニメーションは下請会社として出発したが、2000 年代より元請を開始し社会的な現象を起こすヒット作品を生み出し続けている。2010 年代に入ってからは独自に作品を企画・制作し、出版、商品販売に事業を拡大するなど地方を拠点とするアニメ制作会社としては異例の成長を遂げた。京都アニメーションの経営戦略は「京アニ・クオリティ」と呼ばれるブランド価値の創造、製作委員会への出資と企画の主導、著作権確保による収益源多様化の 3 つの要因が相互に作用しあうトライアングル構造となっている。京都アニメーションと同じく権利ビジネスを展開している株式会社スタジオジブリ、地方を拠点に「聖地巡礼」アニメを制作してきた株式会社ピーエーワークスなどの存在があるが、それぞれの比較検討は今後の課題としたい。
著者
山岸 順一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.882-889, 2015-03-01 (Released:2015-03-01)
参考文献数
32
被引用文献数
3 4

本稿では,統計的音声合成技術および声質変換技術の医療・福祉応用に関し,最先端研究成果をわかりやすく紹介する。筋萎縮性側索硬化症(ALS)等により発声機能を失いつつある障がい者の声をコンピューターに模倣させ,障がい者本人の声で音声出力を行う音声合成技術や,電気式人工喉頭を利用した喉頭摘出者や構音障がい者の声を自然で聞き取りやすい音声へリアルタイムで変換する技術等,新たな研究が音声情報処理分野において近年積極的に行われ,音声の障がい者のQOL向上に貢献すると考えられる顕著な研究成果も存在する。喉頭摘出者およびALS患者によるケーススタディーを紹介した後,現在の研究課題についても概説する。
著者
中川 究也 中林 磨耶 Pramote Khuwijitjaru Busarakorn Mahayothee 西村 晃一 安信 淑子
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
pp.NSKKK-D-23-00043, (Released:2023-05-24)

凍結乾燥は脱水原理の一つとして昇華を利用することを特徴とする乾燥方法である. 本稿では, 真空状態を用いない凍結乾燥である常圧凍結乾燥の技術について概説する. 常圧凍結乾燥によって作製した乾燥食品の特徴を, ビタミン保持率, 抗酸化活性, 脂質酸化などの諸特性から紹介する. 筆者らが実施した試験結果より, 適切な乾燥条件を適用することでこれらの特性を高く保持できることが示唆された. 常圧で凍結乾燥実施するプロセスの意義を明らかにすることで, 食品製造技術としての技術的優位性を示唆し, 高品質な製品を省力的に製造する技術として提案したい.
著者
飯島 洋一 田沢 光正 宮沢 正人 長田 斉 稲葉 大輔 片山 剛
出版者
Japanese Society for Oral Health
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.43-50, 1985 (Released:2010-10-27)
参考文献数
24
被引用文献数
1

フッ素洗口ならびに飲料水由来のフッ素が, 乳歯エナメル質へのフッ素取り込み量にどのような影響を与えるかを健全脱落乳歯135歯を用いてフッ素洗口経験年数別あるいは飲料水中フッ素濃度別に検討した。フッ素洗口 (F: 500ppm, pH6.0, 5回/週) を経験した乳歯エナメル質表層1μmにおけるフッ素濃度は, 洗口経験年数が1年から4年に増加するに従い4,300ppmから7,300ppmへと増大し, 非洗口群 (飲料水中フッ素濃度0.1ppm未満) に比較して統計学的に有意に高いフッ素濃度であった。フッ素洗口経験年数を重ねることによるフッ素濃度の上昇傾向は, 1μm層に限られ, 5μm層では対照群のフッ素濃度に比較して統計学的に有意の差は認められなかった。一方, 飲料水由来のフッ素の影響を受けたと思われる乳歯エナメル質フッ素濃度は, 飲料水中のフッ素濃度が1.0ppm以上の場合, 表層1μmのフッ素濃度が10,000ppm前後と著しく高く, 内層40μmにおいても対照群に比較して明らかに高いフッ素濃度を示していた。また1.0ppm以上の群は5μm層以上40μm層にいたるすべての層で対照群あるいは洗口群に比較して統計学的に有意に高いフッ素濃度であった。これに対し, フッ素濃度0.3ppmの群は5μm層では対照群に比較して統計学的に有意の差を認めることが出来なかった。1.0ppm以上の群で表層5μmから内層40μmにいたるまで対照群に比較して一定の高い濃度勾配を示したことは, 乳歯の萌出前・萌出後に獲得されるフッ素の影響によるものと思われる。
著者
吉川 眞理 Mari Yoshikawa
出版者
学習院大学人文科学研究所
雑誌
人文 (ISSN:18817920)
巻号頁・発行日
no.10, pp.103-118, 2012-03-28

ユングのパーソナリティ理論はフロイトの精神分析理論に大いに触発されて発展した。意識と無意識に関するパーソナリティ理論として、タイプ論と個性化の理論は、心を自然の一部としてとらえる点にその独自性がみとめられる。ユングによれば、心の理論は生命にあふれた自然であり、心のダイナミズムは生命的要素に基づくものであった。本研究では、ユングのパーソナリティ理論や研究を、自然や生命論に由来するダイナミズムの観点からとらえることを試みる。そこで以下の二点が明らかになった。第一に彼のパーソナリティ理論において無意識の補償作用が重要な役割を果たしている。第二に、タイプ論と個性化理論は共に、個人がその人生において独自性を生きることを重要な目的としている。ユングのパーソナリティ理論においては、意識と無意識に関する理論、タイプ論、個性化理論が相互に関連しながら、自我中心主義を超越して、意識領域と無意識領域からなる本来の自分自身の実現に向かう動きを論じている理論体系である。
著者
加藤 凌 佐藤 善人
出版者
日本体育科教育学会
雑誌
体育科教育学研究 (ISSN:13428039)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.1-17, 2022-03-25 (Released:2022-04-28)
参考文献数
42

The purpose of this study is to consider whether Korfball, the only true mixed-gender team sport in the Association of IOC Recognised International Sports Federations, is a ball game that will further the realization of “gender equality” in physical education classes by analyzing how children's awareness of being hard to deal with physical education changes. We conducted Korfball lessons a total of six times in 5th-grade physical education classes, and a distributed a questionnaire survey to measure awareness of being hard to deal with physical education before and after the classes. The results show that all students' and girls' awareness of escape decreased (p<.05) and the gender gap for awareness of escape, inferiority, and revulsion became smaller.M We argue that the cause of these results is that Korfball is a ball game in which both boys and girls can play together easily. Based upon this, it suggests that Korfball can bridge the gap between boys' and girls' awareness of being hard to deal with physical education and that Korfball can contribute to the realization of “gender equality” in physical education classes.
著者
市川 智生 福士 由紀 平体 由美 星野 高徳 前田 勇樹 戸部 健 井上 弘樹 趙 菁
出版者
沖縄国際大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、従来の医療社会史の中心的課題であった感染症対策ではなく、近代化の過程において健康とされる状態がどのように認識されてきたのか、すなわち「健康観」の歴史的解明を目標としている。日本(アイヌおよび琉球・沖縄を含む)、中国(上海、天津)、植民地統治期および戦後の台湾と朝鮮・韓国がその対象である。歴史資料の収集・検証とこれまでに利用してきた感染症関係資料の再検証をもとに、左記の地域を専門とする研究者が共同で歴史研究を実施する。政治、文化、社会経済、自然環境などに影響された多様な「健康観」形成の歴史を明らかにし、現代社会への継承のあり方まで特定する。
著者
関川 伸哉 昆 恵介
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.202-207, 2020-07-01 (Released:2021-07-15)
参考文献数
18

本研究では,車椅子座位時の不良姿勢が身体に及ぼす影響について主に自律神経活動の指標から分析を行った.10名(男女各5名)の健常者を対象に異なる座位姿勢での計測を行った.評価パラメータには,心拍,心拍変動,アミラーゼ活性値,フリッカー値,NRS, 座面接触面積,座圧を用いた.座位姿勢の違いによる座面接触面積と左右座圧の最大値およびNRS結果から,臨床上考える車椅子座位時の不良姿勢は再現されていた.また,その際の臀部へのリスクおよび痛みに対する精神的負担を定量的に明らかにすることができた.しかし,自律神経活動への影響は,不良姿勢の際に交感神経活動が高まる傾向がみられたが,その他のパラメータからは,明らかな違いはみられなかった.
著者
谷口 豊
出版者
日本保険学会
雑誌
保険学雑誌 (ISSN:03872939)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.658, pp.658_21-658_40, 2022-09-30 (Released:2023-03-30)
参考文献数
4

我が国においては高齢化が進み介護給付費は年々増加している。介護保険制度の持続可能性を確保するためには,介護保険制度の受益と負担の均衡を図る施策がますます重要になっている。2021年5月に財政制度等審議会財政制度分科会(財務省)でまとめられた「財政健全化に向けた建議」では,介護保険制度の持続可能性を確保するための施策が提唱された。施策の内容は,ケアマネジメントの在り方の見直し,区分支給限度額の在り方の見直し,居宅サービスについての保険者等の関与の在り方の見直し,軽度者に対する居宅療養管理指導サービス等の給付の適正化などである。本稿では,これらの見直しの方向性の是非について検証を行う。分析の結果,「財政健全化に向けた建議」で提唱された「居宅サービスについての保険者等の関与の在り方の見直し」はその妥当性が確認できたものの,「ケアマネジメントの在り方の見直し」「区分支給限度額の在り方の見直し」および「軽度者に対する居宅療養管理指導サービス等の給付の適正化」について妥当性が確認できなかった。
著者
津田 悠人 吉田 郁政 中瀬 仁
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.22-00159, 2023 (Released:2023-05-20)
参考文献数
18

被害想定には大きな不確定性があり確定的に評価することは困難であるため,確率論的リスク評価が有効である.本研究では,落石対策のリスク評価に基づいた防護工の最適配置の意思決定のための支援手法の提案及びモデル地点の費用便益分析の例を示した.リスクは限界状態超過確率と影響度の積で定義した.実規模斜面落石実験より得られた到達位匿を対象に質点系解析による落石挙動の再現解析を実施し入力パラメタを決定し,落石の道路到達時のエネルギーに基づいた確率論的危険度評価を行った.防護工の初期建設費の総和に対する予算制約を設け,トータルコスト最小化に基づいた最適配置を示した.最後に,費用便益分析を行い,トータルコストが最小となる防護工の最適配置を示すだけではなく,予算制約内でリスク削減量を最大にする対策案を提示した.