著者
青野 正明
出版者
桃山学院大学
雑誌
国際文化論集 (ISSN:09170219)
巻号頁・発行日
no.47, pp.5-34, 2013-03-28

In 1936, the Japanese Government-General of Korea reorganized the colony's shrine system. This reorganization was carried out for two purposes : first, to promote some of the main shrines to the status of Kokuhei-shohsha (国幣小社), which ranked sixth among nationally-supported shrines ; and second, to increase the overall number of shrines (神社・神祠) as a way of mobilizing Korean people to carry out the Government-General's policies. In this paper I examine principally the second of the two above-mentioned purposes, seeking to clarify the nature of this shrine policy, which sought to make use of the traditional agricultural rites carried out in villages in Korea. Concretely, I analyze how the policy for reproduction and reformation of village rites attempted to create shrines (神祠) by making use of village rites in the region of Gangwon-Do.
著者
勝又 隆
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.93-79, 2005-10-01

上代における「-ソ-連体形」文は、「ム」「ラム」「ケム」「マシ」「ベシ」「ラシ」といったいわゆる推量系の助辞を結びの用言にとりにくい。一方、中古の「ゾ」の場合は「ラシ」結び以外は決して少なくない。上代と中古でこのような差異が見られるのは何故なのか。またそのことと構文構造とはどのような関わりがあるのだろうか。本稿では、まず「-ソ-連体形」文が発話の根拠となる情報を現実に存在する事態として認識している際に用いられることを示す。次に構文的特徴の面でも形容詞述語文と共通点を持ち、機能面と構文構造とに密接な関連が見られることを指摘し、最後に「-ソ-連体形」文の変化に形容詞述語文も影響を与えた可能性があることを指摘する。
著者
川瀬 卓
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.32-47, 2011-04-01

現代語の「なにも」には、数量詞相当のものと叙法副詞のものがある。本稿は、叙法副詞「なにも」の成立に重点を置いて「なにも」の歴史的変化について考察し、次のことを述べた。1)「なにも」は、まず否定との結びつきを強めながら数量詞用法が成立した。近世後期には否定との結びつきが強い制約となる。また、近世の「なにも」は「なし(ない)」を述語とした非存在文で用いられることが多い点が特徴的である。2)「なにも」が現れる非存在文のうち、事態の非存在を表すものは、不必要の意味合いを帯びる場合がある。叙法副詞「なにも」は、そのような例をきっかけとして近世後期に成立した。そして、事態への否定的判断を表すさまざまな形式と共起するようになる。
著者
櫻井 豪人
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.17-32, 2011-07-01

2007年に発見された『英和対訳袖珍辞書』初版(文久二,1862年刊)の草稿について、同辞書の底本であるPicard英蘭辞典の初版および第2版と『和蘭字彙』とで対照させてみると、それらだけでは導き出せない訳語が浮かび上がってくる。それらの訳語について、同時代に参照可能であった他の英蘭辞典(Holtrop・Hooiberg・Bomhoff)や蘭蘭辞典(Weiland)と『和蘭字彙』とで対照させたところ、実際にそれらの蘭書によって導き出されたと見られる訳語があることを初めて実証した。また、草稿は各葉ごとに編集方法の違いが見受けられることも同時に指摘した。
著者
三島 美砂 宇野 宏幸
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.414-425, 2004-12-30
被引用文献数
2 2

小学校高学年の児童に, 1学期と学年末の2回, 「教師認知」と「学級雰囲気」についての調査を実施し, 教師が学級集団や学級雰囲気に如何に効果的に影響を及ぼすかということを検討した。因子分析の結果, 「教師認知」因子として, 「受容・親近」, 「自信・客観」, 「怖さ」, 「罰」, 「たくましさ」が, 「学級雰囲気」因子として, 「認め合い」, 「規律」, 「意欲」, 「楽しさ」, 「反抗」が抽出され, 重回帰分析の結果, 学級雰囲気と強い関連性をもっているのは, 教師認知因子「受容・親近」, 「自信・客観」の2つであることが示唆された。「受容・親近」は主に「意欲」・「楽しさ」の2つの雰囲気に影響を与えており, 早期よりその効果が顕在化していた。それに対し, 「自信・客観」は1学期にはどの雰囲気とも関連が認められなかったが, 学年末の学級雰囲気「認め合い」に正の, 「反抗」に負の大きな影響力をもつことが示された。
著者
梁井 久江
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.15-30, 2009-01-01

動詞テ形+シマウに由来する「テシマウ相当形式」(〜テシマウ、〜チマウ、〜チャウ等)は、現代共通語において、広義の「完了」というアスペクト的な意味を表すと同時に、話者の感情・評価的な意味を表す。本稿では、前者の意味機能から後者の意味機能へ拡張してきたことを明らかにした。その主な結果は次の3点である。(1)辞書の記述によれば、本動詞としての「シマウ」の初出は鎌倉期と推定され、江戸期には<終了><収納>等を意味していた。(2)当該形式は、典型的な運動動詞(限界動詞/非限界動詞)に後接し、事態の終了限界の達成を表していたが、内的情態動詞、静態動詞の順に使用領域を拡大しながら意味的に抽象化し、事態の限界達成を表す標識へと変化した。(3)マイナスの感情・評価的意味は、話者が動作主と一致しない場合に依存する形で生じていたが、テシマウ相当形式の語彙的意味に焼き付けられて、それ以外の場合にも生じるようになっていった。こうした方向での拡張は、文法化の過程でよく見られる主観化(subjectification)の方向に沿うものであると考えられる。
著者
高山 善行
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.1-15, 2005-10-01

助動詞「む」は連体用法で≪仮定≫≪婉曲≫を表すと言われているが,実際にはよくわかっていない点が多い。本稿では,このテーマをモダリティ論の視点から捉え直し,新しい分析方法を提案する。まず,Aタイプ(「〜φ人」),Bタイプ(「〜む人」)という名詞句の対立を設定し,それらの用例を平安中期文学作品から抽出する。そして,述語の性質,時間・場所表現との共起,「人」の数量の観点から,両名詞句の性質を比較してみた。その結果,Aタイプには制約が見られないが,Bタイプにはいくつかの点で制約が認められた。Bタイプでは「人」が非現実世界(想像の世界)に位置づけられているのである。この事実をもとに,本稿では,連体用法「む」は非現実性を標示する機能(「非現実標示」)をもち,名詞句の標識として働いていると結論づける。
著者
野田 高広
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.1-15, 2010-01

アスペクト形式Vテイル・テアルの通時相については坪井(1976)以来相当な研究の蓄積があり多くの新しい知見が得られてきているが、特に中世以前には有生性(animacy)などの基準では説明ができない例(「偏に後世を思て念仏を唱へ<て有>___-けるに」(今昔物語集))が多く存在し問題になる。そこで本稿では『今昔物語集』を考察対象として、そこでは時空間的な個別性(specificity)と主格に立つ物の意図性が形式選択に深く関与しており、両者を共に満たす場合にテイルが選択される傾向が強いことを主張する。導入に続く2節では本稿のアスペクトの意味分類基準を示し、3節では資料の概要と方法について述べた。4節が実例の検討で、4.1と4.2では意図性に焦点を当てて論じ、4.3では傍証としてのヴォイス関連の現象を取り上げた。4.4では形式選択の時空間的個別性との相関について論じ、5節で結論を示した。
著者
大西 拓一郎
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.69-81, 2008-01-01

方言に関する主要な資料として,記述文献,辞典,分布図,談話資料,音声資料,フィールドワーク等を対象にそれぞれの性質を概観する。方言自体が古典化しようとしている現在において,その資料化手続きや資料性を問い直すことは,方言学という学問の基盤を検証する上で重要な過程にほかならない。そのことを通して浮き彫りになるのは,方言という言語情報に特有の非記録性という性格であり,同時に考えるべきことは情報元の限定性の問題である。方言学の研究資料を検討することで,方言学の抱える問題点が見えると同時に,進むべき方向も見えてくる。そのような検討とともに実行される資料の作成は,常に方言学に課せられた責務でもある。
著者
岡崎 和夫
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.96-111, 2008-01-01

確かな新資料の出現は、従来の研究にあらたな成果を導くものとして期待されるが、案に相違するばあいも少なからず認められる。小稿は、平安時代後期成立の仮名散文作品を中心に扱って、本文にかかわる先蹤の成果の質を問い、研究の課題をさぐることを主眼とし、次下の二点を指摘することを通して、資料研究の現在に、語学的側面から、また文学的側面にも及んで新たな視点を呈示する。はじめに、「暦日の吉凶」の意を持つ平安時代語と解されてきた諸語のうちその確かさが認定されるのは「ひついで」以外にないと考えられることを諸資料本文の追尋によって日本語学的見地から実証し、現在に至る資料研究のありよう、またその応用の現況にも修正を求める。これにあわせて『日本国語大辞典』『広辞苑』ほかの諸辞書の記述のありようの不確かさにも言及して修訂を求める。次に、これまで永く「たそに(誰そに)……」などと解されてきた『四条宮下野集』の当該本文を例にして、冷泉家本の仮名字体の検討から「たうに(答に)……」と論定すべきことをあきらかにし、本文の文脈と主意の理解、またそれに連動する文学的理解にも言及して従来の知見に修正を求める。
著者
白峰 旬
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学大学院紀要 (ISSN:13450530)
巻号頁・発行日
no.17, pp.1-16, 2015-03

『十六・七世紀イエズス会日本報告集』に収録された各年報には、各年次における日本の政治状況を分析した記載箇所があり、それをもとに当時の最高権力者であった織田信長、豊臣秀吉、豊臣秀頼、徳川家康、徳川秀忠の各時代における政治権力の推移を通時的に見通すことができる。よって、本稿では『十六・七世紀イエズス会日本報告集』に記載された内容の検討をもとに、織田信長・豊臣秀吉・豊臣秀頼・徳川家康・徳川秀忠に関するイエズス会宣教師の認識について考察する。