著者
佐々木 芳宏
出版者
The Mining and Materials Processing Institute of Japan
雑誌
Journal of MMIJ (ISSN:18816118)
巻号頁・発行日
vol.138, no.10, pp.149-159, 2022-10-31 (Released:2022-10-29)
参考文献数
25

油圧システムは小型で高出力であるため,産業界では大型加工機械や土木機械として様々な現場で広く用いられている。本研究では,近年著しく広帯域化が進んでいるネットワークバックボーンインフラを利用し,TCP/IPによる高速通信を油圧シリンダの遠隔制御に適用することで,現場での作業を想定した遠隔操作技術の確立を目指すことを目的とする。IPネットワークを使った遠隔操作技術において,通信中におけるパケットの遅延,揺らぎ,損失などが発生した場合,遠隔制御システムに対して制御性能の悪化を引き起こす。本研究では,反力提示を組み込んだ遠隔用油圧制御システムを開発し,通信時に発生する遅延,揺らぎ,欠損に対しパケット補償法をネットワークのエミュレーションツールであるNIST Netを用い検証した。また,オペレータの精神的作業負荷を数値化できるNASA Task Load Index (NASA-TLX)を用い精神的負担度の主観的評価を行った。以上の結果より,パケット補償の適用はNASA-TLXによるWWL得点を減少させ,かつ総合的にオペレータの精神的作業負荷の軽減に有効であることを明らかにした。

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著者
久保田万太郎 著
出版者
新潮社
巻号頁・発行日
1918
著者
渡辺 純三
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.365-394, 2020-10-23 (Released:2022-10-24)
参考文献数
97
著者
ヴォロビヨワ ガリーナ
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.149, pp.16-30, 2011 (Released:2017-02-17)
参考文献数
19
被引用文献数
2

漢字学習の支援を目指して,非漢字系日本語学習者の漢字学習の問題点の一側面を明らかにするとともに,計量的なアプローチによって漢字字体情報処理システムを開発した。本研究は下記のような流れによって行った。①新常用漢字にもとづき書記素の種類を定義し,そのコード化の案を作成した。②新常用漢字にもとづき部首以外で使用されている最小意味単位である構成要素を抽出し,構成要素のコード化の案を作成した。③アルファベットと数字を用いた漢字のコード化の案を作成した。④漢字辞典の調べ方の効率化を目指し,漢字のコードにもとづいた新しいタイプの索引を開発した。⑤漢字の複雑さの判定規準を考察し,複雑さの指数を定義した。⑥複雑さの指数による新常用漢字の分類を行った。
著者
海 大汎 海 大汎 海 大汎
出版者
北海道大学大学院経済学研究院
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.153-175, 2020-01-17

本稿は,商品交換の成立根拠を原理的に解明するものである。宇野学派の原理論では一般に,価値関係は,私的所有を体現する個別主体の主観性(私的欲望および交換要請)によって形成されるとされる。しかしながら,こうした想定は,商品交換の成立根拠を論じるにあたって負の側面を残してしまっているようにみえる。というのは,そこでは,価値関係が私的所有といかに結びついているかについての考察を原理的に進めているとは限らないからである。その結果,商品交換は,所有商品の物理的な位置移動にとどまらざるをえない。これは,所有主体の先在性に起因するものといってよい。ところが,所有主体は,価値関係に先立って存在することができるだろうか。この論稿ではまず,その点を相対化し,所有主体が商品対貨幣という対極的な立場から反照された理論上の仮構であることを論証した。その上で,売り手と買い手との間の物象化された関係から私的所有の再帰性を確かめた。そうして,商品交換が,所有主体の変更をめぐって行われる権利の獲得と義務の履行との過程であることを明らかにした。最後に,以上の検討を踏まえて,信用売買についての従来の理解を再考した。
著者
新井 邦夫 丸井 信雄
出版者
東京都立大学都市研究センター
雑誌
総合都市研究 (ISSN:03863506)
巻号頁・発行日
no.14, pp.13-20, 1981

関東大地震時の状況や,現在の複雑な都市機構に過密人口を有する東京の状況から,来るべき大地震には,群集事故が多発するであろうと予想する。今日までに発生した群集事故の概観から,極めて高密度な群集塊の生因と,将棋倒しの力学的機構を明らかにする必要が生じ,それらのモデルを提案した。提案された第1のモデルは,群集が流出入する空間の面積,出入口の幅,および流出入量で群集密度の時間変化を表現している。第2の将棋倒しモデルによる計算に従えば,群集列における人間の間隔が60cmあれば,将棋倒しは生起しない。後ろから人が倒れ込んできた侍,先頭の人が支えられる人数は,せいぜい平地で7人,階段では4人であることがわかった。
著者
嶋田 淑子 飯島 久美子 小西 史子 香西 みどり 畑江 敬子 齋藤 利則
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成14年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.43, 2002 (Released:2003-04-02)

食品用脱水シートでから揚げの揚げだねを前処理することによる、揚げだねのおいしさと揚げ油の劣化に及ぼす影響について検討した。揚げだねとして鯖と鶏肉を用い、脱水シートで1.5時間包んだ後、180℃の油で3分間揚げて試料とした。対照として脱水シート処理をしないものを用い、それぞれ15回連続して揚げ作業を行った。試料と対照を組み合わせ、官能検査を行なった結果、脱水シートを使用したから揚げは対照より有意に好ましいとされた。揚げ油の劣化を、酸価(A.V.), アニシジン価(An.V.), 色差ΔEで評価した。さし油をして連続してから揚げをした場合, 脱水シート処理した揚げだねを揚げた油の方が、A.V., An.V., 色差ΔE, いずれも低く抑えられ脱水シート処理によって揚げ油の劣化が抑えられたといえる。
著者
鈴木 一代 Kazuyo SUZUKI
出版者
埼玉学園大学
雑誌
埼玉学園大学紀要. 人間学部篇 = Bulletin of Saitama Gakuen University. Faculty of Humanities (ISSN:13470515)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.59-70, 2018-12-01

This study aimed at discussing the cultural identity formation of Japanese immigrant families as well as the relationship between “Ibasho” (one'where one feels secure, comfortable and accepted) and cultural identity of the families. The participants were 22 Japanese women married to Indonesian men and 10 of their children (Japanese-Indonesian yang adults) living in Indonesia. The Cultural Anthropological - Clinical Psychological Approach [CCA/CACPA] (Suzuki, 2002, 2008; Suzuki & Fujiwara, 1992) was employed between 1991 and 2017. We carried out repeated interviews mainly and used the qualitative analysis. Results showed that Japanese immigrant women became to have two cultural viewpoints in time, namely those of native and host cultures, however, maintained Japanese culture as the basis of their cultural identity throughout their lives. On the other hand, their children acquired more or less both Japanese and host (Indonesian) cultures and formed bicultural identity (“identity as intercultural children with Japanese ancestry”). It was suggested that “Ibasho” played an important role for cultural identity formation.