著者
Keisuke Furumoto Masakatu Morii
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, 2018-04-15

In recent years, QR code is used in various situations such as in medical prescription and the boarding procedure at the airport in addition to conventional applications. With expanding application, there are some QR codes that cannot be read by the conventional method. In this paper, we refer to this kind of QR code as obfuscated QR code. Considering the situation that the QR code is more common, improving the encoding method is not realistic. Hence, in reading obfuscated QR code, improving only the decoding method is required. In general, Euclidean decoding is used in the decoding method of QR code. On the other hand, Generalized Minimum Distance (GMD) decoding has been proposed. GMD decoding is a method of approximately performing maximum likelihood decoding by using information of the likelihood of each symbol called reliability. However, a method for calculating the reliability information of each symbol of the two-dimensional code has not been proposed. In this paper, we propose a method of calculating reliability information using the graphical features of QR code. Then, we show the proposed method is more useful in recognition accuracy of an obfuscated QR code than the conventional method using Euclidean decoding.------------------------------This is a preprint of an article intended for publication Journal ofInformation Processing(JIP). This preprint should not be cited. Thisarticle should be cited as: Journal of Information Processing Vol.26(2018) (online)DOI http://dx.doi.org/10.2197/ipsjjip.26.350------------------------------
著者
近藤 将成 森 啓太 水野 修 崔 銀惠
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.1250-1261, 2018-04-15

ソフトウェアの不具合予測は,ソフトウェアに潜む不具合を予測することで効率的なレビューやテストを可能にしようとするソフトウェア品質保証活動の1つである.従来の多くのソフトウェアの不具合予測では,ソースコード分析による不具合予測を行っているが,粒度が粗くまた不具合予測の結果のフィードバックが遅い.この問題を解決するために,ソフトウェアの変更がコミットされたときに,その変更によって不具合が起きるかどうかを予測する手法が提案され,近年注目を集めている.ソフトウェアの変更コミットの不具合予測に関する既存研究では,その変更に対するメトリクス(たとえば,修正されたファイル数,追加されたコード行数など)を計算した後に機械学習や深層学習を適用している.それに対して,本研究では,変更のソースコード片のみに対して深層学習を適用することで不具合を予測する手法,Word-Convolutional Neural Network(W-CNN)を提案する.我々は,評価実験によって,変更ソースコード片に対する深層学習を用いた不具合予測が可能であること,さらに,提案手法W-CNNは先行研究に比べて,学習の時間はかかるものの,不具合予測の精度が優れており,予測時間が短いことを示す.
著者
松尾 裕幸 柗本 真佑 楠本 真二
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.1262-1272, 2018-04-15

近年,ソフトウェアの電力消費の削減のため,APIやアルゴリズムなどの実装手段の違いによる電力消費の比較研究がさかんに行われている.しかしながら,我々は,プログラムの実行時間とその総消費電力量との間には,強い相関があるのではないかという仮説をたてた.この仮説が正しければ,電力消費量の削減という問題は,実行時間をいかに短縮させるかという問題に帰着させることができる.本研究では,異なるソーティングアルゴリズム,およびJavaの異なるCollectionsクラスについて,その総消費電力量および実行時間の両方について調査する.実験の結果,両者の間には非常に強い正の相関が存在することが示された.また回帰分析の結果,プログラムの実行時間,単位時間あたりの消費電力量の順に,総消費電力量に与える影響が大きいことが分かった.これらの結果から,電力の計測基盤を用いずとも実行時間が短い実装手段を選ぶことが,プログラム全体の省電力化につながることが示唆された.
著者
上村 恭平 森 彰 藤原 賢二 崔 恩瀞 飯田 元
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.1225-1239, 2018-04-15

ハードウェア記述言語は,Field Programmable Gate Array(FPGA)開発などで回路の構造を定義するために用いられる言語である.近年のFPGAの利用拡大により,ハードウェア記述言語(HDL)を用いた回路開発の効率化が課題となっている.そこで,我々はソースコード中の重複あるいは類似したコード片であるコードクローンに着目した.ソフトウェアにおいて,コードクローンは開発効率を低下させる一因として研究されている.本論文では,代表的なHDLであるVerilog HDLを対象としたコードクローン検出手法を提案し,コードクローンの特徴について調査した結果について述べる.提案するコードクローン検出手法は,Verilog HDLのソースコードに簡単な変換を適用することで,既存のツールを用いてコードクローンを検出する.評価の結果,提案手法は90%以上の精度でコードクローンを検出できた.また,提案手法を用いてコードクローンの量と複雑さについて分析した結果,CやJavaと同様にコードクローンが存在し,支援を要することが確認された.ソフトウェアと同様に,Verilog HDLのコードクローンに対しても同時編集支援やドキュメント化などの管理は有用である.一方で,Verilog HDLにおけるコードクローンはリファクタリングによる集約を行う場合に回路性能とのトレードオフを考慮する必要がある.
著者
福田 貴三郎 村瀬 健太郎 中村 覚 稗方 和夫 笈田 佳彰 松本 滋 岡田 伊策
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.1240-1249, 2018-04-15

パッケージソフトや既存システムの仕様変更において,改修・カスタマイズの対象となる機能の規模の見積りや,それにともなう作業全貌の把握には,システムの全体構成や個々の機能の詳細に関する知識が不可欠であり,豊富な経験と高度なスキルを有するベテランSEのノウハウが必要である.また設計情報に加え,作業プロセス間の依存関係に基づく影響波及範囲の推定も求められる.本研究では,設計情報と作業プロセス間の暗黙的な依存関係を可視化し,パッケージソフトや既存システムの改修・カスタマイズによる影響波及範囲の特定を支援するシステムの開発を行った.また,実際の情報システム開発プロジェクトにおける事例を用いた評価実験により,従来の手法に比べドキュメントベースでより網羅的に影響波及範囲を抽出できることを確認した.
著者
岸 知二 野田 夏子
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.1203-1214, 2018-04-15

フィーチャモデルからのフィーチャ構成導出は製品系列開発などで行われる重要な作業であるが,導出の計算量はNP完全であり,大きなモデルからの導出や導出の繰返しはコストが高い.フィーチャモデルの構造を解析することによって,たとえば導出の繰返しを効率化したり,より小さなサイズのフィーチャ構成を導出したりすることができるが,構造の解析もまた高コストである.本稿では,構造の解析を低計算量で近似的に行い,それに基づいてフィーチャ構成を導出する手法について提案する.シミュレーションによる評価で,本手法がフィーチャ構成導出の繰返しや,小さなサイズのフィーチャ構成導出に有効性を持つことを確認した.
著者
林 健吾 青山 幹雄 古畑 慶次
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.1175-1191, 2018-04-15

本稿では,不確定要素の多いイノベーティブな新ソフトウェア製品開発において,プロトタイプに迅速にフィードバックを繰り返すことにより進化させるコンカレントフィードバック開発方法を提案する.著者らが従事している自動車ソフトウェア開発では,自動走行などに関わるまったく新たなシステムを,研究開発部門と共同で要素技術を開発しながら,かつ,短期間で高品質なシステム化を行うことが求められている.このため,実車両上にプロトタイプを構築する要求開発と,仕様を基にしたソフトウェア製品開発の2フェーズの開発方法を採用していた.しかし,この開発モデルでは,開発期間短縮と品質保証に問題があった.これに対して,要求開発におけるプロトタイプに迅速にフィードバックを繰り返して進化させる進化型プロトタイプの新たなモデルとして,コンカレントフィードバック開発方法を提案する.さらに,製品開発におけるコンカレントエンジニアリングの協調のアプローチを発展させ,協働してソフトウェア製品を進化させる3パターンのフィードバックループで構成するコンカレントフィードバックプロセスモデルを提案する.提案方法を,超音波センサを用いた自動車ソフトウェア開発に適用し,開発期間を短縮して外部品質を改善した結果から提案方法の有効性を示す.
著者
幸 佑亮 肥後 芳樹 楠本 真二
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.1192-1202, 2018-04-15

コードクローンはソフトウェアの保守性を低下させる原因の1つとされており,コードクローンがソフトウェア中にどの程度存在しているか,およびどこに存在しているかを理解することはソフトウェア保守の観点から重要である.そのため,これまでに多くのコードクローン検出手法が提案され,自動的にコードクローンを検出するツールが開発されている.既存のコードクローン検出手法は,ファイル単位やコード片単位など単一の粒度でコードクローンを検出する.一般的に,検出の粒度が粗いほど検出時間は短くなるが,検出可能なコードクローンは少なくなる.一方,検出対象の粒度が細かいほど検出可能なコードクローンは多くなるが,検出時間は長くなる.そこで本論文では,より多くのコードクローンをより短時間で検出することを目的として,粗粒度から細粒度へ段階的にコードクローンを検出する手法を提案する.段階的にコードクローンを検出する過程において,ある粒度でコードクローンとして検出されたコードをそれよりも細粒度なコードクローンの検出対象から除外することで,細粒度な検出手法と比較してより高速に検出できる.また,粗粒度な検出手法と比較してより多くのコードクローンを検出できる.提案手法をコードクローン検出ツールDecrescendoとして実装し,複数のオープンソースソフトウェアに適用した.そして,提案手法を粗粒度な検出手法および細粒度な検出手法と比較して評価を行った.実験の結果より,細粒度な(コード片単位の)検出手法と比較して,多粒度な検出手法が約10~20倍高速にコードクローンを検出できることを示した.また,粗粒度な(メソッド単位の)検出手法と比較して,多粒度な検出手法が約10~30倍のコードクローンを検出した.この検出数は細粒度な(コード片単位の)検出手法とほぼ同数であった.
著者
三部 良太 田中 匡史 小林 伸悟 小林 隆志
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.1150-1160, 2018-04-15

昨今の業務システム開発では,既存システムが存在し,その既存システムの仕様の一部踏襲を求められることが多い.しかし,既存システムには最新の仕様書が残っていることが少なく,踏襲すべき仕様の特定が困難になっている.この課題に対して,ログなどを用いて操作の流れのフローを復元する取り組みはあるが,ユーザと仕様の議論をするには粒度が細かすぎて,上記の用途には適さない.本稿では,既存システムからの業務フロー仕様の復元を目的として,システムの操作ログから詳細な業務フローを復元する手法および操作したユーザの組織情報を用いて業務フローの粒度を抽象化する手法を提案する.操作ログの一連の操作をクラスタリングし,代表となる操作を抽出することで,業務の全体像の俯瞰に適した抽象化を実現する.提案手法を実際のシステムで適用した結果に基づき手法の有効性を議論する.
著者
藤本 玲子 青山 幹雄
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.1161-1174, 2018-04-15

データ駆動要求工学D2RE(Data-Driven Requirements Engineering)を実現するためにセマンティックグラフモデルに基づく情報モデルを提案し,それを用いて仮説設定,データ収集,分析,評価を繰り返す要求獲得プロセスモデルA*プロセスを提案する.D2REの具体化として,データ駆動ステークホルダ分析のためのA*プロセスの詳細を定義し,あわせて,その支援環境D2RA(D2RE Analyzer)のプロトタイプを開発した.提案方法とD2RAプロトタイプを実際の公共サービス開発会議における発話データへ適用し,ステークホルダの特定と構造化を行い,ステークホルダマトリクスの自動生成を行った.さらに,対象の公共サービス開発会議の参加者へアンケート調査を行い,D2REの分析結果と比較し,提案方法の妥当性,有効性を示した.
著者
西村 雄一 紙名 哲生 丸山 勝久
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.1120-1136, 2018-04-15

ソフトウェアの並行開発において,異なる開発者が同一のソースコードを独立に変更した場合,それらの変更のマージが競合を引き起こすことがある.このような競合を解決するためには,版管理システムに残された過去の変更を細かく調査し,競合の原因やその解決策を見つけ出す必要があるが,これは面倒で時間のかかる作業である.本論文では,開発者がどのようにJavaソースコードを編集してきたかという情報を表現した細粒度の編集操作の履歴を用いて,競合解決を支援するツールを提案する.このツールは,競合するクラスメンバに関係する編集操作だけを抽出し,それらを再演することで,競合がどのように発生したのかの理解を助ける.また,過去の編集において競合を発生させずにマージ可能な時点を検出し,自動的にマージを適用した結果を開発者に提示する.簡単な被験者実験を通して,提案ツールが開発者の競合原因の把握や競合解決作業の支援に有用であることを確認した.
著者
佐藤 拓弥 片山 徹郎 喜多 義弘 山場 久昭 油田 健太郎 岡崎 直宣
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.1137-1149, 2018-04-15

ソフトウェア開発におけるデバッグは,手間のかかる工程である.プログラムの欠陥を効率良く特定するためには,プログラム実行時の挙動を把握することが重要である.しかし,プログラム実行時の挙動は一般的に不可視であり,その挙動がどこまで正しかったのかを把握することは困難である.そこで,本研究では,Javaプログラムのデバッグの効率化を目的として,プログラムの欠陥特定を支援するデータ遷移可視化ツールTFVIS(Transitions and Flow VISualization)を開発した.TFVISは,プログラム実行時のデータ遷移と実行フローの可視化を行う.評価実験では,TFVISを活用することで欠陥特定に要する時間を約35%削減できることを確認した.このことから,TFVISによる可視化がデバッグ効率の向上に効果的であるといえる.
著者
高田 眞吾
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.1119-1119, 2018-04-15
著者
大山 恵弘
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.482-482, 2018-04-15
著者
堀江和磨 鈴木伸崇
雑誌
研究報告情報基礎とアクセス技術(IFAT)
巻号頁・発行日
vol.2012-IFAT-107, no.12, pp.1-8, 2012-07-25

XML は Web 上の標準的なデータ記述フォーマットとして広く普及している.XML データをデータベース等で継続的に蓄積・管理する場合,格納すべきデータの構造をスキーマで定義しておき,それに沿った構造のデータを作成・格納することが一般的である.利用状況の変化により格納すべきデータの構造や種類が変化するため,それに応じてスキーマ定義も更新されることが多い.その場合,スキーマの更新履歴の管理やスキーマの更新に応じた XML データの修正等が必要となるため,スキーマ間の差分抽出アルゴリズムが有用である.そこで本稿では,正規木文法のための差分抽出問題について考察し,同問題が計算困難であること,および,同問題が効率良く解けるための十分条件を示す.また,その十分条件の下で動作する多項式アルゴリズムを求め,このアルゴリズムに関する評価実験を行う.