著者
原田 騎郎
雑誌
研究報告情報システムと社会環境(IS)
巻号頁・発行日
vol.2010-IS-112, no.4, pp.1-6, 2010-05-29

サプライチェーン革命がさけばれてから久しいが,日本国内の状況を考えると,一部の小売業をのぞき,サプライチェーンは大きく変わっていない。とくに,大手も含む製造業では,サプライチェーンの効率化にとりくむものの,なかなか成果が出ていないのが現実である。いくつかの大手企業のサプライチェーン改革の支援を行うなかで,サプライチェーンの効率化への課題となる共通の問題が存在するらしいことに気がついた。それは,在庫テーブル,有効在庫,引当在庫の管理を主とする在庫管理システムの存在である。ここでは,既存の在庫システムのよくある設計と,その課題および問題点を論ずる。続いて,それらの課題に対する対応案として,勘定パターンによる在庫管理システムの設計および実装例を示す。
著者
倉本 到
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC)
巻号頁・発行日
vol.2012-EC-23, no.12, pp.1-6, 2012-03-19

多機能テレビやPC・スマートフォン上のソフトウェアなど,インタラクティブシステムの複雑化・類型化・一般化にともない,一般の人々によるシステムの機能・性質の直感的な理解が重要になりつつある.そこで,インタラクティブシステムの直感的理解を促進するための表現法として,萌え擬人化キャラの利用を検討する.この表現法は(1)擬人化による直感的理解が可能(2)萌え要素データベースに基づき,形式的に擬人化キャラの生成が可能(3)受容性や愛着を励起することが可能,という特徴を有している.本稿では,萌え擬人化キャラの萌え要素・キャラの性格・メンタルモデル形成に影響する指標であるユーザビリティの三者間関係をアンケートにより予備的に調査した.その結果,萌え擬人化キャラの萌え要素の違いにより,そのキャラの性格および擬人化キャラが表現するインタラクティブシステムのユーザビリティを区別して表現できる可能性があることがわかった.
著者
UENO Toshiya
出版者
和光大学表現学部
雑誌
表現学部紀要 = The bulletin of the Faculty of Representational Studies (ISSN:13463470)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.21-31, 2016-03-11

This paper explores Oshii Mamoru's films and animations. First, his view of the cinematic citation (appropriation) is analyzed in some comparison with Jean-Luc Godard. Second, his preoccupation with the plot of the weird duality between reality and dream is examined with plural contexts of cultural avant-garde in the 20th century. Third, the question of why Oshii Mmoru has been so much interested in the warfare in his works. Through the series of problematics, this essay would locate his perspective in some philosophical and ontological debates, in which Deleuze & Guattari and others must be addressed. Then, his insightful but provocative statements on the war and history are interpreted in the philosophical streamwhich I would like to call Machine-Oriented Ontology.
著者
大久保 ゆう
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.470-474, 2014-04-15

青空文庫は,利用者から見れば,著作権保護期間の満了した本を中心に収蔵する「インターネット図書館」であるが,組織運営としては,クラウドソーシングを主体としたボランティア活動である.本記事では,1997年に創設された青空文庫の活動を初期・中期・後期・それ以後の4つに分け,情報技術とクラウドの変化に合わせた協働作業の形態の変遷を解説する.さらに,活動開始と同時に提唱された「青空文庫」という概念自体の発展に関連して,クラウドソーシングの可能性についても触れる.
著者
古瀬 浩史 林 浩二 萩原 裕作 川嶋 直 森 恭一 Koji FURUSE Kozi HAYASI Yusaku HAGIWARA Tadashi KAWASHIMA Kyoichi MORI 株式会社自然教育研究センター 千葉県立中央博物館 岐阜県立森林文化アカデミー 公益財団法人キープ協会 帝京科学大学生命環境学部アニマルサイエンス学科
雑誌
帝京科学大学紀要 = Bulletin of Teikyo University of Science
巻号頁・発行日
vol.10, pp.1-14, 2014-03-31

Professor Takeshi Kobayashi was a leading and representative figure in interpretation of Japan. He passed awaysuddenly on March 13th in 2013 at the age of 55. This paper describes a brief history of interpretation in Japan, following thesteps that Professor Kobayashi had taken in the field of interpretation and environmental education. Professor Kobayashistarted his interpretation career at the Takao Visitor Center as a ranger of the Nature Conservation Society of Japan in 1983.He established the Center for Environmental Studies in order to focus on nature interpretation in 1988. He had also coordinatedthe Japan-U.S. Interpreter Training Seminar, which was jointly supported by the U.S. National Park Services, since 1995 anddeveloped a number of other interpreter training programs in Japan. He played a central role in those training courses in 1990s and 2000s of Japan, during which the Ministry of the Environment and the Ministry of Education, Culture, Sports,Science and Technology were active in offering training for interpreters and outdoor educators. He became a professor at theGifu Academy of Forest Science and Culture in 2005 and a professor at the Department of Animal Sciences, the Faculty ofLife and Environmental Sciences, Teikyo University of Science in 2010. He developed courses for instructors and trainers ofenvironmental education and interpretation. Professor Kobayashi helped offering opportunities for domestic and internationalinterpreters to meet and to develop network. He had been engaged in developing interpretation through projects and events,human resource development, and networking, and greatly contributed to the enhancement of interpretation in Japan till thelast day.
著者
諏訪 将大 八杉 昌宏 平石 拓 馬谷 誠二
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.15-15, 2016-02-26

我々は分散進捗管理のためのシステムとしてメッセージ媒介システム(MMS)を開発している.本発表ではMMS中の不必要なメッセージの削除方法について述べる.MMSは並列アプリケーションや並列言語処理系の開発に有用であり,MMSを介して与えられた計算の部分的計算結果をメッセージとして多数のワーカが交換できる.一部ワーカが障害により停止してもよいような並列分散手法により,MMSは与えられた計算の進捗を管理する.開発の初期段階においては,アプリケーション独自の樹状再帰的計算の一部を表すための可変長アドレスを各ワーカが使ってよいものとしてMMSを設計した.このアプローチで計算速度の向上と耐障害性が達成されたが,書き込まれたメッセージが単調に増え,メモリ使用状況へ大きな影響があった.本研究では不必要なメッセージを削除できるようMMSの設計と実装を変更し,その効果を評価する.
著者
土山 玄 村上 征勝
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2012-CH-94, no.5, pp.1-8, 2012-05-19

古くから他作者説が論じられている『源氏物語』の終わりの 10 巻である「宇治十帖」について,主成分分析およびランダムフォレストといった多変量解析を行い,「宇治十帖」 の作者とそれ以外の諸巻の作者が同一であるかについて,計量的な側面から検討を加える.本研究では,語の使用頻度に対し分析を行い,その結果,「宇治十帖」 の他作者説を支持する積極的な根拠は得られなかった.
著者
MENG Xin YAMAUCHI Chikako
出版者
GRIPS Policy Research Center
雑誌
GRIPS Discussion Papers
巻号頁・発行日
vol.15-07, 2015-06

In the past 15 years, around 160 million Chinese rural workers migrated to cities for work. Because of restrictions on migrant access to local health and education system, many migrant children are left-behind in rural villages and growing up without parental care. This paper examines how parental migration affects children's health and education outcomes in the long run. Using the Rural-Urban Migration Survey in China (RUMiC) data, we measure the share of children's lifetime during which parents were away from home. We instrument this measure of parental absence with weather changes in their home villages when parents were aged 16-25, or when they were most likely to initiate migration. Results show a sizable adverse impact of exposure to parental migration on the health and education outcomes of children, in particular boys. We also find that what the literature has always done (using contemporaneous measure for parental migration) is likely to underestimate the effect of exposure to parental migration on children's outcomes.
著者
寺島裕貴 岡田真人
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013-MUS-99, no.43, pp.1-4, 2013-05-04

大脳皮質聴覚野が担う複雑な情報処理の原理解明に向け,皮質の一様性を根拠に視覚系相同領野のモデルが応用されつつある.しかし,既存研究で議論されてきたのは視覚野神経細胞のうち線形応答を示す単純細胞のモデルに限られており,非線形な複雑細胞に相当する概念については未着手だった.本研究で我々は,視覚野複雑細胞の学習モデルであるトポグラフィック独立成分分析を自然画像の代わりに自然音に適応させた.学習結果である聴覚版「複雑細胞」の特性は,近年聴覚野で発見されたピッチ細胞と同様に“missing fundamental”類似の非線形性を示した.聴覚野ピッチ細胞が視覚野複雑細胞と同一のモデルによる自然刺激学習で獲得可能であるという結果は,両者の計算論的相同性を示唆する.
著者
似鳥 啓吾 牧野 淳一郎 阿部 譲司
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.48, no.SIG8(ACS18), pp.54-61, 2007-05-15

本論文では,400個のデュアルコアOpteronプロセッサを用いたCray XD1システム上での高性能な N体シミュレーションコードの実装と,64k粒子の星団のシミュレーションでの性能について述べる.これまでにも多くの天体物理学的 $N$ 体計算の並列化が報告されているが.その中でも数十プロセッサ以上を用いた実装の性能評価には,大きな粒子数が使われる傾向がある.たとえば,これまでのゴードン・ベル賞へのエントリでは,少なくとも70万粒子が用いられている.この傾向の理由は,並列化効率にある.というのも,大規模並列機で小さな粒子数で性能を出すのは非常に困難であるからである.しかしながら,多くの科学的に重要な問題では計算コストは O(N^3.3) に比例するため,比較的小さな粒子数の計算に大規模並列計算機を用いることが非常に重要である.我々は,64k粒子のO(N^2)直接計算独立時間刻み法の計算で2.03Tflops(対ピーク57.7%)の性能を実現した.これまでの64k粒子での同様の計算における最大の効率は,128プロセッサのCray T3E-900での7.8%(9Gflops)である.今回の実装では従来の方法より高スケーラブルな2次元並列アルゴリズムを用いている.さらに今回のような高性能を達成するためにはCray XD1の低レイテンシネットワークが本質的に重要であった.
著者
甫水 佳奈子 脇田 建 佐々木 晃
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.85-101, 2013-08-29

本稿は,JavaScriptの構文拡張を可能にするHygienic構文マクロシステムの実装技法を提案する.Hygienic構文マクロシステムは,マクロ展開の前後で変数の束縛や参照関係を破壊しない安全な構文マクロシステムである.このHygienic構文マクロシステムを利用することによって,プログラミング言語の構文の自由な拡張が可能になる.しかし,Hygienic構文マクロシステムは,S式という一貫した構文構造を持つSchemeには標準で組み込まれているものの,その他の一般的なプログラミング言語に実装された例はほとんどない.本稿では,まず,汎用的なプログラミング言語におけるHygienic構文マクロシステムの実装の難しさを示し,次に,本研究が提案するJavaScript向けHygienic構文マクロシステムの実装技法について述べる.提案する実装技法では,マクロ構文の追加によって拡張されるJavaScript構文を解析するための拡張可能なパーザの実現に解析表現文法を用い,マクロ展開は既存のSchemeマクロ展開器に委ねる.マクロ展開においては,マクロを含むJavaScriptコードをそれと等価なS式へと変換し,Schemeマクロ展開器で展開を行った後に,JavaScriptコードに逆変換するという言語間相互変換を行う.これらの工夫によりわずか2,000行弱のコンパクトな実装によってJavaScriptに対する記述力が高いHygienic構文マクロシステムを実現できた.
著者
古川 善吾 野木 兼六 徳永 健司
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.736-744, 1984-09-15

ソフトウェアの機能テストのためのテスト項目を系統的に作成するAGENT技法を提案した.AGENT技法は 機能図式(Function Diagram)という形式的な記法によってソフトウェアの機能仕様を表現した後 機械的にテスト項目を作成する技法である.機能図式は 入力や出力の順序に依存した対応関係を表す状態遷移(状態遷移図で記述する)と 状態遷移の各状態での入力データと出力データや遷移先状態との対応関係を表す論理関係(原因結果グラフあるいは決定表で記述する)とから成っている.AGENT技法では この機能図式から 通過すべき状態の列と各状態での入出力データの条件の組合せとして 以下の条件を満たすテスト項目を機械的に作成する.?各状態での入出力データの条件を確認するのに十分である.?状態遷移を構造化した構造化状態遷移の各遷移を少なくとも1回は辿る.?構造化状態遷移の繰返しは0回と1回の2通りを実現する.このテスト項目作成を自動的に行うためにAGENTプログラムを開発した.本論文では テスト項目作成の考え方 AGENTプログラムの概要について述べた.
著者
小林 雄一郎 金丸 敏幸
雑誌
じんもんこん2012論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.7, pp.259-266, 2012-11-10

本研究は,Coh-Metrix とパターン認識の技術を用いて,英語学習者による課題英作文の自動評価を試みるものである。自動評価の基準は,既存の評価システムによる分類結果とし,出力結果を比較,検討することによって,よりよい採点システムの可能性を模索する。