著者
浅岡 邦雄
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 : 国際日本文化研究センター紀要
巻号頁・発行日
vol.27, pp.201-214, 2003-03-31

本稿の目的は、鈴木貞美編『雑誌『太陽』と国民文化の形成』に掲載の論文、原秀成「近代の法とメディア―博文館が手本とした一九世紀の欧米」を批判的に検証することにある。
著者
藤本 浩一
出版者
神戸松蔭女子学院大学学術研究委員会
雑誌
神戸松蔭女子学院大学研究紀要. 人間科学部篇 = Journal of the Faculty of Human Sciences, Kobe Shoin Women's University : JOHS (ISSN:21863849)
巻号頁・発行日
no.6, pp.1-16, 2017-03-05

中高教職課程履修生1 回生21 名にインクルーシブ教育についての3 つの質問を行った。Q1もしもあなたが教師3 年目で、担当するクラスに発達障害児童生徒がいたらどう思いますか。また、あなたはどんな心配や悩みがありますか。自由に記述して下さい。Q2 もしもあなたが健常児童生徒の保護者なら、自分の子どもが発達障害児童生徒と一緒に教育を受けることをどう思いますか。自由に記述して下さい。Q3 発達障害児童生徒にとって、健常児童生徒と一緒に教育を受けることについて、自由に記述して下さい。学生たちは調査のために、3 回の発達障害授業の前後に質問に回答し、調査結果として、事前・事後の比較による検討が行われた。彼らの自由記述は、KHcoder というソフトによって解析され、それぞれの共起ネットワークを比較した。学生たちは事前調査では発達障害児をどう扱うかを心配していたが、授業後には、対象児への理解や相談によって子どもたちが成長する重要性に気づいた。学生たちは3 回の授業によって、発達障害についての適切な知識と理解を得た。このことは彼女らが3 人称から2 人称の気持ちに変化したことを示している。
著者
春原 浩樹 水山 高久 武田 文男
出版者
GRIPS Policy Research Center
雑誌
GRIPS Discussion Papers
巻号頁・発行日
vol.16-32, 2017-03

災害危険区域は昭和25(1950)年の建築基準法制定時に創設された制度で,これまでに22千箇所以上が指定され,区域外への移転を支援する制度も用意されているが,区域内にはまだ多数の住宅・建築物が存在する.本研究は,災害危険区域について,国会会議録に基づくこれまでの議論の整理,国土交通省の調査に基づくこれまでの指定状況の整理,関係県・市町村の条例に基づく現在の建築禁止・建築制限の内容の複数の指定理由にまたがる横断的な調査・分析を行うとともに,区域内の建築物の安全性向上のための改修支援策の事例を調査することにより,災害危険区域における今後の対応の可能性を検討しようとするものである.The disaster risk area designation was created when the Building Standard Law was enacted in 1950, and so far more than 22, 000 areas have received the designation. Assistance programs for reloca-tion to a non-designated area are available, but a large number of buildings, residential or otherwise, still remain in designated areas. This study aims to explore possible future policies for disaster risk areas by conducting a systematic review of past debates on the issue using the Diet records; an overview of past designations based on the survey conducted by the Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism; and a cross-sectional analysis of present prohibitions and restrictions on buildings imposed by the respective municipal and/or prefectural ordinances relative to the type of hazard identified for the designation. The study also includes a survey of the actual measures to promote renovation in disaster risk areas with the objective of upgrading the safety of buildings therein.
著者
瀬尾 友樹 ジン タナンゴナン
出版者
近畿大学農学部
雑誌
近畿大学農学部紀要 = MEMOIRS OF THE FACULTY OF AGRICULTURE OF KINDAI UNIVERSITY (ISSN:21896267)
巻号頁・発行日
no.50, pp.25-35, 2017-03-31

[Synopsis]Degradation of the Philippines’ coastal environment with economic growth is expected to negatively impact tidal flat inhabiting mollusks. But there are few studies investigating local changes in quantity and species composition of Philippine tidal flat mollusks. This study surveyed the quantity and species composition of tidal flat mollusks at several coastal sites and those being sold at the local markets of the Visayas, Philippines, compared the results between sites and against previous studies, and estimated current resource quantity and ecological status of the tidal flat habitat. The total volume of mollusks sold in Cebu –significantly, mollusks from mangrove and freshwater habitats have decreased as compared to 30 years past. No change in volume was found in Dumaguete, Negros Island. The results indicate decreasing population and species number of mollusks in the tidal flats of Cebu possibly caused by worsening coastal degradation due to widespread urbanization of the island. This study suggests implementation of mollusk resource management and prevention of further coastal environment disturbance and over-exploitation of coastal resources in the Visayas, Philippines.
著者
景井 詳雅
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要 = The Bulletin of The National Institure of Japanese Literature (ISSN:18802230)
巻号頁・発行日
no.43, pp.117-145, 2017-03-16

平安時代には『萬葉集』を抄出した抄出本が存在し、萬葉歌享受において重要な位置を占めていたと考えられるのだが、古筆切のみの現存であるためその実態は不明な点が多い。そこで、抄出本『萬葉集』の古筆切の一つ久世切の本文を考察し、その性格の一端を明らかにすることを目的としたのが本稿である。久世切に見える抄出本『萬葉集』は、『萬葉集』の歌順に従って歌を抄出・配列し、歌は仮名でそれ以外の内容は漢字で表記する。その内容は概ね『萬葉集』と対応するが、『萬葉集』の左注や作者名の文言の簡略化、作者名の位置変更、巻に関する表示がないことが確認される。そして、久世切は写本と考えられるため、これらの変容は書承の際に生じたとも考えられる。ただし、以上の変容は平安和歌のありように通じ、他の抄出本『萬葉集』や『萬葉集』を意義分類した類聚古集にも見えることをふまえると、抄出本作成の際に『萬葉集』の内容を変質化しない程度で変更されたものと考えられる。つまり、久世切に見える抄出本『萬葉集』は、『萬葉集』の縮小化を意図した抄出本であり、『萬葉集』に従うことが原則であったと考えられる。その一方で、久世切には、現存の『萬葉集』伝本はもちろん平安和歌の影響や書承過程での変容とも思えない特異な本文も認められる。久世切に見える抄出本『萬葉集』が現存の『萬葉集』伝本とは異なる場で成立した可能性を視野に入れておくべきであろう。During the Heian period, a number of excepted editions of the Man’yōshū (Anthology of myriad leaves, later half of the 8th century) were produced. While it is thought that these excerpted editions played an important role in the anthology’s reception, the fact remains that all extant examples are mere fragments, for which reason a concrete understanding of their overall significance is difficult to obtain. This paper aims at elucidating one aspect of the so-called Kuze Fragment by offering a thorough reading of its text. The excerpted poems found in this fragment have been placed in the same order as they are found in the Man’yōshū. Poems are written in the cursive (kana) syllabary, while all other material is recorded in Sinitic graphs (kanji). While most of the fragment’s content corresponds more-or-less to that of the Man’yōshū, it nevertheless simplifies or alters certain elements found in the latter, such as commentaries, names of poets, omitting altogether any indication of fascicle number. Considering the Kuze Fragment is thought to be a copy of an earlier manuscript, it may be assumed that these alterations and omissions were brought about by the copyist. Considering, however, that similar alterations may also be found in other excerpted editions, as well as various reordered (categorized) editions of the Man’yōshū, it follows that the excerpted editions were altered only within certain limits, such that the content of the original poems would not actually be changed. That is to say, the Kuze Fragment may be understood as an abridged version of the Man’yōshū, one which sought not to manipulate but to faithfully reproduce the content of its base text. On the other hand, this Kuze Fragment does contain a number of very curious passages which cannot be attributed merely to later developments in Heian poetry or the error of a copyist. We must not rule out the possibility, then, that the Man’yōshū upon which this Kuze Fragment was based might have been produced under a different set of circumstances than those manuscripts extant today.
出版者
国際日本文化研究センター
巻号頁・発行日
pp.1-76, 2012-11-22

会議名: 日文研フォーラム, 開催地: ハートピア京都, 会期: 2012年4月10日, 主催者: 国際日本文化研究センター
著者
久保 文乃 村上 征勝
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2011-CH-90, no.1, pp.1-6, 2011-05-14

本研究は,鎌倉時代の仏師快慶を中心に,快慶とほぼ同時代を生きた仏師 3 人との造像における作風の特徴を数量的に比較する事を目的としたものである.分析作品を坐像のみに絞り,法量を用いて主成分分析を試みた.その結果,快慶が中央部へまとまったのに対し,運慶が全体に散らばり,院派・円派の京都仏師たちの作品は左上部へ附置された.この結果は従来の様式研究で指摘された作風の特徴と矛盾してはおらず、法量の数量分析でも仏師の作風の特徴が見出されうることが明らかとなった.
著者
杉浦 司 田中 敏光 佐川 雄二 手島 裕詞
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2010-CG-139, no.5, pp.1-6, 2010-07-09

一般に類似画像検索では,画像に様々な処理を施して抽出した特徴を比較している.しかし,画像から特徴量を抽出する処理には多くのコストがかかるため,対象とする画像が多数になると検索時間がかかりすぎる問題がある.本研究では,特徴抽出に GPU を活用することで類似画像検索の処理時間の短縮を図る.モルフォロジー演算を用いる特徴抽出処理を GPU(GeForce GTX285) に実装した場合,CPU(Core i7 920) で実行した場合に比べて類似画像検索全体で約 3 倍の高速化が見込める.
著者
大矢 隼士 森島 繁生
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2012-MUS-95, no.10, pp.1-6, 2012-05-26

インターネットの動画共有サイト上に存在するアマチュア制作の音楽動画を再利用することにより,自動的に音楽動画を生成するシステムを提案する.この音楽動画は,既存の音楽にゲームやアニメなどの映像を切り貼りして制作されたものであり,MAD 動画と呼ばれている.本稿では,以前筆者らグループが提案した DanceReProducer の学習手法を,マルコフ連鎖を使うことにより映像の時系列情報を考慮できるように改善し,Forward Viterbi アルゴリズムを用いて動画生成をおこなう.提案システムは,まずインターネット上にアップロードされている MAD 動画を大量に取得し,データベースとする.その後,データベースの動画から音楽特徴量,映像特徴量を抽出し一小節ごとにまとめ,楽曲の構造情報やテンポの推定をおこなう.次に,各特徴量をクラスタリングし,状態変数を音楽特徴量,潜在変数を映像特徴量として,潜在変数のマルコフ連鎖モデルを使用して学習する.動画の生成は,任意の楽曲 (入力楽曲) に対し,学習した同調関係から最も入力楽曲と同調する映像をデータベースから選び出し,切り貼りすることで新しい動画を自動的に生成している.
著者
牧 隆史 鈴木 正人
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE)
巻号頁・発行日
vol.2012-SE-175, no.22, pp.1-8, 2012-03-08

複数製品の開発に用いられたソースコード上のコンパイルスイッチを解析することにより製品群の持つフィーチャーを抽出し、フィーチャーモデルをリバースエンジニアリング的に適用することを試みた。さらに、デザインパターンの適用によるリファクタリングの方向性についても検討した。
著者
関井 祐介
出版者
電気通信大学
巻号頁・発行日
2017-03-24

声質変換は,入力音声を目的話者の声質に変換する技術である.声質変換手法として,従来はGaussian Mixture Model(GMM)を用いた手法がよく用いられていたが,近年のDeep Learning に関する技術の台頭により,Deep Neural Network(DNN)を用いた声質手法が注目されている.しかし,GMM やDNN を用いた手法の多くは一対一の声質変換手法を提案しており,任意話者の入力に対応した研究は少なく,従来の任意話者の声質変換手法は,一対一声質変換と比べ変換精度が劣ってしまうという問題がある.また,従来のDNN を用いた声質変換手法では,一対一変換および多対一変換において複雑なネットワークを用いるため,多くの訓練データが必要となり,かつ変換に要する時間が長くなるという問題がある. 本研究では,これらの問題を解決するため,オートエンコーダおよびスパースオートエンコーダを用いた声質変換手法を提案する.提案手法では,オートエンコーダで次元圧縮した高次特徴量を目的話者の高次特徴量へDNN で変換し,目的話者のオートエンコーダを用いて音響特徴量に復元する.評価実験では,提案手法と従来手法を比較し,オートエンコーダを用いた手法は従来手法よりも若干高い精度でスペクトル変換を行い,変換時間を短縮することができた.スパースオートエンコーダを用いた手法では,オートエンコーダを用いた提案手法と比べ,スペクトル変換精度の向上および変換した音声の自然性を改善し,任意話者の声質変換精度を向上させることができた.