著者
槇 俊孝 若原 俊彦
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN)
巻号頁・発行日
vol.2014-GN-92, no.16, pp.1-5, 2014-05-08

近年,Web上のデータをリンクしてデータ共有を効果的に行う LOD(Linked Open Data) が注目されている.LOD は構造化されたデータ同士をリンクさせ,セマンティック・ウェブを実現するために必要不可欠なものとなっている.本研究では,Wikipedia を用いた LOD を提案し,これを用いて論文にメタデータを自動付与し論文のクラスタリングを試みる.電子情報通信学会は,2013 年 4 月から論文誌や研究会などの論文を横断的に検索できる I-Scover を提供しているが,キーワードや技術分野などのメタデータが欠損などにより完全ではないという問題点がある.そこで我々は,I-Scover に登録されている論文データを対象にして Wikipedia による LOD を用いてメタデータの自動付与を行い,論文のクラスタリングによって検索効率の向上を図る.
著者
鈴木 貞美
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究
巻号頁・発行日
vol.42, pp.187-214, 2010-09-30

日本の一九二〇年代、三〇年代における(狭義の)モダニズム文藝のヴィジュアリティー(視覚性)は、絵画、写真、また演劇等の映像だけではなく、映画の動く映像技法と密接に関係する。江戸川乱歩の探偵小説は、視覚像の喚起力に富むこと、また視覚像のトリックを意識的に用いるなど視覚とのかかわりが強いことでも知られる。それゆえ、ここでは、江戸川乱歩の小説作品群のヴィジュアリティー、特に映画の表現技法との関係を考察するが、乱歩が探偵小説を書きはじめる時期に強く影響をうけた谷崎潤一郎の小説群には、映画的表現技法の導入が明確であり、それと比較することで、江戸川乱歩におけるヴィジュアリティーの特質を明らかにしたい。それによって、日本の文藝における「モダニズム」概念と「ヴィジュアリティー」概念、そして、その関係の再検討を試みたい。
著者
弥富健太 岡崎博樹 上林憲行
雑誌
第74回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.1, pp.665-666, 2012-03-06

近年、ソーシャルメディアの普及により、Web上のアクティビティログと共に個人の興味関心のログ(インタレストグラフ)も蓄積されている。また、同時にソーシャルメディア上には、個々人の社会所属の情報も公開されている。本研究では、この蓄積されたインタレストグラフと公開されている所属情報を用いて、自身の興味関心の似ている人物(ロールモデル)を発見する。自身と同じような興味関心を持っている人物の所属する企業を抽出することで、興味関心事の似た人物が働く環境のロールモデルを発見し、従来のカテゴライズされた企業検索とは違う、ロールモデルによる企業発見のプロセスを支援する。
著者
中本 亮 石田 智恵美
雑誌
福岡県立大学看護学研究紀要
巻号頁・発行日
vol.13, pp.67-74, 2016-03-31

本研究の目的は,自己調整学習を導入した授業を経験した学生の授業前後の自己効力感の変化と自由記述との関連に着目し,自己効力感の違いによる特徴について質的データを量的に探索することである.A 看護専門学校の2年生43名を対象として,授業前後に実施した自己効力感への回答と授業後の自由記述(学習への取り組み方)との関連性を分析した.授業前後の自己効力感の平均値の変化は,『下降群』,『微増群』,『上昇群』の3群に分類され,『下降群』は13名(34.2%),『微増群』は14名(36.8%),『上昇群』は11名(28.9%)であった.自己効力感の変化と自由記述との関係を見るために,自由記述をテキストマイニングし,抽出語をコレスポンデンス分析した.プロット図では,『下降群』周囲に【反省】・【達成】・【取り組み】・【話し合う】などが布置され,前後の文脈から自己の学習態度や取り組みの反省を行い,次の学習行動をどうすべきかを考えている傾向が伺えた.また,『微増群』の周囲には【今】・【教科書】・【話し合い】などが布置されたが,文脈による特徴は見出せなかった.一方,『上昇群』の周囲には,【深める】・【多い】・【出す】・【考える】などが布置され,文脈から「できた」という遂行行動の達成を感じている傾向が伺えた.自己効力感はその時点での個人の主観的な感情であるため,学習状況について経時的に見ていくことが必要であり,自己効力感の下降した学生には周囲とのコミュニケーションや学習課題の関連付けに支援が必要である.
著者
山折 哲雄
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.125-163, 1983-03-15

Originally, the Japanese god (Kami) was an invisible deity but after the 8th century to the 9th century (Nara-Heian period) it assumed the shape of an aged man (okina) in mythological legends and legendary literature. The invisible god donned the mask of an okina, appeared into this world, delivered oracles and made predictions. About the same time, images of gods were produced. A notable fact is that one of the oldest images found of a god possesses the features of an old man. In Japan, Buddism exerted a deep influence on the production of divine figures, but images of Buddha scarcely took the shape of an old man. At the beginning of the Heian period the facial expressions of a god assuming the features of an okina were developed from the okina masks in the Noh plays that were perfected by Zeami during medieval times and eventually formed a typical pattern. Moreover, the fact that the okina mask appearing in the Noh plays was handed down as the mask of god, corresponds well with the meaning of the okina as a godly symbol in the legends previously mentioned.A study of the legends of the okina in historical literature shows that the origin could be traced to the genelogy of yamanokami (mountain god) and uminokami (sea god). They sometimes helped in human crisis, gave knowledge, set ethical examples to people and imparted revelation. In other words, this was a mediator between the will of the gods, spirits and the human world. They appeared to the human world through spirits prossession and this tendency shows its profound shamanistic character.The okina that appears in ancient literature takes the figure of an ordinary man as well as priest; this shows that it was a divine reality belonging to a liminal area that covered beliefs in god as well as Buddha.God assuming the shape of an okina, respected as both god and man as according to the legends, reflects the Japanese belief towards ideal aging, quite different from the Western ideology. Old age is a period that symbolizes tragedy, disgrace and despair, but also it is a period that reflects humanity consisting of unselfish wisdom; innocent childishness and vigorousness. The divine image that ancient Japanese tried to attach to the icon of the okina seems to exert a strong influence on our basic ethnic consciousness.
著者
嶽間沢 秀孝 児島 忠倫
出版者
近畿大学工学部
雑誌
近畿大学工学部研究報告 = Research reports of the School of Engineering, Kinki University (ISSN:0386491X)
巻号頁・発行日
no.42, pp.73-76, 2008-12-01

It is important to clarify evaporation characteristic of liquid fuel such as gasoline and diesel fuel. This study was conducted on evaporation phenomena of a fuel droplet on a hot wall. Several kinds of liquid normal-paraffin such as n-Hexane, Cyclohexane, Benzene were used as the test. The influence molecular structure of fuel affect evaporation lifetime was investigated in detail.
著者
漆間 幸雄 飯田 弘之
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2005論文集
巻号頁・発行日
vol.2005, no.15, pp.138-141, 2005-11-18

ポーカーはトランプを使った賭け事として行われるゲームの一つであり,世界中で,特にアメリカで人気がある.また,近年ではカジノだけではなく,インターネット上のゲームサイトなどでもポーカーが盛んに行われている.本稿では主要なルールのポーカーを対象として,プレイヤーの自由度とゲームの長さを定義し,各ルールのゲームのプログラムを作成して計算機上でシミュレーションを行い,自由度とゲームの長さを求める.これらの統計に基づいて,ゲーム洗練度の理論の視点で代表的な 2 つのルールのポーカーのゲームの性質を比較した結果,2 つのゲームの性質に関して違いが現れた.
著者
紀平 知樹
出版者
大谷学会
雑誌
大谷学報 (ISSN:02876027)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.18-33, 2000-10
著者
津金 佳祐 中尾 昌広 李 珍泌 村井 均 佐藤 三久
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:21888841)
巻号頁・発行日
vol.2016-HPC-155, no.29, pp.1-8, 2016-08-01

近年,高性能計算分野においてチップ内に多くのコアを搭載するメニーコアプロセッサを用いた大規模並列システムが登場している.そのようなシステムにおける並列化手法の一つとしてタスク並列が注目されており,本稿では,分散メモリ環境上での動的なタスク並列処理をより簡易な記述で実装可能とすべく PGAS 言語 XcalableMP(XMP) の拡張を行う.記述として tasklet 指示文を提案し,ノード内/外におけるタスク間の依存関係の記述による細粒度な同期や,通信と計算のオーバラップによる性能向上を目指す.タスク生成や制御は Argonne National Laboratory(ANL) により開発が進められている軽量スレッドライブラリである Argobots を用いる.現在は,実装対象である Omni XMP Compiler のランタイムのみの実装であるため,コード変換は手動で行う.提案手法の予備評価としてブロックコレスキー分解のコードを対象とし,性能・生産性の評価を行った.比較対象は,MPI+OpenMP による実装と INRIA によって開発が進められている StarPU による実装である.StarPU 実装との比較では一部優位な点が見られたが,MPI+OpenMP 実装との比較では最大で約 15%の性能低下が見られた.生産性の比較では,指示文による記述を採用したことによりベースコードから少ない変更で実装可能なことから,tasklet 指示文による記述の生産性の高さを示した.
著者
前田 宗則 田邨 優人 松尾 勇気 佐藤 充 中島 耕太
雑誌
研究報告システム・アーキテクチャ(ARC) (ISSN:21888574)
巻号頁・発行日
vol.2016-ARC-221, no.29, pp.1-5, 2016-08-01

ユーザ空間から直接にハードウェアをボーリングするスレッドを立ち上げ,I/O リクエストに即時応答することで低レイテンシと高スループットを両立するカーネルバイパス型ソフトウェアアーキテクチャが注目されている.カーネルバイパス方式では,スレッド間の排他処理や実行割り当ては,性能に影響するため繊密な設計が必要とされる.これまでに我々は,低レイテンシなスレッド待ち合わせ処理を軽量スレッドとボーリングの組み合わせで実現する方式を提案している.本稿では,軽量スレッドと高速待ち合わせ機構をカーネルバイパス型アーキテクチャの一方式である DPDK に適用することで性能向上を実現した.
著者
溝田 敦也 城間 隆行 中島 拓真 吉見 真聡 策力 木格 吉永 努
雑誌
研究報告システム・アーキテクチャ(ARC) (ISSN:21888574)
巻号頁・発行日
vol.2016-ARC-221, no.36, pp.1-6, 2016-08-01

本研究では,インタークラウドを活用した迅速な災害復旧の仕組みを提案する.クラウド環境の普及に伴い,多数の重要なサーバがクラウド環境へ移行し,耐障害性の担保が重要な課題となっている.特に,大規模災害等によりクラウド基盤が壊滅的な被害を受けた場合は,遠隔地にある安全なクラウド基盤を活用して迅速にシステムを復旧できるのが望ましい.しかし,一般にクラウドシステムは複数のサーバで構成されるなど複雑化が進んでおり,煩雑な手順と長い復旧作業時間が要求される.そこで,本研究では複数のクラウドを横断して管理するクラウドオーケストレーシヨンを活用し,障害検知,システム再構築,データ復元のプロセスを自動化する仕組みを提案する.ブログサービスを対象にした予備実験の結果,災害発生後最短 9 分程度でシステムが自動で復旧可能であることを確認した.
著者
山崎 修平 河野 健二
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2016-OS-138, no.12, pp.1-7, 2016-08-01

近年,仮想化環境は広く使用されるようになっている.複数のマシンを動かすためにはハードウェア等の物理資源を仮想化して使用する必要があり,ハイパーバイザ型の仮想化ではハイパーバイザが物理資源を管理する.この様な環境ではスピンロックを獲得することができない仮想 CPU (仮想 CPU) が長期間ビジーウェイトしたままになってしまう Lock-Holder Preemption (LHP) という問題が発生することが知られている.この様な問題に対して,いくつかのハードウェアでは一定時間以上のビジーウェイトした場合にはハイパーバイザに制御を移すような機能が追加されている.Intel ではこれを Pause Loop Exiting (PLE) という.しかし,PLE を利用するだけでは LHP の完全な対策になっておらず,PLE が頻発することによってオーバーヘッドが掛かることがある.本論文では PLE の発生状況と,それに対するスピンロックの獲得状況を分析し,より効率よく PLE を使用するための新しい仮想 CPU スケジューリングの方法について提案する.
著者
田所 秀和 長谷川 揚平 石山 政浩 松崎 秀則
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2016-OS-138, no.15, pp.1-7, 2016-08-01

スケーラビリティの向上を目的として Key Value Storage (KVS) を利用したストレージシステムが使われつつある.このようなストレージシステムでは,KVS を複数利用して Storage Pool を作成し,ユーザは Object や Block など用途に合わせた Storage Interface を通して Storage Pool 上の KVS を利用する.今般,SSD などの高速なストレージデバイスを活用して KVS を高速化する技術が進展しており,それと並行して Storage Interface の高速化も重要になりつつある.そこで本稿では,高速な KVS やネットワーク環境を十分に利用することができる高速な Block Interface を提案する.このシステムでは Linux(R) カーネルの Multi-Queue を利用しつつ,効率良く KVS と通信を行うことで,高い性能を達成している.memcached を用いた実験により,4KB ランダムリードで 1Miops を越える性能を確認した.