著者
岡田 栄造 寺内 文雄 久保 光徳 青木 弘行
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.9-16, 2001-03-31 (Released:2017-07-21)
参考文献数
17
被引用文献数
3

本稿の目的は、明治時代半ばに学校用腰掛けの改善案のなかで提案された座面の昇降機構が、その後どのように展開し、結果、事務用椅子として普及したFK式回転昇降椅子が誕生した過程を明らかにすることにある。そのために、明治時代半ば以降昭和初期までに公示された椅子の昇降機構に関する工業所有権を調査し、FK式が生み出された詳しい経緯を考察した。最初にFK式の原案となった岩岡式以前の昇降機構の展開を調査し、次いで岩岡式の開発過程を、最後に寿商店によるFK式の開発経過を調査した。調査の結果、岩岡式が、それ以前に開発されていた7種類の昇降方式のうち「滑動式-単脚」の方式を参考に改善を進めたなかで生み出されたことが明らかとなった。そして、岩岡式において椅子の構造部材として鋳物が採用されたことが、金属加工業を椅子製造プロセスに介在させる必要を生じさせた点で、重要なポイントとなっていたことを指摘した。さらに、寿商店によるFK式の開発が、実際に金属加工業者の協力を得て進められたことを確認した。
著者
村上 智美 林田 光祐 荻山 紘一
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.88, no.3, pp.174-180, 2006-06-01
参考文献数
36
被引用文献数
1

サポニンを含む果皮とそれを除去するヤマガラの貯蔵行動がエゴノキ種子の発芽に及ぼす影響を明らかにするため,エゴノキの種子散布と発芽特性を東北地方の落葉広葉樹林で調べた。成熟果実は9月までにすべて樹上から消失した。4日間の観察期間中ヤマガラのみがエゴノキに飛来し,そのうちの80%で果実を運搬する行動がみられた。樹上からなくなった果実のうち,83.0〜87.2%が樹冠外に持ち出されたことから,樹上果実の大半はヤマガラによって運搬されたと考えられる。残りの果実は自然落下したが,これらの果皮は11月中旬まで分解されずに残った。野外での発芽実験では,果皮を除去した種子は36%の平均発芽率がみられたが,果実は4%とわずかで,種子の発芽率が有意に高かった。果皮に含まれるサポニンの量は果実が落下すると急激に減少することからサポニンが発芽を抑制しているとは考えにくい。ヤマガラの貯蔵行動は発芽阻害の原因となる果皮を除去するという行為を伴うので,エゴノキの種子を散布させるだけでなく,発芽にも大きく貢献していると考えられる。
著者
松澤 俊二
出版者
桃山学院大学
雑誌
桃山学院大学社会学論集 = ST.ANDREW'S UNIVERSITY SOCIOLOGICAL REVIEW (ISSN:02876647)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.69-86, 2016-02-25

This paper is intended to study the proletarian tanka which rose during about 5 years from 1928 and declined immediately. Evaluation of proletarian tanka is not high so far. There are two reasons of low evaluation. First, because the tanka have been considered as politics, not Literary work. Second, the representation of tanka is a roar and vilification against the government and the capitalists, and this is because it is not individual, and mannerism and critics thought. However, it must be noted that such evaluation having been made from modern tanka's sense of values which considers that expression of individuality is the most important. Therefore, it is impossible from the sense of values to discuss the proletarian tanka which appeared as an antithesis of a modern tanka from the start. In the light of this fact, It is necessary to reconsider old research of a proletarian tanka and tanka work itself. In this paper, I gave priority to that I took up the expectations of the proletarian poet at that time. For this purpose, I chose "Proletarian Tanka poetics" as a research material. And it was clarified why the rut expression was repeated Tanka work, social circumstances surrounding its Tanka movement, and how was thought to increase the fan proletarian Tanka. In addition the existence of the proletarian tanka confirmed that it becomes a ruler to measure the political character of the modern tanka that attention had not been applied to until now.
著者
孫枝秀 著
出版者
本荘輔二
巻号頁・発行日
vol.上, 1881
著者
小川 束
出版者
四日市大学
雑誌
四日市大学環境情報論集 (ISSN:13444883)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1_2, pp.171-176, 1998-03-20 (Released:2019-12-01)

In 1996,H.Sasaki discovered a Sandgaku, mathematical plate, in Hirohata shrine (Komono 2700,Komono-cho, Mie, Japan). No one was aware of the existence of this mathematical plate until then. In this brief note, I investigate the plate and make clear the structure of the solution given by Murai Chouei, its author.
著者
宮崎 泰広 種村 純 伊藤 絵里子
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.20-27, 2013-03-31 (Released:2014-04-02)
参考文献数
20

新造語を呈した失語症者の呼称課題における反応を分析し, 新造語の出現機序について検討した。初回評価時の呼称課題にて, 新造語がその他の発話症状に比べもっとも多く出現した失語症 10 例を対象とした。初回評価時と発症1 ヵ月後の再評価時における呼称課題の反応を継時的に分析した。その結果は, 新造語の減少に伴い, 音韻性錯語の出現が増加した者は3 例, 無関連性錯語の出現が増加した者は3 例, 意味性錯語の出現が増加した者は2 例, 音韻性錯語と語性錯語の出現がともに増加した者は2 例であった。新造語の減少に伴い他の錯語が増加し, 症例により経過的に種々の錯語タイプに分かれた。これは言語処理の障害過程を反映している可能性を示し, 新造語は音韻レベル, 意味・語彙レベル, その複合的な障害により生じることが示唆された。
著者
阪口 和滋 大村 稔 堀内 晋
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.104, no.1, pp.6-11, 2013-01-20 (Released:2014-02-21)
参考文献数
15

(目的) 透析患者は一般人と比較して,腎癌発生率が高いため,腹部超音波検査,CTによる定期的スクリーニングが有益とされている.また,透析腎癌は高率に後天性嚢胞性腎疾患(ACDK)を合併し,その関連性が示唆されている.当院におけるスクリーニングの有用性,およびACDKとの関連性に関して検討した. (対象・方法) 2005年8月より2011年6月までに,当院で慢性腎不全に対し血液透析療法を施行された624症例と,そのうち腎癌症例12例を対象に解析を行った.スクリーニングは年に1回の腹部超音波検査で行った.透析腎癌の罹患率,発生率,発見契機とその予後,およびACDKの合併率を用いて考察した. (結果) 透析腎癌の罹患率は2.08%,年間発生率は0.33%と高率であった.発見の契機はスクリーニング超音波検査7例(A群),他疾患精査目的の腹部超音波もしくは腹部CT検査2例(B群),有症状精査3例(C群)であった.A群およびB群は1例の他因死を除き,全例癌なし生存であった.それに対してC群は,診断後全例6カ月以内に癌死した.C群3例のうち,スクリーニング検査を施行された症例は1例のみであった.また,ACDKの合併率は91.7%であった(p=0.0026). (結論) 透析患者の腎癌スクリーニング検査が予後に関し有用であると考えられた.透析腎癌にACDKは高率に合併し,その関連性が示唆された.
著者
山口 和彦
出版者
信州大学教育システム研究開発センター
雑誌
信州大学教育システム研究開発センタ-紀要 (ISSN:13419714)
巻号頁・発行日
no.7, pp.109-118, 2001-03

信州大学教育システム研究開発センター紀要 7: 109-118(2001)
著者
大原社会問題研究所 編
出版者
同人社書店
巻号頁・発行日
vol.大正10年, 1926
著者
山崎 柄根
出版者
国立科学博物館
雑誌
国立科学博物館専報 (ISSN:00824755)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.95-102, 1981

日本産のヒナカマキリは, その分類学的位置や雄についての知見にいくつかの混乱があった。たとえば, 日本産の種類では雌個体しか現れず, 単為生殖をしているのであろう, という説である(古川, 1950; 日浦, 1977)。本報文では, その分類学的位置を明らかにし, 雄については, 日本列島の自然史科学的総合研究による伊豆の調査で良い標本を得たので, これによって今回はじめて記載し, またこの種が両性生殖種であることを示した。この種は, もともと1908年, 素木得一によって静岡および東京産の雌をもとに Gonypeta Nawai として記載されたものである。ついで素木はこの種の2度目の記載を行ったが, 原記載を無視して, 松村松年が1908年(素木の原記載の5ケ月後)用いた無効名 Gonypeta maculata を用いた。混乱はここにはじまるが, 原記載はなぜか素木自身ならびにその後の研究者によって無視されてしまい, 1915年に KARNY が属を Iridopteryx に変更してのち, 日本のヒナカマキリについてのすべての文献には Iridopteryx maculata が用いられるようになった。しかし, 今回細かに検討してみると, 属についてはこのカマキリは Iridopteryx 属には該当せず, 結局 Amelinae 亜科の Amantis 属に含ましめるのが妥当であるとの結論に達した。原記載における種名 nawai は有効名であるから, 結局日本産のヒナカマキリの学名は Amantis nawai とするのが正しいことになる。台湾産のものと異って, 日本産の雄は雌同様に微翅型であって, 雌よりやや体が小さいものの, 雌に大変よく似ている。これがおそらく今まで雄個体がみられないという説の起った原因であると考えられる。よく探せば, どこでもその分布地では雄は見つかるものと思う。ヒナカマキリの分布は, 本州では北限地と考えられる山形県の吹浦から日本海側に沿って南西へ, また太平洋側では東京都の自然教育園や小金井市などの位置あるいは千葉県木更津市から南西に分布し, 四国, 対馬, 九州, 奄美大島にまで分布している(図12)。この種はシイやタブ林をとくに好んで生息するが, 記録された地点を地図上にプロットし, 常緑広葉樹林(あるいは照葉樹林)の分布地と比較してみると, 顕著にその分布が一致していることが認められた。肉食性のカマキリで, しかもその行動は他種にみられないほど敏捷で, また好地性であるが, 本種はこの常緑広葉樹林の林床をほとんど離れないのである。かくして, ヒナカマキリ Amantis nawai は常緑広葉樹林に伴って分布する昆虫の典型的なもののひとつと言ってよいであろう。

8 0 0 0 OA 統計学講義

著者
横山雅男 述
出版者
小林又七
巻号頁・発行日
1900
著者
加地 留美
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.182-187, 2012-03-01 (Released:2013-03-01)
参考文献数
29
被引用文献数
2 1

乳酸菌の摂取が生体に与える様々な保健効果の中で,免疫調節作用に強い関心と期待が集まっている.乳酸菌が免疫系に及ぼす効果は,腸内フローラの制御を介した間接的な作用だけでなく,乳酸菌と免疫担当細胞との直接的な相互作用を介して発揮されることが明らかになってきた.ここでは,乳酸菌の免疫調節作用に関する最新の知見を,受容体による認識に引き続いて起こる細胞内シグナル伝達系の活性化に焦点を当てて概説する.
出版者
会計検査院
巻号頁・発行日
vol.第20回,

8 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1951年07月14日, 1951-07-14