著者
神田 竜 片寄 晴弘
雑誌
研究報告デジタルコンテンツクリエーション(DCC)
巻号頁・発行日
vol.2013-DCC-3, no.4, pp.1-7, 2013-01-14

近年,様々な音楽演奏現場で,インタラクティブな操作とリアルタイムレンダリングによる音楽と調和した映像演出が隆盛している.本稿ではそのような映像演出を「ジェネレティブVJ」と呼ぶ.「ジェネレティブVJ」のパフォーマンスは未だ歴史が浅く,その映像制作手法の共有化と再利用化は充分ではない.本稿では「ジェネレティブVJ」の現役制作者の映像制作手法を分析し,個別のパタンとしての記述を試みる.また,抽出したパタンの有用性を確かめる実験として,映像制作初心者にパタンを提供し,音楽と調和した映像制作を行わせる.その結果,映像制作初心者は自身の個性を発揮した上で,音楽構造に調和した映像を制作した.
著者
野村 孔命 力武 健次 松本 亮介
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2018-IOT-41, no.24, pp.1-6, 2018-05-10

データベースの情報を利用して動作する Web アプリケーションでは,入力検証やクエリ発行処理の脆弱性により,開発者の想定していない不正クエリがデータベースに発行され機密情報を窃取される攻撃が発生する.このような攻撃に対して,Web アプリケーションがデータベースに発行するクエリのホワイトリストを作成し不正クエリの検知を行う方法がとられてきたが,Web アプリケーションの大規模化や実装言語の多様化に伴いホワイトリストの作成が難しくなっている.そのため,Web アプリケーション解析や運用時のクエリを用いた学習により生成を用いてホワイトリスト作り,検知する手法が提案されている.しかし,手法が実装言語依存の問題や Web アプリケーションの仕様変更の頻度が高いことによるホワイトリストの管理が難しい問題がある.本稿では,Web アプリケーションの動作を保証するためのテストがあり,Web アプリケーションの更新に追従してテストの更新が行われる開発プロセスが採用されていることを前提とし,テスト時に発行されるクエリからホワイトリストを自動作成する手法を提案する.Web アプリケーションの運用時には作成されたホワイトリストを用いて不正クエリを検知する.提案手法は,Web アプリケーションの複雑性や実装言語に依存せずにクエリのホワイトリストを自動作成することができ,新クエリが実装された場合もテストの更新に伴いホワイトリストが更新される.また,検知されたクエリはテストされていないクエリもしくは不正クエリであり,これらを早期に発見することで原因となる Web アプリケーションの脆弱性が長期化することを防ぐことができる.
著者
財津 大夏 三宅 悠介 松本 亮介
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2018-IOT-41, no.4, pp.1-8, 2018-05-10

日本ホビー協会によると,ハンドメイド作品を対象とした EC サイトの流通は年間 177 億円が見込まれている.ハンドメイド作品はその希少性や独創性が価値の一端を担っているが,市場の拡大に伴い,これらの性質を満たさない大量生産品の出品が問題となっている.大量生産品の増加は,ハンドメイド作品を期待する購入者の EC サイトへの不信感や流通低下に繋がり,長期的には市場の衰退を招きかねない.このためハンドメイド作品を対象とした EC サイトでは,大量生産品の削除や出品者のアカウント停止などの対応が行われるが,全商品の目視確認は困難であるため,大量生産品を自動的かつ継続的に検出する仕組みが必要である.本報告ではこの課題を解決するため,商品の削除やアカウント停止を回避する振る舞いを出品者の異常な振る舞いとして検出する手法を提案する.大量生産品の出品者は,アカウント停止を回避するために多数のアカウントを作成し,アカウント名に無意味な文字列を設定する傾向がある.また,商品の削除に備えて出品数を増やすために国外 EC サイトの商品を翻訳しており,商品説明文などの日本語が不自然であるという特徴がある.これらの特徴を異常と定義し,単純ベイズ分類器で分類することで大量生産品を検出する.本報告では実際のハンドメイド作品を対象とした EC サイトのプロダクション環境のデータに対して提案手法を適用し,検出率を計測して有効性を検証した.
著者
ウメルジアンウスマン 中平勝子 鈴木俊哉 植村俊亮 三上喜貴
雑誌
研究報告デジタルドキュメント(DD)
巻号頁・発行日
vol.2013-DD-90, no.5, pp.1-8, 2013-07-19

本論文で扱うウイグル文字は,歴史的にはアラム文字を起源とし,アラム文字から派生したソグド文字を直接の祖先として形成された表音文字である.また,ウイグル文字からは,後にモンゴル文字,満州文字などが派生した.ウイグル文字は,縦書き,横書きいずれの書記方向でも書かれてきた.横書きのウイグル文字は中央アジアの西トルキスタンと東トルキスタン地方に見られる.一方,縦書きのウイグル文字は紀元 8-9 世紀頃にトルファン地方で誕生したと考えられ,西はトルファンから東はモンゴルと甘粛に至る広範囲で使われるようになった.検討にあたって,文献作品クダトクビリグと阿毘達磨倶舎論実義疏には,作成者の署名を表すような様々な図形が登場し,これをすべて符号化しようとすれば数百になる.ここで検討が必要なのは,縦書き用の文字と横書き用の文字を,符号として区別するかどうかという点である.ウイグル文字の単語中での文字の位置によって文字図形が変化する文字の場合,異なる図形ごとに異なる符号を与える方式,図形は異なっても同じ音を意味する場合には同じ符号を与える方式 (符号-グリフ分離方式) とがある.ISO/IEC 10646 では符号-グリフ分離方式が採用されていることから,本設計でも,符号-グリフ分離方式を採用した.筆者らは,このウイグル文字の文字符号を確立することによって,ウイグルの貴重な歴史的文献情報の保存と活用の基盤形成に貢献したいという目的をもって研究を行なっている.本論文ではその研究成果であるウイグル文字古文献に基づくグリフデザインの経験について述べる.
著者
張 翔
出版者
国際日本文化研究センター
巻号頁・発行日
pp.1-35, 2018-03-30

会議名: 日文研フォーラム, 開催地: ハートピア京都, 会期: 2013年2月12日, 主催者: 国際日本文化研究センター
著者
西田 知博 原田 章 中西 通雄 松浦 敏雄
雑誌
情報処理学会論文誌教育とコンピュータ(TCE) (ISSN:21884234)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.26-35, 2017-02-22

筆者らは,10年にわたり初学者向けプログラミング学習環境であるPENを用いてプログラミングの入門教育を行ってきた.本論文では,情報科学を専門としない学部の全6クラスの情報リテラシ科目のなかで実施した,90分 × 4回のプログラミング演習について述べる.当初は,キーボードから数字を読み込んで計算結果をディスプレイ画面に出力するような例題から始めて逐次・条件分岐・繰返しを学び,最後に図形を描画する単一のコースウェアを用いていた.その2年後,図形描画の例題から始めるタイプのコースウェアも開発し,クラスごとにどちらかのコースウェアを用いて演習を行ってきた.本論文では,2011年度から4年間の授業におけるアンケートおよび試験成績を統計的に分析した.その結果,図形描画をともなう例題を扱う方が,繰返しのようなつまずきやすい学習内容でも,理解度や楽しさを下げることなく学習できていることが分かった.
著者
阿部 博 敷田 幹文 篠田 陽一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.1006-1015, 2018-03-15

大規模なイベントネットワークではネットワーク管理手法の1つとしてsyslogを用いた運用監視が行われる.syslogメッセージに含まれるキーワード検知や閾値による異常検知などネットワークの異常が運用者に通知される.マルチベンダ機器によって構築される特殊なイベントネットワークでは,ログの意味解析やキーワードによる異常検知が行えない環境下であることが多い.本論文ではイベントネットワークで収集されるsyslogの総量による分析を行い異常を検知する手法を提案する.株式取引で用いられるボリンジャーバンドアルゴリズムを利用し,Interop Tokyo 2016で構築されたShowNetで収集されたsyslogの実データを用いて統計学的手法において軽量な計算による異常検出を行い,ボリンジャーバンドアルゴリズムの有効性を評価する.
著者
大場 みち子 山口 琢 高橋 慈子 小林 龍生
雑誌
情報教育シンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.67-73, 2016-08-15

大学ではレポート作成や卒業論文,学会発表原稿などで学習や研究成果を効果的にアウトプットする.これらの文章を効果的なものにするためには,論理的な文章作成力が求められている.我々は編集操作を記録する文章作成ツールを開発し,本ツールを用いたライティングプロセスに関する研究を実施している.本論文ではこの文章作成ツールを利用して、編集操作とアウトプット文章の評価との関係を分析した結果を報告する.論理的文章の修正前後の評価改善度と編集操作(修正操作)との関係性の傾向を予備実験の結果に基づいて説明する.
著者
脊尾 昌宏
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, 1998-05-15
著者
駒木 伸比古 佐藤 正之 村山 徹 森田 実 小川 勇樹
出版者
[三遠南信地域連携研究センター]
巻号頁・発行日
2017-09-30

本図説を作成するにあたり,以下の助成金を利用しました。・文部科学省「共同利用・共同研究拠点(越境地域政策研究拠点)」(代表者:戸田敏行)・日本学術振興会科学研究費「ポストまちづくり三法時代における大規模集客施設の越境地域政策に関する地理学的研究」(代表者:駒木伸比古)・日本学術振興会科学研究費「民主主義の規模と行政の自律的裁量」(分担者:村山徹)
著者
築地 毅 柴原 一友
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2017論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.163-170, 2017-11-03

本稿では,麻雀の捨て牌を自動選択させるのに効果的なCNN構成を提案する.近年ディープラーニングの技術が確立し始めており,特に画像認識分野において,既存の技術では困難であった特徴の自動抽出をディープラーニングおよびCNNで実現したことにより,非常に高い精度を上げるようになってきている.麻雀においてもニューラルネットワークやディープラーニングを用いた事例は発表されている.一方,麻雀特有の情報を特徴量としてコーディングしており,特徴を自動抽出するというディープラーニングの特性を活かした設計になっているとは言いがたく,人の設計の手を離れることで,さらに精度が向上する可能性はあると考えられる.そこで本稿では,麻雀の特徴を自動抽出して捨て牌を自動選択する学習を行うことを目的として,位置不変性や共有重みの概念を活かした,麻雀の学習用CNN構成を提案する.本稿で提案する牌のコーディング方法およびフィルターを組み合わせたCNN構成により,手牌と捨て牌だけという極めて単純な入力データを用いて,テストデータとの一致率を53.98%にまで上げる事に成功した.