著者
宮本 結佳
出版者
環境社会学会
雑誌
環境社会学研究
巻号頁・発行日
no.21, pp.41-55, 2015-12-25

近年,多様な建造物群や自然景観,歴史的景観を保存し,広く公開しようとする動きが活発化しており,その中でもとくに戦争,災害,公害,差別といった否定的記憶を伝承する負の歴史的遺産への関心が高まっている。歴史的遺産の中には多様な要素が含みこまれており,その中のどこに光をあてるのかを争点とする議論が活発化している。本稿では,差別をめぐる負の歴史的遺産であるハンセン病療養所を事例として取り上げ,この点について検討を行う。ハンセン病療養所をめぐる先行研究においてはこれまで「被害の語りが圧倒的に優位な立場を確立することで,そこに回収しきれない多様な語りが捨象されてしまう」点が問題として指摘されてきた。ハンセン病療養所の保存・公開においては「被害の語りが優位になる陰で捨象されがちな主体的営為をいかに伝えていくのか」が問われているのである。本稿では香川県高松市大島のハンセン病療養所における食をテーマとするアートプロジェクトを媒介とした保存・公開活動を事例として,この問いを検討した。活動の軸の1つである,大島を味わうことをテーマとしたカフェシヨルにおける取り組みの分析を通じ,そこでは楽しみを伴う主体的営為としての食をめぐる複数の生活実践が巧みに表象されており,従来捨象されがちであった入所者の多様な経験が継承されていることが明らかになった。人々によって紡ぎだされる物語が多様であることを鑑みれば,アートプロジェクトを含めたさまざまな手段を媒介として主体的営為を表出する取り組みを活発化させることが可能であると考えられる。
著者
Young-Ran Yeun
出版者
理学療法科学学会
雑誌
Journal of Physical Therapy Science (ISSN:09155287)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.365-369, 2017 (Released:2017-02-24)
参考文献数
16
被引用文献数
6

[Purpose] This study was conducted to identify and analyze the degree of effect of massage therapy on the range of motion of the shoulder. [Subjects and Methods] The database search was conducted using PubMed, CINAHL, Embase, PsycINFO, RISS, NDSL, NANET, DBpia, and KoreaMed. The meta-analysis was based on 7 studies, covered a total of 237 participants, and used a random-effects model. [Results] The effect size estimate showed that massage therapy significantly improved the shoulder range of motion, especially the flexion (SMD: 18.21, 95% CI 1.57–34.85) and abduction (SMD: 22.07, 95% CI 5.84–38.30). [Conclusion] The review findings suggest that massage therapy is effective in improving the shoulder flexion and abduction.
著者
中嶋(坂口) 名菜 高野 優 福島 英生 北野 直子 森 政博
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.331-336, 2012 (Released:2013-01-08)
参考文献数
21

【目的】マゲイシロップは血糖指数(GI: glycemic index)が低い甘味料として注目されている。そこでグラニュー糖の代わりにマゲイシロップを配合した食品を摂取してもらい,マゲイシロップの食後高血糖抑制効果について検討した。【方法】疾患を認めない若年成人女性7名を対象に,2006年4~9月の間に実施した。約12時間の絶飲・絶食後,早朝空腹時の血糖値を測定した。WoleverとJenkinsの方法に基づき,基準食の血糖曲線下面積(AUC: areas under the curve)を算出し,糖質量を基準食と同量に調整した8種類の試験食(ロールケーキ,アイスクリーム,ジャム,糖尿病食にグラニュー糖もしくはマゲイシロップを配合)を基準食と同じ方法で摂取させ,同一被験者による基準食,グラニュー糖配合,マゲイシロップ配合の3群比較を4食品ごとに行った。基準食のAUCを100として各試験食のAUCの割合を求めGIを算出した。【結果・結論】一般的に用いられるグラニュー糖を使用した食品(対照食)に比べ,マゲイシロップを配合した食品(ロールケーキ,アイスクリーム,ジャム)においてAUC,GIの有意な低下が示された(p<0.05)。本研究により一定量以上のグラニュー糖と置換したマゲイシロップ含有食品3種類(ロールケーキ,アイスクリーム,ジャム)において食後高血糖抑制効果が確認された。

8 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1944年02月10日, 1944-02-10

8 0 0 0 OA 新海事法令集

出版者
境川文庫出版部
巻号頁・発行日
vol.昭和9年版, 1934

8 0 0 0 OA 三人兄弟

著者
菊池寛 著
出版者
赤い鳥社
巻号頁・発行日
1921

8 0 0 0 OA 猫「ペスト」

著者
川村 六郎 村田 宮吉
出版者
日本細菌学会
雑誌
細菌學雜誌 (ISSN:18836925)
巻号頁・発行日
vol.1907, no.139, pp.370-385, 1907 (Released:2009-07-09)
著者
周 菲菲
出版者
北海道大学大学院文学研究科
雑誌
研究論集 (ISSN:13470132)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.111-135, 2013-12-20

この論文は,観光研究におけるアクター・ネットワーク論的なアプローチ の必然性と可能性を探求する。まず,従来の観光研究における全体論的な視 点の欠如とモノについての考察の不足といった問題点を指摘する。観光地対 観光者という二分法や,イメージ論のような表象分析の枠では,観光実践の 複雑性を十分に研究することができない。ここで,関係の生成変化に注目し, 人やモノ等の断片的な諸要素を,諸関係を構成する対称的なアクターと見て, それらのアクターが織り成すネットワークの動態の過程を把握するアク ター・ネットワーク論に注目する。そして,観光におけるモノの物質性と場 所の多元性の存在を論証し,観光者のような特定のアクターが観光ネット ワークの中で他のアクター(地域イメージ,モノ等)を翻訳し,自らの実践 に導く様相を,先行研究に基づいてまとめる。さらに,中国人の北海道観光 を例として,アクター・ネットワーク論に基づき,個的実践の共有化の過程 と,地域イメージのブラックボックス化の過程をまとめた。最後に,観光研 究へのアクター・ネットワーク論的アプローチを,地域の複数性を提示する 研究として提示してみた。

8 0 0 0 あとがき

著者
高倉 公朋
出版者
医学書院
雑誌
Brain and Nerve 脳と神経 (ISSN:00068969)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.419, 1982-04-01

最近悲しい計報が続いている。脳神経外科学会長を勤められた,札幌医科大学の橋場輝芳前教授と群馬大学川淵純一教授が相次いで亡くなった。御二人とも,我が国の脳紳経外科学発展のために,その生涯を捧げられたにとであった。 何よりも,私共にとって残念であったのは,川淵教授をはじめ,脳神経外科学会の若く前途ある医師が,昭和57年2月8日早朝のあの忌わしいホテルニュージャパンの火災によって不帰の旅路へと立たれたことであった。川淵教授は、すべての医療は患者のためにあり,患者の幸せだけを基本に考えて,診断も治療も,また研究も出発すべきことを常に説かれ,私共後輩にも教えられてきたのであった。その先生の理念が,我が国の脳神経外科学の進歩を正しい方向に向けてきた一つの原動力であったことは間達いない。
著者
曽我部 愛 Megumi Sogabe
雑誌
人文論究 (ISSN:02866773)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.64-81, 2010-02-20
著者
佐々木渉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.50, pp.57-60, 2008-05-21
被引用文献数
1

ヤマハ株式会社開発の音声合成ソフトウェア VOCALOID2 をエンジンとして初音ミクを代表とする DB (音声サンプル・データベース)を制作しはじめてから 1 年弱が経過致しました。その間 VOCALOID2 は、音楽制作やマルチメディアコンテンツにて積極的に活用され、動画投稿サイトを介して多くの人々に認識されていきました。本稿は、この一年間に於いての、初音ミクの規格開発者としての雑念からの考え、方向性を書き留めます。
著者
高城 弘一
出版者
実践女子大学
雑誌
実践女子短期大学紀要 (ISSN:13477196)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.109-119, 2013-03-19

今日の平仮名と片仮名の字母・字形(五十音図)に統一したのが、明治33 年の「小学校令」の「施行規則第十六条」および「第一号表」といわれる。明治初年の教科書で、仮名の表記が特徴的である『旁訓單語篇』、『幼童初學』、『学校童子訓』をもとに、平仮名および片仮名の表記に新しい見解を見出した。特に、『幼童初學』、『学校童子訓』の平仮名五十音表記では、現行の平仮名と字形に異同があるものは、「お」(「於」の変体仮名)のわずか1例のみであり、字母に関していうならば、すべてが現行の五十音と一致しているのを見出し、『幼童初學』と『学校童子訓』との関係を考察するに及んだ。