著者
佐々木 隆之
出版者
京都大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2000

平成13年度は、深地層における放射性核種の移行の促進・遅延に対し、それら元素に対する嫌気性微生物の影響の解明を引き続き行なった。微生物とアクチノイドの関わりについて溶液化学的な手法および分光学的手法を用いて検討した。地下環境で生息し得る嫌気性菌混合群とプルトニウム・ネプツニウム・プロトアクチニウム・ストロンチウム・セシウムとの相互作用を、吸着係数データを基に検討した。共存する自然環境水のpH及び酸化還元電位Eh、微生物の活性や放射性核種の酸化状態は、吸着の強さに影響する重要な要素である。さらに、微生物の寿命、アクチノイドイオンの化学状態が変化するのに要する時間、同イオンが膜上或いは膜内へ取り込まれる時間との相関について調査した。微生物の発育に適した35℃及び比較のため低温5℃下で各元素の収着実験を行った。その結果、複数の酸化数を取りうるプルトニウム・ネプツニウム・プロトアクチニウムと、一つの酸化状態しか取りえないストロンチウム及びセシウムでは、吸着計数の時間依存性が全く異なることが明らかになった。すなわち、前者は、時間と共に微生物自身或いはその代謝物によって化学種が変化し、吸着計数が初期値より数十倍から百倍程度増加した一方、後者は顕著な時間依存性を示さなかった。またその増加は実験開始後、数日で急激に起こり120日間持続した。実験に用いたプルトニウム濃度が低いため分光学的手法を用いた直接観察は困難であったが、データを総合的に分析することで、4価水酸化物及び吸着能の高い3価の状態を取り得、微生物による3価への還元反応も関与している可能性があると結論付けた。さらに、高温高圧で滅菌した微生物と低温で休眠状態にした微生物について、その収着能を比較した。
著者
山村 博三
出版者
診断と治療社
雑誌
産科と婦人科 (ISSN:03869792)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.529-533, 1970-05
著者
赤澤 史郎
出版者
立命館大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

本研究の成果は、三部に分かれる。第一部は「第二次大戦後の戦争犠牲者の補償問題」であり、戦後初期から1980年代末までの民間人戦争犠牲者の補償問題の推移を追ったものである。ここでは、日本における戦争犠牲者の補償が民間人をも含めた国民平等主義に立たなかった理由として、その補償政策の立案と実施が1950年代の逆コースの状況の中でおこなわれたためであったことを指摘している。とはいえ1960年代には民間人戦争犠牲者への補償要求運動が生じ、この運動は1970年代には一定の盛り上がりを見せて,議会にも野党の提案で戦時災害援護法案が上程されるが、1980年代に運動は退潮に向かうと述べられている。第二部は「名古屋空襲訴訟」であり、戦争末期の名古屋空襲で負傷した三人の民間人女性が、民間人に対して補償がないのは法の下の平等に反すると訴えた裁判について論じたものである。この裁判は1976年から1987年まで続いたものだが,ここでは訴訟の経過を記すとともに、その争点の性格を説明し,さらに訴訟の歴史的な位置づけに言及している。第三部は「戦時災害保護法小論」であり、第二次世界大戦中から戦後初期にかけて、民間人戦災者に対する援護法として存在した同法を扱ったものである。ここでは戦時災害保護法がその運用状況からすると、事実上補償主義に傾斜した性格であることを説明し、さらに戦災への補償の性格の強い給与金として、膨大な金額が支払われていた事実を指摘している。以上の三部によって,第二次世界大戦中から1980年代までの民間人戦争犠牲者の補償問題の推移を、全体的に明らかにしようとしたものである。
著者
森岡 正臣 佐藤 織枝
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.29-32, 2003-12-06 (Released:2017-11-17)

数学離れという言葉が言われ続けている現状の中で、生徒の実態を出来るだけ的確に把握するために、我々はいくつかの高等学校の生徒達に高等学校数学に対する意識調査を実施した。本稿ではその分析結果をいくつか紹介し、それに対して若干の考察を行ってみる。
著者
深田信四郎著
出版者
柏崎印刷
巻号頁・発行日
1982
著者
笠原 博徳
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.384-392, 2003-04-15

現在,共有メモリ型マルチプロセッサアーキテクチャは,半導体チップ上に複数のプロセッサを集積したチップマルチプロセッサから,デスクトップワークステーション,エントリレベルサーバ,スーパーコンピュータに至るまで,多くのコンピュータで採用されている.
著者
久保田 義弘
出版者
札幌学院大学総合研究所 = Research Institute of Sapporo Gakuin University
雑誌
札幌学院大学経済論集 = Sapporo Gakuin University Review of Economics (ISSN:18848974)
巻号頁・発行日
no.16, pp.123-161, 2020-02-29

本稿では,プラトンの対話編『パイドロス』においてソクラテス(すなわちプラトン)によって繰りひろげられたエロス論の特質について考察する。すなわち,パイドロスが朗読した弁論家リュシアスのエロス論と対比してソクラテス(すなわちプラトン)のエロス論を検討し,両者の違いも考察する。その対比を通して,ソクラテス(プラトン)のエロス論の特質を鮮明にされる。対話においてソクラテスは二つのエロス論を提示しているが,それぞれは,まったく異なった二つの立場からのエロス論である。その一つは,リュシアスと同様に恋する人ではなく,恋してはいない人を愛するエロス論であり,他は,恋している人の方を愛するエロス論であった。 本稿では,現世の美しい人を目にし,そこから美の真実在から現実(この世)の美を認識する認識論としてのイディア説が示される。その認識論は,プラトンの対話編『饗宴』で検討した認識論の拡張,深化あるいはその延長線上にあるものであるが,プラトンは,神(あるいはデーモン)の存在を強調し,真実在の認識には神あるいはデーモンの働きを欠くことができないと主張している。プラトンのように,ある実体を認識するには,神の存在を持ち出す必要があるのかどうかは,疑問であると考えられている。そのため,今日の科学の時代において,これがプラトンの認識論を積極的に評価されない一面である。 本稿では,また,弁論術についても紹介される。その真実在を伝え教える方法として,プラトン自身によって開発されたディアレクティケー(哲学的問答法)を説明する。その方法と,プラトンが活躍していた当時の弁論術(言論の技術)あるいはソフィストの詭弁術との違いを示す。ソフィストは,事柄の真実在ではなく,世間の人達に受け入れられること,あるいは受け入れられるであろうと思われることが真実であると考え,その事柄を理路整然と語るひとが知恵者であると言うが,プラトンはその立場には与せず,彼の言論の術を展開する。その言論の術は,彼のイディア説に裏打ちされた言論の術(弁論術)である。論文
著者
堀田 進
出版者
Japanese Society of Tropical Medicine
雑誌
Japanese Journal of Tropical Medicine and Hygiene (ISSN:03042146)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.369-381, 2000-12-15 (Released:2011-05-20)
参考文献数
46
被引用文献数
3 3

This series of papers will present an overview on dengue fever and dengue viruses. i.e., history, symptomatology, pathology, virus isolation, basic properties of viruses, pathogenesis, prevention, epidemiology, etc.The present issue consists of two chapters. The first chapter contains such sections as : historical aspects, relatedness to other arboviruses, nomenclature and classification.The second chapter describes big dengue epidemics which occurred in Japan during 1942-1945. Port cities such as Nagasaki and Kobe were heavily infected. The first onset was among seamen of cargo boats which were connecting those port cities and Southern areas such as Philippine Islands, Malaysia, Indonesia, New Guinea, etc. About two hundred thousand typical cases were reported and the whole number of patients including abortive and unrecorded ones were probably much greater. This was the first and only outbreak of dengue fever in Japanese main islands and also one of the grearest dengue epidemics ever recorded in the temperate regions.Chapters describing the other items will follow in later issues of this Journal.
著者
升岡 繁 西村 佳子 高畑 康浩 陳 蘭庄
出版者
南九州大学
雑誌
南九州大学研究報告. 自然科学編 = Bulletin of Minamikyushu University (ISSN:1348639X)
巻号頁・発行日
no.46, pp.41-48, 2016-04

アポミクシスは母親の遺伝子型だけが子供に伝わる生殖である。この形質を実用すれば,一代雑種の固定や栄養繁殖性植物の種子繁殖性植物への転換が可能になるなど,「緑の革命」以上の経済効果が期待される。本研究室では,アポミクシス性ギニアグラスからアポミクシス性特異的遺伝子(ASG-1)をクローニングしている。ASG-1の機能解析を行うため,栄養繁殖性植物のサツマイモへの遺伝子導入実験を実施している。本研究では,サツマイモの遺伝子導入実験をネッパジーン社の装置を用いて,種子を使って行うことを目標としているが,最初の取り組みとしてまず,コダチアサガオを用いたサツマイモとの接ぎ木を行い,サツマイモ品種の「コガネセンガン」,「ナルトキントキ」,「ベニアズマ」を掛け合わせ,獲得した種子にレポーター遺伝子であるGUSを導入する実験を実施した。その結果,1) 交雑和合性によるサツマイモ品種の選別: 九州沖縄農業研究センターの判断基準に照らして6つの品種・系統の中から3つの品種を選定することができた。2) 花粉親と種子親の選別による種子結実: 今回接ぎ木で使用したサツマイモの3品種について,正逆交雑によって種子生産を目的とした実験で,それぞれコガネセンガン・ベニアズマ・ナルトキントキの種子を獲得できた。3) 種子への直接遺伝子導入実験: エレクトロポレーションによる種子への直接遺伝子導入を行い,遺伝子導入の有無についてGUS染色を行ったところ,施したすべての条件下で,初めてサツマイモの種子および幼苗を用いたが,いずれもGUSの発現が認められた。今後はGUS発現が認められた条件下でpWI-H5Kを用いてジェネティシンによる植物体作出のための選抜を行っているところである。
著者
長崎 慶三
出版者
日本微生物生態学会
雑誌
Microbes and environments (ISSN:13426311)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.109-113, 1998-06-30
参考文献数
13
被引用文献数
3

Three ways of the transformation and degradation of dimethyl sulfide (DMS) by marine microorganisms or by their products are reviewed. DMS is transformed to methyl mercaptan and formaldehyde under oxic conditions by some strains of sulfur oxidizing bacteria and methylotrophs. DMS is transformed to dimethyl sulfoxide (DMSO) under oxic conditions by the bacterium which utilizes DMS as a sulfur source, ammonia oxidizers, methanotrophs, and photosensitizers produced by marine algae. DMS is transformed or degraded under anoxic conditions by some strains of methanogens and phototrophic bacteria.
著者
小林 一昭
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.393-412, 1999-11

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。サブゼミ
著者
小林 一昭
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.393-412, 1999-11-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。