著者
中根 俊成
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.1071-1073, 2013-11-01 (Released:2013-11-29)
参考文献数
4
被引用文献数
3 3

Autoimmune autonomic ganglionopath(yAAG)は比較的新しい疾患概念である.一次性自律神経性ニューロパチー患者血清における抗ganglionic acetylcholine recepto(rgAChR)抗体の検出により,AAGと呼称されることが一般的となっている.われわれは本邦ではじめて抗gAChR抗体の測定系を確立した.サブユニット毎の測定が可能であり,定量性を有する測定系である.この測定系確立以降,全国からの抗体測定依頼を受ける態勢を整備した.現在,抗gAChR抗体測定を含んだAAGの臨床像解析と,自律神経障害を呈するAAGなどの神経疾患にこの抗体が関与する可能性についての検討を進めている.
著者
堀本 ゆかり 山田 洋一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.G3P1576, 2009

【目的】学力向上は理学療法実践能力の獲得のために必要不可欠な要因である.先の報告で、学生の認知領域を修飾する要因は勤勉性であり,学習にあたっては抑うつが伴うが,効率を高めるためには活力が必要であることがわかった.今回は,Goldbergのチェックリストより勤勉性を観測変数として構造方程式モデリングを用い,関係の深い性格的特性の抽出を目的に分析したので報告する.<BR>【方法】対象は本校在学生290名で,平均年齢は20.69歳(±2.78)である.今回は特にI期生75名のデータを中心に解析した.<BR> 知識・技能面の指標は定期試験総合得点とし,情意領域の指標はGoldbergのチェックリストを使用し,共分散構造分析を実施した.情動の指標は気分プロフィール検査(POMS),抑うつに関する指標はSDSを使用した.<BR> 対象には、研究の主旨・方法について事前に説明し、同意を得た上で調査を開始し,統計処理に関しては個人情報の扱いに十分留意した.<BR> 統計処理は日本科学技術研修所製 JUSE-StatWorks/V4.0 SEM因果分析編を使用し解析した.<BR>【結果】まず、POMSデータより各学年の項目の分布と、4年生の定期試験成績が上位・中位・下位に分類し同様に分布を確認したところ,抑うつが高く,活力が低い傾向を示した.成績分類下位群は抑うつが高く,特に活力が低い傾向がみられた.<BR> 次にI期生のデータより観測変数である勤勉性に対するチェックリスト7項目(プラス方向の形容詞を採用)を指標として因子構造を分析した.カイ二乗検定での検定推定値は17.29,P値は0.24である.作成されたパス図の適合度判定ではAGFI0.88,CFI0.97,RMSEA0.06と比較的良好な適合度が得られた.直接効果を示すパラメータ推定値は勤勉0.84,計画性のある0.69,徹底的0.62,責任感のある0.61は比較的大きな値を示したため,最終学年への進級群と非進級群で同様にパス図を作成した.結果,勤勉は両群とも最も高い関係性を示した.進級群に対して非進級群は責任感のあるでは高く計画性のあるでは低いパラメータ推定値を示した.特に徹底的では進級群0.68に対して非進級群0.09と低い値を示した.非進級群のSDSデータでは抑うつ状態は低い傾向であった.<BR>【考察】臨床能力向上にあたっては,問題解決能力は不可欠である.臨床実習を実りのあるものにするために学内で基礎学力を向上しておくことは大きな課題である.非進級群の勤勉性に関する性格的因子では,課題を遂行しなければならないという責任感はむしろ進級群より大きかったが,計画性や徹底性の因子では勤勉性に対する関係性が弱くなっている事がわかった.この項目が低い値の学生に関しては,細かな目標設定と都度進捗状況の管理が必要であると考える.正規のカリキュラムとは別に個別指導の重要性が示唆された.
著者
飯田 嘉宏 高島 武雄
出版者
社団法人 日本流体力学会
雑誌
日本流体力学会誌「ながれ」 (ISSN:02863154)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.203-211, 1988-09-30 (Released:2011-03-07)
参考文献数
19

Vapor explosion phenomena and recent experimental studies on the microscopic mechanism of them are described.The vapor explosion accidents in metal and pulp industries are reviewed. The explosions occurred in the SL-1 reactor and the Chernobyl power reactor station are also said as the vapor explosion. The experimental results are summarized and the necessitive four stages for the occurrence of a large scale vapor explosion are shown. The spontaneous nucleation theory and the thermal detonation theory, which are the typical models of the vapor explosion, are explained.Vapor explosion experiments using single drops of molten LiNO3 submerged in ethyl alcohol are described. High-speed films of explosion configuration are compared with the induced pressure traces and the pressure is found to be the control factor of the phenomena. The propagation stage, which is important for a large scale vapor explosion, is photographed in plural drops experiments. A qualitative model of vapor explosion is presented.
著者
竹田 辰興 彌政 敦洋
出版者
社団法人 プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.78, no.9, pp.842-856, 2002 (Released:2005-12-08)
参考文献数
57

Applications of neural networks to data analysis and control of fusion plasmas are reviewed. First, a brief introduction to the general features of a neural network is presented, where the neural network is considered as a continuous mapping device, a classification device, a statistical processing device, and a time series predicition device. Then, the applications of neural networks to the research field are explained where the problems to be solved are classified a sfitting function, shaping an experimentally obtained spectrum, analyzing equilibrium quantity, prediction, tomography, and control problems. Throughout the article, we restrict ourselves to description of applications of multi-layer neural networks.
著者
山本智矢
雑誌
JOHNS
巻号頁・発行日
vol.17, pp.1813-1816, 2001
被引用文献数
1
著者
伊藤 太一
出版者
日本森林学会
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.125-135, 2009 (Released:2011-04-05)

近年自然地域におけるレクリエーションのための入域や施設利用、インタープリテーションなどのサービスに対する費用負担が国際的課題になっているが、日本では山岳トイレなど特定施設に限定される。ところが、江戸時代の富士山においては多様な有料化が展開し、登山道などの管理だけでなく地域経済にも貢献し、環境教育的活動の有無は不明であるが、環境負荷は今日より遙かに少なくエコツーリズムとしての条件に合致する。そこで本論ではレクリエーション管理の視点から、登山道と登山者の管理およびその費用負担を軸に史料を分析し、以下の点を明らかにした。1)六つの登山集落が4本の登山道を管理しただけでなく、16世紀末から江戸などで勧誘活動から始まる登山者管理を展開することによって、19世紀初頭には庶民の登山ブームをもたらした。2)当初登山者は山内各所でまちまちの山役銭を請求されたが、しだいに登山集落で定額一括払いし、山中で渡す切手を受け取る方式になった。さらに、全登山口での役銭統一の動きや割引制度もみられた。3)同様に、登山者に対する接客ルールがしだいに形成され、サービス向上が図られた。4)一方で、大宮が聖域として管理する山頂部では個別に山役銭が徴収されるという逆行現象もみられた。
著者
中村 一
出版者
京都大学農学部附属演習林
雑誌
京都大学農学部演習林報告 = BULLETIN OF THE KYOTO UNIVERSITY FORESTS (ISSN:0368511X)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.190-197, 1965-11-15

造園計画の哲学的側面は2つの問題に関して顕著にあらわれる。第1に造園が他の物的諸計画 (建築, 土木など) と協同して有機的生活環境を作り上げるための統一的な理論はないだろうかという問題がある。そのような理論的体系のひとつとして哲学そのものがある。ただしその哲学は科学との明確な相違点を自覚しつつ, しかも科学の諸成果を価値領域にもちこんで, 人間の未来を実験的に築いていくための理論を提供するものでなければならない。第2に専門化した造園計画の特色はなにかという問題がある。その特色は造園が扱う自然的材料にみられるが, ここで自然という言葉の哲学的内容が問題化する。私は自然の本質的特性である安定性と不安定性に注目して, 不安定性要因をより多くもつものとして, 「みかけの自然」の概念を仮説的に使用することによって造園計画の特色をより深い意味でとらえようと試みた。
著者
中村 一
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.14-15, 1955-11-10
著者
佐藤 嘉倫
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.1-14, 1987-10-01 (Released:2009-03-01)
参考文献数
9
被引用文献数
1

本稿の目的は媒介主体と被媒介主体の関係と相互作用に関する対抗的分業論を2人チキン・ゲームとして定式化することである。このための準備作業として、初めに次のことを明らかにする。すなわち媒介主体は(指導,支配)という戦略を取ることができ、被媒介主体は(異議申し立て,防衛)という戦略を取ることができる。そして媒介主体が指導戦略を選択し被媒介主体が異議申し立て戦略を選択する時、対抗的分業が成立する。 しかし対抗的分業はつねに成立するわけではない。このことは(指導,異議申し立て)という状態が両プレイヤーによってつねに選択されるわけではないことを意味する。つまり対抗的分業ゲームは支配戦略のないゲームである。そこで本稿ではこの対抗的分業ゲームをチキン・ゲームとして定式化する。 通常のゲームの規則では、対抗的分業は成立しない。そこで通常のゲームの規則とプレイヤーの行動基準を変更したS. J. Bramsの継起的ゲームを対抗的分業ゲームに適用する。そして東京ゴミ戦争、排ガス規制問題という事例の分析を通じて、対抗的分業が成立・失敗するメカニズムを明らかにする。