著者
藤岡 正人
出版者
一般社団法人 日本耳科学会
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.223-229, 2017 (Released:2019-02-13)
参考文献数
19

再生医療とは、自己修復能が限られている部位での失われた組織・臓器の人為的再構築による治療を指し、イモリなどの生物と異なり元来内在性再生能に乏しい人類にとっては大きなチャレンジである。我が国のように治療目的でのヒトの臓器や細胞の確保が困難な医療状況下においては、再生医療の実用化に対する社会的要請がとくに大きく、再生医療新法の成立や再生医療製品の早期承認制度など、技術革新を産業化に結びつける試みが国家レベルで急速に推し進められている。かつては再生能がないと考えられていた内耳においても、科学の急速な進歩により、蝸牛幹細胞の採取1)やES/iPS細胞を用いた内耳細胞の作成が可能となり2)〜4)、現在、企業も含めた「内耳再生医療」の開発競争が国内外で始まりつつある。本稿では産・学・官をまたいだ本邦における再生医療全体の概要を整理し、実用化に向けて我々が求められるステップやハードルについて概観したのちに、基礎研究レベルでの内耳再生に関する国内外の知見を整理したい。
著者
新島 溪子
出版者
日本土壌微生物学会
雑誌
土と微生物 (ISSN:09122184)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.15-18, 1981

1976年秋に国鉄小海線沿線をはじめとして中部山岳地帯でキシャヤスデJaponaria laminata(ATTEMS)が大発生した。キシャヤスデは日本固有種で,関東および中部地方に分布が限られ,約60年前から大発生による列車妨害の記録が残されている。秋に大発生したキシャヤスデはすべて成体で,その年の冬は10〜30cmの深さの土壌中で越冬し,翌年6月頃に交尾,産卵して一生を終える。卵は約1ケ月でふ化し,翌年から年1回つつ脱皮し,7年目に成体となる。幼虫はすべて地中で生活し,成体となった直後に群れをなして地表面をはいまわる。すなわち,気象条件や環境条件の激変がない限り,大発生の年から数えて8年目に再び大発生する可能姓が高い。このような観点から過去の記録を整理してみると,小海線浴線では8年周期でキシャヤスデが大発生していることがあきらかとなった。
著者
市川 健夫
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.215-231, 1963
被引用文献数
1

1) 八ガ岳山麓西斜面における土地利用は,昭和恐慌・太平洋戦争・戦後を経て大きく変化した.広大な採草地は大部分が林地化し,一部は開拓された。馬産地であつた南部では,酪農が伸びて従来の養蚕にかわり,日本的な混合農業が営まれている.中部・北部では,部分的に洋菜・花卉が発展しているところもあるが, 1929年に三沢勝衛が規定した「穀桑式農業」が構造的な変化をうけずに維持されている.<br> 2) 東斜面の野辺山原では,戦前粗放的な牧野利用が卓越し,後進地域に属していた.ところが1936年の小海線全通後,集約的な遠郊式農業が始められた.さらに戦中・戦後を通じて開拓が大規模に進み,土地景観は一変した.現在ここでは酪農と自由式遠郊農業が有機的に結びついた商業的混合農業が成立しっっある。<br> 3) 八ガ岳の東・西斜面における土地利用は地域類型が異なり,きわめて非対称的であるが,いずれも高冷農業地域として高度な発展段階を示している。
著者
渡邉 力夫 澁谷 優樹 菅原 洋平
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.136, no.1, pp.4-7, 2016

1.はじめに 東京の最高気温が連日35度を超えていた8月初頭であるにもかかわらず,涼しい風が吹く高原らしい爽やかさを体感できるJR小海線「野辺山駅」は,JR線の駅としては最高標高
著者
サンサシオン編
出版者
サンサシオン
巻号頁・発行日
1932
出版者
名古屋画廊
巻号頁・発行日
2005

1 0 0 0 OA 本邦教育史

著者
大束重善 著
出版者
大日本図書
巻号頁・発行日
1894

1 0 0 0 OA 学校管理法

著者
田中敬一 編
出版者
金港堂
巻号頁・発行日
1897

1 0 0 0 OA 管理法教科書

著者
田中敬一 著
出版者
金港堂
巻号頁・発行日
1902
著者
森 一幸 中尾 敬
出版者
長崎県農林技術開発センター
雑誌
長崎県農林技術開発センター研究報告 (ISSN:18848605)
巻号頁・発行日
no.4, pp.51-72, 2013-03

1)赤肉バレイショ「西海31号」は,加工適性が高い品種である。春作マルチ栽培における慣行栽培(2月上旬植付け,5月中旬収穫)では,主要品種「デジマ」,「ニシユタカ」に比べて収量性が低いことから,多収かつ商品化率が高い安定生産を可能にする栽培条件(栽培期間,被覆資材,栽植密度)および芽出し作業の省力化について検討した。2)2月下旬植え付けでは,慣行栽培(2月上旬植付け,5月中旬収穫,透明マルチ)に比べ,被覆資材の種類に関わらず出芽期は遅れ,収穫時の茎葉の黄変も遅れた。3)2月下旬植え付け6月上旬収穫では,慣行栽培に比べ,上いも重は増加した。4)透明マルチを用いた栽培では,生育日数の延長により,慣行栽培に比べ,二次生長発生重量率が増加するが,黒マルチを用いた栽培では慣行栽培と同等な発生率で,透明マルチよりも商品重量が高かった。5)6月上旬収穫では黒マルチ,黒メデルシートとも,標準植に比べ,密植により平均1個重は小さくなるが増収し,さらに,二次生長重量率が低下するため,商品重量は高くなった。6)バレイショ「西海31号」の栽培の高収量を実現する栽培条件(栽培時期および被覆資材)は,植え付け時期を2月下旬,収穫時期を6月上旬とし,黒マルチあるいは黒メデルシートを使用し,慣行栽培よりやや密植することである。7)黒メデルシートの利用あるいは機械移植栽培により,芽出し作業時間を大幅に削減でき,慣行栽培と同等な収量が得られた。