著者
Tachibana Takashi
出版者
ギリシア語・文学研究会
雑誌
ΠΡΟΠΥΛΑΙΑ (ISSN:09157425)
巻号頁・発行日
no.7, pp.63-77, 1995-12-31

12世紀から15世紀にかけて盛んに生み出されたビザンツ民衆ギリシャ語のテキスト群は、現代ギリシャ語の特徴を多く含んでいる点で、ギリシャ語の史的発展の研究にとって貴重な資料である。本稿は、現代ギリシャ語に特徴的な現象である複合前置詞(=副詞+前置詞)のうち、,「内部」概念を表現する形態に焦点を当て、これがビザンツ民衆ギリシャ語テキストでは、どの程度の成立をみているのかを考察する。考察は、形態論的、統語論的、意味論的という三つの観点から分析的になされる。1)形態論的観点からは、「内部」表現にはどのような副詞が使用されるのかが調査される。現代標準語では、ほとんど唯一の形態として副詞μ#σαが用いられる。ビザンツ民衆語では、その時期に応じて通時的変遷が観察される。すなわち前半期には中世語独自のαπέσωと現代語に伝わるμέσα、さらにこれらと並んで古典語伝来の様々な副詞が用いられるのに対し、後半期にはαπέσωとμέσαの二本立てになる。しかし、いずれの場合にも、若干のテキストをのぞいては、απέσωの方がμέσαよりも使用頻度が高い。2)統語論的観点からは、各副詞がいかなる統語的特徴を示すのか、すなわち、どのような要素と共起し得るのかが調査される。現代μέσαは前置詞σε及びαπόと共起し得る。ビザンツ民衆語では、全時期を通じて、副詞は前置詞εις(またはこれに由来する現代語形σε)とαπό(またはこれと類似の意味を持つ古風なεκ)との共起例が多数観察される。3)意味論的観点からは、基本的な空間概念である「存在」「接近」「分離」「通過」と「内部」概念との組み合わせの表現が、どのような形態によって実現されるのかが記述される。現代語では、基準となる対象の「内部の存在」「内部への接近」は副詞μέσα+前置詞σεによって、「内部からの分離」「内部の通過」は副詞μέσα+前置詞απόによって表現される。ビザンツ民衆語でも同様に、「内部の存在」「内部への接近」は種々の副詞と前置詞εις(またはσε)との結合により、「内部からの分離」は前置詞από(またはεκ)との結合により表現される。(「内部の通過」は明確な例が見出されない。)以上の結果を、ビサンツ民衆語における複合前置詞の成立の度合いという点からまとめるならば、統語論的・意味論的には十分に現代語的特徴を備えているが、形態論的すなわち使用される副詞の形態という点では、中世語的特徴を示している。
著者
大井 次三郎
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類,地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.25-36, 1933

112)チシマルリサウ チシマルリサウは碧色の花の美しい海岸植物で南千島の色丹島から得撫島にかけて分布する,その学名は巴里博物館のH.HUMBERT教授の厚意に依ってSteenhammera pterocarpa TURCZ. を改めたMertensia pterocarpa (TURCZ.) TATEWAKI et OHWIと成らねばならぬ事が明らかに成った.従来はMertensia rivularis DC. の変種と考えられていたが此の植物は沿海州産のもので小果の周縁に鋸歯がある別種でHULTEN氏が勘察加植物誌に図解して居る.又著者の一人は誤って色丹植物誌中にMertensia kamtscbatica DC.の名を用いたが此れは北千島から勘察加に分布するタカヲカサウの異名であって小果の形ちは似て居るが全体に多少の絨毛があり,萼列片の形ちも質も少々違う別種である.113)チシマイハブキ 真のSaxifraga panctata LINN. は本邦では朝鮮の北部にのみ産する花序の疎な茎葉に軟毛のある種類であってチシマイハブキにあてるのは正しくない.チシマイハブキは北米北部に生するSaxifraga Nelsoniana DON に最も近似して居るがそれよりも花序が密でないのと葉身や葉柄に密毛の無い点が違う.チシマイハブキは北海道,千島,樺太及び勘察加に分布して居るが本州及び朝鮮では未知のものに属する,従って朝鮮産の真のS. punctata LINN. には和名がなくなるので新しくテフセンイハブキと呼ぶことにする.114)リウキウヒエスゲ 琉球の国頭郡佐手で小泉博士が採取せられたヒエスゲ近似の新種で,本州四国等の南海岸に分布するアヲヒエスゲに酷似して居るものであるが雌花鱗片が卵状三角形で漸尖頭であるのと果〓が平滑で脈が多いのとその肩の部分が急に狭まらぬ点が違う,又果〓の脈が多い点等台湾産のタツタカスゲとも似て居るが果〓が平滑でその側面が膨れて居る事や痩果の頂部に円盤状の付属物がある点が違う.Carex xollifera OHWIと呼ぶ.
著者
Paula Tiili Jukka Putaala Juha Mehtälä Houssem Khanfir Jussi Niiranen Pasi Korhonen Pekka Raatikainen Mika Lehto
出版者
The Japanese Circulation Society
雑誌
Circulation Journal (ISSN:13469843)
巻号頁・発行日
pp.CJ-18-0975, (Released:2019-01-25)
参考文献数
44
被引用文献数
7

Background: Intracranial hemorrhage (ICH) is a devastating complication of oral anticoagulation. The aim of this study was to describe the spectrum of ICH and to evaluate the association of warfarin control with the risk of ICH in a nationwide cohort of unselected atrial fibrillation (AF) patients. Methods and Results: The FinWAF is a retrospective registry-linkage study. Data were collected from several nationwide Finnish health-care registers and laboratory databases. The primary outcome was any ICH (traumatic or non-traumatic). The quality of warfarin therapy was assessed continuously by calculating the time in therapeutic range in a 60-day window (TTR60). Adjusted Cox proportional hazard models were used. A total of 53,953 patients were included (53% men; mean age, 73 years; mean follow-up, 2.94 years; mean TTR, 63%). In 129,684 patient-years, 1,196 patients had ICH (non-traumatic, 53.5%; traumatic, 43.6%; traumatic subdural, 38.6%); crude annual rate, 0.92%; 95% CI: 0.87–0.98). A lower TTR60 was significantly associated with higher risk of ICH (TTR60 ≤40% vs. TTR60 >80%; adjusted hazard ratio, 2.16; 95% CI: 1.83–2.54). Other variables independently associated with ICH included age >65 years, previous stroke, male sex, low hemoglobin, thrombocytopenia, elevated alanine aminotransferase, and previous bleeding other than ICH. Conclusions: Poor control of warfarin treatment was associated with elevated risk of ICH. Approximately half of the ICH were traumatic, mainly subdural.
著者
一戸 正勝 斉藤 朋子 岡野 清志
出版者
日本マイコトキシン学会
雑誌
マイコトキシン (ISSN:02851466)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.109-114, 2001-07-31
参考文献数
8
被引用文献数
1 2

イラン産の輸入ピスタチオナッツについてアフラトキシン生産性を有する<i>Aspergillus flavus</i>の汚染状況について調査研究を行った.輸入港において,検査対象となった生ピスタチオナッツおよび生産地が特定された生ピスタチオナッツについてアフラトキシン生産菌の分布状況を調査したところ,行政検査でアフラトキシン陽性となった試料では<i>A. flavus</i>のアフラトキシン生産菌の比率が高く,陰性試料では<i>A. flavus</i>の検出量が多い場合でも生産菌の比率が低かった.種実の内果皮と仁に分けて菌分離を行ったが,個々の検査粒により異なっており,一定の傾向はみられなかった.イラン国内のピスタチオ生産地域により,アフラトキシン生産菌の分布が異なっていた.
著者
Fortin Helene Tomasi Sophie Jaccard Philippe ROBIN Valerie BOUSTIE Joel
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
Chemical & pharmaceutical bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.619-621, 2001-05-01
参考文献数
18
被引用文献数
19

A new coumarin identified as 5-hydroxy-6-methoxy-7-(3-methyl-but-2-enyloxy)-2H-1-benzopyran-2-one (isoobtusitin) was isolated from Psiadia dentata. This compound showed, in vitro, a moderate inhibitory activity against poliovirus and a very weak activity against (HIV), whereas it was inactive against (HSV1), (VSV), and murine tumoral cell lines (3LL, L1210).
著者
仲川 勇二 施 學昌 阿辻 茂夫 木村 作郎 仲川 希
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.17-22, 2010
参考文献数
11

本論文で,二目的多制約非線形ナップザック問題(変数分離形離散最適化問題)に対して意思決定者が希望する領域の有効解(パレート最適解,非劣解,または非優越解とも呼ばれる)を"厳密"に列挙する解法を提案する.ここで言う"厳密"とは,1)有効解であることが厳密に保証されていることと,2)隣り合う有効解の間に厳密な意味で欠けがないことの二重の意味である.1)に関しては仲川・疋田の定理を用いることで,2)に関しては2個の有効解によって形成される長方形(有効矩形)(Visee等の拡張)を含む領域内のすべての実行可能解を列挙することで有効解を欠けることなく"厳密"に列挙可能である.本解法の効率性を確かめるために二目的0-1ナップザックテスト問題を用い,実用規模の問題が実用的な時間で解けることを報告する.
著者
脇坂 聿雄 林 真二
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.345-353, 1966 (Released:2007-07-05)
参考文献数
14

ナシ花粉の簡単な貯蔵法として, 家庭用電気冷蔵庫を用い, 1年間貯蔵した花粉を供試して, 二十世紀の結実率, 果実肥大, 含有種子数などについて調査した。1. 1962~1965年の4か年にわたり, 1年間電気冷蔵庫で貯蔵した花粉の発芽率をみた結果, 最適条件の場合, 長十郎80.3%, 晩三吉67.4%, 八雲85.0%で, 新鮮花粉に比較して5~10%の低下率であつた。2. 1年間貯蔵した花粉を二十世紀に人工授粉した結果, 発芽率30%以上の花粉であれば, 結実率も80%以上となり, 新鮮花粉区と変わらなかつた。幼果の発育および収穫果重も, 両者の間にほとんど差を認めなかつた。3. 貯蔵花粉でも, 発芽率が30%以上であれば, 含有種子数も平均7個以上となり, 果肉細胞, 糖度, 酸などいずれも新鮮花粉区に劣らず, 実用に供して何ら支障のないことを認めた。4. ナシ花粉の貯蔵上注意すべきことは, 樹勢のよい樹から採花し, 摘花から開葯, 冷蔵庫搬入までの時間を24時間以内とし, 湿度は30~50%, 温度を年間5°Cに保てば, 約70%以上の発芽率をもつた花粉が得られることを確認した。
著者
室井 貴史 長屋 征悟 木竜 徹 村山 敏夫
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.608-615, 2014 (Released:2014-08-15)
参考文献数
23

In recent years, the applications of an idea on muscle synergies have been increasing in terms of a coordinated muscle activities for motions. However, a few studies have discussed the relationship between muscle synergies and dynamic motions. We examined the relationship for squatting, pedaling, and ski turning that have the different reproducibility. Furthermore, we discussed the influence of muscle fatigue on muscle synergies. As a result, the robustness of muscle synergies are different depending on the degree of reproducibility of motions and the synergy profiles and weights are effective to identify the small number of muscles that should be measured. Nevertheless, muscle synergies should be further studied regarding the assessment of muscle fatigue with the ling-term trend and fatigue-related changes in muscle coordination.
著者
増田 孝一郎
出版者
日本古生物学会
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編
巻号頁・発行日
vol.1971, no.84, pp.205-224_1, 1971

AmussiopectenはSACCO(1897)によって提唱されて以来, 世界各地の第三系から多くの種が報告された。しかし, 北米および南米からはその存在が既に予想されていたのにも拘らず(Cox, 1942), 従来Amussiopectenの報告は全くなかった。今回筆者は, COXの予想に基き, 北米・中米・南米のPectinidaeについて詳しく検討した結果, AmussiopectenがLate OligoceneからMiddle Mioceneにかけて, 南北アメリカ大陸に広く分布していたことを確認することができた。すなわち, 既知種ではカリフォルニアのPecten vanvlecki ARNOLD (1907), 西インド諸島のPecten antiguensis BROWN(1913), コスタ・リカのPecten preglyptus OLSSON(1922), ベネズエラのPecten churuguarensis F. and H. HODSON(1927)などが, 明らかにAmussiopectenに属するものであることが判った。さらに, Amussiopectenの新種をプエルト・リコ, トリニダッドおよびメキシコから3種発見した。この中, メキシコからの1種は個体数が少なく, 保存も余り良好でないので新種の記載は差控えた。AmussiopectenはFlabellipectenに属するものであると考えている学者がヨーロッパには少なくないので, その分類の混乱は甚しい。しかし, 両者は画然と区別されるべきものであると筆者は考えている。本論文ではAmussiopectenの特徴を詳しく論じたほか, 類似属との関連, 既知種および新種の記載と相互の関連, およびAmussiopectenの古生物学的意義を論じた。
著者
Cotton Nathalie
出版者
日本フランス語教育学会
雑誌
Revue japonaise de didactique du fran&#231;ais (ISSN:18805930)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.168-176, 2009

Dans les avant-propos des manuels, les auteurs indiquent que les demarches respectent les orientations du Cadre Europeen Commun de Reference des langues favorisant le developpement des competences de communication et nous rappelant ainsi que l'approche communicative est maintenant officialisee dans les textes europeens et segmentee en six niveaux de competences. Avec une telle tendance methodologique, comment resoudre les difficultes de nos apprenants asiatiques? De surcroit, dans les representations de nombreux apprenants, la grammaire francaise est consideree comme etant tres difficile, decourageant parfois ces apprenants chez qui la motivation intrinseque est rare. Nous proposons de reflechir sur ces themes a travers l'analyse de manuels generalistes de FLE a visee universaliste, d'entretiens avec des enseignants de Taiwan et a partir des donnees recoltees dans le cadre de nos recherches doctorales aupres d'etudiants de francais dans des universites taiwanaises.

1 0 0 0 OA 天保撰要類集

出版者
巻号頁・発行日
vol.[270] 第九十五 下 町人諸願之部 上,
著者
坂口 淳[作詞]
出版者
ビクター
巻号頁・発行日
1956-03
著者
坂口 淳[作詞]
出版者
ビクター
巻号頁・発行日
1956-03
著者
楢崎宗重編著
出版者
講談社
巻号頁・発行日
1990