著者
永島 宏 村瀬 弘人 米崎 史郎
出版者
宮城県水産研究開発センター
雑誌
宮城県水産研究報告 (ISSN:13464329)
巻号頁・発行日
no.8, pp.15-25, 2008-03
被引用文献数
5

春季仙台湾周辺海域に分布する優占種であり、ミンククジラの餌生物として重要であると共に、沿岸漁船漁業の漁獲対象資源であるイカナゴ、ツノナシオキアミについて、計量魚探による音響調査時の魚種確認中層トロール採集で得られたデータを基に、魚群音響エネルギー・形状・分布水深・分布環境に関する計測データから、魚探反応魚種を判別する方法を検討した。その結果、判別対象群の母平均推定量とのマハラノビスの汎距離が最短になる群を判別群とすることで、的中率が96%になる判別方法が得られ、今後の音響調査の効率化と客観性が高められた。
著者
林 義雄 草野 保
出版者
日本爬虫両棲類学会
雑誌
爬虫両棲類学会報 (ISSN:13455826)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.1, pp.1-8, 2006-03-31 (Released:2010-06-28)
参考文献数
14

Hynobius tokyoensis is a pond-breeding salamander which is endemic to the Kanto district and southern Fukushima prefecture in Japan. To examine genetic differentiation of this salamander, the hyper-variable region 2 (HV2) of the mitochondrial D-loop was sequenced and compared among 66 individuals derived from 37 localities. A total of 20 haplotypes were detected in this study. Six of 21 variant positions in this region were found in the repeat sequences. The phylogenetic analysis indicated that this species was clearly divided into two major groups: a northern and a southern population. The dominant haplotypes were different among local populations within each major group. These results suggest that in order to protect and to preserve the genetic diversity of this species, each local population should be protected as far as possible.
著者
団野 晧文 宮里 満 石黒 悦爾
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.183-187, 1982-03-19
被引用文献数
2

上部と下部にそれぞれ5本の紫外線灯を装着した紫外線照射装置(2号機)を試作し, 上下両方向から同時にしかも均一に照射できるようにした.紫外線照度計を用いて, 2号機内の紫外線線量率の垂直分布および平面分布を測定した.2号機内の線量率は上部の紫外線灯5本を点灯すると6.66〜2.31mW/cm^2となり, 距離に反比例して減少した.酵母菌に対して, 2号機を用いた紫外線照射とガンマーセルGC-40を用いたCs-137のγ線照射を行った.紫外線照射より得られた生存曲線は, γ線照射により得られた生存曲線と同様にシグモイド型となった.D_<10>値はSacch.cerevisiaeでは11.32mW・sec./cm^2,Candida utilisでは13.17mW・sec./cm^2となった.
著者
山家 秀信 棟方 有宗 会田 勝美 伏谷 伸宏 北村 章二
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.896-901, 2004 (Released:2005-07-08)
参考文献数
20
被引用文献数
2 4

福島県秋元湖に生息するコクチバスの生殖腺周期を調査した。雄では4~7月と9~12月において精子又は精細胞がみられたが, GSI の低い8月には精母細胞が多く観察された。雌では4~6月と10~12月において周辺仁期と卵黄球期の卵母細胞がみられ, GSI の低い7~9月には卵黄球期の卵母細胞の割合が減少した。testosteroneと17,20β-dihydroxy-4-pregnen-3-oneの血中量は, 雌雄共に5月にピークを示した。本種は春から初夏にかけてが主な繁殖期であるが, 秋以降も一定の成熟度を保つことがわかった。

1 0 0 0 OA 甲斐御坂越

著者
広重
雑誌
富士三十六景
巻号頁・発行日
1858
著者
北村 繁 エルナンデス ウォルテル プリンジャー カルロス マティアス オトニエル
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.100, 2007

<BR> コアテペケカルデラ(Lat. 13.87N, Long. 89.55W; 11.5 x 6.5 km)は中米北部にみられる5つの大規模カルデラ火山のひとつで、エルサルバドル共和国の首都・サンサルバドル市の西南西約40kmに位置している。これまで、3回の大規模噴火により、Bellavista, Arce, Congoとよばれる降下軽石および軽石流を、それぞれ77ka、72ka、および、56.9kaに生じたことが知られてきた(Pullinger, 1998; Rose, et al., 1999)。<BR> これらのうち、Bellavista降下軽石および軽石流は、カルデラ周辺にのみ分布が知られている。一方、Arce降下軽石は、エルサルバドル西部地域で見出される最も顕著な降下軽石層で、黒雲母と角閃石に富むため野外での認定が容易で、カルデラ周辺から西方一帯に広く堆積することが知られてきた。また、その下位には、グァテマラ南部~エルサルバドル西部に分布するHテフラ(84ka)が見出されている。Congo軽石流は、カルデラ周辺に厚く堆積しており、Congo降下軽石もカルデラから西方への分布が知られている。<BR> これに加えて、近年、Congo降下軽石より上位に、Atiqui- zaya降下軽石(kitamura, 2006)、および、Conacaste軽石流堆積物(Hernandez & Pullinger, 未公表資料)が見出された。従来、これらは、それぞれ、Congo降下軽石および軽石流堆積物の一部とみなされてきたが、Congo 降下軽石あるいは軽石流堆積物の上位に、明瞭なロームをはさんで堆積していること、最下部に桃白色の細粒火山灰(Turin火山灰)を伴っていることから、Congo降下軽石および軽石流堆積物と異なる噴火による堆積物であることが野外で認定できる。また、Atiquizaya降下軽石とConacaste軽石流堆積物は、それぞれ独立に見出されたが、上述したような層位的特徴からみて、両者は同じ噴火の産物であると考えられる。Congo降下軽石および軽石流堆積物、ならびに、Atiquizaya降下軽石およびConacaste軽石流堆積物は、いずれも角閃石と斜方輝石に富む。<BR> 一方、コアテペケカルデラの西北西150kmに位置するグァテマラ市周辺では、従来よりA1、および、A2テフラと呼ばれる火山灰が知られてきた(Koch & McLean、1975)。いずれも数cm程度までの厚さの白色細粒火山灰であるが、A1テフラは、黒雲母と角閃石に富み、A2テフラは、角閃石と斜方輝石に富む。A1テフラは、上述のHテフラの上位に、Cテフラをはさんで堆積しており、A2テフラは、A1テフラの上位に堆積している。また、A2テフラは、23kaとされるBテフラの下位に、Eテフラをはさんで堆積している。したがって、A1およびA2テフラは、コアテペケカルデラ起源のテフラと対比を検討すべき層位にある。<BR> 本研究では、コアテペケカルデラから20km程度までの地域、ならびに、グァテマラ市付近の数地点の露頭から試料を採取し、各テフラの火山ガラスの化学組成を比較することにより、対比を検討した。分析には、弘前大学理工学部地球環境学講座の波長分散型X線マイクロアナライザーを用い(加速電圧15kv、ビーム電流3x10<SUP>-9</SUP>A、ビーム径10μm)、ガラス片を10~30個程度分析して、平均と標準偏差をもとめた。<BR> 化学組成分析の結果、Congo降下軽石および軽石流堆積物と、Atiquizaya降下軽石およびConacaste軽石流堆積物については、互いに火山ガラスの化学組成が類似していることが判明した。一方、これらのテフラと、Arce降下軽石、Bellavista降下軽石および軽石流堆積物の火山ガラスの化学組成は、Harker図上で、互いに異なった分布を示すことから、明瞭に判別される。グァテマラ市周辺で知られてきたA1、A2テフラの火山ガラスの化学組成の分析結果をHarker図上で、これらと比較すると、A1テフラはArceテフラと、A2テフラは、Congo降下軽石・軽石流堆積物と、Atiquizaya降下軽石・Conacaste軽石流堆積物と類似した化学組成をもつことが判明した。<BR> 本研究で得られた化学組成、ならびに、従来より知られていた層位、鉱物組成からみて、A1テフラとArceテフラ、A2テフラとCongoテフラまたはAtiquizayaテフラは対比される可能性が極めて高い。すなわち、Arceテフラ、および、CongoまたはAtiquizayaテフラのいずれかは、約150km離れたGuatemala市まで到達していたとみられる。また、グァテマラのCテフラの年代は、約72ka以前で、Eテフラは、およそ57ka以降であるとみることができる。

1 0 0 0 OA 御触書集成

出版者
巻号頁・発行日
vol.[13],
著者
今村 俊幸 大井 祥栄 深谷 猛 廣田 悠輔 椋木 大地 山本 有作 藤堂 眞治
出版者
国立研究開発法人理化学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は、数万から数億のコアプロセッサが搭載される計算システム環境下において、過去に蓄積された高性能な数値計算サービスを新しい数学原理に基づき実現することを目的にし、「異粒度数値カーネル構築」と共に「非同期的な数値計算アルゴリズム」の2大テーマのもと、1)非同期的数値計算アルゴリズムに関する理論と実用レベルにある省通信・省同期アルゴリズムについて研究しCAHTRやFDTD向けの手法を提案した。更に、2)超メニイコアでのスケーラブルな軽量コード生成のための自動チューニングなどの核基盤技術研究を推進し次世代数値計算ソフトウェアの新技術創出に繋がる新機軸探究を進めた。
著者
加藤 大智 Jochim Ryan 佐古田 良 岩田 祐之 Gomez Eduardo Valenzuela Jesus 橋口 義久
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
巻号頁・発行日
vol.61, pp.26, 2009

吸血性節足動物の唾液は、抗凝固、血管拡張、発痛抑制、抗炎症などの作用をもつ"生理活性物質のカクテル"で、これを宿主に注入することにより効率よく吸血行為を行っている。本研究では、中米から南米北部におけるシャーガス病の主要なベクターであるサシガメ<I>Triatoma (T.) dimidiata</I>の唾液腺遺伝子転写産物の網羅的解析により、新規生理活性物質の探索を行った。<I>T. dimidiata</I>唾液腺からmRNAを抽出、それを鋳型にcDNAライブラリーを作製し、無作為に464クローンの遺伝子転写産物の塩基配列を決定した。その結果、361クローン(77.8 %)が分泌タンパクをコードしており、このうち、89.2 %が低分子輸送タンパクであるリポカリンのファミリーに属するタンパクをコードしていた。特徴的なことに、分泌タンパクのうち、52.1 %が<I>T. protracta</I>唾液の主要なアレルゲンとして同定されているprocalinに相同性を示しており、このタンパクが吸血の際に重要な役割を果たしていることが示唆された。この他に、<I>T. dimidiata</I>の主な唾液成分として、コラーゲンおよびADP誘発性の血小板凝集阻害物質、トロンビン活性阻害物質、カリクレイン・キニン系の阻害物質、セリンプロテアーゼ阻害物質などと相同性を持つタンパクを同定することができた。本研究で得られた結果は、吸血性節足動物のユニークな吸血戦略を理解する上で有用な知見をもたらすものと考えられた。また、得られた遺伝子クローンから作製することができる組換えタンパクは、研究・検査試薬および新薬の素材分子として活用できるものと考えられた。
著者
吉川 邦生 細田 四郎 粟井 堅一 新楽 実
出版者
The Japanese Society of Gastroenterological Cancer Screening
雑誌
消化器集団検診 (ISSN:02876132)
巻号頁・発行日
vol.1984, no.62, pp.74-84, 1984

1) 過去20年間, 毎年受診率約80%の逐年検診を施行している職域集検を対象に胃集検の費用便益分析を行った。<BR>2) 対象集団の胃癌罹患率, 集検発見率, 集検外発見率, 集見発見, 集検外発見癌の5年生存率などを昭和45年~54年の10年間の平均値として算出し, この値を昭和51年の受診者に適用して, 費用便益分析を行った。<BR>3) 費用便益分析は, 胃集検を施行した場合と施行しなかったと仮定した場合の差であるnetの費用と便益について行った。<BR>4) 昭和51年度の一次間接1件当り費用は, 4,034円で, 一次間接および精検を含む総費用は81,813,000円で, netの費用は74,435,000円であった。<BR>5) 胃集検施行により, 非施行の場合にくらべて5名の胃癌が救命され, 生涯稼働額現価で示される救命利益は212,905,000円であった。<BR>6) 休養日数の減少により得られる生産性減少阻止効果は108,915,000円であった。<BR>7) その他の便益は胃癌の治療費の節約, 15,225,000円, 防ぎ得た給料の減少2,790,000円であった。<BR>8) 総計してnetの費用74,435,000円, netの便益339,835,000円で費用: 便益は1: 4.6であった。<BR>9) A健保の胃集検費用は年間総医療費の1~2%, 健康管理費の10~20%を占めた。
著者
岩波 悠紀
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.135-143, 1972-10-25 (Released:2017-07-07)
被引用文献数
1

1.各草地の火入れ温度観測実験例における延焼速度は0.2-8m/min程度であった。2.シバ型,ススキ型およびササ型草地の地面附近の気温は,温度上昇が始まってからそれぞれ約15-30sec,20-60secおよび0.5-1.5minで最高温度に達し,その温度変化はそれぞれ約2-5,3-7および4-10min間続いた。3.風速が比較的速い場合の向風延焼では,測温位置が低くなるほど最高温度に達する時刻は早くなった。一方,追風延焼では逆に測温位置が高くなるほど,最高温度は早く出現した。また火入れの最中に絶えず風向,風速が変る場合には,温度変化曲線に幾つもの山が現れた。4.最高温度の垂直分布は,ススキ型草地の枯草が地面に倒れている場合およびシバ型草地では押倒し型を,ススキ型草地で枯草が立枯れている場合には立枯れ型を示した。ササ型草地では立茎の燃え具合によって,押倒し型または立枯れ型を示した。5.燃えた燃料の量が1m^2当り約500gまでは,その量が増すにつれ最高温度は上昇しほぼ600-800℃に達した。しかしそれ以上では,燃えた燃料が多くなっても最高温度は横這い状態であった。一方,高温持続時間は燃えた燃料の増加に伴い上昇した。6.向風延焼は追風延焼に比較して,延焼速度が遅いために,最高温度は多少低いが,高温持続時間は長くなった。燃料の含水率が高い場合の火入れは,最高温度が低く,高温持続時間も比較的短くなった。
著者
椿原 敦子
出版者
京都大学大学院人間・環境学研究科 文化人類学分野
雑誌
コンタクト・ゾーン = Contact zone (ISSN:21885974)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.83-108, 2015-03-31

2009 年の第10 期イラン大統領選挙に端を発するイラン各地での抗議行動の様子は市民によって撮影され、インターネット上で配信された。ソーシャルメディアによる情報発信という社会運動の新しいあり方に国際的な注目が集まったイランでの抗議行動は、「緑の運動」と呼ばれる。この運動はイラン国内のみならず、国外在住のイラン人をも巻き込んでいった。例えば、ロサンゼルスの人々は次の形で関与を続けた。第一に、サイバースペースでの情報の中継や加工、第二に、衛星TV 放送によるイランの視聴者への働きかけ、そして第三にローカルな場での抗議集会の継続である。 これまでディアスポラ集団の社会運動を扱った研究は、故国の人々に及ぼす影響に主な焦点を当ててきた。これに対して本論で着目するのは、ディアスポラ集団のトランスナショナルな運動が特定の場において新しい文脈を与えられ、ローカル化される過程である。これによって、故国の社会運動を取り巻くグローバルなアクターという中心-周縁という構図を脱した両者の相互作用を捉えることを試みる。技術に媒介された言説空間で流通する「緑の運動」の情報は、複製・加工され、日常生活へと持ち込まれることでロサンゼルスのイラン人たちを「共感 = 代理の政治」へと動員した。デモの参加者たちの多くは、予め持っていた主張や要求の達成のために運動に関わるのではなく、むしろデモの場での連帯と対立の実践を通じて民主化などの抽象的概念を解釈し、運動への関与を続けたことが明らかになった。
著者
Sung-Ryoung Ma Jong-Bae Choi
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
Journal of Physical Therapy Science (ISSN:09155287)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.93-94, 2019 (Released:2019-01-29)
参考文献数
5
被引用文献数
4

[Purpose] This study aims to investigate the effect of electrical stimulation on aspiration in children with cerebral palsy and dysphagia. [Participants and Methods] Five children with cerebral palsy and dysphagia were recruited. Electrical stimulation was applied to the submental region targeting submental muscles. All participants received electrical stimulation 30 min/day, 5 days/week, for 4 weeks. Evaluation was performed using the penetration-aspiration scale (PAS), based on a videofluoroscopic swallowing study. [Results] PAS scores showed a statistically significant decrease from 3.8 ± 1.5 to 2.1 ± 1.2 and from 6.4 ± 2.1 to 4.3 ± 2.5 for semisolids type and liquids respectively. [Conclusion] The use of electrical stimulation is effective in reducing aspiration in children with cerebral palsy and dysphagia.