著者
木場 貴俊
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究
巻号頁・発行日
vol.47, pp.31-52, 2013-03-29

本論は、林羅山の『多識編』という本草学の書物に見られるかみの和名から、彼の思想的営為とその変遷について考察したものである。この書物で用いられているかみは、従来林羅山の神道思想として取り上げられてきた理当心地神道には見られないもので、「怪異」に関する名物である。
著者
高松 基之
出版者
東洋英和女学院大学現代史研究所
雑誌
現代史研究
巻号頁・発行日
no.13, pp.21-78, 2017-03-31

Since 1945, 13 presidents have been sworn into office as president of the United States. Each president has adopted and developed his own unique management and decision making style. This paper aims to explore how President Dwight D. Eisenhower established his style during his presidency.In the 1950s and 1960s the prevailing image was that Eisenhower was a passive president, who reigned but did not rule, surrounded by an overly protective staff and dominated by strong cabinet secretaries such as John Foster Dulles that have been delegated too much authority. The availability of declassified materials in the Eisenhower Presidential Library challenged his passive image. At present Eisenhower is regarded as a more modern president than his youngersuccessor John F. Kennedy.Eisenhower was a president who deliberately chose to manipulate, organize, and dominate his administration with a hidden hand. Over 35 years of military experience had led Eisenhower to be deeply concerned with organizational problems. For Eisenhower, information, procedures, organization, formal meetings, and informal consultations were preparations for important decisions. Because Eisenhower placed great value on the planning process and intensive discussions, he revitalized the National Security Council (NSC) in the decision process with an appointment of Robert Cutler as the special presidential assistant on national security affairs.President Eisenhower trusted Dulles as Secretary of State and used to consult with him before and after important decisions both on foreign affairs and during the crises. There seemed to an apparent contradiction between the simultaneous existence of a strong secretary of state and a strong NSC in the White House. However, the lack of conflict between Dulles and Cutler was to due to Eisenhower’s solid confidence in secretary of state and the perception of the function of special assistant developed by Cutler. He firmly believed in the role of coordinator. Policy guidelines were formulated from the NSC process and the action of council meetings, operational decisions were usually made in the Oval Office, and diplomacy was largely in the hands of Dulles.
著者
松本 亮介 近藤 宇智朗 三宅 悠介 力武 健次 栗林 健太郎
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.89-97, 2017-11-30

クラウドサービスや Web ホスティングサービスの低価格化と性能の向上に伴い,コンテナ型の仮想化技術を活用することにより,複数のユーザ環境の収容効率を高めると同時に,セキュリティの担保とリソース管理を適切に行うことが求められている.一方で,障害時の可用性やアクセス集中時の負荷分散については依然として各システムに依存している.本研究では,HTTP リクエスト毎に,コンテナの起動,起動時間,起動数およびリソース割り当てをリアクティブに決定する,実行環境の変化に素早く適応できる恒常性を持つシステムアーキテクチャを提案する.提案手法により,アクセス集中時にはコンテナが HTTP リクエストを契機に,アクセス状況に応じて複製 ・ 破棄されることで,迅速に自動的な負荷分散が可能となる.さらに,コンテナが一定期間で破棄されることにより,収容効率を高め,ライブラリが更新された場合には常に新しい状態へと更新される頻度が高くなる.
著者
北村 操代
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.181-181, 2018-01-15

小学生向けのプログラミング教育への取り組みとして,情報処理学会ではExciting Coding! Juniorと呼ぶセミナーを行っている.プログラミングの考え方を子供たちが創意工夫しつつ,しかも楽しく,自ら学んでいくことを狙いとしている.Scratch入門から,ゲームのアイディアを考えて実際に作り,発表するまでを半日で行っていて,参加者には好評である.2016年より2回開催し,今後,開催地域や実施回数を増やすことを検討している.また,小学校の情報教育で2020年にプログラミング教育が必修化されるのに向け,小学校の先生方の支援につなげていきたい.
著者
榎本 優樹 深町 賢一
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2018-OS-142, no.6, pp.1-8, 2018-02-20

OS のユーザランド構成における粒度は OS ごとに様々であるが,運用面を重視すれば,より小さな粒度でのアップデートやリスタート,ロールバックなど,こまやかなシステム管理ができるように OS ビルドシステムを再構成するべきである.歴史的経緯により,Linux ディストリビューションは粒度の細かなパッケージ群から OS が組み上げられているが,BSD Unix はシステム全体でも十数種類の分割で,かつ基本的に上書き処理という粒度の荒い構成となっており,改善が望まれる.そこで,我々は,NetBSD ベースシステムをパッケージ化するシェルスクリプトベースのシステム basepkg を開発し,より細かな粒度でのシステム管理と機能拡充を実現した.basepkg を pkgsrc (NetBSD サードパーティソフトウエア管理フレームワーク) の上に作成することで,既存の不完全なフレームワーク syspkg にくらべ,より少ないコード量で見通しの良いソフトウエアとなっている.また,実運用環境下での評価のため,ベースパッケージ配布サーバも試験運用している.本システムは,NetBSD ユーザやカスタマーにとっての利便性向上に寄与すると考えられるが,解決するべき課題も多い.本稿では,一つの大きなシステムを細かい粒度へ再構成した実践例において,以前より改善できた点と,再構成したことで新たに生じた課題について報告する.
著者
越中 康治 高田 淑子 木下 英俊 安藤 明伸 高橋 潔 田幡 憲一 岡 正明 石澤 公明
出版者
宮城教育大学情報処理センター
雑誌
宮城教育大学情報処理センター研究紀要 : COMMUE = COMMUE (ISSN:18847773)
巻号頁・発行日
no.22, pp.67-74, 2015-03-31

本学の授業評価アンケートでは、学生からの意見を求めるために、各授業について自由記述を求めてきた。平成25 年度は通年で3,000 件を超える自由記述が得られている。しかし、これらの多数のデータを概観し、客観的に全体的な傾向を把握することは極めて困難である。また、要約しようにも分析者の恣意的・主観的な解釈となってしまう危険性からは逃れ難い。そこで、こうした危険性を可能な限り回避すべく、本稿では、「テキストマイニング」と呼ばれる手法を用いた分析を行った。①テキストから自動的に語を取り出し、頻出語を確認した上で、②それらの語の共起関係を探ることを通して、恣意的になりやすい手作業を極力廃した分析・要約を試みた。
著者
大塚 茂 Shigeru OTSUKA
雑誌
島根女子短期大学紀要 (ISSN:02889226)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.39-49, 2000-03-30
著者
稲村 勝樹 新林 直樹
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.179-188, 2018-01-15

近年,スマートフォンやタブレット端末など,タッチパネルを有する携帯端末が普及し,時や場所を選ばずに様々な情報を利活用できるようになった.このような端末では,端末を利用する際にタッチパネルの入力を利用したユーザ認証を行うことで情報漏洩を防いでおり,なかでもAndroid端末ではパターンロックと呼ばれる方式が採用されている.しかし,この方式では覗き見攻撃により簡単にパスパターンを記憶されてしまうといった問題がある.この問題に対し,東川らによってランダムに表示された数字列を一時的に記憶した後に入力することによって,パターンロックの覗き見耐性の向上を図る方式が提案されている.この方式において,記憶の増加や入力の複雑化によるユーザの利便性の低下といった課題がある.本稿では,入力パスパターンの方法を変更することで利便性の改善を図り,かつ覗き見耐性をさらに向上させる改良方式を提案し,その実装評価について述べる.これにより既存の携帯端末でパターンロックより安全なユーザ認証が実現できることを示す.
著者
リュッターマン マルクス
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 : 国際日本文化研究センター紀要
巻号頁・発行日
vol.28, pp.13-46, 2004-01-31

「畏まりました」「恐れ入ります」の類の言葉を日本列島ではよく耳にする。拝して曲腰をして恐縮する姿を型としている作法に合わせて「恐れ」の感を言い表わす礼儀は依然として根強く育まれている。「型」である。拙論では、仮にそれを「恐怖の修辞」と呼び、観察の焦点を挨拶の言葉に限定し、その普及と徹底的な定着の所以を問う。要するに「恐怖の修辞」形成過程の復元と、その由来の歴史的考察とを五段階を経て行いたい。
著者
大東 辰起
雑誌
大阪産業大学経済論集 = OSAKA SANGYO UNIVERSITY JOURNAL OF ECONOMICS (ISSN:13451448)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.35-63, 2017-06-30

Private sector funding was used in the government’s economic stimulus package after thecollapse of the Bubble economy (1991-1993). As a result, outstanding local bonds increased,and differentials expanded due to erosion of borrower credibility in the market. In March 1999, Japan Rating and Investment Information Inc. reported for the first time theJapanese municipal bond rating. In November 2006, Yokohama City obtained R & I. Withthis Japan has rapidly facilitated the use of municipal bond rating. Accordingly, much previousresearch has predicted that the acquisition of municipal bond rating will increase. However,this is not the case at present. Here the municipal bond rating is examined, and the following three issues are discussed.The first is the relationship between implicit security and municipal bond rating. I show thatfor local governments ratings are not essential, because of the macro and micro revenueprotection under the Ministry of Internal Affairs. The second is that municipal bond ratingsdone for local governments do not properly reflect financial benchmarks, resulting in a lackof confidence for these ratings. The third is that investor’s trust in municipal bond rating isquestionable. The discussion clarifies the need for rating companies to disclose accurate information,and the necessity for dialogue with the parties concerned for higher evaluation from localgovernments and investors.