著者
河野 通就 星 貴之 筧 康明
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2013論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.41-46, 2013-09-27

本研究では,素材に対して外的な刺激や力を与えることにより,その素材特有の「生き物」のような振る舞いを抽出・表現することを目的としている.今回,筆者らは,音響浮揚によって粒状の物質を浮遊させ,あたかも小さなムシのように実世界の三次元空間上を移動させることを可能にし,さらに空中の粒子と人間との身体的なインタラクションを実現する.本稿では,コンセプト,システムの詳細,および実装したインタラクションについて報告する.
著者
上野 隆生
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.105-122, 2008-03

The notorious Greater East Asia co-prosperity sphere, which refers to the Japanese invasion of Southeast Asia, has been one of the exhausted themes of modern Japanese history. The Japanese invasion into northern Indochina began in autumn 1940. But it was only ten years before when the Kwantung Army initiated the Manchurian “Incident”, for the purpose of bringing Manchuria under Japanese rule. In 1930’s, Japan began to invade northward at first, then southward. Was that really possible? The aim of this article is twofold: firstly, to survey the history of the thought of the southward advance” and that of the “northward advance”; secondly, to present some hypothetical analysis about the relations between the “southward advance” theory and “southward advance” policy as well as those between the “northward advance” theory and the “northward advance” policy, which should be instrumental in understanding the relations between the “southward advance” theory and the “northward advance” theory. From the beginning of the Meiji Era, Southeast Asia has been taken for the land of “fertile resources with lazy natives”. Such kind of image helped encapsulating the “southward advance” theory into a romantic or idealistic, if any, idea. On the other hand, the long-lasted influence of China and Korea made it easy for the “northward advance” theory to be formulated into the “northward advance” policy. At the critical moment in 1930’s, when Japan felt locked in stalemate in advancing northward, the “southward advance” theory emerged as a panacea, which bloated to the extent of the unrealistic Greater East Asia co-prosperity sphere.
著者
上阪 彩香 村上 征勝
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2013-CH-98, no.4, pp.1-8, 2013-05-04

西鶴の著した作品は,日本文化の根幹をなす歴史的古典籍とされているが,没後320年になる今日においても西鶴作とされる浮世草子には,西鶴作かどうか疑惑が解明されていない作品も多く存在する.西鶴の第4遺稿集『万の文反古』も著者に関する疑惑が出されている作品のひとつである.本研究では,文章の計量的な分析により『万の文反古』の著者の疑問を検討する.
著者
伊藤 毅志 小幡 拓弥 杉山 卓弥 保木 邦仁
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.3030-3037, 2011-11-15

本論文では,将棋プログラムの新たな並列処理手法を提案する.このアルゴリズムは,複数の思考プログラムの候補手の中から一つの手を選択する手法である.このアルゴリズムを合議アルゴリズムと呼ぶ.本論文では,将棋における合議手法の提案と評価を行い,また単一プログラムからでも乱数を用いた合議手法を提案しその有効性も示した.さらに,YSS,GPS将棋,Bonanza等の有名な強豪プログラムをこの合議アルゴリズムで組み合わせることで,その各々のプログラムよりも強くなることを示した.
著者
長瀧 寛之 中野 由章 野部 緑 兼宗 進
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.2-15, 2014-01-15

リレーショナルデータベースに対する問合せ処理を,ウェブブラウザ上から対話的に操作できるオンライン学習教材sAccessを開発した.特徴として,射影,選択,結合などリレーショナルデータベースの基本操作に1対1対応した操作体系や,それらの処理の前後のデータテーブルを画面上で確認しながら処理を進められる点があげられる.本論文では,主に高校の共通教科「情報」などの非情報系の学習者を対象とした情報教育において,データベース学習で必要になる要件を検討し,提案するsAccessの設計と実装について説明を行う.そのうえで,従来授業などでデータベース学習に用いられてきたツールとの比較を行うことで,sAccessの利点と課題について議論する.
著者
佐藤 裕幸 近山 隆 石橋 弘義 吉田 かおる 内田 俊一
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS)
巻号頁・発行日
vol.1986, no.65(1986-DPS-031), pp.1-8, 1986-09-29

SIMPOSは、ICOTで開発された個人使用向逐次型推論マシンPSIのオペレーティング/プログラミング・システムであり、以下のような特徴を持っている。・論理型言語にオブジェクト指向機能を付け加えたプログラミング言詔ESPによりすべて記述されており、ESPの提供する継承の機能を用いることにより、ユーザはOSの機能を自由に活用することができる。・ウィンドウ・システムを中心とした高度なマンマシン・インタフェースとESPに適した豊富なデバッグ機能を提供している。・個人使用向のワークステーションの弱点を補うためにネットワーク機能を強化しており、資源の共有化を促進している。SIMPOSは1983年5月から開発が開始され、現在、約40人のメンバーで第3.0版を開発中であるが、その規模はソース・プログラムの行数にして20万行を越えるものになっている。また、PSIはICOT 関連メーカ 大学等で利用されており、その数は今年度中に100台を越えようとしている。本報告では、SIMPOSの提供する機能の概要及びユーザ・インタフェース,ネットワーク機能を中心に報告する。
著者
岡山 聖彦 山井 成良 ガーダ 大塚 友和
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム2013論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.95-98, 2013-12-05

本稿では通信の殆どが事前に DNS による名前解決を行う点に着目し,DNS にクライアントのアドレスを通知する機構を組み込むことにより,問合せ元のクライアントに応じて動的に検査内容を変更することのできるファイアウォールを提案する.これにより,クライアントの IP アドレスに基づいて信頼できる通信と疑わしい通信を分離し,信頼できる通信についてはファイアウォールを迂回した高速通信を許可する一方で,疑わしい通信については遮断したり帯域を制限したりするなど,スループットの向上を図ることができる.
著者
河﨑 宜史 池谷 のぞみ
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.54, no.10, pp.1028-1033, 2013-09-15

病院などの医療組織では,異なる専門性を持つスタッフによる複雑な協働を通して成り立っている.それぞれの専門性を最大限に発揮することで高度な医療を提供することが可能となるが,それを実現し,促進するようなしくみがこれまでになく求められている.しかし医療は高度に専門化され,複雑な協働によって成り立っているため,革新的なシステムをデザインするには,人々が複雑に作業をしている医療の現場に入ることで業務を深く理解する必要がある.事例として提示する検体検査業務のエスノグラフィ調査と分析を通じて,検査業務を始めとする病院業務における協働を支援するシステムデザインの問題といかに結びつけることができるかを示す.
著者
今野 茂充 Shigemitsu KONNO
出版者
東洋英和女学院大学大学院
雑誌
東洋英和大学院紀要 = The Journal of the Graduate School of Toyo Eiwa University (ISSN:13497715)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.21-41, 2013-03-15

The debate on the origins of the First World War remains one of the most contested issues in the study of International History and International Relations (IR). Considering that almost a century has passed since the outbreak of the war, it is remarkable that the latest historiography, based on newly available primary sources, can still revitalize the debate and undermine some of the orthodoxinterpretations of the origins of the war. The controversy over the share of responsibilities for the outbreak of the war is typical of this trend. Instead of excessively focusing on Germany as the single prime mover in 1914, many recent historical researches consider a reapportionment of responsibilities among the European great powers for starting the Great War. Taking recent developments into account, this article seeks to examine and evaluate the role of Russia in the origins of the war from a theoretical perspective. The first section of the article traces the development of tensions between Russia and the Central Powers. The second section examines whether major IR theories, such as the offense-defense theory and the preventive war theory, can apply to the Russia's case from the defeat of Russo-Japanese war to the outbreak of the First World War. This article does not intend to demonstrate that Russia should bear the sole responsibility forstarting the First World War. However, even this brief study proves convincingly that Russia played a greater role on the outbreak of the First World War than is generally acknowledged in the recent literature of IR theories.
著者
風間 佳之 作道 直樹 段 慧 木戸脇 有美 平橋 航 鴫原 一人 海上 智昭 本田 晋也 高田 広章
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2013-EMB-28, no.2, pp.1-6, 2013-03-06

近年の組込みソフトウェアの大規模化,高機能化のため,RTOSに対するメモリ保護機能の需要が高まっている.RTOSはソフトウェアの中核をなすため,高い品質が求められるが,メモリ保護機能に対するテストプロセスやテスト手法,テストの規模は明らかになっていない.本論文では,RTOSのメモリ保護機能に対するテストプロセスやテスト手法,テストの規模,およびテストの効果を明らかにした.メモリ保護機能に対応したRTOSとして,AUTOSAR仕様ベースのRTOSを使用した.
著者
大原 貴都 八木 将計 深谷 直彦 小川 秀人
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2013-EMB-28, no.10, pp.1-6, 2013-03-06

ソフトウェアの開発効率を向上すべく多様な開発手法が提案されているが,実際の製品開発への適用は難しい.本稿では,技術進歩の推移に着目して製品開発への開発手法の適用に対する課題を抽出する.技術進歩の過程を時系列に二分割し,前半部は新たな手法の提案とその効果を確認する適用試行期,後半部を手法の広い展開を行う技術展開期と位置づける.適用試行期では,開発手法が想定している状態と実際の製品開発にギャップがあり,手法を適用した際の開発プロセスが不明確であることが課題である.技術展開期では,開発手法は広く認知されているものの,手法適用ノウハウを理解し製品開発を実践できるソフトウェア開発者が不足することが課題である.これらの課題を解決するため,適用試行期に対してはPFD(Process Flow Diagram)の適用を提案する.技術展開期に対しては体験学習型の習得プログラムを提案する.ETロボコンを題材に提案手法を実践し,効果を検証する.
著者
能地 宏 持橋 大地 石塚 満
雑誌
研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.2012-NL-208, no.4, pp.1-11, 2012-08-26

文書の潜在トピックを捉え,トピックに応じた適切なnグラムを用いて予測を行うBayes的なnグラム言語モデルを提案する.文章には,単語の出現が文書のトピックに依存して決まる内容語と,文法的な関係のみで決まる機能語が存在する.我々はこれらの単語の出現が,文脈によっておおまかに決まることに着目し,適切な箇所でのみトピックを考慮した予測を行うモデルとして,2種類のモデルを提案し,比較を行う.トピック別のnグラムモデルを,通常のGibbsサンプリングで学習したのではすぐに局所解に陥ってしまうことを実験的に示し,それを回避するための新しいBlocked Gibbsサンプリングを提案する.提案法は,パープレキシティの比較において,Unigram Rescalingと同等以上の性能を示しながら,予測時間の大幅な改善を行うことを確認した.
著者
岡野原 大輔
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.504-512, 2012-04-15

近年,高い圧縮率と高速な問い合わせを両立するデータ構造として,簡潔データ構造(succinct data structure)が注目されている. 簡潔データ構造は理論的な発展とともに,実用化に向けた改善が進んでおり,今後様々な分野でその用途がさらに広がっていくと期待される.この記事では,簡潔データ構造の仕組みと,その利用事例について解説する.
著者
海野 敏 高橋 あゆみ 小山 久美
雑誌
じんもんこん2011論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.8, pp.205-210, 2011-12-03

「バレエ情報総合データベース」の設計と試作を行った.このデータベースを設計するにあたり,実演情報を記述するための概念モデルとして,(興行-公演-演目)×(計画-遂行)モデルを提案した.このモデルは,FRBR とオブジェクト指向FRBR の規格を参考にして構築したものである.データベースは,実演情報だけでなく,ダンス作品と音楽作品の情報,人物と団体の情報,印刷資料と視聴覚資料の情報も入力できるように設計を行った.
著者
水本 智也 小町 守
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.217-223, 2012-02-15

日本語学習者は世界的に増加傾向であり,自然言語処理を利用した学習者支援が望まれている.しかしながら,日本語学習者の書いた文は誤りやひらがな,ローマ字を含んでおり,従来の日本語母語話者の文を対象とした自然言語処理の技術をそのまま適用してもうまく処理することができないといった問題がある.本稿では,ウェブの登場によって新しく産まれつつある日本語学習者コーパスとそこに含まれる従来の自然言語処理の技術では扱えない学習者の誤りを紹介し,ウェブから抽出した大規模データを用いた日本語学習支援の新しいアプローチについて述べ,自然言語処理を使った日本語学習支援のための今後の課題を示す.