著者
井手 広康
雑誌
情報処理学会論文誌教育とコンピュータ(TCE) (ISSN:21884234)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.1-10, 2023-02-22

令和4年度から始まった「情報I」の教科書にPython,JavaScript,VBA,Scratchの4つのプログラミング言語が使用されたことから,多くの高等学校がいずれかのプログラミング言語を使用して授業を行うことになる.本研究では,クラスごとに4つのプログラミング言語を使い分けて同じ授業内容でプログラミング教育を実践し,最後に大学入学共通テスト「情報」サンプル問題(第2問)を全員に解答させた.サンプル問題の解答結果や事後アンケートの結果から,どのプログラミング言語を授業で使用していても,大学入学共通テストの解答に大きな影響を及ぼす可能性が低いが,各プログラミング言語が持つ特有の表記や仕様により,少なからず解答に影響が生じていることが明らかとなった.
著者
井芹 浩文
出版者
崇城大学
雑誌
崇城大学紀要 = Bulletin of Sojo University (ISSN:21857903)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.1-9, 2014

明治憲法は全面改正されるまで56年間存続した。これに対し現行の日本国憲法は改正せずにすでに66年が経過した。これだけ長期に改正されなかったのはなぜか。その大きな理由の一つが、歴代の自民党首相が現実主義的なアプローチを取ったためではないかとの仮説を立てた。これを立証するため、吉田茂以来の歴代首相の憲法観を振り返ってみた。歴代首相はカテゴリーとしては「改憲派」「護憲派」「現実派」および自らの見解を示す機会のなかった「回避派」に分けることができよう。まず現実主義者のプロトタイプとして吉田を取り上げる。ただ吉田自身は自衛力を禁じた現行憲法には違和感を持ちつつ、さりとて急激な再軍備は国力が見合っていないというアンビバレントな悩みを抱えていた。続く鳩山一郎、岸信介は改憲を掲げたが挫折し、その後の高度成長期に政権を担ったい池田勇人、佐藤栄作らは改憲論から距離を置き、保守政権の現実主義は定着していく。この後のいわゆる「三角大福中」世代の最後に政権を担当した中曽根康弘はもともと改憲論を唱導していたが、政権に就くや改憲を否定し、現実主義に身をおいた。改憲論者である中曽根にしてこうした行動をとったところに現実主義の岩盤の大きさがうかがえる。そういう背景の中で、新たな改憲派として登場した安倍晋三の出方が注目される。
著者
小林 信彦 Nobuhiko KOBAYASHI
雑誌
桃山学院大学総合研究所紀要 = ST.ANDREW'S UNIVERSITY BULLETIN OF THE RESEARCH INSTITUTE (ISSN:1346048X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.35-50, 2000-01-24

In ancient India, the Buddhist samgha as a self-governing community maintained order by means of its own law called "vinaya." Violators were punished according to vinaya. On the other hand, all Buddhists, whether monks or laymen, were expected to follow particular customs called "sila." Unlike vinaya, this was not compulsory and did not carry penalties. In Japan far away from the original land of Buddhism, no one paid attention to the distinction between vinaya and sila, because temples were the apparatus of government and there was no samgha to be governed by vinaya. Under such circumstances, Saicho (766-822) openly repudiated vinaya and replaced it with sila. From that time down to this day, the Japanese have been convinced that the essence of true Buddhism consists in the repudiation of vinaya.
著者
岩沼 聡一朗 長見 真
雑誌
帝京科学大学教育・教職研究 = Journal of educational research and teacher development, Teikyo University of Science (ISSN:2433944X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.49-60, 2022-03-31

体育授業では,疾病や忘れ物等を理由に,見学という形で授業に出席する場合がある.その際,見学者に対する教育的配慮は,授業者の幅広い裁量に委ねられている.見学者においても,学びの機会や運動・スポーツに関する発達の機会を保障する必要があると考えられる.しかし,体育授業における見学の実態は明らかとなっていない.本研究では,小学校・中学校・高等学校での体育授業における見学状況を把握することを目的とした.大学生に対して各校種での見学経験を振り返ってもらい,web フォームにて回答させた.得られた回答から定量的分析を行い,小学校・中学校・高等学校の体育授業における見学状況の全体像を検討した.その結果,体育授業における見学では,①校種や性,授業内容(領域)に関連して特徴的な傾向が見られること,②見学時の過ごし方が授業者主体で決められること,③見学の理由に個々の体育授業の好き・嫌いや評定が関連すること,が示された.
著者
村上 信子
雑誌
大分県立芸術文化短期大学研究紀要 = Bulletin of Oita prefectural College of Arts and Culture (ISSN:13466437)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.127-144, 2023-03-22

This study will determine how the fatal shooting of former Prime Minister Abe was reported by the media through witnesses and local journalists. The incident took place on the eighth of July in 2022 in Nara prefecture where Abe was giving a speech in support of local counselors during the national election.This research paper will further explore in detail how the tragic events unfolded from the perspective of the media, and how the news was broken by NHK and other TV news stations. Furthermore how footage from bystanders had an impact on how it was broadcast. To conclude it will examine how the media portrayed Abe in a positive light looking back at his career, and how other similar historical political attacks were covered by news journalists and TV stations in the past.
著者
鈴木 常彦
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2023-IOT-62, no.11, pp.1-6, 2023-06-27

2023 年 3 月 14 日から始まった一連の DNS 水責め攻撃について報告する.この攻撃は約 6 万 IP アドレスから約 14 万ドメインへの絨毯爆撃とも言える大規模な攻撃がコンスタントに本報告執筆時点の 6 月上旬まで継続しており,多数の企業,自治体,政府機関等の DNS 権威サーバが応答障害に追い込まれている.本報告はハニーポットでの観測データを分析し考察したものである.
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.420-427, 2016-04-15
著者
村尾 恵一
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2012-MUS-95, no.11, pp.1-5, 2012-05-26

クラリネットのリード振動を可視化するために高速度カメラにおいて撮影を試みた。その振動を解析し閉管楽器であるクラリネットのリードの振動特性を明らかにする。
著者
梅田 英春 ウメダ ヒデハル Hideharu UMEDA
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要
巻号頁・発行日
vol.23, pp.73-80, 2023-03-31

本論文では、バリ島東部カランガッスム県アムラプラ周辺で演奏されている日本の大正琴を起源とするプンティン pentingとよばれる楽器と、2007年に設立されたプンティンのアンサンブルのグループ「ムルドゥ・コマラ Merdu Komala」の活動を研究対象としている。そしてこのグループの活動を通して、2つの点を明らかにした。一つは、この楽器やアンサンブルがカランガッスム県に独特な芸能であることが強調され、その後、歴史性が付与されていき、この芸能が「創られた伝統」となったことである。そしてもう一つは、バリの伝統音楽を演奏するために変容した楽器を使って、全音階の西洋音楽を演奏する試みが行われる中で、プンティンが、再び全音階を基本にしている日本の大正琴へと回帰しつつある現状についてである。
著者
石倉 幸雄 Yukio Ishikura
雑誌
国際経営・文化研究 = Cross-cultural business and cultural studies (ISSN:13431412)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.17-36, 2016-12-01

After the victory over the feudal powers (Tokugawa Bakuhan Taisei), Meiji Government started its office on January 3rd 1868 declaring the Restoration to the old autocratic Tenno(Monarchical) regime as its political cause, with total abolition of every feudal way and custom. As a matter of course came the reinstatement of the Emperor (Tenno) and the royal family in conformity with its old status.Then the government promulgated the Meiji Constitution on February 11th 1889, and adopted a constitutional form of government under the same political regime. On this changing context the royal family who were entitled to succession to the Emperor were politically marginalized and left behind social interest. Hirobumi Itoh who had worked for Japan three times as the prime minister was much concerned with this peculiar social condition, and made an effort to lift the royal family up to the previous social status considering that the royal family was essential for the balanced and secured development of the Japanese Tenno regime. This dissertation tries to attempt to put light on the process in which the royal family were secured from the political oblivion.